JPH0226881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は殺虫剤や芳香剤、殺菌剤などの薬剤
を空中へ蒸散させる加熱蒸散板に関する。

従来の技術 従来薬剤を蒸散させる加熱蒸散具として、例え
ば殺蚊用の電気蚊取器具が公知である。また長期
間使用可能な薬剤を区画含有した蒸散板として
は、例えば実公昭44−7009のように、区画を設け
た円盤状の殺虫板を回転自在にして、１区画毎に
薬剤を加熱させ蒸散させるものや、特開昭58−
228001のように、毛細管現象を遮断する仕切を設
けたテープを連続駆動して、これを加熱すること
により、テープに含浸させた薬剤を蒸散させるも
のなどが公知である。

考案が解決しようとする問題点 しかし、前者の実公昭44−7009号公報のもので
は、区画を設けた円盤状の殺虫板を、単に切り抜
くなどして通気孔を設けて区画したために、実用
上は一区画を加熱すると、この一区画から薬剤が
蒸散して隣接した区画との間に濃度差が生じ、隣
接した区画とは特別な仕切を設けず連結している
ため、この連結部分を通じて毛細管現象及び濃度
差により、高濃度な隣接した区画から低濃度の加
熱している区画へ薬剤が移行し、この区画から設
定薬剤量以上の薬剤が蒸散して、一定量の薬剤蒸
散が制御できない不具合がある。またこの隣接区
画を加熱するときにはすでに薬剤が移行していて
仕込量の薬剤がなくなつているため、十分な薬剤
の蒸散ができず、その結果殺虫効力が低下する欠
点がある。さらに上記のように、単に通気孔を設
けて連結した構造では、連結部分が他より著しく
細くなるため十分な強度が得られず、外力や湿、
熱変形等の内部応用が加わつた場合、この細い連
結部分に応力が集中し、折れ曲がつたり、裂け目
等が生じて蒸散板にそりや曲がりができ、加熱部
分との接触が十分得られなくなり、薬剤の蒸散が
不十分となるなどの欠点もあつた。一方後者の特
開和58−228001号公報のものは、テープに設けた
仕切により単に毛細管現象を遮断しているため一
区画を加熱すると、この遮断部分の全面を通じて
熱が伝導して、隣接する区画をも同時に加熱して
しまうため、時間の経過とともにこの伝導熱が増
加して隣接する区画の薬剤が蒸散してしまう欠点
があると共に、テープ状であるため、テープを保
持するための手段が必要となるなど構造が複雑で
高価となるなどの不具合があつた。

この考案はこれら従来の欠点や不具合を改善す
る目的でなされたものである。

問題点を解決するための手段及び作用 円板状をなす本体の放射方向に複数の薬剤含浸
部を設け、かつこれら薬剤含浸部間を通気孔によ
り区画すると共に、上記各薬剤含浸部間を高分子
材料を含浸させた連結部及び補助連結部で互に連
設することにより、発熱体上へ位置させた薬剤含
浸部の薬剤のみを蒸散できるようにした加熱蒸散
板。

実施例 この考案の一実施例を図面を参照して詳述する
と、図において１は蒸散板の本体で、全体がパル
プ材により円板状に形成されている。上記本体１
は中央部に円孔または凹凸部よりなる回転案内部
２が形成されており、この回転案内部２の周囲に
設けられた連結部３の周辺部が放射方向に等分割
されて、多数の薬剤含浸部４が形成されている。
これら薬剤含浸部４の間には半径方向に細長い通
気孔５が打抜き形成されていると共に、各薬剤含
浸部４の外周側部は補助連結部６により互に連結
されている。そして上記薬剤含浸部４に殺虫剤や
芳香剤、殺菌剤などの薬剤が含浸され、連結部３
及び補助連結部６には薬剤の移行を阻止する高分
子材料が含浸されている。高分子材料としては、
フエノール樹脂や、メラミン樹脂、アルキツド樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂等の熱硬化性樹脂、フツ素樹脂やポリカ
ーボネート樹脂、ポリスルフオン樹脂等の熱可塑
性樹脂、カルボキシメチルセルローズ、メチルセ
ルローズ、ポリビニルアルコール等の水溶性高分
子などが用いられ、これら樹脂は浸透、圧入もし
くは反応などを利用して各連結部３や補助連結部
６に含浸され、薬剤が毛細管現象で移行するのを
阻止するようになつている。

なお高分子材料は各連結部３，６全体に完全に
含浸処理させる必要はなく、薬剤の移行が阻止で
きれば、部分的な含浸でもよい。

例えば連結部３の内周部に第４図に示すように
薬剤を含浸させていない薬剤非含浸部８を設ける
ようにしてもよい。

上記構成された加熱蒸散板は通気孔５により区
画された薬剤含浸部４の１区画を第３図に示すよ
うに発熱体９上に位置させて使用するもので、区
画内の薬剤のみが蒸散できると共に、蒸散により
区画内の薬剤が減少しても他区画からの薬剤の移
行は高分子材料を含浸させた連結部３及び補助連
結部６で阻止することができるようになる。

一方第５図ないし第１６図は上記蒸散板本体１
の他の実施例を示すもので、第５図は薬剤含浸部
４を長方形に、第６図は楕円形にした場合を、そ
して第７図は蒸散調整用の小孔１０を薬剤含浸部
４に、また連結部３に断熱用の透孔１１を設けた
例をそれぞれ示す。断熱用の透孔１１は第８図に
示すように薬剤の含浸されていない非含浸部８に
設けるか、第９図に示すように補助連結部６を薬
剤含浸部４の外側周縁部全体に設けて、この補助
連結部４に断熱用の透孔１１を設けるようにして
もよい。

また各薬剤含浸部４を区画する通気孔５の端部
は第８図に示すように薬剤を含浸させていない非
含浸部８や、第９図に示すように補助連結部６へ
達するようにしてもよい。

一方第１１図ないし第１４図は連結部３を凹凸
状に成形したり、凹状に圧縮し、もしくは厚肉に
して剛性を高めたもので、第１４図に示すように
補助連結部６にも同様な加工を施してもよい。こ
れら加工はプレスや射出成形などにより簡単に行
うことができる。

また連結部３や補助連結部６を凹凸加工した場
合、これら凹凸を利用して第１５図及び第１６図
に示すように本体１の支持と、回転時の案内及び
発熱体９に対する薬剤含浸部４の位置決めなどを
行うことができる。

考案の効果 この考案は以上詳述したように、薬剤の含浸さ
れた薬剤含浸部間を通気孔により区画すると共
に、各薬剤含浸部を高分子材料を含浸させた連結
部及び補助連結部で連結したことから、薬剤含浸
部の一区画を発熱体上に位置させて薬剤を蒸散さ
せた場合、上記連結部及び補助連結部が薬剤の移
行を阻止するため、各区画毎の薬剤の揮散量は常
に一定に保持される。また各薬剤含浸部間に設け
られた通気孔による断熱効果により発熱体からの
熱が隣接区画へ伝導することがないため、隣接区
画の薬剤を蒸散させたり、分解させる虞れがない
と共に、各薬剤含浸部が補強された連結部及び補
助連結部で連結されているため、流通過程や使用
過程で変形することがなく、これによつて薬剤含
浸部を発熱体へ密着させることができることか
ら、薬剤の蒸散効果も一段と向上する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は平
面図、第２図は第１図−線に沿う断面図、第
３図は使用状態の斜視図、第４図ないし第１６図
は他の実施例を示す説明図である。 １は本体、３は連結部、４は薬剤含浸部、５は
通気孔、６は補助連結部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円板状をなす本体１の放射方向に複数の薬剤含
   浸部４を設け、かつこれら薬剤含浸部４間を通気
   孔５により区画すると共に、上記各薬剤含浸部４
   間を高分子材料を含浸させた連結部３及び補助連
   結部６で互に連設してなる加熱蒸散板。