JPH0234660Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は眼鏡製造用治具装置に関し、一層詳細
には、眼鏡フレームの構成部品であるテンプルと
ヨロイにこれを折曲自在に保持するための蝶番を
接合させる製造工程に用いられる治具装置であつ
て、一対の電極を載置する支持板を電極固定台に
対し傾動可能に設けると共に、この電極固定台を
前記支持板の傾動方向と直交する方向に傾動自在
に構成し、テンプルおよびヨロイに対する蝶番の
接合作業を容易に且つ確実に行うことが出来、生
産効率を一層向上させることを可能とした眼鏡製
造用治具装置に関する。

［考案の背景］ 一般に、眼鏡フレームの中、メタルフレームに
は種々の金属が材料として用いられている。最近
ではチタニウムを含有するチタン合金で製造され
るメタルフレームが普及しつつある。

チタン合金には比強度、すなわち、重量あたり
の強度が大きく、また、耐蝕性に優れるという利
点があり、眼鏡フレームの素材として広く活用さ
れるに至つている。すなわち、眼鏡フレームは可
及的に軽量化されることが望ましく、一方で剛性
強度も要求される。前記チタン合金製の眼鏡フレ
ームは一層の軽量化が促進可能であると同時に剛
性強度も十分確保出来るため、眼鏡フレームの材
料として最適であるというのがその理由である。

ところで、第１図に示すように、眼鏡フレーム
２は、例えば、テンプル４、ヨロイ６、蝶番８、
ブローチ１０、リム１２、ブリツジ１４等の各種
の部品から構成される。この中、長尺なテンプル
４は比較的短く且つ屈曲形状のヨロイ６と蝶番８
を介して折曲自在に連結される。この蝶番８は前
記テンプル４に固着される雄型８ａと、前記ヨロ
イ６に固着される雌型８ｂ、およびこれら雄型８
ａと雌型８ｂを回動自在に係合させるヒンジピン
８ｃとからなる。眼鏡フレーム２を組み立てる場
合には以上のような各種部品を接合している。

このようなチタン合金製フレームにおいて、テ
ンプル４並びにこのテンプル４を折曲するために
回動動作を行う蝶番８についても可及的に当該フ
レームの重量を軽減させることを目的として、チ
タニウム合金製のものを活用しようとしている。
ところが、チタニウムを含有するテンプル４並び
にヨロイ６に蝶番８をろう付けする場合、加熱温
度が所定温度を超えると脆化するという不都合が
ある。このため、通常は、ろう材として銀ろうを
用い高周波誘導コイルで昇温させ、加熱温度によ
つて変化するこの銀ろうの発光色により判断して
比較的低温でろう付けを行つている。

然しながら、このようなろう付け作業は高度の
熟練を判断するにしても作業者の経験と勘に依在
せざるを得ず、製品を均一な品質に保つことが困
難であるとの不都合が指摘されている。しかも、
銀ろうを低温でろう付けするため、接合部位に些
程の強度を期待することが出来ない。

［考案の目的］ 本考案は前記の不都合を克服するためになされ
たものであつて、テンプル並びにヨロイに対して
蝶番を接合させる際、一対の電極を載置する一対
の支持板を電極固定台に対し傾動可能に軸支する
と共に、この電極固定台自体を当該支持板の傾動
方向と直交する方向に傾動自在に構成することに
より、蝶番の取付精度を向上させると共にその作
業効率を改善させ、しかもテンプル、ヨロイと蝶
番との接合部位も堅牢に溶着することを可能とし
た眼鏡製造用治具装置を提供することを目的とす
る。

［目的を達成するための手段］ 前記の目的を達成するために、本考案は眼鏡フ
レームの構成部品であるテンプルとヨロイに対
し、これらを折曲自在に支承する蝶番を接合させ
るための治具であつて、前記テンプルとヨロイが
嵌合する溝部が夫々画成された一対の電極をクラ
ンプする手段が設けられた電極固定台を有し、前
記電極固定台には前記電極が載置される一組の電
極支持板が傾き角調整自在に取着され、しかも前
記電極固定台を前記電極支持板のの傾動方向とは
直交する方向に傾動自在に構成することを特徴と
する。

［実施態様］ 次に、本考案に係る眼鏡製造用治具装置につい
て好適な実施態様を挙げ、添付の図面を参照しな
がら以下詳細に説明する。

第２図乃至第６図において、参照符号４０は本
考案に係る眼鏡製造用治具装置を示す。この眼鏡
製造用治具装置４０は基台部４２とこの基台部４
２に取着され電極を載置し且つ固定するための電
極固定台４４とから基本的に構成される。

先ず、第２図において、前記基台部４２を構成
する基台４６にはスライドテーブル４８が載置さ
れる。このスライドテーブル４８の両端部に長溝
５０ａ，５０ｂが平行貫通形成され、前記長溝５
０ａ，５０ｂにボルト５１ａ乃至５１ｄがワシヤ
を介して挿入される。さらに、前記ボルト５１ａ
乃至５１ｄは基台４６の所定位置に設けられた螺
孔（図示せず）に螺入され、このスライドテーブ
ル４８は前記基台４６に一体的に固定される。ま
た、この場合、ガイド板５２ａ，５２ｂが基台４
６に固定される。従つて、このスライドテーブル
４８を長溝５０ａ，５０ｂの長手方向にスライド
させてボルト５１ａ乃至５１ｄにより所定の取付
位置で位置決めさせることが可能である。

次いで、前記スライドテーブル４８に対して支
持部材５４ａ，５４ｂが立設される。第３図に示
すように、この支持部材５４ａ，５４ｂには孔５
６ａ，５６ｂが形成され、この孔５６ａ，５６ｂ
に挿入されるボルト５８ａ，５８ｂにより屈曲形
状の取付部材６０ａ，６０ｂが回動自在に取着さ
れる。この場合、取付部材６０ｂには回動方向に
長尺な孔６２が画成され、この孔６２にボルト６
４の一端が嵌入する。すなわち、ボルト６４はス
トツパとして前記支持部材５４ｂに固着されてい
る。

そこで、このように構成される基台部４２に対
して取り付けられる電極固定台４４について説明
する。

この電極固定台４４は、第２図乃至第６図に示
すように、第１の筐体部６６、第２の筐体部６８
からなり、第１筐体部６６、第２筐体部６８の内
部に室７０が画成される。一方、前記第１筐体部
６６および第２筐体部６８の側面には螺孔が所定
間隔離間して貫通形成されている。そして、これ
らの螺孔に対して電極固定用のボルト７２ａ乃至
７２ｆが螺入される。また、長手方向の側面の下
部には貫通する螺孔７４，７６が形成され、これ
らの螺孔７４，７６に冷却水を導入するためのニ
ツプル等が螺入する。第１筐体部６６の側面に穿
設される螺孔７７ａ，７７ｂには腐蝕防止用のシ
ールドガスを導入するためのニツプルが螺入され
る。

次に、第４図および第６図に示すように、室７
０内において一対の電極支持板７８ａ，７８ｂの
夫々互いに近接する端部側にピン部材８０ａ，８
０ｂが挿通され、これらのピン部材８０ａ，８０
ｂによつて前記電極支持板７８ａ，７８ｂが回動
自在に軸支される。一方、前記第１筐体部６６、
第２筐体部６８の底面部には調整ボルト８２ａ，
８２ｂが螺入し、その先端部が前記電極支持板７
８ａ，７８ｂの他端部に当接する。従つて、この
調整ボルト８２ａ，８２ｂを所定の深さ螺入する
ことで当該電極支持板７８ａ，７８ｂの傾き角を
所望の角度に調整出来ることが諒解されよう（第
６図参照）。

そこで、第５図に示すように、一対の電極９
０，９２が前記電極支持板７８ａ，７８ｂの載置
される。この電極９０，９２には夫々ヨロイの形
状に対応する溝９４、テンプルの形状に対応する
溝９６を画成しておくと好適である。

なお、図中、参照符号９８，１００は前記電極
９０，９２を保持するためのスペーサを示し、ま
た、参照符号１０２，１０４は図示しない溶接機
から延在する電極を示す。

本考案に係る眼鏡製造用治具装置は基本的には
以上のように構成されるものであり、次にその作
用並びに効果について説明する。

第５図に示すように、電極９０，９２を電極支
持板７８ａ，７８ｂに載置する。この時、スペー
サ９８，１００を前記電極９０，９２の寸法に応
じて配置すると好適である。次いで、固定用のボ
ルト７２ａ乃至７２ｆを緊締して前記電極９０，
９２を固定する。

そこで、第６図に示すように、ヨロイ６、テン
プル４を電極９０，９２に刻設された溝部９４，
９６に嵌合するように載置する。次いで、蝶番８
をテンプル４、ヨロイ６の端部接合個所に載置す
る。その際、前記蝶番８の底面にはチタン製の薄
膜状ろう材（図示せず）を予め仮付けしておく。
この状態において、蝶番８に対する電極１０２、
１０４の圧接面が圧接方向に対して略垂直になる
よう調整ボルト８２ａ，８２ｂを螺回して電極支
持板７８ａ，７８ｂの傾き角を調整する。以上の
ような準備が終わつた後、電極１０２，１０４を
蝶番８に当接させ、さらに所定の電流を通電して
加圧し、蝶番８をテンプル４、ヨロイ６に接合さ
せる。その時、螺孔７４，７６に取り付けられた
ニツプルおよび送給管を介して冷却水を通流さ
せ、一方、螺孔７７ａ，７７ｂには同様にニツプ
ルおよび送給管によりシールドガスを導入してお
く。

所定時間経過後、前記蝶番８の底面に仮付けさ
れたろう材が通電される電流によつて加熱されて
溶融し、その結果、蝶番８とテンプル４、ヨロイ
６との接合がなされる。

この場合、電極１０２，１０４の圧接方向と蝶
番８の傾斜する当接面とが略垂直になるよう自在
に電極支持板７８ａ，７８ｂの角度を調整可能な
ため、蝶番８の位置ずれを防止出来、高い取付精
度を得ることが可能である。

なお、近年のデザインの多様化により蝶番８に
は様々な形状のものが使われている。例えば、テ
ンプルの軸方向に垂直な方向に傾斜する面を有す
るような蝶番を接合する場合においては、電極固
定台４４自体を支持部材５４ａ，５４ｂに対して
傾動させることで前述と同様にして電極１０２，
１０４の当接面を蝶番８に対して垂直に設定する
ことが可能である。従つて、本考案に係る治具装
置は種々の形状の蝶番の接合作業に汎用的に用い
ることが出来る。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、電極を載置す
る電極支持板の傾斜角度を調節可能に構成すると
共に、この支持板が取着される電極固定台自体も
傾動可能に構成している。しかも、前記電極支持
板の傾動方向と前記電極固定台の傾動方向とが互
いに直交するよう構成されているため、多様な形
状の蝶番の溶着に対応することが可能であり、従
つて、テンプルに蝶番を取り付ける作業に汎用的
に用いることが出来る。この結果、作業性が改善
されるという利点が得られる。さらに、その傾動
自体も微調整可能に構成されているため、蝶番の
取付精度が一層向上するという効果が得られる。

以上、本考案について好適な実施態様を挙げて
説明したが、本考案はこの実施態様に限定される
ものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲に
おいて種々の改良並びに設計の変更が可能なこと
は勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は眼鏡の一部省略斜視説明図、第２図は
本考案に係る眼鏡製造用治具装置の斜視図、第３
図は第２図における眼鏡製造用治具装置の正面
図、第４図は第２図における眼鏡製造用治具装置
の平面図、第５図は本考案に係る眼鏡製造用治具
装置に電極を取り付けた状態を示す斜視図、第６
図は蝶番をテンプル、ヨロイに溶着させる工程を
説明する本考案に係る眼鏡製造用治具装置の一部
省略断面図である。 ４０……眼鏡製造用治具装置、４２……基台
部、４４……電極固定台、４６……基台、４８…
…スライドテーブル、５４ａ，５４ｂ……支持部
材、６０ａ，６０ｂ……取付部材、６６，６８…
…筐体部、７８ａ，７８ｂ……電極支持板、８２
ａ，８２ｂ……調整ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 眼鏡フレームの構成部品であるテンプルとヨ
   ロイに対し、これらを折曲自在に支承する蝶番
   を接合させるための治具であつて、前記テンプ
   ルとヨロイが嵌合する溝部が夫々画成された一
   対の電極をクランプする手段が設けられた電極
   固定台を有し、前記電極固定台には前記電極が
   載置される一組の電極支持板が傾き角調整自在
   に取着され、しかも前記電極固定台を前記電極
   支持板の傾動方向とは直交する方向に傾動自在
   に構成することを特徴とする眼鏡製造用治具装
   置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項記載の治具装
   置において、電極支持板は互いに近接する一端
   部において回動自在に軸支される一方、前記電
   極支持板の他端部が電極固定台の底部から螺入
   される調整ボルトにより支持されてなる眼鏡製
   造用治具装置。