JPH023711B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、回転するドラムにシートを巻装固定
するシートクランプ装置に関する。

オフセツト印刷機における印刷用紙、フアクシ
ミリ装置における送信原稿や記録用紙、複写機に
おけるシート状感光体等のシート状体をも含むシ
ートをドラムに巻装固定する装置は、既に種々の
形式が提案され、かつその中のいくつかは実用化
されている。

シートをドラムに巻装固定する装置の一例とし
て、インクジエツト記録方式を利用した印刷装置
について説明する。

第１図において、符号１は装置のケーシングを
示していて、このケーシング１内には、ドラム２
が支持軸３に支持されて回転自在に設けられてい
る。ドラム２には、後記するようなシート咥え爪
４が設けられている。ドラム２の周りには、給紙
装置５、記録装置６、排紙装置７が、ドラムの回
転方向において、この順に配設されている。

給紙装置５は、周知の吸盤式自動給紙装置であ
つて、吸盤８、送り出しローラ９、アイドルロー
ラ１０およびシート載置台１１とからなつてい
る。吸盤８は、鎖線８Ａで示す位置がホームポジ
シヨンであつて、給紙時には、鎖線位置から実線
位置へ移動し、実線位置でシートＳを吸着したの
ち再び鎖線位置へ戻るようになつている。吸盤８
に上記動作を行なわせる機構や吸気手段は図示さ
れていない。吸盤８がシートＳを吸着して鎖線位
置へ戻るとき、アイドルローラ１０は、送り出し
ローラ９から図示しない位置へ離間していて、吸
盤８が鎖線位置へ来たのち、適宜のタイミングを
もつて図示の位置へ復帰し、送り出しローラ９と
でシートＳを挟持する。そして、比較的低速で回
転しているドラム２のシート咥え爪４の位置との
同期をとつて、前記送り出しローラ９が回転する
と、シートＳがドラム２に向つて送り込まれ、そ
の先端を、開いているシート咥え爪４とドラム２
表面との間に挿入される。こののち、シート咥え
爪４が図示されない手段によつて閉じられて、シ
ート先端のクランプが終る。先端をクランプされ
たシートは、全長に亘りドラム表面に密着させら
れたのち、図示されない後端クランプ手段でその
後端をクランプされる。

記録装置６は、ドラム表面に近接させたインク
ジエツトヘツド１２、ガイド軸１３、ネジ軸から
なる駆動軸１４および図示しない制御装置とから
なつている。ガイド軸１３と駆動軸１４は、共に
前記ドラムの支持軸３と平行に設けられている。
インクジエツトヘツド１２は、駆動モータ１５に
より回転させられる駆動軸１４によつて、ドラム
表面に沿つて母線方向（副走査方向）に移動させ
られる。一方、シートを巻装したドラム２は、示
矢方向に回転するので、上記インクジエツトヘツ
ド１２は、相対的には主走査方向にも移動してい
ることになる。そして、上記インクジエツトヘツ
ド１２は、これに印加される信号に応じて、ドラ
ム表面（シート）に向けて微小なインク液滴を噴
射してドツトマトリツクスで記録画像を形成す
る。

上記排紙装置７は、印刷を終了したシートをド
ラム表面から剥離し排出するものであつて、ドラ
ム２に接離自在に設置された剥しローラ１６、ド
ラム表面から剥されたシートを排紙台１７へ送り
出す排紙ローラ対１８とからなつている。

さて、上記のようなドラム２にシートをクラン
プする方式は、従来何れもカムやレバー等を複雑
に組み合せた、所謂機械的なものであつた。従つ
て、機構が非常に複雑になり、これを構成する部
品も高い精度を要求されるので、コスト高となら
ざるを得ない欠点があつた。また部品点数が多い
ということは、前記コスト高の問題に加えて、機
構の作用が複雑となり、クランプミスや、シート
のドラムからの外れやこれに伴なうシートのジヤ
ム等が起り易くなつて、信頼性の高いシートクラ
ンプ装置とは言い難い欠点があつた。

そこで、第２図に示すように、ドラム２０表面
近傍で母線方向に沿つて設けられた枢軸２８を中
心として揺動しドラム表面に接離自在に支持され
たシート咥え爪２３と、ドラム２０の内部２０ａ
及び外部２０ｂを連通しドラム回転方向に二列、
ドラム母線方向に多数穿設された孔であつて、シ
ート先端を含むシート咥え爪２３で押えられる部
分のドラムに設けられた吸引孔３６ａ，３６ｂ
と、この吸引孔３６ａ，３６ｂに接続された吸入
パイプ３９を含む吸気手段（図示しない）とを備
えていて、前記吸気手段によつて前記吸引孔３６
ａ，３６ｂから空気を吸引して、前記シート咥え
爪２３とシートＳとを共にドラム２０表面に吸着
する方式が提案されている。

この方式によれば、上述した従来の欠点は克服
されるが、シート先端及びシート咥え爪２３の両
方共に吸気手段によつてドラム表面に吸着させよ
うとすると、シート咥え爪２３の精度を高めて
も、第３図で明らかに示されるように、シートＳ
が爪先端部に入るから、吸引孔３６ａ（シート先
端を吸引する孔）はシートにより密閉されるが、
吸引孔３６ｂ（シート咥え爪を吸引する孔）は密
閉されず空気が漏れる（符号３６ｃ参照）。そこ
でシート咥え力を保持するために吸引用バキユー
ムポンプを大型にしなければならない欠点があつ
た。吸引用バキユームポンプを大型にしないとシ
ート先端がずれたり、はずれたりし易くなり、更
にドラムの高速回転時には遠心力の作用によりシ
ート咥え爪先端部がドラム表面から離間する向き
に付勢され、シート先端のはずれ傾向を更に助長
するおそれがあつた。

本発明は、以上の欠点を解決して、シートがず
れたり、はずれたりせず更に信頼性の高いシート
クランプ装置を提供することを目的としている。

かかる目的は、低速又は高速の何れかの速度で
選択的に回転させられるドラムと、該ドラムの内
部と外部とを連通していて、シート端部を前記ド
ラム表面に吸着するために空気を吸引する複数の
孔と、該孔に吸着されたシート端部をクランプす
るシート咥え爪を有するシートクランプ装置にお
いて、ドラム表面に対して接離自在に支持されて
いて、平生前記ドラム表面から離間する向きの習
性を与えられたシート咥え爪と、前記ドラムの高
速回転時に生ずる遠心力により前記ドラムの中心
より遠去かる向きに移動させられる重錘と、該重
鍾が前記ドラム中心より遠去かる向きに移動する
とき、前記シート咥え爪を、前記ドラム表面に近
接する向きに移動させる連動手段とを備え、シー
ト咥え爪が低速時には開かれた位置に、高速時に
は閉じた位置に位置させられることを特徴とする
シートクランプ装置によつて達成される。

そして本発明によれば、シート先端は吸引孔に
より吸着された状態で、更にドラムの高速回転に
よる遠心力の作用によつてシート咥え爪はシート
先端を閉じる向きに付勢されるから、シートがず
れたり、はずれたりせず格段に信頼性の高いシー
トクランプ装置を提供することができる。

以下、図示の一実施例につき詳細に説明する。

第４図及び第５図において、円筒状のドラム２
０は、その両端に一対のフランジ２１，２１を嵌
合固着されている。ドラム２０の周面には、母線
方向に溝２２が形成されている。この溝２２に
は、シート咥え爪２３の支持体２４の中央部２４
ａが進入している。

上記シート咥え爪２３は、板ばね等の比較的薄
い弾性板からなつていて、幅方向において、上記
ドラム２０の円周と略同じに湾曲させられてい
る。シート咥え爪２３の一側には、内方へ折り曲
げて形成した、シートの先端が衝合するストツパ
２５が設けられ、他側縁を上記支持体２４にねじ
２６により固定されている。

一方、ドラム２０には、上記溝２２の両端部に
切欠２７，２７が形成されていて、上記支持体２
４の両端部２４ｂがそれぞれ進入している。支持
体２４の両端部２４ｂ，２４ｂは、フランジ２１
に回転自在に装着された枢軸２８の一端に、ねじ
２９によつて固着されている。枢軸２８の、フラ
ンジ２１の外部に突出している端部には、レバー
３０（第４図に一方のみ示す）の一端が固着され
ている。

レバー３０の自由端には、ばね３１の一端が係
止されていて、上記シート咥え爪２３に対して、
これを開く向きの習性を与えている。ばね３１の
他端は、フランジ２１に固植された短軸３２に係
止されている。上記ばね３１は、比較的弱いばね
であつて、第６図に示すように、シート咥え爪２
３を開くに必要な強さである。シート咥え爪２３
の開く角度は、第６図に示すように、レバー３０
の一側縁がストツパ３３に衝合することで規制さ
れる。

また、フランジ２１には、第４図及び第５図に
一方のみ示すように、長孔３４が設けられてい
る。上記レバー３０の自由端には、上記長孔３４
を介してドラム内部に貫挿された重鍾３５が固着
されている。この重鍾３５は、後記するドラム２
０の高速回転時に、遠心力によつてドラムの中心
から遠去かる向きに移動して、前記シート咥え爪
に対してこれを閉じる向きに付勢するものであ
る。

上記ドラム２０には、上記溝２２に沿つて、ド
ラム内外を貫通する空気吸引孔３６、ストツパ進
入孔３７、吸引パイプ取付孔３８が列設されてい
る。ストツパ進入孔３７には、シート咥え爪２３
のストツパ２５が進入している。

さて、以上のように構成された装置のシートク
ランプ作用を説明する。

給紙時ドラム２０は、例えば30rpm位の低速で
回転している。このとき、シート咥え爪２３は、
第６図に示すようにばね３１の作用により揺動さ
せられて開いており、この状態においても、スト
ツパ２５の一部は、ストツパ進入孔３７に進入し
ている。

シート咥え爪２３が開いた状態で、ドラム２０
が所定位置に回動したとき、これに同期してシー
トがドラム２０表面に向けて給送され、シート先
端縁はシート咥え爪２３のストツパ２５に衝合す
る。その後適宜のタイミングをとつて、又は、シ
ートが進入する前に、図示しない吸気手段が動作
することにより吸気孔３６から第４図に矢印で示
すように空気が吸引される。

吸引孔３６からの空気吸引によつて、まず、こ
の孔３６の開口部の全部を塞ぐように位置してい
るシートＳ（第６図参照）の先端が該孔３６に吸
着される。次いで、図示されない後端クランプ機
構が作動して、シートの後端をクランプして、シ
ートのクランプが終了する。

シートのクランプを終えたドラム２０は、この
のち高速度、例えば1500rpmで回転し、これに巻
装されたシートへの印刷が記録装置６（第１図参
照）によつてなされる。そして枢軸２８を介して
シート咥え爪２３と実質的に一体に取付けられて
いるレバー３０の自由端には重鍾３５が固着され
ているので、ドラム２０の高速回転によつて重鍾
３５に遠心力が作用してドラム２０の中心より遠
去かる向きに移動させられると、連動手段たるレ
バー３０が揺動し枢軸２８を介してシート咥え爪
２３がドラム表面に当接する向きに移動し、シー
ト先端を圧着する効果を発揮する。

従つて、シート咥え爪２３は、ドラムが高速度
で回転すればする程、ドラム表面に当接する向き
の力が与えられることになり、シートの先端を圧
着すると共に、回転方向において、シートの先端
とドラム表面との間に空気が進入することを防止
する。

以上のように、シート先端は、吸引孔により吸
着された状態で、更に、シート咥え爪は、ドラム
の高速回転による遠心力の作用によつてシート先
端を閉じる向きに付勢されるから、シートがずれ
たり、はずれたりせず、格段に高い信頼性をもつ
てシートをクランプすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明を適用する装置の一例として
挙げたインクジエツト記録方式を採用した印刷装
置の概略構成図、第２図は従来のシートクランプ
装置の一例を示す一部破截側面図、第３図は前記
例の要部拡大断面図、第４図は本発明の一実施例
を示す斜視図、第５図は第４図の左側面図、第６
図はシート咥え爪が開いた状態を示す一部破截側
面図である。 ２０……ドラム、２３……シート咥え爪、２８
……枢軸、３０……レバー、３１……ばね、３５
……重鍾。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 低速又は高速の何れかの速度で選択的に回転
   させられるドラムと、該ドラムの内部と外部とを
   連通していて、シート端部を前記ドラム表面に吸
   着するために空気を吸引する複数の孔と、該孔に
   吸着されたシート端部をクランプするシート咥え
   爪を有するシートクランプ装置において、ドラム
   表面に対して接離自在に支持されていて、平生前
   記ドラム表面から離間する向きの習性を与えられ
   たシート咥え爪と、前記ドラムの高速回転時に生
   ずる遠心力により前記ドラムの中心より遠去かる
   向きに移動させられる重鍾と、該重鍾が前記ドラ
   ム中心より遠去かる向きに移動するとき、前記シ
   ート咥え爪を、前記ドラム表面に当接する向きに
   移動させる連動手段とを備え、シート咥え爪が低
   速時には開かれた位置に、高速時には閉じた位置
   に位置させられることを特徴とするシートクラン
   プ装置。