JPH0226360Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野 本考案は前縁座部を主座部に対して接離し、奥
行きを調整可能とした車両等の座席に関する。

〔従来の技術〕

従来この種の座席としては実開昭56−143125号
公報に開示されるものがある。

この座席はシートクツシヨンを床面に取り付け
たスライドレール上に固定される主座部とこの主
座部の前方に配置した主座部と一体的なガイドと
このガイドに前方上部に向けて移動可能且つ元位
置へ復帰可能に組付けた前縁座部とこの前縁座部
の主座部に対する位置を調整するラツクとピニオ
ンからなる位置調節機構を備えて構成されてい
る。

そしてピニオンを回転させることによつてラツ
クが移動され、これによつて前縁座部が主座部に
対して前方へ移動されるようになされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この座席においては前縁座部の移動はピニオン
を回転させることによつて行うのでその操作に手
数を要し移動を迅速に行うことはできず、またピ
ニオンの軸に回転ロツク装置を装着するので構成
が複雑になりまた回転ロツク装置はシートクツシ
ヨンの外側面に突出するので体裁が損なわれる等
の不具合がある。

本考案は斯る点に鑑み、シートクツシヨンの前
縁座部の移動を迅速に行えまた構成も簡単にする
ことを技術的課題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の技術的課題を解決するために本考案はシ
ートクツシヨン１を主座部２と前縁座部３とに分
割し、前縁座部３は後方へ延長突出するアーム４
を有し、このアーム４の後半部上面にはラツク状
の係合面５を形成してこのアーム４を主座部２
に、その前面側から前後方向に摺動可能に挿通
し、クツシヨンフレーム６の前側部材７に状の
ブラケツト８を取付け、このブラケツト８の上辺
部８ａの内面にアームの係合面５と係合される係
合部９を設け、また下部間には上方へ偏倚する板
バネ１０が架張されてブラケツト８に挿通された
アーム４の下面に圧接して常時アーム４を押し上
げ係合面５をブラケツト８の係合部９に係合させ
るように構成されている。

〔作用〕

上記の技術的手段は次のように作用する。

先ず、シートクツシヨン１の前縁座部３を持ち
上げるとアーム４はクツシヨンフレーム６の前側
部材７との当接部を支点として回動され、即ち後
部は板バネ１０の偏倚力に抗して下方へ回動され
て係合面５がブラケツト８の係合部９から離隔さ
れてその係合が解除され、この状態で前縁座部３
を引き出し或いは押し込み主座部２に対して接離
することができてシートクツシヨン１の奥行きを
調整できる。そしてこの前縁座部３を所望の位置
で持ち上げを解除すると、アーム４が板バネ１０
の偏倚力により回動されて係合面５がブラケツト
８の係合部９に係合して前後方向にロツク状態と
なり、またこの状態で着座すると前縁座部３は大
腿部により下圧されてアーム４の後半部が更に上
方に回動されることになつて係合面５がブラケツ
ト８の係合部９に強く係合されることになつてロ
ツクが一層確実に行なえることになる。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面を参照して具体的に説明
する。

図において１は車両用座席Ｓのシートクツシヨ
ンで主座部２と前縁座部３とに分割されている。

このシートクツシヨン１の前縁座部３には後面
側から後方へアーム４が延長突設され、このアー
ムの後半部上面にはラツク状の係合面５が形成さ
れている。このアーム４は前部において屈曲連結
された字状に形成されて２本のアーム部４ａ，
４ｂを有し夫々のアーム部に係合面５ａ，５ｂが
形成され、この係合面としてはアームにラツク歯
を直接形成するか、タイミングベルトを接着して
形成することができる。

主座部２のフレームとしてのクツシヨンフレー
ム６の前側部材７には上述のアーム４，４ａ，４
ｂが上下方向に揺動可能に挿通される状のブラ
ケツト８，８が固定され、このブラケツトの上辺
部内面にアーム４の係合面５，５ａ，５ｂと係合
されるラツク状の係合部９，９が設けられてい
る。この係合部９，９としても上述したタイミン
グベルトを用いることができまたブラケツト８，
８の上辺部内面に直接ラツク歯を形成してもよ
い。

そして、ブラケツト８，８の下部間には上方へ
偏倚する板バネ１０，１０が架張され、またクツ
シヨンフレーム６の前側部材７にはブラケツト
８，８の内側に対応する部位に樹脂材等からなる
スライダ１１，１１が嵌着されている。このよう
にクツシヨンフレーム６の前側部材７に固着され
たブラケツト８，８にシートクツシヨン前縁座部
３のアーム４，４ａ，４ｂが挿通され、その先端
部にはブラケツト８，８の後縁に係合される抜け
止めピン１２，１２を貫通してある。

そしてこのアーム４，４ａ，４ｂの後半部はク
ツシヨンフレーム６の前側部材７のスライダ嵌着
部を支点として常時、板バネ１０，１０により押
し上げ回動されて係合面５，５ａ，５ｂがブラケ
ツト８，８の係合部９，９に係合され、シートク
ツシヨン前縁座部３が主座部２に対して前後方向
にロツク保持された状態にある。

このロツク保持状態においてシートクツシヨン
前縁座部３を下部前端もしくは前面側に取り付け
たストラツプ１３を把握して持ち上げるとアーム
４はクツシヨンフレーム６の前側部材７の当接部
を支点として回動され、即ち後部が下方に板バネ
１０，１０の偏倚力に抗して回動され、係合面５
はブラケツト８の係合部９から離隔してロツク状
態が解除され、このロツク解除状態で前縁座部３
を前方または後方に移動させシートクツシヨン１
を希望する奥行き寸法に調整し、ストラツプ１３
等から手を離すことにより前縁座部３は自重で下
降し、これによりアーム４の後部は上述の支点を
中心として上方に回動すると共に板バネ１０，１
０の偏倚力により更に押し上げられて係合面５は
ブラケツト８の係合部９に係合して前縁座部３は
主座部２に対して固定される。

この状態で着座すると前縁座部３は大腿部によ
り下圧されるためアーム４の係合面５とブラケツ
ト８の係合部９の係合が一層確実に行われること
になり外れるおそれはない。またアーム４の摺動
及び回動においてはクツシヨンフレーム６の前側
部材７に対する摺接はスライダ１１を介して行わ
れることにより異音の発生が防止されると共に作
動が円滑に行われる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、従来のごとき煩
わしいハンドル操作を必要とすることなく前縁座
部を直接持ち上げて任意の前後位置にセツトする
だけの極めて簡単な操作でシートクツシヨンの奥
行き調整を迅速に行えると共にこの調整動作にお
いては前縁座部から延長突出支持するアームはそ
の係合面がブラケツトの係合部から離隔された状
態でクツシヨンフレームの前側部材上を何等の抵
抗なく摺動するので不快な異音を発生することな
く円滑に行われ、また前縁座部の主座部に対する
係合はラツク状噛合に方式であるため微調整が可
能でしかも着座することにより前縁座部は確実に
係合されるので着座状態でがたつき或いは不要に
移動するおそれがなく常に安定した着座姿勢をと
ることができ、更に構成が簡単でコストの低廉化
が可能となり、ハンドル等の突出物が無いため体
裁も良好で車両用座席に適用してその効果が大で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による車両等の座席の要部の側
面図、第２図は本考案による車両等の座席の一例
の斜視図、第３図は同座席のクツシヨンフレーム
の斜視図、第４図は第３図の要部の拡大斜視図で
ある。 図中１はシートクツシヨン、２は主座部、３は
前縁座部、４はアーム、５は係合面、６はクツシ
ヨンフレーム、７は前側部材、８はブラケツト、
９は係合部、１０は板バネである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 主座部と前縁座部に分割されたシートクツシヨ
   ンと、 上記シートクツシヨンの主座部を支持するクツ
   シヨンフレームと、 上記シートクツシヨンの前縁座部に後方へ延長
   突設され、この延長突出部の上面にラツク状係合
   面が形成されたアームと、 上記クツシヨンフレームの前側部材に固定され
   て上記アームが上記前側部材の上面側に当接され
   た状態で上下方向に揺動可能に挿通され、上側内
   面に上記アームのラツク状係合面と係合する係合
   部が形成されたブラケツトと、 上記アームを、上記ラツク状係合面が上記ブラ
   ケツトの係合面に係合されるように弾性偏倚させ
   る弾性部材と を有して成り、 上記前縁座部を持ち上げることにより上記アー
   ムの後部が上記クツシヨンフレームの前側部材を
   支点として下方へ揺動されて上記ブラケツトに対
   する係合が解除され、上記前縁座部を上方から押
   圧することにより上記アームの後部が上記前側部
   材を支点として上方に揺動されて上記ブラケツト
   に係合され、上記前縁座部が上記主座部に対して
   固定されるようにしたことを特徴する車両等の座
   席。