JPH0230720Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、鉄系材料、磁性材料、超硬工具材
料等の金属、セラミツクス、カーボン、グラフア
イト、複合材等の被処理物を、真空室内で、真
空、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、炭
化水素系ガス等の雰囲気の下で、試料の用途に適
合した各種の熱処理条件（例えば、焼結、焼き入
れ、焼きもどし、焼きならし、焼きなまし、脱バ
インダー、ロー付け、脱ガス、還元、窒化、浸
炭、ホツトプレス、拡散接合等）に従つて、連続
的に処理する連続式真空熱処理炉における試料の
移載機構に関するものである。

（従来技術） まず、連続式真空熱処理炉の処理について一般
的に述べる。

一般に粉末焼結の熱処理には、ステアリン酸亜
鉛やパラフイン系のワツクス等が使用され、これ
らは真空中やガス気流中の雰囲気で熱処理されて
いる。その熱処理過程を第８図で説明する。

炉外台車６上に載せられた試料Ａは、シリンダ
ー７により予備加熱室１に搬入され、開閉扉５が
閉められた後、予備加熱室１を真空排気しつつ、
所定の温度にて予備加熱を行う。予備加熱終了
後、仕切弁４が開かれ試料Ａはシリンダー７によ
り、予め予備加熱室１と同等に真空排気された本
加熱室２に搬入される。試料Ａは本加熱室２に搬
入後、仕切弁４が閉められ、試料Ａは本加熱室２
にて所定の圧力、温度にて熱処理が行われる。右
熱処理終了後、仕切弁４′が開かれ試料Ａはシリ
ンダー７′により、予め本加熱室２と同等に真空
排気された冷却室３に搬入される。試料Ａは冷却
室３に搬入後、仕切弁′が閉められ、冷却室３内
にガスが導入され所定の冷却を行う。右冷却後冷
却室３内を大気圧と同圧にして、開閉扉５′を開
き、試料Ａはシリンダー７′により炉外台車６′上
に搬出される（以上を一般的な工程という。）。

以上が一般的な工程であるが、靭性アツプのた
めに焼きもどしをすることがある。右の場合は上
記実施例で行うには、試料Ａを冷却後本加熱室２
に戻すか、又は冷却室３の後に加熱室を連結する
方法が考えられる。

又、粉末焼結の場合は試料Ａに必ずワツクス等
が付着しており、試料Ａは予備加熱室１において
脱ワツクスされ本加熱室２に搬入される。

上記のような従来の連続式真空熱処理炉におい
て、試料を炉内外または異なる炉間で移動するに
は、(1)コロを敷設してその上を試料をころがして
移動させる方式、(2)床面上に試料を置き、これを
押して滑べらせる方式、(3)フツクハンガー付台車
を炉内に入れ、フツクハンガーで試料を保持して
台車を移動させる方式等がある。

これに対し、本件考案の対象とする新しい連続
式真空熱処理炉は、第９図に示すように熱処理室
を移載室に連結したものである（以下、この炉を
ユニツト型という。）。ユニツト型においては、試
料の移載機構として、熱処理室と移載室との間の
移動機構が必要になる。

（発明が解決しようとする問題点） 上記従来例では、以下のような問題点があつ
た。

(1) これらの従来の方式は、試料に振動を与える
ので、試料に悪い影響がある。

(2) 炉内では、真空や高温になるため、また金属
ベーパー等が可動部に発生付着することのた
め、摩擦係数が大となり可動部が摩耗し易くな
る。

(3) 粉末焼結の場合、試料からバインダーが発生
し、これが熱処理炉内に付着する。上記従来例
をユニツト型に適用した場合、コロ等付着した
バインダーが試料とともに移載室に移動し、さ
らに、コロや床を伝つて他の炉にまで移動して
ゆき侵入するので、他の炉内が汚染される。

この考案は、以上のような問題点を解決するも
のである。

（問題点を解決するための手段） 以上の問題点を解決するためには、可動部をで
きるだけ炉外に出すようにすることが必要であ
る。

この場合、真空炉では炉を密封するため移載機
構が炉壁を貫通する部分に真空シールを設けねば
ならないが、漏れを防止するため、真空シールの
大きさができる限り小さくなるようにする必要が
ある。そこで、処理室を移載室に接続した連続型
真空熱処理炉において、処理室と移載室との間を
往復可能に設けられた試料出し入れ棒と、該試料
出し入れ棒の処理室側上部に設けられた試料テー
ブルと、処理室内において試料を支持する受台
と、前記試料出し入れ棒を往復運動させる移動機
構Ａと、該試料テーブルと受台間の垂直方向の距
離を相対的に変化させる移動機構Ｂとを有し、前
記移動機構Ａ及び移動機構Ｂを処理室及び移載室
の外部に設け、前記試料出し入れ棒は先端に回転
カムを設けた２本の棒から成り、移動機構Ｂは前
記試料出し入れ棒を回転させるものとするように
したものである。

なお、試料出し入れ棒先端のカムは、単純なカ
ムだけでなくテーブルリフター等も含む。

（作用） 以下では試料テーブルのみが上下する場合につ
いて述べるが、試料テーブルのかわりに（又は、
これとともに）受台が上下運動する場合も同様で
ある。

試料テーブル上に置かれた試料は、試料出し入
れ棒により移載室から処理室内へ搬入される。そ
して、処理室内において試料テーブルが下降し試
料を受台上に載せる。その後、試料出し入れ棒は
処理室外へ移動し、熱処理等が実行される。

熱処理等実行後、試料出し入れ棒が再び処理室
内に挿入され、試料テーブルが試料の下に位置す
る所で停止し、試料テーブルが上昇して試料をそ
の上に載せる。そして、試料出し入れ棒は試料を
移載室内の移載室内移動用試料保持具の位置まで
移し、そこで停止する。

次に、試料テーブルが下降し試料を試料保持具
の爪部に載せる。

そして、試料保持具が移動し、他の処理室出入
用に設けられた試料出し入れ棒上の試料テーブル
の位置まで試料を運んで停止する。

その後も以上と同様の繰り返しが行われる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第４図
を用いて説明する。

まず、処理室−移載室間の移載機構について述
べる。

本実施例では、試料出し入れ棒は各軸心を中心
に回転可能な２本の水冷軸１１からなつている。
その処理室側の先端にはこれら２本の軸を平行に
保つための軸間平行度用ガイド２１が、該水冷軸
の処理室側には該水冷軸に固定された回転カム１
４が、移載室外部には水冷シール３７、共通支持
台２４、歯車２６が、それぞれ設けられている。
該回転カムの先端にはセラミツク製の軸受を介し
てローラー１６が取り付けられている。

試料テーブル１２は該水冷軸に固定された回転
カム１４によつて支持されている。試料テーブル
１２は側面が折り曲げられ水冷軸からずれないよ
うになつている。

処理室内の底面上には４本の軸から成る受台が
試料テーブルの外側の、試料を保持可能な位置に
設けられている。

上記水冷軸は、移載室内に設けられたサポート
ローラー３６、移載室壁面の取付フランジに設け
られた真空シール及び共通支持台２４によつて支
持されている。該真空シールは、水冷軸１１が水
冷されているため熱による損傷がない。

上記共通支持台の上には歯車付減速モーター２
７が、その歯車を水冷軸１１の歯車と噛み合わせ
て設けられている。

上記共通支持台にはボールネジ用メネジ２９が
切られ、また、その下部にはLMガイド３３が設
けられている。

該ボールネジ用メネジには、ボールネジ２１が
噛み合わされ、該ボールネジは架台３４上に設け
られた軸受３０により、回転可能に支持されてい
る。また、上記LMガイドは架台３４上に設けら
れたLMレール３５に嵌め合わされ、水冷軸１１
の方向に移動可能になつている。

上記ボールネジ先端にはスプロケツト３８が設
けられ、スプロケツト付減速モーター３２とチエ
ーン３９で接続されている。

次に、移載室内の移載機構について述べる。

試料保持具４０は、第７図に示すように、直方
体の、水冷軸１１側の２面及び底面を除いたもの
の側面下部に試料保持用爪４１を設けたものであ
る。該試料保持具は上面にシヤフト４２を有して
いる。

該シヤフトは、チエーン４３に接続され、該チ
エーンは歯車４４に掛かり、該歯車は、モーター
４５に接続されている。

試料テーブル１２上に載せられた試料が移載室
内にある状態から出発した場合の動作を説明す
る。

この状態では回転カム１４は、第５図に示すよ
うに試料及び試料テーブル１２を高位置に保持し
ている。スプロケツト付減速モーター３２の回転
によりチエーン３９、スプロケツト３８を通して
ボールネジ３１が回転し、これに伴い共通支持台
２４が炉の方へ移動する。そして、試料テーブル
１２が受台１９の所まで移動して停止する。

ここで歯車付減速モーター２７が回転し、歯車
２６によつて水冷軸１１にその回転が伝わり、回
転カム１４が回転して試料テーブル１２の高さを
下げ、第６図に示すように試料を受台１９上に載
せる。

そして、スプロケツト付減速モーター３２が再
び回転して水冷軸を処理室から外に出して停止し
た後、ゲート弁４が処理室と移載室とを分離し
て、処理室における熱処理等の処理が実行され
る。

処理終了後、ゲート弁４が開き、スプロケツト
付減速モーター３２の回転により試料テーブルが
試料の下に差込まれ、水冷軸が前記とは逆に回転
することにより試料が試料テーブル上に保持され
た後、試料テーブルが移載室側に移動し、第５図
に示すように、あらかじめ待機している試料保持
具４１内で停止する。

この状態で、水冷軸が回転し、試料テーブルを
低位置に下げることにより試料を試料保持具４０
の爪部４１上に載せることになる。

次に、モーター４５の回転により、試料保持具
４０が移載室内を移動し、他の処理室の試料テー
ブルの位置まで移動して停止し、水冷軸の回転に
より、試料を試料保持具から外して試料テーブル
上に載せることとなる。

以下、同様の動作が繰返される。

以上の動作で、回転カムの回転による試料の移
載は、減速モーターによつてなされるため、試料
に振動を与えない。

以上は本考案の一実施例を示したものであり、
これに限定されるものではない。

例えば、試料テーブルが上下する代りに、受台
及び試料保持具がともに上下してもよいし、試料
テーブルとともに受台若しくは試料保持具又は両
者がともに上下してもよい。

受台が上下する他の実施例を第７図を用いて説
明する。本実施例では、受台１９は６本の軸（３
本×２列）から成り、前記実施例と同じく試料テ
ーブル１２の外側に位置する。該受台は、ブラツ
ケツト４９に固定され、該ブラケツトには、内部
が中空の水冷軸５０が接続され、該水冷軸はチヤ
ンバー５３に設けたフランジ５１から外部に出て
いる。該水冷軸はエアシリンダー５２に接続され
ている。試料テーブル１２は、水冷軸（試料出し
入れ棒）１１に直接固定されている。その他の構
成は前記実施例と同様である（ただし、水冷軸を
回転させる機構は当然必要無い。）。

該エアシリンダーが作動することにより、水冷
軸５０が上下し、その結果受台１９が上下し前記
実施例と同様にして試料Ａを試料テーブルと受台
との間でやりとりする。

また、試料テーブルが上下する場合に、第３図
に示すようなカムを用いる代りに、例えばテーブ
ルリフター等を用いてもよい。この場合の他の実
施例を第６図を用いて説明する。本実施例では、
試料出し入れ棒１１に金属製のレバー４６が固定
され、該レバーには他のレバーがピンジヨイント
４７によつて回動可能に接続され、該他のレバー
はさらにピンジヨイントによつて試料テーブル１
２に回動可能に接続されている。また、試料出し
入れ棒１１の端には、互いに噛み合わされたギア
４８が接続されてており、該ギアの一方がモータ
ー等の動力源に接続されている。

本実施例では、一方のギアがモーターによつて
回転すると、他のギアも反対方向に回転し、テー
ブルリフターないしパンタグラフの原理によつて
試料テーブル１２を上下させる。

試料出し入れ棒は２本とせず、これらをつなげ
た形の板状のものを用いてもよいし、受台も、軸
状のもの４本でなく、水冷軸方向に長い壁状のも
のを水冷軸に沿つて２列に並べてもよい。軸受１
５も、この部分が十分冷却されていれば、セラミ
ツクを用いず金属を使用してもよい。

移動機構Ａ，Ｂの動力源もモーターでなくとも
エアシリンダー等でももちろんよい。

さらに、試料を直接扱う代りに、台（その大き
さは、受台及び試料保持具爪部に乗るものとす
る。）に試料を載せ、台と試料をともに移動して
もよい。この方法は、各試料の大きさが異るとき
に有効である。

（効果） 本考案によれば以下の効果がある。

(1) 試料に振動を与えることなく、これを処理室
と移載室の間及び移載室内を移動させることが
できる。

(2) 移載機構の可動部が処理室内に設けられてい
ないため、熱や金属ベーパー等の影響を受けに
くい。すなわち、移動機構Ａ，Ｂ（上記実施例
のモーター等）は移載室及び処理室外にあるの
で熱や金属ベーパー等の影響を全く受けず、ま
た、試料テーブル部分も試料出し入れ時のみ処
理室内に入るにすぎないため熱や金属ベーパー
等の影響を殆ど受けない。

なお、試料出し入れ棒を水冷式にした場合
は、移載機構に対する熱の影響がさらに小さく
なり可動部の動きがスムーズになり、また、試
料出し入れ棒に接続する真空シールの熱による
ダメージも殆ど無くなる。

(3) 粉末焼結の場合でも、試料から発生するバイ
ンダーは、脱バインダー用真空熱処理室内に付
着するほか、その出入用の試料出し入れ棒、試
料テーブルにも付着することがあるが、これら
に付着したバインダーは試料保持具に付きにく
いため、他の真空熱処理室及びその出入用の試
料保持具が汚染されることがない。

(4) 移載機構が炉壁を貫通する部分が小さいた
め、真空シールによつて大気との間のシールを
行うことが容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例の側面図（断面図）
を、第２図はその平面図を、第３図はその正面図
（試料テーブル上昇時）を、第４図はその正面図
（試料テーブル下降時）を、第５図は本考案の１
実施例に接続して使用する移載室内の移載機構の
斜視図を、第６図は本考案の他の実施例の試料テ
ーブル及びその上下移動機構の斜視図を、第７図
は本考案の他の実施例の受台及びその上下移動機
構の側面図（断面図）を、第８図は従来型の連続
式真空熱処理炉の側面図を、第９図はユニツト型
の連続式真空熱処理炉の平面図を示す。 １……予備加熱室、２……本加熱室、３……冷
却室、４，４′，４″……仕切弁、５，５″……開
閉扉、６，６″……炉外台車、７，７′，７″……
シリンダー、８……移載室、９……移載機構、１
０……処理室、１１……水冷軸、１２……試料テ
ーブル、１４……回転カム、１６……ローラー、
１８……試料テーブル側面、１９……受台、２０
……水冷軸端部、２１……軸間平行保持用ガイ
ド、２２……取付フランジ、２３……真空シー
ル、２４……共通支持台、２５……軸受、２６…
…歯車、２７……歯車付減速モーター、２８……
カム移動方向、２９……メネジ、３０……軸受、
３１……ボールネジ、３２……スプロツケト付減
速モーター、３３……LMガイド、３４……架
台、３５……LMレール、３６……サポートロー
ラー、３７……水冷シール、３８……スプロケツ
ト、３９……チエーン、４０……試料保持具、４
１……試料保持具爪部、４２……シヤフト、４３
……チエーン、４４……歯車、４５……モータ
ー、４６……レバー、４７……ピンジヨイント、
４８……ギア、４９……ブラケツト、５０……水
冷軸、５１……フランジ、５２……エアシリンダ
ー、５３……チヤンバー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 処理室を移載室に接続した連続式真空熱処理
   炉において、処理室と移載室との間を往復可能
   に設けられた試料出し入れ棒と、該試料出し入
   れ棒の処理室側上部に設けられた試料テーブル
   と、処理室内において試料を支持する受台と、
   前記試料出し入れ棒を往復運動させる移動機構
   Ａと、該試料テーブルと受台間の垂直方向の距
   離を相対的に変化させる移動機構Ｂとを有し、
   前記移動機構Ａ及び移動機構Ｂを処理室及び移
   載室の外部に設け、前記試料出し入れ棒は先端
   に回転カムを設けた２本の棒から成り、移動機
   構Ｂは前記試料出し入れ棒を回転させるものと
   したことを特徴とする連続式真空熱処理炉の移
   載機構。 ２ 前記試料出し入れ棒は内部に水冷のための空
   洞を有するものとし、かつ該試料出し入れ棒に
   水冷シールを接続した実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の連続式真空熱処理炉の移載機構。