JPH0232156B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は転写シートとそれを用いた化粧材の製
造方法に関するものであり、詳しくは、絵柄層と
同時に透明な表面保護層を転写することのできる
転写シートと、それを用いた化粧材の製造方法に
関するものである。 （従来の技術） 表面保護層と絵柄層とを同時に転写することの
できる転写シートは従来より数多く提案されてい
るが、そのほとんどは表面保護層として熱可塑性
樹脂を使用したものである。一部熱硬化性樹脂を
使用したものも見られるが、転写シートの状態で
既に熱硬化性樹脂が完全に硬化したものである場
合が多い。 前者の場合には表面物性が弱いという本質的な
欠点があり、後者の場合には密着性が悪いという
欠点があつた。 一方耐熱性を有する基材である金属板、特に薄
鋼板は、多くの機械、器具類の筐体として使用さ
れているが、その製造工程をみると、原板を機械
加工後、脱脂、化成処理を行い、次いで下塗、及
び上塗を行うという工程である事が多い。 この場合は単色の製品しか得られない為、絵柄
付の製品を作る場合には平板状態で絵柄を形成し
たいわゆるプレコート金属化粧板を使用するか、
あるいは、下塗を塗装後グラビアオフセツト印刷
法等を用いて筐体に直接印刷を行い、さらにこの
表面に透明な保護層を設けるという方法をとつて
いた。しかしながら、前者の方法にあつては板の
端面やパンチング加工部分の断面等が露出して、
外観の上からも耐食性の点からも問題があり、後
者の方法にあつては精密な多色印刷が出来ない
事、及び工程が複雑であるという欠点があつた。 （発明が解決しようとする問題点） 本発明は以上の様な従来技術の欠点を改良し、
ブロツキング等の保存中のトラブルがなく、転写
後は耐久性の大なる保面保護層を形成することの
できる転写シートと、それを用いた化粧材の製造
方法を提供するものである。 （問題点を解決するための手段） 本発明は、支持体表面に、半硬化状態で、かつ
指蝕乾燥状態の透明な熱硬化性樹脂から成る表面
保護層と印刷形成した絵柄層を設けた転写シート
を、前処理を施し、表面に半硬化状態の熱硬化性
樹脂のベースコート層を設けた金属板の、前記ベ
ースコート層に重ね、次に転写シートの表面保護
層と金属板のベースコート層を一体に硬化させる
ことを特徴とした金属化粧板の製造方法である。 実施例 第１図は、本発明に用いる転写シート４の構成
を示すものであり、支持体１、透明な熱硬化性樹
脂から成る表面保護層２、印刷による絵柄層３か
ら成る。 そして、第２図は、上記転写シート４を用いて
得られた化粧材７の構成を示すものであり、金属
板からなる基板５、ベースコート層６、絵柄層
３、表面保護層２から成つている。 支持体としては、ポリエステルフイルム、ポリ
プロピレンフイルム、離型紙、ポリプロピレン樹
脂コート紙等が用いられる。 表面保護層を構成する透明な熱硬化性樹脂層と
しては、自己架橋型ポリエステル樹脂、同アクリ
ル樹旨、メラミン架橋型ポリエステル樹脂、メラ
ミン架橋型アクリル樹脂、ブロツクイソシアネー
ト硬化型ポリエステル樹脂、ブロツクイソシアネ
ート硬化型アクリル樹旨、エステル化反応が不完
全なポリエステル樹脂等の組成物が使用出来る。
これらの樹脂を支持体の表面に乾燥膜厚として
3μ〜10μ塗布した後、乾燥を行つて、表面のタツ
クが無くなつた状態でこの上から絵柄を印刷す
る。この場合のインキのバインダーとしては、ビ
ニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、
アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエ
ステルポリオール樹脂、ポリエステル樹脂、繊維
素材樹脂及びこれらの混合物が使用可能である。
転写シートの構成として、隠蔽層及び接着層を用
いる場合、これらの材質も全く同様でよい。 なお、第３図に示すように支持体１の表面に離
型層８を設けたり、絵柄層３の上に更に隠蔽層９
や接着剤１０を設けることもできる。 いずれにしても、ブロツキングを防止し、表面
保護層と絵柄層の密着を確保する為には表面保護
層の乾燥状態が重要なポイントであり、表面保護
層を構成する樹脂の完全硬化温度以下の温度で乾
燥する事が重要である。 次に表面保護の材質と乾燥条件の目安を示す。

【表】 耐熱性を有する基材としては、金属板、無機質
板等、転写時の熱やベースコート層等を硬化させ
る際に加える熱による変形を受けないものを用い
る。例えば金属板を用いる場合には、金属板に、
ブランキング、パンチング、折り曲げ等の機械加
工を施した後、脱脂処理、化成処理、水洗等の前
処理を施し、（最終的に平板状の製品を目的とす
る場合には、上記の工程はその一部または全部を
省略する事も出来る。） その表面に必要に応じてプライマー層を形成し
た後、熱硬化性樹脂を成分とするベースコート層
６を塗布し、さらに加熱乾燥を行つてベースコー
ト層を半硬化の状態とする。プライマー層は金属
原板とベースコートの密着性を高めたり耐食性を
向上したりする目的で用いられるが、ベースコー
ト層でこれらの性能が十分満たされる場合には省
略する事も出来る。 ベースコート層を形成する樹脂としては従来よ
り公知の熱硬化性樹脂塗料を用いる事が出来、こ
の選択の巾は非常に広い。またプライマー及びベ
ースコートの塗装方法は特に制約されるものでは
なく、浸漬塗装法、電着塗装法、スプレー塗装
法、静電塗装法、粉体塗装法等任意の方法が使用
出来る。 次に、半硬化状態のベースコート層の表面に転
写を行う。 まず、ベースコート層の表面の温度が90℃〜
200℃になるように基材５を加熱し、その上に前
述の構成の転写シート４を重ね、ゴムロール等を
用いて加圧又は加熱加圧して絵柄層と表面保護層
とを転移させる。 次いで基材を加熱してベースコート層と表面保
護層とを硬化させ、表面性能の優れた化粧材７を
得る。 （作用） 転写シートの支持体上に形成された表面保護層
は半硬化状態であり、かつ指触乾燥状態となつて
いるので、その上に絵柄層を形成するに際しても
通常の印刷方法が利用できる程度に乾燥してお
り、かつ、印刷されたインキが充分に密着できる
だけの塗装性をも有している。 従つて、被転写体である基材５の表面の半硬化
状態のベースコート層ともよく密着し、剥離等の
欠点を生じない。 （発明の効果） 表面保護層と絵柄層との密着が良好で、か
つ、ブロツキング等の発生もなく、転写後は強
固な表面保護層が形成できる。 得られる化粧材は、転写法によるために絵柄
が極めて鮮明であるばかりでなく、絵柄の上部
に透明熱硬化樹脂層があるために耐摩耗性、耐
薬品性、耐光性等に優れたものとなる。また、
プライマー層、ベースコート層が基材の端面や
切断面に付着しているため、耐食性や外観の点
で有利である。またた、転写後にトツプコート
を塗布する必要がないので、既存の塗装設備に
大きな改造を加える事なく実施が可能である
他、ウエツト塗膜に対して常に問題となるゴミ
の付着に関しても有利である。 表面保護層が半硬化状態であるから、転写後
の加熱により絵柄層を介してベースコート層と
強固に密着する。 実施例 １ 坪量52ｇ／m²の上質紙の表面に厚さ20μのポリ
プロピレンフイルムを貼合せたものを転写シート
の支持体とし、この上に、未端に水酸基を有する
線状高分子ポリエステル樹脂と、ε−カプロラク
タムブロツクイソシアネート樹脂を混合した透明
樹脂をグラビアコーターによつて複数回塗布し、
次に、この上に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂
をバインダーとするインキを用いて、グラビア印
刷により３色構成のローズウツド柄の木目柄を印
刷して、転写シートを得た。 実施例 ２ 厚さ0.6mmの冷延鋼板に、所定のブランキング
（形状打抜き）及びパンチング（穴あけ）を施し
た後、脱脂、リン酸塩処理、水洗を行つた。 次に、塩化ビニル系樹脂と防錆顔料を主成分と
するプライマーを、静電エアレススプレー塗装法
により塗布して250℃の雰囲気中で１分30秒間乾
燥した。次に、転写シートの木目柄のベース色に
相当するメラミン硬化型高分子ポリエステル系樹
脂をバインダーとするベースコートを、同様の方
法により塗布して250℃の雰囲気中で45秒間乾燥
した後、直ちに表面を150℃に加熱したゴムロー
ルを用いて実施例１で得た転写シートを圧着し、
インキ及び透明樹脂層をベースコート層上に転写
した。次に転写シートの支持体を除去した後、全
体を250℃の雰囲気中で２分間加熱して化粧材を
得た。この化粧材は、さらに箱曲げ加工を行つて
最終的に電機製品の筐体として用いられた。 得られた筐体は、全面に精密なローズウツド柄
の印刷を有し、またパンチング加工部分の断面部
分が、プライマー層及びベースコート被膜によつ
て被われているため、外観が優れているばかりで
なく耐食性においても優れたものであつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであり、第１
図と第３図は本発明の転写シートの構成を示す断
面図、第２図はその転写シートを用いて製造した
化粧材の構成を示す断面図である。 １……支持体、２……表面保護層、３……絵柄
層、４……転写シート、５……基材、６……ベー
スコート層、７……化粧材、８……離型層、９…
…隠蔽層、１０……接着層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持体表面に、半硬化状態で、かつ指触乾燥
   状態の透明な熱硬化性樹脂から成る表面保護層と
   印刷形成した絵柄層を設けた転写シートを、前処
   理を施し、表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂のベ
   ースコート層を設けた金属板の、前記ベースコー
   ト層に重ね、次に転写シートの表面保護層と金属
   板のベースコート層を一体に硬化させることを特
   徴とした転写シートを用いた金属化粧板の製造方
   法。