JPH0226073Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用部材〕 本考案は携帯時計における日車案内構造に関す
るものである。

〔従来技術と問題点〕

近年、商品バリエーシヨン拡大のため多彩なデ
ザインの携帯時計が要求されるようになつてお
り、特に１つの時計ムーブメントを用いてリユ々
ズの取付位置が３時方向のみでなく９時方向、11
時方向、１時30分方向、４時30分方向、と各種方
向に配置されるものも多く要求されている。

ところで、従来のムーブメントの日車案内構造
では、躍制レバーのバネ力の関係で日車と曜車の
スキが全周にわたり均等にならない欠点があり、
リユーズの配置方向によつては文字板の日曜表示
窓から見える両表示車のスキが異常に広くなり日
付、曜日が離れて表示される等非常に見ばえの悪
い携帯時計となるため、デザイン上リユーズの配
置方向に制限を行なうことがしばしば起きてい
た。特に最悪方向にリユーズが配置されたデザイ
ンにおいては、両表示車のスキ間から日車駆動用
の日車歯形が見えるという恐れがあつた。

第１図は従来構造の一例を示す時計ムーブメン
トの平面図であり、第２図は第１図のAA′断面を
示す断面図である。通常時計中心ａの位置には、
中心パイプ１が地板２等に固着されている。尚、
時計輪列構造によつては、中心パイプを使用せ
ず、地板にあけられた中心穴のときもある。前記
中心パイプ１を回転軸として筒車３、筒カナ４等
が遊合し回転している。

又曜表示車５は曜歯車６に固着されて、曜規制
レバー７により停止位置を規制されながら前記筒
車３のまわりを回転している。

前記時計中心パイプ１に対し筒車３は加工誤差
を十分吸収できるようなガタをもつて遊合し、ま
た前記筒車３に対して曜歯車６も同様にガタをも
つて遊合回転している。各部品がこのようにガタ
をもつているため、曜表示車５は、曜規制レバー
７のバネ力により正規の回転中心であるａ点から
曜規制レバー７によつて押圧された方向に離れた
位置にあるｂ点を回転中心として回転することと
なる。

一方、日表示車８は、地板自体に形設されたり
又は地板に付設された日車案内部９で案内され、
日規制レバー１０により停止位置を規制されなが
ら前記日車案内部９のまわりを回転している。日
車案内部は、従来時計中心ａ点に固着された中心
パイプ１の中心と同一の中心を保つて作られてい
る。又日車案内部９と日表示車８の内径とは、加
工誤差等を見込み適切なガタをもつている。この
ため日表示車８は日規制レバー１０のバネ力によ
り正規の回転中心であるａ点から日規制レバー１
０によつて押圧された方向に離れた位置にあるｃ
点を回転中心として回転することとなる。

以上のように、日表示車も曜表示車も各々の規
制レバーのバネ力により、中心点をｂ，ｃ点に移
動された状態で停止しているのであるが、日規制
レバー１０と曜規制レバー７の押圧方向がほぼ一
致していればあまり問題はないが、一般には両レ
バーを一体化したり、時計ムーブメントとしての
配置の関係から略反対方向へ押圧する場合が多
い。このため断面Ａ−A′で示すように、日曜両
表示車の最小スキt₁を加工誤差を見込み適正に設
定すると（通常0.1mm）、最大スキt₂は非常に大き
くなつてしまう（0.35mm）。このようなことより
断面図示のA′側に文字板の日曜表示窓を開ける
ことは何ら問題はないが、断面図示のＡ側に文字
板の日曜表示窓を開けると、日付、曜日が日曜表
示窓内でスキをもつて配置され非常に見ばえの悪
い携帯時計となつてしまう。断面Ａ側に文字板の
日曜表示窓が配置されるデザインとは、本従来例
で云うとリユーズ方向が８時〜９時に配置され、
文字板の日曜表示窓が３時方向のものや、その逆
にリユーズ方向が３時側で、文字板の日曜表示窓
が９時側に配置されたデザインのもの等である。

〔考案の目的〕

本考案は上記の欠点を解消し、いかなる方向に
リユーズが配置されたデザインにおいても、日曜
両表示車のスキを均一になるようにした配置構造
により文字板の日曜表示窓から見える日付、曜日
の見ばえの良いムーブメントを提供することを目
的とするものである。

〔考案の実施例〕

以下本考案の実施例を図面により詳細に説明す
る。

第３図は本考案の一実施例を示す時計ムーブメ
ントの平面図であり、第４図は第３図のAA′断面
図である。

時計中心ａの位置には、中心パイプ１が地板２
等に固着されており、前記中心パイプ１には筒車
３が、また前記筒車３には曜表示車５を固着した
曜歯車６が、各々従来例と同様に加工誤差を見込
んだ適切なガタをもつて回転している。このため
曜表示車５の回転中心は、従来例とまつたく同様
に曜規制レバー７のバネ力で筒車３に押圧されて
偏心しｂの点となる。そして日表示車８は、日規
制レバー１０のバネ力で停止位置を規制されなが
ら、日車案内部９で案内されて回転している。日
表示車８が日規制レバー１０により日車案内部９
に押圧される方向と、曜表示車５が曜規制レバー
７により筒車３に押圧される方向とは、およそ反
対方向となるように形成されている。 ここで、
本考案の特徴としては、日車案内部９は従来例と
異りａ点を中心に形成せずｄ点を中心として形成
されている。すなわち日表示車８は日規制レバー
１０で日車案内部９に押圧されても、ｄ点を中心
位置に配置される構成となる。ｄ点は、日表示車
８が日規制レバー１０のバネ力により中心を曜表
示車５の中心と同一なｂ点となるように、中心パ
イプ１の中心点ａに対し日車案内部９を偏心して
配置した点である。

以上のような配置構造をとることにより、日表
示車８と曜表示車５のスキは全周にわたり均一に
することができ（t₁＝t₂）加工誤差を見込んだ最
小スキに設定することができ、このため、リユー
ズと文字板の日曜表示窓のデザイン上でのどんな
配置に対しても、日付、曜日がスキがなく一体的
で、非常に見ばえの良い携帯時計ができる。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案の日車案内構造によれ
ば、リユーズの配置、文字板の日曜表示窓の配置
もまつたく自由になり、デザイン制約もなく、多
彩なデザインにも対応でき、商品バリエーシヨン
の拡大に結びつくものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来技術による時計ムーブメントの
平面図、第２図は第１図のＡ−A′断面図であり、
第３図は、本考案によるところの時計ムーブメン
トの平面図、第４図は第３図のＡ−A′断面図で
ある。 ａ……中心パイプ中心点、ｂ……曜表示車中心
点、ｃ……従来例の日表示車中心点、ｄ……本考
案の日車案内部中心点、１……中心パイプ、２…
…地板、３……筒車、５……曜表示車、６……曜
歯車、７……曜規制レバー、８……日表示車、９
……日車案内部、１０……日規制レバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 日車と、該日車の回転のガイドとなる日車案内
   部と、前記日車の停止位置を規制する日規制レバ
   ーと、曜表示車と、該曜表示車の回転のガイドと
   なる筒車と、前記曜表示車の停止位置を規制する
   曜規制レバーを備えた携帯時計において、前記日
   車は前記日規制レバーにより前記日車案内部に、
   また前記曜表示車は前記曜規制レバーにより前記
   筒車に、各々がおよそ反対方向に押圧されている
   とともに、前記日車の回転中心を、前記曜表示車
   の時計中心に対する偏心方向に、時計中心に対し
   て前記曜表示車の偏心距離に略等しい値を移動し
   て、偏心配置させたことを特徴とするカレンダー
   付携帯時計。