JPH0236982Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両用サスペンシヨンのダストブー
ツに関する。さらに詳しくは開口端部の内径が蛇
腹構造の谷部内径よりも大きいことを特徴とする
車両用サスペンシヨンのダストブーツに関する。

一般に車両用サスペンシヨンは、車体の下部に
あつて車体をコイルスプリング及びシヨツクアブ
ソーバーで支え、路面からの振動衝撃を緩和し、
車両の操縦安定性と乗心地の調和をはかるもので
ある。車両用サスペンシヨンは、車体の下部にあ
るので泥、水あるいは小石からシヨツクアブソー
バーの摺動部を守る必要があり、一般にゴム等の
ダストブーツで覆われている。ダストブーツは、
下端に開口端部を形成し、その開口端部はアウタ
ーチユーブに固着された受皿に当接している。そ
してタイヤを通して車両用サスペンシヨンに振動
が加わると、アウターチユーブが上下に振動ある
いは摺動し、同時にアウターチユーブに固着され
ている受皿が上下に動き、その受皿がダストブー
ツの下端を押し上げる。

ところで、従来のダストブーツは上記したよう
にゴム製のものが多く使われていた。しかしゴム
の製造は、生産性が悪く製造コストも高くつくと
いう欠点を有していた。そこで現在では、このゴ
ムの代替として弾性を有する合成樹脂が利用され
つつある。つまり現在のダストブーツは、ゴム弾
性を有する弾性材料をブロー成形して得られるの
である。そして第４図に示すようにダストブーツ
の下端部２１は強度を増すために、ブロー比を比
較的小さくして肉厚を厚くしている。しかし、下
端部の径B′を極力小さくしも、振動時に受皿８
が下端部２１に衝突すると下端部２１が内方へ屈
曲して下端部の形状が損なわれるものであつた。
さらにこの部分の変形は、ダストブーツの安定し
た圧縮運動をも乱し、その結果短期間で蛇腹構造
を有する胴部の亀裂をも誘発していた。

本考案は、この点に鑑み創案されたもので、以
下に図面にて本考案の一実施例である自動車のフ
ロントサスペンシヨンのダストブーツについて詳
しく説明する。

第１図は自動車のフロントサスペンシヨンで、
ストラツト形のサスペンシヨンを示している。ス
トラツト形のサスペンシヨンは、ストラツトアツ
シー１、コイルスプリング２、シリンダーロツド
３、ストラツトマウント４より構成される。スト
ラツトアツシー１は、シリンダーロツド３を内挿
して摺動部分を有し、ストラツトアツシー１とシ
リンダーロツド３はシヨツクアブソーバーを構成
している。このシヨツクアブソーバーは、タイヤ
５を通じて路面から受ける振動を減衰し、上記の
摺動部分は弾性のあるダストブーツ６より保護さ
れている。ダストブーツ６の上端は、シリンダー
ロツド３に密挿され、バンドによりシール部７に
て固着し密封されているが、ダストブーツ６の下
端は自由で受皿８に当接している。受皿８はスト
ラツトアツシー１に固着されており、振動時にお
いても動くことはない。

本考案のダストブーツ６は、熱可塑性エラスト
マーをブロー成形することにより得られるもの
で、蛇腹構造を有する筒状の胴部１０、胴部１０
の上方に連設される上端部１１及び胴部１０の下
方に連設される下端部１２より構成される。上端
部１１は内部にシリンダーロツド３が密挿され、
バンド等で締め付けてシールするためのシール溝
を有する。下端部１２は、筒体を成し、その内径
Ｂは胴部の蛇腹構造の谷部１４の内径Ａよりも大
きい内径を有する。下端部１２は、受皿８と当接
している。

路面より受けた振動は、タイヤ５を通じてスト
ラツトアツシー１に伝わりコイルスプリング２と
シヨツクアブソーバーにより緩衝され減衰され
る。この際、シリンダーロツド３とストラツトア
ツシー１との間で振動が起り、シリンダーロツド
３にその上端部を締め付けられているダストブー
ツ６は同じくシリンダーロツド３と同じ動きをと
ろうとして振動を生ずるが蛇腹構造は、その応答
速度が遅いので、胴部１０が初めの動きで圧縮さ
れている状態のままシリンダーロツドは次の動き
で上方へ移動し、この時ダストブーツ６の下端部
１２と受皿８との間に空間が生じ、そのまま次に
シリンダーロツド３がす早く下降するとダストブ
ーツの下端部１２は、受皿８にたたき付けられ
る。この動きは振動が生じている際に起きるので
受皿８と下端部１３との衝突も繰り返し起きるこ
とになる。そこで本考案のダストブーツを利用す
ると、本考案のダストブーツは上記したように下
端部１３の内径Ｂが谷部１４の内径Ａよりもその
径が大きいので、下端部１２が受皿８にたたきつ
けられても、下端部１２が内方へ曲がつて変形す
ることがないのである。これは圧縮時には、蛇腹
構造の谷部を通じて大部分の力が伝えれるのであ
り、その力が本考案のダストブーツの下端部１２
においては、谷部１４が下端部１２よりも内方に
設けられているので、下端部１２を広げる方向に
力が作用するためで、この広げようとする力に対
しては下端部は変形することはないからである。
本考案で使用する熱可塑性エラストマーとは、軟
質ポリ塩化ビニル、ポリエステル系エラストマ
ー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系
エラストマー、オレフイン系エラストマー、スチ
レン系エラストマー等である。軟質ポリ塩化ビニ
ルとしては、平均重合度が800〜12000好ましくは
1500〜10000のポリ塩化ビニルと、該ポリ塩化ビ
ニル100重量部に対して30〜220重量部のものをい
う。

本考案のダストブーツの胴部は、実施例に示し
た如きその大部分を蛇腹構造で占める形状に限ら
れるものではなく、その一部に蛇腹構造を有して
おればよい。

以上のように本考案は、熱可塑性エラストマー
にてブロー成形される蛇腹構造を有する胴部と該
胴部の上端に連なる取付部及び該胴部の下端に連
なる開口端部を有する車両用サスペンシヨンのダ
ストブーツにおいて、該開口端部が該蛇腹構造の
谷径よりも大きい内径を有することを特徴とする
車両用サスペンシヨンのダストブーツであるの
で、下端部が内方へ変形してダストブーツの形状
が損なわれることを防ぐことができるだけでな
く、蛇腹構造を有する胴部に亀裂等の発生をも防
ぐことができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のダストブーツを搭載したスト
ラツト形サスペンシヨンを示す斜視図、第２図は
第１図の一部を拡大した一部破断側面図、第３図
は第１図のダストブーツの一部拡大断面図、第４
図は従来のダストブーツの一部拡大断面図であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱可塑性エラストマーにてブロー成形される蛇
   腹構造を有する胴部と該胴部の上端に連なる取付
   部及び該胴部の下端に連なる開口端部を有する車
   両用サスペンシヨンのダストブーツにおいて、該
   開口端部が該蛇腹構造の谷径よりも大きい内径を
   有することを特徴とする車両用サスペンシヨンの
   ダストブーツ。