JPH0228503Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案はシネカメラ、ビデオカメラ等のカメラ
に内蔵され撮影光量を自動的に調節するカメラ用
絞り装置の改良に関するものである。

〔先行技術及び問題点〕

先に、本願出願人が特開昭58−80627号明細書
で開示したカメラ用絞り装置は第１図及び第２図
で示すように、光軸０−0′を中心に開口５ａを形
成する基盤５上に基端部２ｃを軸承され絞り開口
を形成する羽根部材２を開閉駆動する羽根作動部
材４に、上記基盤５の開口５ａの縁に沿つて対向
するヨーク７の外壁７ｃと内壁７ｂに永久磁石１
０を固定し、この永久磁石１０と外壁７ｃとの間
隙に電気コイル１２ａ，１２ｂをそれぞれ収容し
光軸０−0′と直交する方向で軸受部材に軸承され
光軸０−0′方向に揺動自在の可動部材１２の運動
を伝達部材１２ｇで羽根作動部材４に伝達し絞り
制御を行なうようにしたものである。

ところが、一般に磁束は永久磁石のＮ極面より
出て出来るだけ磁気抵抗が小さくなるよう最短距
離を通つてＳ極面に戻るよう磁気ループを形成す
る特性を有するために、第３図で示すように永久
磁石１０ａとヨーク７の外壁７ｃとの間に生起す
る磁場は、ヨーク７の底部７ｆの影響を受け、そ
の近傍の磁束は外壁７ｃに至らず直接底部７ｆを
通る磁気ループを形成する為の底部７ｆ近傍の磁
束密度Ｂは周りに比べ疎の状態になつて第４図で
示すように等磁場を形成することが出来ず、この
磁場中を揺動する可動部材１２の左右の電気コイ
ル１２ａ，１２ｂに生起される合成された回転力
は第５図で示すように開放側と閉成側の両端部側
で著しく小さくなる特性と成り、この結果、可動
部材１２に回転斑が生じ、この回転斑の影響を受
け円滑な作動が出来ないといつた欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上述の欠点に鑑みて成したもので、可
動部材に生起する回転力を均一化し円滑な絞り制
御が出来るカメラ用絞り装置を提供するものであ
る。

〔考案の概要〕

本考案は上記の目的を達成する為に、後述する
ように、本考案のカメラ用絞り装置は基盤に設け
られた光軸開口に開閉自在に配設された絞り羽根
を開閉制御する駆動装置を、前記光軸開口の周り
の基盤上で光軸方向に謡動自在に軸承され、その
軸承部と異なつた左右の頂点部にコイルを有する
可動部材と、このコイルに対向し前記基盤上の光
軸開口周りに設けられた磁石と、前記コイルを介
し前記磁石に対向し、かつ該磁石と磁気的ループ
を形成するヨークとから構成し、そのヨークと磁
石との間隔を前記光軸方向に揺動するコイルが基
盤側に近づくに連れ該コイルに作用する磁束密度
が大きくなるように狭くすることによつて、前記
可動部材の左右のコイルに作用する駆動トルクの
合成トルクがほぼ等しくし該可動部材に生起する
回転力を略均一に成るようにしたものである。

〔考案の実施例〕

以下、添付図面第６図乃至第１１図で示す本考
案の実施例に基づいて詳述する。

本考案の絞り装置は絞り部と駆動部とを基
盤に一体的に組込んで構成している。

第６図において、基盤は光軸０−0′を中心と
する開口５ａを形成した板状若しくは筒材で、通
常はカメラの鏡筒に応じて円形に構成され、この
基盤に絞り部が次のように組込まれている。
基盤には開口５ａの外周面に環状溝５ｂが形成
してあり、環状溝５ｂにリング状を呈する羽根作
動部材４が揺動自在に嵌合してあり、この羽根作
動部材４の上から支持板３が基盤にネジ止めで
固定してある。

従つて羽根作動部材４は基盤と支持板３との
間に保持され第６図の矢印γ方向に摺動自在とな
る。そして、羽根作動部材４には後述する絞り羽
根の構成枚数に相当するピン４ｂが植設してあ
り、このピン４ｂは支持板３に形成したスリツト
３ｂに貫通するようになつており、該ピン４ｂは
羽根作動部材４の往復摺動に伴なつてスリツト３
ｂ内を移動可能にしてある。

絞り羽根２は通常２枚、３枚、５枚、６枚、８
枚で構成されるが、３枚のものについて図示説明
すると、支持板３に植設したピン３ａに各羽根の
基端部２ｃが軸承してあり、各羽根２は支持板３
上に沿つて基端部２ｃを中心に回動自在となり、
その先端部２ｄは基盤の光軸開口５ａに臨ませ
てある。

これと共に各羽根２は羽根作動部材４のピン４
ｂとカム溝２ｂで係合してあり羽根作動部材４の
摺動に伴つて羽根２の先端部が基端部２ｃを中心
に回動し光軸０−0′の周りに絞り口径を任意に形
成するようになつている。

支持板３上に配置された羽根２は押え板１で保
持され、この押え板１は基盤にビス６で固定し
てある。尚、押え板１には上記ピン３ａを嵌合す
る孔１ｂと上記ピン４ｂを嵌合するスリツト１ｂ
がそれぞれ係合してある。

図示４ｃはストツパーピンで、羽根作動部材４
は絞り羽根２の全開位置と閉鎖位置との間で一定
角度回転すれば良いが、その移動ストロークを規
制する為、支持板３に形成したスリツト３ｃに嵌
合している。

図示のものは絞り羽根２を保持する為、基盤
とは別に支持板３を設けたが、これは基盤に広
幅のフランジを形成し、このフランジ部に羽根２
を支持しても良く、この場合には支持板３を設け
る必要がない。

また、図示のものは絞り羽根２を３枚で構成す
る場合を示したが、１枚、２枚、５枚、６枚、８
枚或いはそれ以外の枚数で構成した場合も同様で
ある。更に、その絞り羽根２を直接後述する駆動
部に連結することによつて羽根作動部材４を省
略することも出来る。

次に、駆動部について説明する。

可動部材１２は光軸０−0′を中心に導線を巻回
した電気コイルより成り、このコイル外径が長径
部l₁と短径部l₂とを有するリング状に形成され、
この短径部l₂の対向位置に一対の支軸１２ｃ，１
２ｄがそれぞれ外側に向けて突設してある。

この支軸１２ｃ，１２ｄは合成樹脂の取付座１
２ｅに一体に形成してあり、該取付座１２ｅを可
動部材１２に接着固定している。

そして、この支軸１２ｃ，１２ｄを回動自在に
支持する軸受部材１３，１４が前記基盤にビス
止めで一体に取付けられたヨーク７の折曲げ片７
ｄ，７ｅに固定して設けてある。

また、この可動部材１２と前述の羽根作動部材
４とは運転伝達部材１２ｆ，１２ｇ，４ｄとで連
結されている。

つまり、第７図に示すように可動部材１２に設
けた軸１２ｃ，１２ｄの取付座１２ｅに伝動ピン
１２ｆが突設してあり、この伝動ピン１２ｆに一
端を係合したレバー１２ｇが軸受部材１３，１４
の取付用折曲片７ｄ，７ｅに揺動自在に取付けて
あり、このレバー１２ｇの他端に形成したピン１
２ｈが羽根作動部材４の係合受部４ｄに嵌合して
ある。尚、この嵌合は異なつた運動平面でそれぞ
れ回動するために嵌合ガタを出来るだけ小さく抑
えるようにレバー１２ｇのピン１２ｈと羽根作動
部材４の係合受部４ｄが回動範囲全域で常時点接
触となるように該係合受部４ｄを曲面若しくは先
鋭状断面形状にしている。

従つて、可動部材１２が軸１２ｃ，１２ｄを中
心に第７図上下に揺動する伝動ピン１２ｆ、レバ
ー１２ｅを介して羽根作動部材４は第６図矢印で
示すγ方向に回動する。

次に、永久磁石１０は基盤に取付けたヨーク
７に設けられるが、ヨーク７は鉄その他の軟磁性
材から成り、光軸０−0′の開口７ａの周りに内壁
７ｂと外壁７ｃとを形成する凹陥部８が設けられ
ており、この凹陥部８の内壁７ｂ側に永久磁石１
０が接着で固定してある。又、この永久磁石１０
に対向する外壁７ｃは第８図で拡大して示すよう
に外壁開放側より凹陥部底部７ｆ側に行くに従つ
て永久磁石１０に対する間隔が狭くなり磁束密度
が大きくなるように適宜な形状で形成してある。
具体的にヨーク７のヨーク幅をＴとし、そのヨー
ク幅Ｔのほぼ中央部のヨーク直径をＬとした場合
に、その外壁７ｃの形状は、まず凹陥部底部７ｆ
側より中央部に至る部分がほぼヨーク直径Ｌの半
分のヨーク半径で形成され、中央部より外壁開放
側に至る部分が最底プレス型の抜き勾配に等しい
傾斜で形成してある。

つまり、永久磁石１０ａ，１０ｂと外壁７ｃと
の間に生じるそれぞれの磁束密度B₁，B₂の状態
は第９図ａ及びｂの実線で示す特性となり、この
磁界内に電気コイル部分１２ａ，１２ｂを揺動さ
せその磁束を磁気的に切ることによつて、それぞ
れの電気コイル部分１２ａ，１２ｂにそれぞれ駆
動トルクが生起され、この駆動トルクの合成によ
る回転力Ｆによつて可動部材１２が回動され、そ
の際の回転力Ｆは第１０図で示すようにほぼ均一
となる。

従つて、可動部材１２は支軸１２ｃ，１２ｄを
中心に矢印ｄ方向に回転斑無くスムーズに揺動
し、この可動部材１２の揺動運動は直ちに伝動ピ
ン１２ｆ、レバー１２ｇの運動伝達部材を介し羽
根作動部材４を第６図で示す矢印γ方向に摺動さ
せ絞り羽根２を閉成方向に駆動して開口部５ａを
絞つて光量を適正値に抑えるもので、この絞り制
御動作は周知の制御回路によつて可動部材１２の
電気コイル部分１２ａ，１２ｂに流れる電流の方
向を撮影光量の変化に応じ制御することによつて
自動的に行なわれる。

尚、以上の実施例にあつてはリング状を呈する
可動部材の形状は小判形に限定されるものでは無
く種々の形状が採用可能であると共に、その可動
部材を第１１図で示すように永久磁石１０ａ，１
０ｂを取り巻くように巻回した左右一対のコイル
１２a′，１２b′により一体に成形したものでも良
い。

又、ヨーク及び永久磁石をそれぞれ対向させ一
対設けているがそれぞれ環状のヨーク及び永久磁
石でも良い。

更に、永久磁石をヨークの凹陥部底部７ｆ上に
接着固定することによつて内壁、外壁の一方を取
り除くことも可能で、又、永久磁石を外壁側に取
り付けた場合は内壁を上述の実施例のように磁束
密度が呈する形状で成形すれば良い。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように本考案によれ
ば、光軸方向に揺動するコイルが基盤側に近づく
に連れ該コイルに作用する磁束密度が大きくなる
ようにヨークと磁石との間隔を狭くすることで、
可動部材の左右のコイルに作用する駆動トルクの
合成がほぼ等しくなく該可動部材に生起する回転
力を略均一にしたことによつて、可動部材に回転
斑が生じず円滑に駆動され、この円滑な可動部材
の揺動運動で絞り羽根を開閉駆動することが出
来、絞り制御がスムーズに行ない得る効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は先行技術を説明するもの
で、第１図は絞り装置の概要を示す斜視図、第２
図はその駆動部概略断面図、第３図は磁束密度の
状態を説明する駆動部の部分拡大図、第４図はそ
の磁束密度の特性図、第５図は可動部材に生起す
る回転力の状態を示す特性図である。第６図乃至
第１１図は本考案の実施例を示すもので、第６図
は本考案に係わる絞り装置の分解斜視図、第７図
は第６図に全体記号で示す駆動部材の分解斜視
図、第８図はその駆動部概略断面図、第９図ａ，
ｂは可動部材の左右のコイルに関与する磁場の磁
束密度状態を示す特性図、第１０図は可動部材に
生起する回転力の状態を示す特性図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 基盤に設けられた光軸開口に開閉自在に配設さ
   れた絞り羽根を開閉制御する駆動装置を、前記光
   軸開口の周りの基盤上で光軸方向に揺動自在に軸
   承され、かつその軸承部と異なつた左右の頂点部
   にコイルを有する可動部材と、このコイルに対向
   し前記基盤上の光軸開口周りに設けられた磁石
   と、前記コイルを介し前記磁石に対向し該磁石と
   磁気的ループを形成したヨークとから構成した絞
   り装置に於いて、 上記光軸方向に揺動するコイルが基盤側に近づ
   くに連れ該コイルに作用する磁束密度が大きくな
   るように上記ヨークと磁石との間隔を狭くしたこ
   とを特徴とするカメラ用絞り装置。