JPH0231695Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電子機器用コード、特にシールド付
スプリングコードの改良に関するものである。

従来スプリングコードにシールドを設ける場合
は、編組シールドあるいは導電プラスチツクシー
ルドが一般的であつた。

編組シールドは、シールド素線が編み込まれて
いる構造のため、スプリングコードを伸縮させた
場合における編組密度の変化が少なく、伸ばした
ときと縮めたときのシールド効果の変化が小さい
という利点を有している。

しかし、編組シールドは可撓性に乏しく、スプ
リング力の強いスプリングコードを製作しようと
すると、シース材料に頼るしかなく、非常に高価
なものとなつてしまう欠点がある。また、編組シ
ールドは、端末処理の作業性も非常に悪いという
欠点がある。

一方、導電プラスチツクシールドの場合は、シ
ールド効果の点で大幅な制限を受ける欠点があ
る。

上記二つのシールド方式の欠点を改善するため
の方策として、横巻シールドが考えられる。しか
し、単に横巻シールドを施した構造では、スプリ
ングコードを伸縮させた場合、伸ばしたときと縮
めたときとでは、シールド効果が変化し、問題と
なる。

すなわち、横巻シールドは、単にシールド素線
を一方向に巻き付けた構造のものであり、シール
ド上からの押えが弱く、かつシールド下が平滑な
場合、シールド素線が自由に動いてしまい、横巻
密度が変化し、シールド効果に差が出ることにな
る。

本考案の目的は、前記した従来技術の欠点を解
消し、シールド効果の変化を少なくしてスプリン
グ力を大幅に向上でき、かつ安価なシールド付ス
プリングコードを提供することにある。

すなわち、本考案の要旨は、絶縁導体を複数本
撚合せてなる絶縁線心と、その外周に該絶縁線心
の撚目を埋めない状態で該絶縁線心の撚合せ方向
と同一方向に横巻した横巻シールドと、さらにそ
の外周に半チユーブ（挿入）式又は充実式で押出
被覆されたシースとよりなるコードを、上記絶縁
線心の撚合せ方向と逆方向に螺施状にカールさせ
て構成したことを特徴とするシールド付スプリン
グコードにある。

次に、本考案のシールド付スプリングコードの
一実施例を添付図面を参照して説明する。

第１図において、１は導体にして、その外周に
絶縁体２が押出被覆されている。糸状介在物６を
中央にしてその周りに絶縁導体を複数本撚合せる
ことにより絶縁線心が形成される。

絶縁線心の外周には、横巻シールド４が設けら
れる。この場合、横巻シールド４は、その巻回後
において外部に絶縁線心の撚目の形跡が存在する
ように設ける必要がある。このためには、絶縁線
心の撚目を介在物などにより埋めないで、かつ絶
縁線心の撚合せ方向と同一方向に横巻シールド４
のシールド素線を横巻することが必要である。

なお、絶縁線心の外周に薄い和紙テープ等のバ
インドテープ３を絶縁線心の撚合せ方向と同一方
向に横巻しても、横巻シールド４を設けた後に絶
縁線心の撚目の形跡が存在する。

シース５は、半チユーブ式あるいは充実式で押
出被覆される。これによつて、シース材料は第２
図に示すように、横巻シールド４の外周に存在す
る絶縁線心の撚目の跡に入り込み、横巻シールド
４を十分に押さえ付けることになる。

このようにしてなるコードは、絶縁線心の撚合
せ方向と同一方向に螺施状にマンドレル上に巻付
けられ、熱処理により絶縁材料およびシース材料
に塑性変形を与えた後、螺施巻付け方向を反転さ
せることにより第３図に示すようなスプリングコ
ードが完成する。

このように、横巻シールドは撚目を埋めない絶
縁線心外周に当該該絶縁線心の撚合せ方向と同一
方向に横巻して形成され、さらにその外周に半チ
ユーブ（挿入）式又は充実式でシースが押出被覆
されることにより、シールド素線の動きは束縛さ
れ、コードを伸ばしたときと縮めたときのシール
ド効果の変化が少なくなる。

また、絶縁体およびシースに使用されている塩
化ビニルは右方向に塑性変形されており、元に戻
ろうとする。一方、絶縁導体の撚合せ方向、バイ
ンドテープ巻回方向、横巻シールド巻回方向は右
方向であり、絶縁体及びシースが元に戻ろうとす
る場合の抵抗は小さく、スプリング力が大幅に向
上する。

具体例として、導体として外径0.127mmの錫メ
ツキ軟銅線を７本撚合せたものに、絶縁体として
塩化ビニルを0.2mm厚さで押出被覆して絶縁導体
を製造し、これを６本右撚りに撚合せて絶縁線心
を形成した。この絶縁線心の上に、厚さ0.03mm、
幅10mmの和紙テープを1/4〜1/3ラツプで撚合せ方
向と同じく右方向に巻いた。さらに、その上に外
径0.1mmの錫メツキ軟銅線を70本右方向に巻付け
た。

上記の横巻シールドを設けた状態の半製品を目
視で観察したところ、絶縁線心の撚目跡が明確に
存在することが確認できた。

さらに、横巻シールド上に塩化ビニルを1.3mm
厚さで半チユーブ式で押出被覆した。

このようにして製造したコードを右方向に巻
き、熱処理により塑性変形させて後反対方向に巻
き戻すことにより、スプリングコードが完成す
る。つまり、このスプリングコードの巻き方向は
左となる。

以上説明してきたように、本考案によれば、シ
ールド効果の変化が少なく、安価であり、かつス
プリング力を大幅に向上させたシールド付スプリ
ングコードを実現できるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案シールド付スプリングコードの
一実施例を示す横断面説明図、第２図はその横巻
シールド部の拡大説明図、第３図は本考案シール
ド付スプリングコードの一実施例を示す説明図で
ある。 １：導体、２：絶縁体、３：バインドテープ、
４：横巻シールド、５：シース、６：介在物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絶縁導体を複数本撚合せてなる絶縁線心と、そ
   の外周に該絶縁線心の撚目を埋めない状態で該絶
   縁線心の撚合せ方向と同一方向に横巻した横巻シ
   ールドと、さらにその外周に半チユーブ（挿入）
   式又は充実式で押出被覆されたシースとよりなる
   コードを、上記絶縁線心の撚合せ方向と逆方向に
   螺施状にカールさせて構成したことを特徴とする
   シールド付スプリングコード。