JPH0225734B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、放電が発生する加工液の抵抗率（加
工液の１m³の立方体の持つ抵抗値（オームメート
ル）をいう）を、次々の２回の放電を隔てる時間
内に測定して、ワイヤ電極による被加工物の放電
加工の切断中の加工状態を監視する方法と装置と
に関する。

よく知られているように、型彫放電加工では２
回の放電の中間において加工液の抵抗率の減少を
測定して加工域に粒子が過剰に存在していること
を検出している。この過剰粒子の存在は短絡の先
駆としての型彫電極と被加工物との間の橋絡の形
成を示している。

加工域の抵抗率の測定はワイヤ放電加工におい
ても利用されているが、別の目的、主として被加
工物の厚みの測定に利用されている。加工液のコ
ンダクタンスは被加工物の厚みに比例し、この厚
みは最適の加工を得るための重要なパラメーター
である。この方法は、加工液の抵抗率がほぼ一定
のままである理想的な火花放電条件下で利用し得
るに過ぎない。

ワイヤ放電加工が劣化する時点において、続く
放電と放電との間において加工液の抵抗率が、型
彫放電加工の場合のように減少せずに、増大する
ということを確かめた。ワイヤ放電加工に特有の
この新規な、全く予期されなかつた現象は、加工
液中に突然気泡が発生するためと推定される。加
工液中の気泡の突然の発生は、ワイヤと加工液と
の間の熱交換の状態を変え、ワイヤの破断をひき
起こすことがある。本発明の加工条件の監視方法
は、２回の放電と放電との間に加工液の抵抗率を
測定することに存し、更に詳しくいえば、加工液
の抵抗率の増大を上記の測定により検出し、この
抵抗率の増大に応答して信号を送出し、加工状態
の劣化を指示することにある。

この監視方法によれば、電極ワイヤの作動中の
熱的状態の劣化を、その場合の加工効率の低下と
係りなく、検出してワイヤの破断を防止できる。
そのため本発明により最大加工効率を達成する電
流をワイヤに流すことができる。

添付図を参照して本発明の実施例を説明する。
添付図は、本発明の理解にとつて必要な要素のみ
示している。ここに示した要素により放電加工機
において加工条件を監視する。放電加工機は、ワ
イヤ電極２と被加工物３との間に放電の火花を飛
ばすため加工パルスを供給するパルス発生器１を
備えている。ワイヤ電極２と被加工物３との間の
加工域に加工液を供給するための供給管４が設け
られている。また被加工物３から所望の形状の断
片５を切除するためにワイヤ電極２と被加工物３
との間の相対運動を生じさせる図示しない駆動装
置が設けられている。加工間隙は全加工プロセス
中一定とされている。

パルス発生器１により供給されるパルスは、
ANDゲート６を通過した後、被加工物３とワイ
ヤ電極２との間に電圧源８からの電圧を印加する
ように、トランジスターとして示された電子断続
器７を動作させる。ワイヤ２と電圧源８との間の
接続は、２個のすべり接点９によつて行われる。

監視装置は、加工液の抵抗率を測定するため補
助電圧源１０を備えており、この補助電圧源１０
は、図示した極性のダイオードＤ１を経て一方の
すべり接点９に接続され、他方抵抗Ｒ及び電子継
続器１１を介し被加工物３にも接続されている。
電子断続器１１は補助パルス発生器１２によつて
制御され、この補助パルス発生器１２は、パルス
発生器１が電圧源８の回路により発生する加工パ
ルスと加工パルスとの間隔の少くとも一部で電子
断続器１１を導通させるように、パルス発生器１
と同期させられている。

パルス発生器１２が電子断続器１１を通電させ
るとき、補助電圧源１０の回路がダイオードＤ
１、ワイヤ電極２、被加工物３、電子断続器１１
そして抵抗Ｒを通つて形成される。この回路を通
る電流は明らかにワイヤ電極２と被加工物３との
間の抵抗値即ち加工放電が発生していない時間中
の加工液の抵抗率により定まる。この回路に流れ
る電流は、抵抗Ｒに電圧降下を発生し、その電圧
は比較回路１３に供給される。この比較回路１３
は、ポテンシヨメーター１４からの基準電圧をう
ける入力を有している。

抵抗Ｒの両端間の電圧が基準電圧よりも低くな
ることは、加工域の加工液の抵抗が所定値を超過
しそれの抵抗率も所定値を超過しているのであ
り、従つて加工域中の気泡の発生を示し、放置す
ればワイヤを破断する恐れがあることを表わして
いる。ワイヤ電極２と被加工物との間において測
定される抵抗は、或る与えられた加工液の抵抗率
に対して、被加工物３の厚みの増大につれて減少
する。従つてポテンシヨメーター１４は、被加工
物３の厚みに留意して調節すべきである。

加工液の抵抗率が所定値を超過した時点から、
比較回路１３は加工電流を調整する目的で出力信
号を発生する。スイツチ１５の可動接点が図示し
た位置にあると、この出力信号は反転器１６を介
してANDゲート６の第２の入力に供給され、加
工状態が正常に戻る時点まで断続器７を非通電状
態に保つて加工電流を遮断する。実際に、加工電
流が遮断されている間パルス発生器１，１２は動
作し続け、加工液の抵抗率の測定は周期的に継続
される。スイツチ１５の反対側の位置では、比較
回路１３の出力信号はパルス発生器１に供給さ
れ、例えばパルス振幅もしくはパルス幅を減少さ
せることにより、又はパルスとパルスとのオフタ
イム間隔を増大することにより平均加工電流を減
少させる。

上述した監視装置の構成はいろいろと変更する
ことができる。特に被加工物３とワイヤ電極２と
の間の加工液の抵抗率を連続的に測定し、各加工
パルス時間中に測定された信号を比較回路１３の
入力において抑制する回路を設けてもよい。抵抗
率の増大速度に情報処理回路１３が作用するよう
にしてもよい。又は抵抗率の増大の勾配を測定
し、この勾配が所定値を超過した時にのみ比較回
路１３が出力信号を発生する。この勾配の監視は
加工液の抵抗率の監視に組合せることができる。
加工電流の調整はいずれにしても抵抗率が所定値
よりも大きくなつた時に生ずるようにする。

一実例について述べると、直径0.25mmの電極ワ
イヤで厚み40mmの被加工物を加工した場合加工間
隙の抵抗は100オームであり、そして加工液の状
態が劣化すると抵抗率は20％増大し、その他の条
件は不変であつた。

【図面の簡単な説明】

添付図は本発明を実施するためのワイヤ放電加
工装置を示す略図である。 符号の説明、１…パルス発生器、２…ワイヤ電
極、４…加工液供給管、６…ANDゲート、７，
１１…遮断器、８，１０…電圧源、１２…補助パ
ルス発生器、１３…比較回路、１４…ポテンシヨ
メータ、１６…反転回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ワイヤ電極による被加工物の放電加工を監視
   する監視方法において、 続く放電と放電との間に加工液の抵抗率を測定
   し、この測定により加工液の抵抗率の増大を検出
   したときは加工状態の劣化を示す信号を発生する
   ことを特徴とする監視方法。 ２ 測定された加工液の抵抗率が所定値に到達し
   たとき信号を発生する請求項１記載の監視方法。 ３ 測定された加工液の抵抗率に比例する信号を
   基準値信号と比較して、一致したときに加工状態
   の劣化を示す信号を発生する請求項１記載の監視
   方法。 ４ 加工液の抵抗率の増大の勾配を測定し、この
   勾配が所定値に到達したら加工状態の劣化を示す
   信号を発生する請求項１記載の監視方法。 ５ ワイヤ電極による被加工物の放電加工を監視
   する監視方法において、 続く放電と放電との間に加工液の抵抗率を測定
   し、測定された加工液の抵抗率が所定値を越えた
   とき信号を発生し、この信号に応答して放電を遮
   断、もしくは加工電流を減少することを特徴とす
   る監視方法。 ６ ワイヤ電極による被加工物の放電加工を監視
   する監視装置において、 続く放電と放電との間に加工液の抵抗率を測定
   する手段、及び この測定した加工液の抵抗率を基準値と比較
   し、加工液の抵抗率が基準値を越えて増大すると
   き信号を発生する手段 を備えていることを特徴とする監視装置。 ７ ワイヤ電極による被加工物の放電加工を監視
   する監視装置において、 続く放電と放電との間に加工液の抵抗率を測定
   する手段、 この測定した加工液の抵抗率を基準値と比較
   し、加工液の抵抗率が基準値を越えて増大すると
   き信号を発生する手段及び この信号に応答して放電を遮断、もしくは加工
   電流を減少する手段 を備えていることを特徴とする監視装置。