JPH0225820B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は遊園地等に設置されるジエツトコース
ターや宙返りコースター、又はその他軌道上や空
中を移動する遊戯乗物において、乗物の移動中乗
客を立姿勢のまま支持する乗客支持装置に関す
る。

最近、本出願人によつてスタンデイング（立
席）ループコースターと称する遊戯乗物が開発さ
れ、既に実用化されている。この乗物は文字通り
乗物本体上に乗客を立たせたままの姿勢で保持し
て、そのまま軌道上を急降下・旋回・宙返り走行
する世界に類を見ない画期的なコースターであ
り、現状のジエツトコースターや宙返りコースタ
ーの如く、乗客を座らせた状態で走行するものに
比して乗客の重心が高く不安定で、しかも目線の
位置が高いことから、無重力感が大幅に増幅して
コースターの醍醐味が一層グレードアツプされる
ものである。

ところで、この種スタンデイングループコース
ターでは、これまでにも増して走行中乗客の安全
を確保する必要があるのは言うまでもないが、た
だ単に乗客を安全に支持するという目的のために
乗客を立姿勢のまま全く動けぬように完全に固定
したり、あるいは乗客の周囲を取り囲むようにす
ると、折角の臨場感やスリル感も半減してしま
い、コースターの醍醐味を味わう上での妨げとな
る難点がある。

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、その目的とするところは、乗客の視界が
広くなるとともに上半身の動きが自由となり、こ
れまでにも増して非常なスリルや快感および臨場
感を全身で満喫することができる遊戯乗物の乗客
支持装置を提供しようとするものである。

すなわち本発明は、軌道を移動する乗物本体
と、この乗物本体に上下方向に沿つて立設された
支柱と、この支柱に取り付けられた昇降体と、こ
の昇降体に設けられた上記乗物本体に立つたまま
の姿勢で乗つた乗客の腹部を取り巻く弯曲アーム
よりなる腹部支持具と、この腹部支持具が乗客の
身長に応じてこの乗客の腹部と対向する位置に位
置調整された場合に上記昇降体の上下方向位置を
ロツクするロツク機構と、上記腹部支持具の内側
部に設けられ常時は収縮するとともに内部に流体
を供給した場合に膨脹して乗客の腹部に密着可能
な袋体とを具備したことを特徴とする。

本発明によると、乗物本体に立つたままの姿勢
の乗客の腹部を腹部支持具が取り巻いてこの乗客
を支えるので立つたままの乗客は上半身が拘束さ
れず、上半身を自由に動かすことができるので、
むしろスリルを味わうことができ、かつ上半身を
囲むフレームもないので視界が広がる。しかも、
腹部支持具の内側に設けた袋体が乗客の腹部に密
着して乗客を保持するので、乗客を確実に支持
し、かつこれが緩衝作用を奏するので乗客が受け
る衝撃も少なく、安全性が高くなる。

以下本発明の一実施例を、第１図ないし第７図
にもとづいて説明する。

図中１は軌道上や空中等を昇降移動する遊戯乗
物の本体であり、この本体１上面の乗席位置には
ブラケツト２を介して断面角形の支柱３が垂直に
立設されている。支柱３の外周には昇降体４が上
下方向に摺動可能に嵌入されており、この昇降体
４は断面角形の筒状体から構成されている。昇降
体４の前面には３本のブラケツト５，６および７
が上下方向に離間して取着されており、最下部の
ブラケツト５には前方に向つて略水平に突出する
支持ステー８が固定されている。また上記ブラケ
ツト２には油圧ロツクシリンダ９の一端が枢支さ
れている。この油圧ロツクシリンダ９は支柱３の
前面において垂直に配置されており、そのピスト
ンロツド１０の上端が支持ステー８に連結されて
いる。そしてこの実施例の油圧ロツクシリンダ９
は第４図に概略的に示した通り、シリンダ９内が
ピストンロツド１０に連なるピストン１１によつ
て第１の室１２と第２の室１３との２室に区画さ
れており、これら第１および第２の室１２，１３
は配管１４によつて互に連通されている。配管１
４の途中には電磁弁１５が組み込まれているとと
もに、第１の室１２と電磁弁１５との間にはリザ
ーバタンク１６が、さらに第２の室１３と電磁弁
１５との間にはアキユームレータ１７が組み込ま
れている。したがつて、電磁弁１５を開操作する
と、第１の室１２と第２の室１３相互が連通する
ので、ピストンロツド１０が突没自在なフリー状
態となり、逆に電磁弁１５を閉操作すると、上記
両室１２，１３間でのオイル流通が遮断されるの
で、ピストンロツド１０がロツクされるようにな
つている。よつて電磁弁１５を開閉することによ
り、油圧ロツクシリンダ９を介して昇降体４の昇
降動およびその固定が行なわれる。

上記支持ステー８の上面には腰掛け台１８が取
り付けられており、この腰掛け台１８は丁度自動
車のサドルの如く、乗客Ａが跨いで尻を浅く乗せ
られる程度の小形なものとなつている。また他の
ブラケツト６，７の前面間には尻当て１９が取り
付けられている。尻当て１９は乗客Ａの腰回りに
後方から当てがわれるものであり、滑らかな円孤
状に彎曲されている。そして最上部のブラケツト
７の一側は側方に延長されるとともに、その延長
端が前方に向つて屈曲されており、この屈曲部２
０の前端部には乗客Ａを支持する支持具２１が設
けられている。この支持具２１は乗客Ａの腹部を
前方から取り巻くものであり、平面的に見て略Ｃ
字形をなしている。そして支持具２１は上記形状
に曲成された芯金２２の周囲を軟質ゴム等のクツ
シヨン材２３で被覆するとともに、このクツシヨ
ン材２３の外周面をさらにシート材２４で被覆し
て構成したもので、芯金２２の一端部には支持腕
２５が後方に向つて突設されている。この支持腕
２５の先端は上記屈曲部２０に枢軸２６を介して
回動自在に連結されており、このことにより支持
具２１は枢軸２６を支点として左右方向に開閉回
動可能に取り付けられ、乗客Ａの体格に応じてセ
ツト位置を調整できるようになつている。なお、
支持具２１の前面２個所には、グリツプ２７，２
７が設けられている。また、支持具２１の内側部
に膨張収縮可能な袋体２８を取り付けてある。袋
体２８は第５図ないし第７図に示したように、支
持具２１の内側部外表面に多数の止具２９…を介
して固着された伸縮性の外被材３０と、この外被
材３０内に収容された膨張収縮可能なゴムチユー
ブ３１とから構成され、上記支持具２１を乗客Ａ
の腹部を囲むようにセツトした後、図示しないホ
ースを通じてゴムチユーブ３１内に空気等の流体
を供給すると、袋体２８全体が第７図に示したよ
うに膨張して乗客Ａの腹部回りに隙間なく密着す
るようになつている。なお、ゴムチユーブ３１へ
の流体供給は、乗客Ａが例えば足踏みポンプ（図
示せず）を作動させることによつて行う。

さらに最上部のブラケツト７上には油圧ロツク
シリンダ３２が横置きの状態で設置されており、
そのピストンロツド３３の先端部は、上記支持腕
２５の先端部を延長して設けた回動レバー３４に
連結されている。この油圧ロツクシリンダ３２に
ついては詳図しないが、上記高さ調整用の油圧ロ
ツクシリンダ９と同様に、その油圧系路を電磁弁
で開閉することにより、ピストンロツド３３をロ
ツク状態および突没可能なフリー状態に切換操作
できるようになつており、電磁弁を閉じるとピス
トンロツド３３がロツク状態に固定され、支持具
２１の開閉作動が阻止されるようになつている。
なお、油圧ロツクシリンダ９，３２夫々の電磁弁
１５は、運転室内のスイツチに電気接続されてお
り、このスイツチをオペレータがON・OFFする
ことで開閉制御される。

また上記ブラケツト２にはガススプリング３５
の一端が連結されており、そのピストンロツド３
６が昇降体４の一端面にブラケツト３７を介して
連結されている。ガススプリング３５は腰掛け台
１８、尻当て１９および支持具２１等を含んだ昇
降体４の全重量を、重量キヤンセル状態に支えて
おり、したがつて油圧ロツクシリンダ９の電磁弁
１５を開いた状態にあつては、乗客Ａは昇降体４
を少ない力で軽く上げ下げすることができる。

また、この実施例の油圧ロツクシリンダ９は昇
降体４の高さ調整後のロツク機能ばかりでなく、
緩衝機能も有している。つまり昇降体４をロツク
した状態において、乗物本体１が急降下すると過
大な重力が腰掛け台１８、支持具２１および昇降
体４を介してピストンロツド１０に加わる。そう
すると第２の室１３の油圧が高まるから、この室
１３内のオイルはアキユームレータ１７内に圧送
され、よつてピストンロツド１０は下降し、前記
重力の緩衝作用をなす。この際、第１の室１２は
負圧となるのでリザーバタンク１６内のオイルを
吸収することになる。そして上記重力が解除され
ると、アキユームレータ１７の蓄圧力でピストン
ロツド１０は元の位置に押し戻され、第１の室１
２内のオイルがリザーバタンク１６に戻されて初
期のロツク状態に復帰する。

次に上記構成の作用について説明する。乗物本
体１がプラツトホームに入つて停止している状態
では、運転室内のオペレータによつてスイツチが
ONされているため、油圧ロツクシリンダ９，３
２のピストンロツド１０，３３はフリーとなつて
おり、このため支持具２１は開閉回動可能で、か
つ腰掛け台１８および尻当て１９とともに昇降動
可能な状態に保持されている。乗客Ａは乗物本体
１上に乗り込んだならば、腰掛け台１８又は支持
具２１を手で把持して押し上げ又は押し下げ操作
することにより、腰掛け台１８を自分の身長に応
じた高さに位置調整する。そして乗客Ａは腰掛け
台１８を跨いだ立姿勢で支持具２１を手前に引き
寄せ、支持具２１が腹部を取り巻くようにセツト
する。次に乗客Ａは足踏みペダルを踏み込んで、
袋体２８を膨張させ、この袋体２８を腹部回りに
密着させる。このような作業を全ての乗客Ａが完
了したことを確認したならば、オペレータはスイ
ツチをOFFし、油圧ロツクシリンダ９，３２を
ロツクする。これによつて腰掛け台１８、尻当て
１９および支持具２１がセツト高さに位置決めさ
れ、かつ支持具２１も一切左右に開閉回動しない
ようにロツクされる。したがつて乗客Ａは立姿勢
のまま保持される。この後、乗物本体１は発車
し、急旋回や急降下、急上昇走行を行なう。

しかして、このような構成の乗客支持装置によ
れば、支持具２１は乗客Ａの腹部を取り巻いてい
るから、乗客Ａを立つたままの姿勢で安全に支持
することができる。そしてこの支持具２１による
と乗客Ａは上半身を全く自由に動かすことがで
き、しかも上半身の周囲がフレーム等で取り囲ま
れることもないので、各乗客Ａとも視界が広が
り、自分で立つている感が強くなる。よつて、急
降下や急旋回走行時のスリルと快感および臨場感
を全身で満喫することができ、立姿勢による醍醐
味を充分に味わうことができる。

なお、上述した実施例では支持具を略Ｃ字形と
したが、例えば第８図に示すように中央部に乗客
Ａが入り込む通孔４１を備えたリング状の支持具
４２としても良い。この場合には、支持具４２の
開閉回動させる必要もないので、格別な回動機構
やこの支持具４２をセツト位置に固定する油圧ロ
ツクシリンダは不要となり、構造の簡略化を図れ
る。

さらに、上記実施例では高さ調整用の油圧ロツ
クシリンダに緩衝機能も兼用させたが、このロツ
クシリンダは本来の高さ調整のみとし、緩衝機能
は別の機構で行うようにしても良く、その他本発
明の要旨を逸脱しない範囲であれば種種変形して
実施可能である。

さらに、本発明は、各種コースターなどのよう
にレールに沿つて走行する乗物の外に、ワイヤな
どに吊り下げられて昇降移動するもの、ブラン
コ、大型シーソ、あるいは上下にも回動可能な旋
回アームの先端に客席が設けられていて軌道を移
動しあたかも空中を遊泳するかのごとき移動する
乗物など、要するに軌道を移動する乗物であれば
実施可能である。

以上説明したように本発明によれば、乗物本体
に立つたままの姿勢の乗客の腹部を腹部支持具が
取り巻いて乗客を支えるので、立つたままの乗客
は上半身が拘束されず、乗物の移動中に上半身を
自由に動かすことができ、かつ上半身を囲むフレ
ームもないので視界が広がるので、急降下や急旋
回等の移動中のスリルや快感および臨場感を全身
で満喫することができる。しかも、腹部支持具の
内側に設けた袋体が乗客の腹部に密着して来客を
保持するので、乗客を確実に支持し、かつこれが
緩衝作用を奏するので乗客が受ける衝撃も少な
く、安全性が高くなる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第７図は本発明の一実施例を示
し、第１図は側面図、第２図は正面図、第３図は
一部断面で示す平面図、第４図は油圧回路図、第
５図は支持具の断面図、第６図は袋体の膨張状態
の断面図、第７図は袋体を膨張させて乗客に密接
させた状態の断面図、第８図は支持具の変形例を
一部断面で示す平面図である。 １……乗物本体、３……支柱、４……昇降体、
９……ロツク機構（油圧ロツクシリンダ）、２１，
４２……支持具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軌道を移動する乗物本体と、 この乗物本体に立設された支柱と、 この支柱に取り付けられた昇降体と、 この昇降体に設けられ上記乗物本体に立つたま
   まの姿勢で乗つた乗客の腹部を取り巻く弯曲アー
   ムよりなる腹部支持具と、 この腹部支持具が乗客の身長に応じてこの乗客
   の腹部と対向する位置に位置調整された場合に上
   記昇降体の上下方向位置をロツクするロツク機構
   と、 上記腹部支持具の内側部に設けられ常時は収縮
   するとともに内部に流体を供給した場合に膨脹し
   て乗客の腹部に密着可能な袋体と、 を具備したことを特徴とする遊戯乗物の乗客支持
   装置。