JPH0231224B2 - Bunpaigatanenryofunshahonpu - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜技術分野＞ 本発明は、デイーゼル機関の燃料供給手段とし
て使用される分配型の燃料噴射ポンプに関する。

＜先行の技術＞ 従来のこの種噴射ポンプとして、一組のプラン
ジヤを径方向に対向させて往復動可能に構成し、
このプランジヤをカムリングの内周面に形成した
カムによつて駆動する、いわゆるCAV型の分配
型燃料噴射ポンプが知られている（昭和53年６月
日産自動車(株)発行、技術解説書「デイーゼルエン
ジン」参照）。

そして、この様な複数組のプランジヤを組み合
わせる噴射ポンプとして、例えば第１図に示すよ
うなものが本出願人により提案されている。

この第１図に示された分配型の燃料噴射ポンプ
において、図示しない予圧電磁弁で所定圧に加圧
された燃料が図示しない燃料吸入弁を介して連通
口１に流入し、この連通口１からベーンポンプ２
の低圧室２ａに導入される。機関の回転速度に同
期して回転するベーンポンプ２で圧縮された燃料
は、該ポンプ２の高圧室２ｂから連通口３を介し
てポンプ室３（第１の低圧側空間）に供給される
と共に、図示しない圧力制御室にも供給され、こ
の圧力制御室に装着した圧力制御弁（図示省略）
の調圧作用でポンプ室３内の燃料圧力が所定値に
保持される。尚、上記のようにして燃料が供給さ
れるポンプ室３とコントロールスリーブ室（第２
の低圧側空間）４とを連絡口５を介して連通させ
ることにより、このコントロールスリーブ室４の
圧力をポンプ室３の圧力と略同一に保持させてい
る。

又、機関の回転速度に同期して回転するロータ
リシヤフト６の中心軸には高圧室通路７を形成し
ており、この高圧室通路７の一端に連通させて形
成したプランジヤ室８にはインターナルカム１０
に追従するプランジヤ９をシヤフト半径方向に擢
動自在に嵌合させている。そして、このプランジ
ヤ９から前記高圧室通路７の他端に向かつて分配
孔１１、吸入孔１２、燃料逃がし孔１３、をこの
順序で連通形成している。尚、分配孔１１及び燃
料逃がし孔１３はロータリシヤフト６の周方向に
気筒数分だけ等配形成されている。

従つて、機関の回転にともなつてロータリシヤ
フト６が回転し、この回転による遠心力でプラン
ジヤ９がカムリフト立下りによつて遠心方向に移
動すると、シリンダ１４に設けた吸入ポート１５
からこれに連通する吸入孔１２を通つてポンプ室
３の燃料が高圧室通路７に吸入される。

ロータリシヤフト６がさらに回転すると、これ
に同期して、吸入孔１２と吸入ポート１５との連
通が遮断されると共に分配孔１１がデリバリバル
ブ１６に至るように気筒数分だけ等配形成された
分配ポート（図示省略）と一致し、同時にカム１
０のカムリフトの立上りに応じてプランジヤ９が
求心方向にリフトし、プランジヤ室８の燃料圧力
が上昇するので高圧室通路７、デリバリバルブ１
６及び図示しない噴射管、噴射弁を経て燃焼室に
燃料が噴射される。

燃料逃がし孔１３は、ロータリシヤフト６の外
周に擢動自由に開閉部材として配設したコントロ
ールフリーブ１７のカツトオフポート１８に一致
することにより、高圧室通路７内の燃料をコント
ロールスリーブ室４にリリーフし、前記燃料噴射
を終了させる。

しかしながら、このような分配型燃料噴射ポン
プにおいては、プランジヤをインターナルカムに
押し付ける力がプランジヤ及びローラの遠心力の
みであるから、例えば第２図に示すようにカムの
カムリフト加速度特性がカムリフト最大点近傍で
負となる領域では、カムリフト下降時に前記遠心
力が半径方向中心向きに作用するプランジヤ及び
ローラの慣性力より小さくなつて、カムリフト立
上りの後期からカムリフト立下りにかけてプラン
ジヤ、ローラ及びローラシユーがカム面から浮き
上つて遊ぶいわゆるジヤンピング現象が生じ、こ
のために噴射特性が安定しないという問題点があ
つた。

＜発明の目的＞ 本発明は、このような問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、カムプロ
フイルのリフト加速度が負となる期間における高
圧室通路の圧力を高く設定することにより、燃料
の吸入、圧縮、分配期間の圧力損失を悪化させる
ことなくプランジヤのジヤンピングを防止して分
配型燃料噴射ポンプの噴射特性を安定させること
にある。

＜発明の概要＞ 上記の如き目的を達成するために本発明では、
プランジヤ室内に吸入される燃料を蓄えた第１の
低圧側空間と、圧送機構から圧送される燃料が噴
射量制御機構によりリリーフされる第２の低圧側
空間と、を流体圧力的に独立させ、これら第１及
び第２の低圧側空間を連通した通路に、第２の低
圧側空間内の圧力を第１の低圧側空間より高圧に
保持する圧力制御機構を設け、噴射量制御機構に
りる前記高圧燃料のリリーフ抵抗を大きくしてプ
ランジヤ室内の燃料圧力を所定レベル以上に保持
させ、この燃料圧力でプランジヤをカムに押し付
けて、該プランジヤのジヤンピングを防止する。

＜実施例＞ 以下に添付図面に基づいて実施例を説明する。

本発明の一実施例を示す第３図から第５図にお
いて、機関の回転に同期して回転するドライブシ
ヤフト２０で駆動されるロータリシヤフト２１の
中心軸には高圧室通路２２を形成し、この高圧室
通路２２の基端部には複数個のプランジヤ室２３
を連通させて形成している。プランジヤ室２３
は、ロータリシヤフト２１の半径方向に沿つて形
成されており、このプランジヤ室２３に擢動自在
に嵌挿保持させたプランジヤ２４の基端部（外端
部）をポンプ室３０に臨ませるとと共に、インタ
ーナルカムリング２５のカム面にローラ２６及び
シユー２７を介して擢動自在に擢接保持させてい
る。

又、このようなプランジヤ２４、インターナル
カムリング２５等で構成された圧送機構２８の先
端部の隣りには、同様の分配機構及び、吸入機構
（いずれも図示省略）を介して噴射量制御機構２
９を設けることにより、ポンプ室（第１の低圧側
室）３０内の燃料を高圧室通路２２に吸入して余
剰の圧送燃料をコントロールスリーブ室（第２の
低圧側室）３１にリリーフするようにしている。

前記高圧室通路２２の先端部に設けた噴射量制
御機構２９は、ロータリシヤフト２１に形成した
燃料逃がし孔３２と、この孔３２を開閉すべくロ
ータリシヤフト２１に軸方向移動自在に装着した
コントロールスリーブ（開閉部材）３３とで構成
されており、圧縮（噴射）後期における燃料逃が
し孔３２の開口時期を制御し、もつて燃料噴射量
を最適制御できるようにしている。前記コントロ
ールスリーブ３３は図示しないガバナ機構によつ
て位置制御されることは従来と同様であり、その
他の構成は第１図に示すものと同様であるから説
明を省く。

ここで本発明では、圧送機構２８が吸入する燃
料を収容しているポンプ室３０と前記噴射量制御
機構２９により圧送燃料がリリーフされるコント
ロールスリーブ室３１とを流体圧力的に独立させ
たうえで両室３０，３１を通路３４を介して連通
させている。そして、この通路３４の途中に、ボ
ール３５とスプリング３６とで構成された圧力制
御機構（チエツク弁）３７を設けることにより、
コントロールスリーブ室３１の圧力P₁をポンプ
室３０の圧力P₀より高く保持させて燃料リリー
フ時に抵抗を大きくしている。

上記の構成において、プランジヤ２４がインタ
ーナルカムリング２５のカムに沿つてリフトする
圧送行程においては、図示しない吸入孔及び燃料
逃がし孔３２はいずれも閉じられているため、プ
ランジヤ２４で圧縮された燃料は、高圧室通路２
２を通つて図示しない分配孔からデリバリバルブ
を経て噴射弁に送出される。

そして、ロータリシヤフト２１の回転に伴つて
燃料逃がし孔３２がコントロールスリーブ３３に
設けたカツトオフポート３８と一致すると、高圧
室通路２２の燃料が燃料逃がし孔３２からコント
ロールスリーブ室にリリーフされるため、高圧室
通路２２の圧力が低下して噴射（分配）が終了す
る。

このように燃料逃がし孔３２が開かれて噴射が
終了した時点においてもプランジヤ２４が依然と
してインターナルカムリング２５のカムに沿つて
リフトして燃料を圧縮し続けるが、燃料逃がし孔
３２が開口して連通するコントロールスリーブ室
３１からポンプ室３０に至る通路３４に圧力制御
機構３７を設けてコントロールスリーブ室３１の
圧力P₁をポンプ室３０の圧力P₀より高くしてい
るため、燃料の逃がし抵抗が高くなり、プランジ
ヤ室３２内の燃料圧力P₂が所定レベル以上に保
持される。

このために、カムリフト加速度が負となつて
も、プランジヤ２４は、第５図に示すように、プ
ランジヤ２４の求心方向に向かう力Faに対し、
ロータリシヤフト２１の回転による遠心力Fcと、
プランジヤ室２３及びポンプ室３０のプランジヤ
２４両端に作用する燃料圧力差（P₁−P₀）によ
る押戻し力との作用でインターナルカム２５のカ
ム面に確実に押付保持され、プランジヤ２４のジ
ヤンピングが予防される。

次に、ロータリシヤフト２１が更に回転して吸
入行程に移行し、遠心力によつてプランジヤ２４
がカム面に沿つて遠心方向に移動すると、プラン
ジヤ室２３内に圧力か低下するのでポンプ室３０
の燃料が吸入ポートから吸入孔を経て容易にプラ
ンジヤ室２３に導入される。この結果吸入抵抗が
大きくならない。

即ち、カムリフト曲線が第６図に曲線Ａで示す
ように変化するとすれば、カムリフト加速度は同
図に曲線Ｂで示すように変化する。すると、所定
の時期T₁に燃料逃がし孔３１が開口すると、従
来では同図に曲線Ｄで示すようにプランジヤ室２
３の圧力P₂がポンプ室３０の圧力P₀と同一にな
るまで低下していたが、本発明では同図に曲線Ｃ
で示すようにコントロールスリーブ室３１の圧力
P₁までしか低下しない。このため、カムリフト
加速度が負になる領域においても、プランジヤ２
４のジヤンピングが予防される。

尚、プランジヤ２４にジヤンピング現象が発生
すると、第７図に示すように吸入孔の開口期間ｔ
内でインターナルカムリング２５が接触しない限
りプランジヤ２４の吸入ストロークl₁が正規のス
トロークl₂より小さくなり、吸入燃料の量Q₁が正
規の量Q₂より小さくなつて次のサイクルで吐出
（圧送）される燃料の量が少なくなるというよう
に、噴射量が変動して噴射特性が不安定になる。
ところが、本発明のようにプランジヤ室２３の圧
力を高いレベルに保持してプランジヤ２４のジヤ
ンピングを防止するようにした場合は、噴射特性
が安定する。

又、前記圧力制御機構３７は上記に限定される
ものではなく、第８図に示すように弁３５ａにプ
リストロークａを与えることにより、このプリス
トロークａの分だけコントロールスリーブ室３１
の圧力の低下を制御してプランジヤ室２３の圧力
をより高くすることもできる。

更に、第９図に示すように通路３４にオリフイ
ス３８を設けた場合、コントロールスリーブ室３
１の圧力低下に要する時間を長くできるため、弁
３５ｂを着座保持させるスプリング３６のセツト
圧（弁３５ｂの開弁圧）まで低下する時間を長く
でき、コントロールスリーブ室３１の圧力P₁の
低下を制御してプランジヤ室２３の圧力P₂を長
期に亘つて高くできるため、プランジヤ２４のジ
ヤンピングがより効果的に抑制される。

上記実施例では、ロータリシヤフト２１の基部
の２箇所にプランジヤ２４を設けているが、噴射
ポンプの容量によつては１箇所にプランジヤ２４
を設けるのみでも所期の機能を達成できることは
詳述するまでもない。

＜発明の効果＞ 以上説明したように本発明によれば、プランジ
ヤ室内に吸入される燃料を蓄えプランジヤの外端
が臨む第１の低圧側空間と、圧送機構から圧送さ
れる燃料が噴射量制御機構によりリリーフされる
第２の低圧側空間と、を流体圧力的に独立させ、
これら第１及び第２の低圧側空間を連通した通路
に、第２の低圧側空間の圧力を第１の低圧側空間
より高圧に保持する圧力制御機構を設け、噴射量
制御機構による前記高圧燃料のリリーフ抵抗を大
きくしてプランジヤ室内の圧力を高くするようし
ているため、燃料の吸入、圧縮、分配系統の通路
低抗を増加させることなく噴射量制御系統から行
われる燃料逃がしの抵抗を高くしてプランジヤ室
の圧力を高くできる。

このため、燃料の圧縮、分配期間の圧力損失を
悪化させることなく分配後期に行なわれる燃料リ
リーフの圧力損失を大きくしてプランジヤ室の圧
力レベルを高くでき、プランジヤ両端に作用する
第１及び第２の低圧側空間内の圧力差による力と
ロータリシヤフトの回転による遠心力との合力で
プランジヤを押し戻してプランジヤのジヤンピン
グを防止でき、分配型燃料噴射ポンプの噴射特性
を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は燃料噴射ポンプの断面図、第２図は噴
射ポンプのカムリフト特性図、第３図は本発明の
一実施例を示す要部の断面図、第４図はプランジ
ヤ部分の断面図、第５図はプランジヤに作用する
圧力の説明図、第６図はカムリフト曲線によつて
変化するカムリフト加速度及び高圧室通路の圧力
の特性図、第７図はプランジヤのジヤンピングに
よる吸入ストロークの変化状態の説明図、第８図
及び第９図はそれぞれ圧力制御機構の他の実施例
を示す要部の断面図である。 ２０……ロータリシヤフト、２２……高圧室通
路、２３……プランジヤ室、２４……プランジ
ヤ、２５……インターナルカム、２８……圧送機
構、２９……噴射量制御機構、３０……ポンプ室
（第１の低圧側空間）、３１……コントロールスリ
ーブ室（第２の低圧側空間）、３２……燃料逃が
し孔、３４……通路、３７……圧力制御機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 機関の回転に同期して回転するシヤフトであ
   つて、内部に高圧室通路を有し、該高圧室通路と
   第１の低圧側空間とを回転に同期して連通可能な
   吸入孔と、前記高圧室通路と機関の各噴射弁とを
   回転に同期して連通可能な分配孔と、前記高圧室
   通路と第２の低圧側空間とを回転に同期して連通
   可能な燃料逃がし孔と、が形成されたロータリシ
   ヤフトと、 前記高圧室通路に連通させて前記ロータリシヤ
   フトに形成したプランジヤ室に、インターナルカ
   ムリングのカムに追従する少なくとも１組のプラ
   ンジヤを、ロータリシヤフトの半径方向に擢動自
   由に嵌合させ、前記プランジヤの前記カムリング
   側の端部を前記第１の低圧側空間に臨ませ、前記
   第１の低圧側空間の燃料を前記吸入孔を介して前
   記プランジヤ室に吸入しこれを圧送するように構
   成した圧送機構と、 前記ロータリシヤフトの燃料逃がし孔と前記第
   ２の低圧側空間との連通を開閉する開閉部材を有
   し、前記高圧室通路から噴射弁に送る圧送燃料の
   余剰分を所定時期に前記第２の低圧側空間にリリ
   ーフするように構成した噴射量制御機構と、 を備え、 前記ロータリシヤフトの回転により機関の各燃
   焼室に燃料を分配供給する分配型燃料噴射ポンプ
   において、 前記第１の低圧側空間と第２の低圧側空間とを
   流体圧力的に独立させ、これら両空間を、第２の
   低圧側空間内の圧力を第１の低圧側空間内圧力よ
   り高圧に保持する圧力制御機構を介して連通させ
   たことを特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。