JPH0233348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は合成樹脂で一体に成形された変形の少
ない高性能テープリールに関する。更に詳しくは
側板裏面に複数個の小さな突起を設けたテープリ
ール部品、特にビデオテープレコーダー用テープ
リール部品に関する。

家庭用ビデオテープレコーダーに用いられるテ
ープリールは、規格によつて若干形状は異なる
が、その基本的構成は同一で、テープを両面で支
える側板，テープ巻き芯，回転軸及びビデオデツ
キからの動力を受ける動力伝達部を含んでいる。
特に合成樹脂を素材としてテープ巻き芯，回転軸
及び動力伝達部が一体に形成されている一方の側
板は、テープの巻き方に悪影響を及ぼさないため
の平面性及び長期に亘つて平面性を保持する非変
形性が要求される。

かかる合成樹脂製テープリール部品は、高い寸
法精度，安定性，耐久性，摩擦特性が要求される
ため、従来種々の特性のバランスが比較的によい
ポリアセタール樹脂を用いて側板，テープ巻き
芯，回転軸及び動力伝達部を一体に成形し、一
方、透明性が要求される上側板のみをスチレン系
樹脂で成形して両者を合体する方法が採用されて
いる。

従来の一定の厚みの平面からなる側板を用いた
リールの平面度（うねり，変形）は実用上問題な
い。しかしながら、機器の改良に伴い、テープの
巻き取り速度が速くなり面ぶれの少ないリールが
要望されるようになつてきている。

本考案者は先に、リール側板の形状を工夫して
肉厚外周部を設けることにより、平面部の変形を
著しく減少せしめ得ることを見出して、これを実
願昭55−59248号（実開昭56−162588号公報参照）
として出願した。

併しながら近時かかるリール側板の厚みは経済
的な面及び変形の面から一層薄くなる傾向にある
が、この場合ビデオテープレコーダー（VTR）
のテープリールのケース本体とリールの摩耗が生
じ易く、又テープの巻き取り異常も生じ易いこと
がわかつた。更に後にも説明する如くテープ自重
及びテープ巻き取り力による平板のそりが発生し
易い。そこで本考案者は検討の結果、リール側板
の裏面の外周と中心の中間にある同心円上に複数
個の小さな突起を等間隔に設けることにより、テ
ープ自重及びテープ巻き取り力による平板のそり
の発生を防ぎ、本体とリールの摩耗及びテープの
巻き取りの異常を防止することが出来ることを見
出して本考案に到つたものである。

即ち、本考案は合成樹脂を素材として、側板，
テープ巻き芯，回転軸及び動力伝達部が一体に成
形されてなる合成樹脂製テープリール部品におい
て、側板のテープ巻き芯が設けられた面とは反対
側の面の外周に沿つて一定の厚さに隆起させた連
続する外周部を一体的に設け、且つ中心と外周の
中間部の同心円上に複数個の小さな突起をほぼ等
間隔に設けたことを特徴とする合成樹脂製テープ
リールである。

本考案に於て肉厚外周部の厚みは側板の最小肉
薄部の厚みの1.8〜2.6倍とするのが好ましいが、
本考案の小突起の高さは肉厚外周部の側板裏面上
の高さとほぼ等しいか又は若干低めにすることが
好ましい。

突起の数及び位置は必らずしも限定されない
が、同心円上に少なくとも３個以上、通常８個以
下設けるのが好ましい。

突起の平面形状は直方形，円形，楕円形等適宜
の形状をとり得るが、中心方向に向いた細長い直
方形が好ましい。リール中心のゲートより樹脂を
充填した時、樹脂は中心より放射状に外周へ向け
て流動する。突起形状の長軸方向をこの流動方向
と同方向にすることにより、リール成形品の表面
性は良くなる。その軸方向の長さは、特に限定さ
れるものではないが、1.0〜20.0mmが好ましく、
特に2.5〜4.5mmが好ましい。その幅は突起を取り
付けた側板の厚みの２／３から１／２が好ましい。

以下本考案を添付図面について説明する。

第１図は従来のテープリール部品の平面図、第
２図はそのＡ−Ａ線断面図で、４は側板、５はボ
ス、６はテープリールの回転軸となる突起、７は
内面に機器回転軸に結合する歯（図示せず）を設
けた蓋付内筒、８は外面にテープを巻くための外
筒、９は補強リブである。

第３図は第１〜２図の如きテープリール部品を
成形するに当つて、その側板４のテープ巻き芯８
の設けられていない面の外周に沿つて隆起させた
外周部１０を連続的に設け且つ中心と外周間の中
間に同心円上に６個の小突起１１を設けた本考案
のテープリール部品の裏面図であり、第４図はそ
のＢ−Ｂ線断面図である。

第５図は第４図の突起１１の部分拡大図でその
断面形状の一例を示すものである。第５図に於て
辺の長さＤは1.0〜４mm、Ｅは2.0〜５mmの台形が
適当であるが、特にこの形状に限定されるもので
はない。

第６図は本考案の小突起が設けられていないテ
ープリールをVTRテープリールのケース１３に
取付けた場合の部分拡大側断面図で、１２はテー
プを示す。即ちこの場合薄い側板４のテープ自重
及び（又は）テープ巻き取り力による変形が示さ
れている。

テープリールの使用環境により、この側板の変
形が生じ易くなる場合がある。例えば高温下でテ
ープリールを使用すると、この変形は常温時より
生じ易くなり、又高温，多湿の雰囲気下にテープ
リールが放置される場合には、変形が認められ
る。しかるに本考案によつて側板に突起を設ける
ことにより、テープ自重及びテープ巻き取り力等
による側板の変形が抑制され、テープの巻き取り
異常を防ぎ、側板の摩耗を防止することが出来
る。

以下、本考案の効果を示す実施例を挙げる。

実施例 ポリアセタール樹脂（ポリプラスチツクス株式
会社製ジユラコンVC−10）を使用して、ビデオ
テープリールを成形した。

リール直径90mm、第４図の外周部厚み／側板最
小肉厚部の厚み（ｂ／ａ）1.8、側板の厚さ1.0mm
のリールにリール中心から25mmの位置に第３図に
示すように６個の突起を設けた。軸方向の突起断
面は、第５図のように台形とし、中心方向への長
さＤ＝３mm、Ｅ＝4.5mmとし、又第３図で示すよ
うに、その幅Ｆ＝0.7mmとした。

金型温度50〜60℃として（射出＋冷却）時間30
秒で成形した。

このテープリールに、磁気テープを巻き、高温
条件（70℃×72時間）下で、側板部のふれを測定
した所、120μであつた。

同条件で突起のないテープリールを成形し、同
条件で側板部のふれを測定した所400μであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のテープリール部品の平面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は本考案
のテープリール部品の裏面図、第４図は第３図の
Ｂ−Ｂ線断面図、第５図は第４図の部分拡大図、
第６図は比較例のテープリールの部分拡大側断面
図である。 ４……側板、１０……肉厚外周部、１１……突
起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂を素材として、側板，テープ巻き芯，
   回転軸及び動力伝達部が一体に成形されてなる合
   成樹脂製テープリール部品に於て、側板のテープ
   巻き芯が設けられた面とは反対側の面の外周に沿
   つて、一定の厚さに隆起させた連続する外周部を
   一体的に設け、且つ中心と外周の中間部の同心円
   上に、複数個の小さな突起をほぼ等間隔に設けた
   ことを特徴とする合成樹脂製テープリール。