JPH02323Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はゴムあるいは合成樹脂等の弾性体によ
りタイヤの外周面および両側面に適合し得る所要
巾をもつて形成した車両用スパイク付滑り止め部
材に関するもので、その目的とするところは芯部
材同士の寄りを防止し、滑り止め部材の強度の安
定化を計るとともに芯部材とスパイクの係合を強
化し、かつタイヤへのシヨツクを吸収してスパイ
クの摩耗をできるだけ軽減し、以つて長期の使用
に耐え得る滑り止め部材を提供するにある。

従来、車両用スパイク付滑り止め部材として第
１図ａ，ｂ示の如く椀型に成形したスパイク１
を、ゴムあるいは合成樹脂等の弾性体により成形
した所要巾からなる滑り止め部材２の底面に形成
した凹部３内に嵌合し、これを上面の凹部４内に
扁平頭部５を嵌合係止したリベツト鋲６によりか
しめ止め７したもの、または第２図示の如くコ字
形に形成したスパイク１′を、ゴムあるいは合成
樹脂等の弾性体により成形した所要巾からなる滑
り止め部材２′内にあらかじめ所定間隔をもつて
並列に配置したワイヤー等の芯部材３′，３′に跨
つて係合し、これらを前記ゴムあるいは合成樹脂
等の弾性体と一体にモールド成型したもの、ある
いは第３図示の如く縦割り溝ａを周面に形成した
スパイク１″を、ワイヤー等の芯部材３″，３″に
その縦割り溝ａを係合してこれらをゴムあるいは
合成樹脂等の弾性体の滑り止め部材２″と一体に
モールド成型したもの等があるが、第１図示のも
のの場合は、滑り止め部材２が弾性体であるた
め、かしめ止めのききが悪く、スパイク１の取付
けが不確実となる惧れがあるとともにスパイク１
が減つてくるとリベツト鋲５のかしめ止め部６が
路面に当つて摩耗し、前記スパイク１が簡単に滑
り止め部材２からとれてしまう憾があり、しかも
これが走行中に生じた場合は、スパイク１が後方
に飛んで後続車に当り思わぬ事故を生ずる惧れが
あり、甚だ危険なるものであつたばかりでなく、
スパイク１がとれた後は滑り止め部材２にスパイ
ク取付用の孔が残り、この部分から滑り止め部材
２が容易に切断されて使用不能になる等種々の欠
点があり、また第２図示のものの場合は、スパイ
ク１を係合したワイヤー芯部材３′，３′が外方へ
の拡開は前記スパイク１′のコ字形折曲部により
抑えられるが、内方への寄りは単に一体にモール
ドされた弾性体のみによるため抑えが不充分とな
り、芯部材３′，３′の配列間隔が変化して滑り止
め部材２′の強度が不安定となる欠点があつたと
ともに芯部材３′，３′とスパイク１′の係合が不
確実である等の欠点があり、また第３図示のもの
の場合（第１〜２図示のものも含む）は、スパイ
クが路面に接する時の衝撃（シヨツク）が滑り止
め部材を介してタイヤに直かに伝わり、タイヤを
痛めるとともにスパイクの摩耗を早める欠点があ
つた。

本考案は芯部材の配列間隔が内外方ともに変ら
ないように前記芯部材にスパイクを係合してこれ
らをゴムあるいは合成樹脂等の弾性体により一体
にモールド成型することにより従来の欠点を除去
したものである。

本考案は上記のような欠点を全て除去し得たも
のであつて、以下添附第４〜１１図に示した本考
案の一実施例について詳細に説明する。

第４図は本考案のスパイク付滑り止め部材を使
用した車両用滑り止め具をタイヤに装着した状態
の側面図であつて、図中Ａはタイヤ、Ｂはロー
プ、ワイヤー、チエーン等の索条体、Ｃは緊締
具、１０は滑り止め部材である。

前記滑り止め部材１０はゴムや合成樹脂等の弾
性体により、タイヤＡの外周面および両側面に適
合し得る所要巾をもつて形成されている。１１，
１１は前記滑り止め部材１０の内部に、あらかじ
め所要の間隔をもつて並列に配列されたワイヤ
ー、チエーン、その他適宜強靭な部材で形成され
た複数条の芯部材、１２，１２は前記各芯部材１
１，１１にそれぞれ各縦割り溝部１３，１３を係
合した椀型スパイクで、前記弾性体により芯部材
１１，１１と一体にモールド成型されている。１
４は椀型スパイク１２の頂面、１５は前記椀型ス
パイク１２の上部に位置する滑り止め部材１０の
タイヤ当接面１６に形成された凹部であつて、前
記椀型スパイク１２の頂面１４と略同形のもので
ある。１７は椀型スパイク１２の位置ぎめ孔で、
滑り止め部材１０のモールド成型する際に、椀型
スパイク１２を成型金型内に浮かして支持取付け
るための孔である。１８は滑り止め部材１０の模
様面である。

本考案によれば、滑り止め部材１０内に複数条
の芯部材１１，１１を所要間隔をもつて並列に配
列するとともに前記芯部材１１，１１に椀型スパ
イク１２の側面部に形成した各縦割り溝部１３，
１３を係合した状態でこれらを一体にモールド成
型し、かつ前記椀型スパイク１２の上部に位置す
る滑り止め部材１０のタイヤ当接面１６に前記椀
型スパイク１２の頂面１４と略同形の凹部１５を
形成したものであるから、芯部材１１，１１が切
断されない限り滑り止め部材１０がすりへつても
椀型スパイク１２が滑り止め部材１０から逸脱す
る惧れは全くなく、従つて走行中に椀型スパイク
１２が飛んだりする危険もなく、しかも芯部材１
１，１１間には椀型スパイク１２の側面の一部が
介在しているので前記芯部材１１，１１同士が外
方に拡開したり、内方に寄つたりしてその配列間
隔を変化することもなく、滑り止め部材１０の強
度を安定的に維持することができるものであると
ともに芯部材１１，１１と椀型スパイク１２の係
合は極めて強固で、かつ椀型スパイク１２が路面
に接する時のシヨツクは前記椀型スパイク１２の
上部に位置する凹部１５によつて吸収され、タイ
ヤへの衝撃が弱められるので、タイヤが痛まず、
また椀型スパイク１２自体の摩耗も減少するので
長期に亘り使用に供し得る等の効果がある。

なお本考案における椀型スパイク１２は金属板
をあらかじめ椀型に成形し、これに縦割り溝を設
けたもの、あるいは金属平板にあらかじめ縦割り
溝となるべき切欠を設けておき、該金属平板の各
外縁部を折起すことによつて縦割り溝を有する椀
型スパイク１２となすもの等、いずれでもよいも
のであり、また滑り止め部材１０もあらかじめタ
イヤの外側面に嵌合し得る形状に成型したもの、
あるいは被装着時は平板状となつているもの等い
ずれのものでもよく、また芯部材１１，１１と椀
型スパイク１２との係合手段は第９図示の如く横
割り溝a′としたもの、あるいは第１０図示の如く
貫通孔a″としたもの等いずれのものでもよく、ま
た芯部材１１，１１をチエーンとした場合は第１
１図示の如くして用いることもできるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来品の一例を示す斜視図、第１図
ｂは同一部縦断側面図、第２図は従来品の他の一
例を示す斜視図、第３図は従来品の他の一例を示
す斜視図、第４図は本考案品をタイヤに装着した
状態の側面図、第５図は滑り止め部材の斜視図、
第６図は同要部の正断面図、第７図は同底面図、
第８図は同一部側断面図、第９〜１０図は本考案
の芯部材と椀型スパイクの係合手段の他の実施例
を示した斜視図、第１１図は本考案の芯部材の他
の実施例を示した底面図である。 Ａ……タイヤ、Ｂ……索条体、Ｃ……緊締具、
１０……滑り止め部材、１１，１１……複数条の
芯部材、１２，１２……椀型スパイク、１３，１
３……縦割り溝部、１４……椀型スパイクの頂
面、１５……凹部、１６……タイヤ当接面、１７
……椀型スパイクの位置ぎめ孔、１８……滑り止
め部材の模様面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ゴムあるいは合成樹脂等の弾性体によりタイヤ
   の外周面および両側面に適合し得る所要巾をもつ
   て形成した滑り止め部材の内部に、あらかじめ複
   数条の芯部材を所要間隔をもつて並列に配列する
   とともに前記芯部材に椀型スパイクを係合し、前
   記椀型スパイクの上部に位置する滑り止め部材の
   タイヤ当接面に前記椀型スパイクの頂面と略同形
   の凹部を形成して前記椀型スパイクと芯部材を前
   記弾性体と一体にモールド成型してなる車両用ス
   パイク付滑り止め部材。