JP7331042B2 - 通信ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents
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特許文献1では特に、押巻きを、その始端と終端とが重ならないようにかつ始端と終端との間隔が対撚径(対撚線の外径)以内となるように巻き、対の減衰量や対間の漏話減衰量の増大を抑えている。
かかる関係性から、導体と遮蔽テープとの距離が近接するほど(押巻きの厚さが薄くなるほど)、係数Bおよび係数Fが小さくなり、静電容量Cが大きくなる。
なお、式3中、「L」は自己インダクタンスを示す。式4中、「R」は導体抵抗を示し、「L」は自己インダクタンス(ほぼ一定値)を示す。
押巻きの横巻き時(テーピング時)においては、(i)テーピング張力が重要な技術要素となりうる。すなわち、テーピング張力を調整できない場合、テーピング張力が変動し、結果的に押巻きの張力にバラツキが生じ、導体と遮蔽テープとの距離が変動する。(ii)生産性を向上させる場合(テーピング線速を上昇させる場合)、テーピング回転数が上がることでテーピング張力が強くなりケーブル芯を締め付け、結果的に導体と遮蔽テープとの距離が近接してしまう。押巻きの横巻き時の当該問題を解決するには、低張力仕様のテーピング設備が必要になり、高額な設備投資が求められる。
本発明の主な目的は、高額な設備投資をしなくても導体と遮蔽テープとの間に一定の距離を確保し、一定の電気特性を満足しうる通信ケーブルおよびその製造方法を提供することにある。
複数対の対撚線を含むケーブル芯と、
前記ケーブル芯を被覆する複数枚の押巻きと、
前記押巻きを被覆する遮蔽テープとを備え、
前記各押巻きがケーブル芯に対し縦添え巻きされかつその重複枚数がケーブル芯の全周にわたり一定であることを特徴とする通信ケーブルが提供される。
当該通信ケーブルはいわゆるLAN(Local Area Network)用ツイストペアケーブルから構成された通信ケーブルである。
各対撚線8は2本の絶縁電線6を撚り合わせた構成を有している。絶縁電線6は導体2を絶縁体4で被覆した構成を有している。導体2は軟銅線から構成され、絶縁体4はポリエチレン樹脂から構成されている。
十字介在9はポリエチレン樹脂から構成されている。十字介在9は通信ケーブル1の長さ方向に延在しており、対撚線8同士を非接触状態で分離している。十字介在9は通信ケーブル1の長さ方向に沿って撚られており、それに伴い対撚線8同士も十字介在9に分離されながら撚られている。
外被40はポリ塩化ビニル樹脂から構成されている。外被40はいわゆるシースであって、押巻きの外周を被覆して通信ケーブル1の最外層を形成している。
図2Aの縦添え巻きの態様では、押巻き20としてケーブル芯10の外周長の1.5倍程度の幅を有する2枚の不織布テープ22、24を準備し、1枚目の不織布テープ22をケーブル芯10に縦添え巻きし、引き続き2枚目の不織布テープ24を1枚目の不織布テープ22に縦添え巻きする。かかる場合、1枚目の不織布テープ22の重複部分に対し2枚目の不織布テープ24の重複部分が半周分ずれる位置で2枚目の不織布テープ24を縦添え巻きする。かかる構成によれば、ケーブル芯10の中心から外周に向かういずれの放射方向においても、押巻き20は3枚分の不織布テープ22、24の厚さを有することになる。
図2Bの縦添え巻きの態様では、押巻き20としてケーブル芯10の外周長と同程度の幅を有する2枚の不織布テープ26、28を準備し、1枚目の不織布テープ26をケーブル芯10に縦添え巻きし、引き続き2枚目の不織布テープ28を1枚目の不織布テープ28に縦添え巻きする。かかる場合、1枚目の不織布テープ26でも2枚目の不織布テープ28でも側縁部同士を突き合わせ、1枚目の不織布テープ26の突合せ部分に対し2枚目の不織布テープ28の突合せ部分がずれる位置で2枚目の不織布テープ28を縦添え巻きする。かかる構成によれば、ケーブル芯10の中心から外周に向かういずれの放射方向にいても、押巻き20は2枚分の不織布テープ26、28の厚さを有することになる。
他方、図2Bの縦添え巻きの態様においては、1枚目の不織布テープ26と2枚目の不織布テープ28との位置関係には自由度があり、押巻き20の厚さも均一であるため、電気特性が安定しうる。図2Aおよび図2Bの縦添え巻きの態様では、図2Bの縦添え巻きの態様のほうが好ましい。
なお、図2Aおよび図2Bの縦添え巻きの態様は一例であって、図2Aおよび図2Bの規則性が3枚目以降の不織布テープで適用されるのであれば、不織布テープの枚数を増設してもよい。
その後、導体2を長さ方向に搬送しながらポリエチレン樹脂を押出機のダイスから押し出し、導体2を絶縁体4で被覆し、絶縁電線6を形成する。
その後、2本の絶縁電線6を撚り合わせ対撚線8を形成する。
その後、4対の対撚線8を十字介在9に沿わせてケーブル芯10を構成する。
その後、押巻き20および遮蔽テープ30を巻き付けたケーブル芯10を長さ方向に搬送しながら、ポリ塩化ビニル樹脂を押出機のダイスから押し出し、遮蔽テープ30を外被40で被覆し、通信ケーブル1が製造される。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際標である持続可能な開発目標(SDGs)の目標4「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」に貢献することにもつながる。
(1.1)サンプル1
導体として、外径0.555~0.570mmの軟銅線(単線)を準備した。その後、絶縁体の樹脂として高密度ポリエチレンを準備し、これを押出機のダイスから押し出して導体を絶縁体で被覆し、絶縁電線を形成した。その後、2本の絶縁電線を撚り合わせ、外径1mm程度の対撚線を形成した。その後、長さ5.0mm×厚さ0.75mmの十字介在を準備し、4対の対撚線を十字介在に沿わせてケーブル芯を構成した。
サンプル1において、押巻きを横巻きする際に低張力仕様のテーピング設備を使用した。それ以外はサンプル1と同様の手法で通信ケーブルを得た。
押巻きとして厚さ0.35mmの不織布テープを1枚準備し、これを1/2ラップでケーブル芯に横巻きした。押巻きを横巻きする際に低張力仕様のテーピング設備を使用した。それ以外はサンプル1と同様の手法で通信ケーブルを得た。
押巻きとして厚さ0.14mmの不織布テープを2枚準備し、1枚目の不織布テープをケーブル芯に縦添え巻きし、引き続き2枚目の不織布テープを1枚目の押巻きに縦添え巻きした。縦添え巻きの態様は図3のとおりとした。それ以外はサンプル1と同様の手法で通信ケーブルを得た。
押巻きとして厚さ0.14mmの不織布テープを2枚準備し、1枚目の不織布テープをケーブル芯に縦添え巻きし、引き続き2枚目の不織布テープを1枚目の押巻きに縦添え巻きした。縦添え巻きの態様は図2Aのとおりとした。それ以外はサンプル1と同様の手法で通信ケーブルを得た。
押巻きとして厚さ0.14mmの不織布テープを2枚準備し、1枚目の不織布テープをケーブル芯に縦添え巻きし、引き続き2枚目の不織布テープを1枚目の押巻きに縦添え巻きした。縦添え巻きの態様は図2Bのとおりとした。それ以外はサンプル1と同様の手法で通信ケーブルを得た。
各サンプルを200m切り出し、各切出し片について静電容量、特性インピーダンス、反射減衰量(RL:Return Loss)、挿入損失および近端漏話減衰量(NEXT:Near End crosstalk)を測定した。測定結果を表1に示す。
表1に示すとおり、サンプル1-3から、押巻きを横巻きする際に低張力仕様のテーピング設備を使用すると電気的特性は良好であった。
サンプル2-3、4から、押巻きを図3の態様で縦添え巻きしただけでは電気的特性は一部(挿入損失)良好ではないものの、サンプル2-3、5-6から、押巻きを図2Aまたは図2Bの態様で縦添え巻きすると、低張力仕様のテーピング設備を使用しなくても電気的特性は良好であった。
2 導体
4 絶縁体
6 絶縁電線
8 対撚線
9 十字介在
10 ケーブル芯
20 押巻き
22、24、26、28 不織布テープ
30 遮蔽テープ
40 外被
Claims (4)
- 複数対の対撚線を含むケーブル芯と、
前記ケーブル芯を被覆する複数枚の押巻きと、
前記押巻きを被覆する遮蔽テープとを備え、
前記各押巻きがケーブル芯に対し縦添え巻きされかつその重複枚数がケーブル芯の全周
にわたり一定であることを特徴とする通信ケーブル。 - 請求項1に記載の通信ケーブルにおいて、
前記各押巻きが前記ケーブル芯の外周長の1.5倍の幅を有し、
当該通信ケーブルを断面視した場合に、先に縦添え巻きされた前記押巻きの重複部分に対し、後に縦添え巻きされた前記押巻きの重複部分が半周分ずれていることを特徴とする通信ケーブル。 - 請求項1に記載の通信ケーブルにおいて、
前記各押巻きが前記ケーブル芯の外周長と同じ幅を有し、
当該通信ケーブルを断面視した場合に、先に縦添え巻きされた前記押巻きの側縁部同士の突合せ部分に対し、後に縦添え巻きされた前記押巻きの側縁部同士の突合せ部分がずれていることを特徴とする通信ケーブル。 - 複数対の対撚線を含むケーブル芯を準備する工程と、
複数枚の押巻きで前記ケーブル芯を被覆する工程と、
遮蔽テープで前記押巻きを被覆する工程とを備え、
前記ケーブル芯を被覆する工程では、前記各押巻きをケーブル芯に対し縦添え巻きしかつその重複枚数をケーブル芯の全周にわたり一定にすることを特徴とする通信ケーブルの製造方法。
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JP2021093082A JP7331042B2 (ja) | 2021-06-02 | 2021-06-02 | 通信ケーブルおよびその製造方法 |
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