JPH0224206B2 - - Google Patents
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- JPH0224206B2 JPH0224206B2 JP57079488A JP7948882A JPH0224206B2 JP H0224206 B2 JPH0224206 B2 JP H0224206B2 JP 57079488 A JP57079488 A JP 57079488A JP 7948882 A JP7948882 A JP 7948882A JP H0224206 B2 JPH0224206 B2 JP H0224206B2
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Landscapes
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本発明は、粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイ
ルムの製造方法に関するものである。 [従来の技術] 表面が粗面化されている合成樹脂フイルムの製
造方法には、 (1) エンボス法、サンドブラスト法,ワイヤブラ
シ法等による機械的な加工方法、 (2) 溶剤によるケミカルエツチング法等の化学的
方法、 (3) 2種以上の樹脂の混合樹脂や、填料を含有す
る樹脂等のブレンドされた製膜原料を利用する
方法、 (4) ポリプロピレン樹脂を溶融,押し出し後、徐
冷することによつて、β晶が生成されている原
反シートを得た後、これを二軸延伸処理の付
し、粗面化フイルムを得る方法、 等がある。 [発明が解決しようとする課題] ところで、前記(1)項のエンボス法による粗面化
フイルムの製造方法では、二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムのように弾性回復力の強いフイルムの
場合には、得られる永久歪の安定性が十分でな
く、高度の粗面化効果が得られなく、また、一般
的に、機械加工方法による粗面化方法の場合に
は、フイルムに導入される粗面が、フイルムの表
面に形成される傷に起因するものであるため、合
成樹脂フイルムが本来具備する諸種の機械的強度
が低下するという欠点を有する。 また、(2)項の化学的方法による粗面化方法は、
作業工程が煩雑であり、操業上の安定性がなく、
また、この方法を利用し得る合成樹脂フイルムに
制限がある等の欠点を有する。 さらに、(3)項のブレンドによる粗面化方法は、
製膜原料である合成樹脂中に異質物を含有させる
ものであるから、製膜工程中でゲルや気泡の発生
があり、得られる合成樹脂フイルムの機械的強度
が低下するという欠点がある。 また、(4)項のβ晶が生成されている原反シート
を得る方法を利用するものは、前記β晶が生成さ
れている原反シートを得る際の冷却工程、すなわ
ち、ポリプロピレン樹脂の溶融,押し出し後の冷
却工程が、ポリプロピレン樹脂の押し出しシート
の片面を徐冷し、同時にもう一方の片面を魚冷す
るものであるため、シートの厚さ方法におけるβ
晶生成のコントロールが難しく、α晶,スメチカ
晶層から明確に区別して観察されるβ晶層を形成
させることが困難であるため、引き続いて行なわ
れる延伸処理工程で、フイルムの内部にミクロな
ボイドが発生し易く、しかも、延伸時に歪みの発
生もあり、このことが、得られるポリプロピレン
樹脂フイルムの機械的および電気的性質を低下さ
せる。 これに対して、本発明の二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムの製造方法は、前記従来の粗面化フイ
ルムの製造方法における欠点をことごとく解消す
るものであつて、粗面が導入されていない二軸延
伸ポリプロピレンフイルムが本来具備するところ
の機械的性質や電気的性質を損なうことがなく、
しかも、表面が高度に粗面化されていることによ
つて、特にコンデンサー用絶縁フイルムとして利
用するような場合には、含浸油の含浸が大きく、
絶縁性能において優れた性質が得られる等の特長
を有する二軸延伸ポリプロピレンフイルムを、確
実に、かつ、効率良く得る方法を提供するもので
ある。 [課題を解決するための手段] 本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムの製造方法は、ポリプロピレン樹脂を溶融,押
し出し後、急冷して、β晶の存在していないポリ
プロピレン樹脂の原反シートを得る第1工程と、
得られた原反シートにおける片面もしくは両面
に、金属熱板を褶動させて加熱し、表層部分のみ
を溶融し、次いで、冷却することによつて、前記
表層部分のみが、光学顕微鏡等で視覚的に、α
晶,スメチカ晶層から明確に区別して観察される
β晶層とされているポリプロピレン樹脂シートを
得る第2工程と、得られたポリプロピレン樹脂シ
ートを二軸延伸処理して、前述の表層部分のみ
が、JIS K―6714によるヘイズ度が20%以上の高
度の粗化状態とされている二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムを得る第3工程とからなるものであ
る。 前記構成による本発明の粗面化二軸延伸ポリプ
ロピレンフイルムの製造方法において、ポリプロ
ピレン樹脂による原反シートには、ポリロピレン
ホモポリマーによるシートを初め、ポリプロピレ
ンと他のα・オレフイン類とのコポリマーやポリ
プロピレンと各種ポリマーのブレンド樹脂等によ
るシートが利用され、二軸延処理によつて得られ
るフイルムが、ポリプロピレン脂フイルムとして
の特徴を具備するようなポリプロピレン樹脂によ
るシートが利用される。 また、前記ポプロピレン樹脂による原反シート
は、β型結晶化核剤が含有されいるシートであつ
ても良いことは勿論である。 第2工程における金属熱板による褶動加熱は、
原反シートの表面に応力を与えながらの加熱であ
るため、原反シートの表層部分のみにβ晶をきわ
めて効率く生成させ得る。 第3工程の延伸処理は、延伸時におけるシート
の加熱温度が、ポリプロピレンのβ晶の融点以上
で、かつ、α晶の融点以下の温度とせされていれ
ば良く、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸のい
ずれの方法をも利用し得る。 [作 用] 本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムの製造方法においては、β晶の存在していない
ポリプロピレン樹脂の原反シートを、その片面も
しくは両面を加熱して、該シートの表層部分のみ
を溶融,冷却することによつて、表面層部分のみ
をβ晶を含む表層に変化させるものであつて、こ
の工程における加熱を、金属熱板の褶動によつて
行なうものである。 したがつて、前記加熱工程では、ポリプロピレ
ン樹脂シートの表面が応力を受けた状態で加熱さ
れるため、表面層におけるβ晶の生成効率が良好
であつて、第1工程で得られたβ晶の存在してい
ないポリプロピレン樹脂の原反シートが、α晶,
スメチカ晶等の結晶部分とβ晶を高度に含む表層
部分とに、明確に区別される多層構成のシートに
なる。 また、第3工程は、ポリプロピレン樹脂の原反
シートを二軸延伸処理し、二軸延伸ポリプロピレ
ン樹脂フイルムを得る従来の通常の延伸工程であ
つて、β晶の融点以上で、、かつ、α晶の融点以
下の範囲内の延伸温度による延伸を施すことによ
つて、β晶の生成が効率良く行なわれている表層
部分にのみ、フイブリル様の凹凸による高度の粗
面が導入される。 すなわち、第3工程においては、β晶の融点以
上で、かつ、α晶の融点以下の範囲内の延伸温度
による加熱によつて、原反シート中のβ晶がだけ
が選択的に融解するが、α晶は、セグメントの移
動が容易になつているもの、融解にまでは至らな
い状態になる。 したがつて、前述の状態にあるポリプロピレン
樹脂シートには延伸による張力が加えられるの
で、融解しているβ晶に延伸応力が集中し、延伸
の初期において融解したβ晶が陥没し、続いて、
延伸が進行するに従つて、前記β晶の陥没によつ
て生成した穴が互いに干渉し合つて、潰され合つ
たり、あるいは、拡大したりして、フイブリル様
の凹凸が生成するもので、β晶の生成がきわめて
効率良く行なわれている表層部分のみに前記フイ
ブリル様の凹凸が導入され、該層ががJIS K―
6714によるヘイズ度が20%以上となる高度の粗化
状態となる。 他方、β晶を含まないそれ以外の層は、粗化の
導入の全く無いα晶,スメチカ晶等の結晶層とな
つているので、該層には、延伸時のミクロなボイ
ドの生成や厚さ方向の延伸歪み等が皆無であるた
め、該層の存在が、本発明方法によつて得られる
二軸延伸ポリプロピレンフイルムに、粗面化され
ていない二軸延伸ポリプロピレンフイルムが本来
有するところの機械的および電気的特性をもたら
す。 [実施例] 以下、本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレン
フイルムの製造方法の具体的な構成を、製造実施
例をもつて説明する。 実施例 1 メルトインデツクス(JIS K―6758:以下同
様)1.7g/10分の結晶性ポリプロピレン樹脂を、
230℃で、Tダイからの常温の冷却ロール上に押
し出し、厚さ600μの原反シートを得た。 次いで、前記原反シートを100℃に加熱すると
同時に、原反シートの片面に450℃の熱板を褶動
させた後、さらに、該熱板の摺動面を110℃に冷
却することによつて、シートの厚さ方向75μがβ
晶が生成している表層からなり、該表層がその以
外のα晶,スメチカ晶層と明確に区別されている
ことが、偏光顕微鏡で確認されるほぼ完全な二層
構成のシートを得た。 なお、前記熱板の褶動による加熱は、円筒型電
気ヒーターを利用し、シートの走行速度15m/
min.で行なつた。 続いて、前記シートを、延伸温度約130℃で約
5倍の縦方向の延伸を行ない、さらに、延伸温度
約165℃で約8倍の横方向の延伸を行なうことに
よつて、厚さ15μの粗面化二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムAを得た。 実施例 2 前記実施例1の粗面化二軸延伸ポリプロピレン
フイルムAの製造工程中の第2工程である熱板の
褶動加熱工程を、熱板の温度580℃で実施する以
外の操作は、全て前記実施例1の対応する工程と
同一の工程によつて、厚さ15μの粗面化二軸延伸
ポリプロピレンフイルムBを得た。 実施例 3 β晶核剤γ―キナクリドン0.0005%(5ppm)
が添加されているメルトインデツクス1.7g/10分
の結晶性ポリプロピレン樹脂を使用して、前記実
施例1の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルム
Aの製造工程と全く同様に操作し、粗面化二軸延
伸ポリプロピレンフイルムCを得た。 なお、本実施例においても、延伸工程に付す前
のシートは、前記実施例1における延伸工程前の
シートと同様に、シートの厚さ方向75μにβ晶が
生成しており、β晶を含有する厚さ75μの表層
が、それ以外のα晶,スメチカ晶層等から明確に
区別され、ほぼ完全な二層構成を具備しているこ
とが、偏光顕微鏡によつて確認されている。 比較例 1 メルトインデツクス1.7g/10分の結晶性ポリプ
ロピレン樹脂を、230℃でTダイから常温の冷却
ロール上に押し出し、常温に急冷却させた厚さ
600μの原板シートを得た。 次いで、前記原反シートを100℃に加熱すると
同時に、該原反シートの片面に、火炎温度1000℃
のガスバーナーによる火炎処理を施し、その表面
を200〜230℃で溶融させた後、該処理面を110℃
に冷却することによつて、シートの厚さ方向75μ
にβ晶を含む表層が形成されているほぼ完全な二
層構成のシートを得た。 続いて、前記シートを、延伸温度約130℃で約
5倍の縦方向の延伸を行ない、さらに、延伸温度
約165℃で約8倍の横方向の延伸を行なうことに
よつて、比較のための厚さ15μの粗面化二軸延伸
ポリプロピレンフイルムDを得た。 比較例 2 前記比較例1における粗面化二軸延伸ポリプロ
ピレンフイルムDの製造工程中の第2工程の加熱
処理を、原反シートを120℃に加熱するのと同時
に、該原反シートの片面に、火炎温度1000℃のガ
バーナーによる火炎処理で行ない、それ以外の操
作は、全て比較例1の対応する工程を同様の操作
を施し、比較のための厚さ15μの粗面化二軸延伸
ポリプロピレンフイルムEを得た。 比較例 3 メルトインデツクス1.7g/10分の結晶性ポリプ
ロピレン樹脂を、230℃でTダイから常温の冷却
ロール上に押し出し、常温に冷却された原反シー
トを得るに当たり、冷却ロールの反対側の原反シ
ートを赤外線で加熱することによつて、片側が急
速冷却され、反対側が徐冷によつて冷却されてい
る厚さ600μの原反シートを得た。 得られた原反シートは、徐冷された側の表層か
ら内部に亙つてβ晶が観察され、β晶を含んでい
ない層との境界は、偏光顕微鏡による観察では不
明瞭であつた。 次いで、前記原反シートを、前述の実施例1に
おける延伸条件と同一の延伸条件で延伸し、厚さ
15μの比較のための粗面化二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムFを得た。 比較例 4 β晶核剤γ―キナクリドン0.0005%(5ppm)
が添加されているメルトインデツクス1.7g/10分
の結晶性ポリプロピレン樹脂を使用して、前記比
較例3の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルム
Fの製造工程と全く同様に操作し、厚さ15μの比
較のための粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムGを得た。 以上の実施例および比較例で得られた各粗面化
二軸延伸ポリプロピレンフイルムA〜Gについ
て、各フイルムにおけるヘイズ(%)引つ張に強
度(Kg/mm2),伸び率(%),絶縁破壊電圧
(KV)の測定結果を、第1表に示す。 なお、ヘイズ(%)は、JIS K―6714によつ
て、また、引つ張り強度(Kg/mm2)は、ASTM
D―882によつて、さらに、絶縁破壊電圧(KV)
は、JIS C―21116によつて測定した値である。
ルムの製造方法に関するものである。 [従来の技術] 表面が粗面化されている合成樹脂フイルムの製
造方法には、 (1) エンボス法、サンドブラスト法,ワイヤブラ
シ法等による機械的な加工方法、 (2) 溶剤によるケミカルエツチング法等の化学的
方法、 (3) 2種以上の樹脂の混合樹脂や、填料を含有す
る樹脂等のブレンドされた製膜原料を利用する
方法、 (4) ポリプロピレン樹脂を溶融,押し出し後、徐
冷することによつて、β晶が生成されている原
反シートを得た後、これを二軸延伸処理の付
し、粗面化フイルムを得る方法、 等がある。 [発明が解決しようとする課題] ところで、前記(1)項のエンボス法による粗面化
フイルムの製造方法では、二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムのように弾性回復力の強いフイルムの
場合には、得られる永久歪の安定性が十分でな
く、高度の粗面化効果が得られなく、また、一般
的に、機械加工方法による粗面化方法の場合に
は、フイルムに導入される粗面が、フイルムの表
面に形成される傷に起因するものであるため、合
成樹脂フイルムが本来具備する諸種の機械的強度
が低下するという欠点を有する。 また、(2)項の化学的方法による粗面化方法は、
作業工程が煩雑であり、操業上の安定性がなく、
また、この方法を利用し得る合成樹脂フイルムに
制限がある等の欠点を有する。 さらに、(3)項のブレンドによる粗面化方法は、
製膜原料である合成樹脂中に異質物を含有させる
ものであるから、製膜工程中でゲルや気泡の発生
があり、得られる合成樹脂フイルムの機械的強度
が低下するという欠点がある。 また、(4)項のβ晶が生成されている原反シート
を得る方法を利用するものは、前記β晶が生成さ
れている原反シートを得る際の冷却工程、すなわ
ち、ポリプロピレン樹脂の溶融,押し出し後の冷
却工程が、ポリプロピレン樹脂の押し出しシート
の片面を徐冷し、同時にもう一方の片面を魚冷す
るものであるため、シートの厚さ方法におけるβ
晶生成のコントロールが難しく、α晶,スメチカ
晶層から明確に区別して観察されるβ晶層を形成
させることが困難であるため、引き続いて行なわ
れる延伸処理工程で、フイルムの内部にミクロな
ボイドが発生し易く、しかも、延伸時に歪みの発
生もあり、このことが、得られるポリプロピレン
樹脂フイルムの機械的および電気的性質を低下さ
せる。 これに対して、本発明の二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムの製造方法は、前記従来の粗面化フイ
ルムの製造方法における欠点をことごとく解消す
るものであつて、粗面が導入されていない二軸延
伸ポリプロピレンフイルムが本来具備するところ
の機械的性質や電気的性質を損なうことがなく、
しかも、表面が高度に粗面化されていることによ
つて、特にコンデンサー用絶縁フイルムとして利
用するような場合には、含浸油の含浸が大きく、
絶縁性能において優れた性質が得られる等の特長
を有する二軸延伸ポリプロピレンフイルムを、確
実に、かつ、効率良く得る方法を提供するもので
ある。 [課題を解決するための手段] 本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムの製造方法は、ポリプロピレン樹脂を溶融,押
し出し後、急冷して、β晶の存在していないポリ
プロピレン樹脂の原反シートを得る第1工程と、
得られた原反シートにおける片面もしくは両面
に、金属熱板を褶動させて加熱し、表層部分のみ
を溶融し、次いで、冷却することによつて、前記
表層部分のみが、光学顕微鏡等で視覚的に、α
晶,スメチカ晶層から明確に区別して観察される
β晶層とされているポリプロピレン樹脂シートを
得る第2工程と、得られたポリプロピレン樹脂シ
ートを二軸延伸処理して、前述の表層部分のみ
が、JIS K―6714によるヘイズ度が20%以上の高
度の粗化状態とされている二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムを得る第3工程とからなるものであ
る。 前記構成による本発明の粗面化二軸延伸ポリプ
ロピレンフイルムの製造方法において、ポリプロ
ピレン樹脂による原反シートには、ポリロピレン
ホモポリマーによるシートを初め、ポリプロピレ
ンと他のα・オレフイン類とのコポリマーやポリ
プロピレンと各種ポリマーのブレンド樹脂等によ
るシートが利用され、二軸延処理によつて得られ
るフイルムが、ポリプロピレン脂フイルムとして
の特徴を具備するようなポリプロピレン樹脂によ
るシートが利用される。 また、前記ポプロピレン樹脂による原反シート
は、β型結晶化核剤が含有されいるシートであつ
ても良いことは勿論である。 第2工程における金属熱板による褶動加熱は、
原反シートの表面に応力を与えながらの加熱であ
るため、原反シートの表層部分のみにβ晶をきわ
めて効率く生成させ得る。 第3工程の延伸処理は、延伸時におけるシート
の加熱温度が、ポリプロピレンのβ晶の融点以上
で、かつ、α晶の融点以下の温度とせされていれ
ば良く、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸のい
ずれの方法をも利用し得る。 [作 用] 本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムの製造方法においては、β晶の存在していない
ポリプロピレン樹脂の原反シートを、その片面も
しくは両面を加熱して、該シートの表層部分のみ
を溶融,冷却することによつて、表面層部分のみ
をβ晶を含む表層に変化させるものであつて、こ
の工程における加熱を、金属熱板の褶動によつて
行なうものである。 したがつて、前記加熱工程では、ポリプロピレ
ン樹脂シートの表面が応力を受けた状態で加熱さ
れるため、表面層におけるβ晶の生成効率が良好
であつて、第1工程で得られたβ晶の存在してい
ないポリプロピレン樹脂の原反シートが、α晶,
スメチカ晶等の結晶部分とβ晶を高度に含む表層
部分とに、明確に区別される多層構成のシートに
なる。 また、第3工程は、ポリプロピレン樹脂の原反
シートを二軸延伸処理し、二軸延伸ポリプロピレ
ン樹脂フイルムを得る従来の通常の延伸工程であ
つて、β晶の融点以上で、、かつ、α晶の融点以
下の範囲内の延伸温度による延伸を施すことによ
つて、β晶の生成が効率良く行なわれている表層
部分にのみ、フイブリル様の凹凸による高度の粗
面が導入される。 すなわち、第3工程においては、β晶の融点以
上で、かつ、α晶の融点以下の範囲内の延伸温度
による加熱によつて、原反シート中のβ晶がだけ
が選択的に融解するが、α晶は、セグメントの移
動が容易になつているもの、融解にまでは至らな
い状態になる。 したがつて、前述の状態にあるポリプロピレン
樹脂シートには延伸による張力が加えられるの
で、融解しているβ晶に延伸応力が集中し、延伸
の初期において融解したβ晶が陥没し、続いて、
延伸が進行するに従つて、前記β晶の陥没によつ
て生成した穴が互いに干渉し合つて、潰され合つ
たり、あるいは、拡大したりして、フイブリル様
の凹凸が生成するもので、β晶の生成がきわめて
効率良く行なわれている表層部分のみに前記フイ
ブリル様の凹凸が導入され、該層ががJIS K―
6714によるヘイズ度が20%以上となる高度の粗化
状態となる。 他方、β晶を含まないそれ以外の層は、粗化の
導入の全く無いα晶,スメチカ晶等の結晶層とな
つているので、該層には、延伸時のミクロなボイ
ドの生成や厚さ方向の延伸歪み等が皆無であるた
め、該層の存在が、本発明方法によつて得られる
二軸延伸ポリプロピレンフイルムに、粗面化され
ていない二軸延伸ポリプロピレンフイルムが本来
有するところの機械的および電気的特性をもたら
す。 [実施例] 以下、本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレン
フイルムの製造方法の具体的な構成を、製造実施
例をもつて説明する。 実施例 1 メルトインデツクス(JIS K―6758:以下同
様)1.7g/10分の結晶性ポリプロピレン樹脂を、
230℃で、Tダイからの常温の冷却ロール上に押
し出し、厚さ600μの原反シートを得た。 次いで、前記原反シートを100℃に加熱すると
同時に、原反シートの片面に450℃の熱板を褶動
させた後、さらに、該熱板の摺動面を110℃に冷
却することによつて、シートの厚さ方向75μがβ
晶が生成している表層からなり、該表層がその以
外のα晶,スメチカ晶層と明確に区別されている
ことが、偏光顕微鏡で確認されるほぼ完全な二層
構成のシートを得た。 なお、前記熱板の褶動による加熱は、円筒型電
気ヒーターを利用し、シートの走行速度15m/
min.で行なつた。 続いて、前記シートを、延伸温度約130℃で約
5倍の縦方向の延伸を行ない、さらに、延伸温度
約165℃で約8倍の横方向の延伸を行なうことに
よつて、厚さ15μの粗面化二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムAを得た。 実施例 2 前記実施例1の粗面化二軸延伸ポリプロピレン
フイルムAの製造工程中の第2工程である熱板の
褶動加熱工程を、熱板の温度580℃で実施する以
外の操作は、全て前記実施例1の対応する工程と
同一の工程によつて、厚さ15μの粗面化二軸延伸
ポリプロピレンフイルムBを得た。 実施例 3 β晶核剤γ―キナクリドン0.0005%(5ppm)
が添加されているメルトインデツクス1.7g/10分
の結晶性ポリプロピレン樹脂を使用して、前記実
施例1の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルム
Aの製造工程と全く同様に操作し、粗面化二軸延
伸ポリプロピレンフイルムCを得た。 なお、本実施例においても、延伸工程に付す前
のシートは、前記実施例1における延伸工程前の
シートと同様に、シートの厚さ方向75μにβ晶が
生成しており、β晶を含有する厚さ75μの表層
が、それ以外のα晶,スメチカ晶層等から明確に
区別され、ほぼ完全な二層構成を具備しているこ
とが、偏光顕微鏡によつて確認されている。 比較例 1 メルトインデツクス1.7g/10分の結晶性ポリプ
ロピレン樹脂を、230℃でTダイから常温の冷却
ロール上に押し出し、常温に急冷却させた厚さ
600μの原板シートを得た。 次いで、前記原反シートを100℃に加熱すると
同時に、該原反シートの片面に、火炎温度1000℃
のガスバーナーによる火炎処理を施し、その表面
を200〜230℃で溶融させた後、該処理面を110℃
に冷却することによつて、シートの厚さ方向75μ
にβ晶を含む表層が形成されているほぼ完全な二
層構成のシートを得た。 続いて、前記シートを、延伸温度約130℃で約
5倍の縦方向の延伸を行ない、さらに、延伸温度
約165℃で約8倍の横方向の延伸を行なうことに
よつて、比較のための厚さ15μの粗面化二軸延伸
ポリプロピレンフイルムDを得た。 比較例 2 前記比較例1における粗面化二軸延伸ポリプロ
ピレンフイルムDの製造工程中の第2工程の加熱
処理を、原反シートを120℃に加熱するのと同時
に、該原反シートの片面に、火炎温度1000℃のガ
バーナーによる火炎処理で行ない、それ以外の操
作は、全て比較例1の対応する工程を同様の操作
を施し、比較のための厚さ15μの粗面化二軸延伸
ポリプロピレンフイルムEを得た。 比較例 3 メルトインデツクス1.7g/10分の結晶性ポリプ
ロピレン樹脂を、230℃でTダイから常温の冷却
ロール上に押し出し、常温に冷却された原反シー
トを得るに当たり、冷却ロールの反対側の原反シ
ートを赤外線で加熱することによつて、片側が急
速冷却され、反対側が徐冷によつて冷却されてい
る厚さ600μの原反シートを得た。 得られた原反シートは、徐冷された側の表層か
ら内部に亙つてβ晶が観察され、β晶を含んでい
ない層との境界は、偏光顕微鏡による観察では不
明瞭であつた。 次いで、前記原反シートを、前述の実施例1に
おける延伸条件と同一の延伸条件で延伸し、厚さ
15μの比較のための粗面化二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムFを得た。 比較例 4 β晶核剤γ―キナクリドン0.0005%(5ppm)
が添加されているメルトインデツクス1.7g/10分
の結晶性ポリプロピレン樹脂を使用して、前記比
較例3の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルム
Fの製造工程と全く同様に操作し、厚さ15μの比
較のための粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムGを得た。 以上の実施例および比較例で得られた各粗面化
二軸延伸ポリプロピレンフイルムA〜Gについ
て、各フイルムにおけるヘイズ(%)引つ張に強
度(Kg/mm2),伸び率(%),絶縁破壊電圧
(KV)の測定結果を、第1表に示す。 なお、ヘイズ(%)は、JIS K―6714によつ
て、また、引つ張り強度(Kg/mm2)は、ASTM
D―882によつて、さらに、絶縁破壊電圧(KV)
は、JIS C―21116によつて測定した値である。
【表】
[発明の効果]
本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイル
ムの製造方法は、ポリプロピレン樹脂を溶融,押
し出し後、急冷して、β晶の存在していないポリ
プロピレン樹脂の原反シートを得た後、該シート
における片面もしくは両面に、金属熱板を褶動さ
せて加熱し、表層部分のみを溶融し、次いで、冷
却することによつて、前記表層部分のみを、光学
顕微鏡等で視覚的に、α晶,スメチカ晶層から明
確に区別して観察されるβ晶層に変化させ、しか
る後に、二軸延伸処理を施して、前記表層部分の
みが、JIS K―6714によるヘイズ度が20%以上の
高度の粗化されているフイルムを得るものであ
る。 しかして、本発明方法においては、ポリプロピ
レン樹脂の原反シートにおける片面もしくは両面
を加熱し、該シートの表層部分のみを溶融し、こ
れを冷却することによつて、前記表面層部分のみ
をβ晶を含む表層に変化させる工程での加熱操作
を、金属熱板の褶動によつて行なうものであるか
ら、前記原反シートの表層をβ晶を含む層に変化
させる工程が、ポリプロピレン樹脂シートの表面
が応力を受けた状態での加熱でなされていること
によつて、表層におけるβ晶の生成効率が極めて
良好であり、表層のみが高度に粗面化されている
二軸延伸ポリプロピレンフイルムが得られる。 したがつて、本発明の二軸延伸ポリプロピレン
フイルムの製造方法では、例えば、コンデンサー
用絶縁フイルムとして利用するような場合に、β
晶を含む表層における高度の粗面化状態によつ
て、含浸油の含浸量が大きく、しかも、β晶を含
む表層以外のα晶,スメチカ晶等による結晶層に
よつて、粗面化されていない二軸延伸ポリプロピ
レンフイルムと同様の機械的性質が電気的性質が
奏されるので、機械的性質および電気的性質にお
いても優れた作用を奏するポリプロピレンフイル
ムが得られる。 また、本本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムの製造方法では、原反シートを得る際
の冷却工程において急冷却を行なつているので、
延伸に付される原反シートは、第2工程での加熱
工程で溶融された表層部分以外が、密度の低いポ
リプロピレン樹脂で形成されているので、二軸延
伸工程での原反シートの延伸性が非常に良好であ
り、延伸温度,延伸倍率,延伸スピード等の延伸
条件のコントロールを、広範囲の中から選択して
利用し得る。
ムの製造方法は、ポリプロピレン樹脂を溶融,押
し出し後、急冷して、β晶の存在していないポリ
プロピレン樹脂の原反シートを得た後、該シート
における片面もしくは両面に、金属熱板を褶動さ
せて加熱し、表層部分のみを溶融し、次いで、冷
却することによつて、前記表層部分のみを、光学
顕微鏡等で視覚的に、α晶,スメチカ晶層から明
確に区別して観察されるβ晶層に変化させ、しか
る後に、二軸延伸処理を施して、前記表層部分の
みが、JIS K―6714によるヘイズ度が20%以上の
高度の粗化されているフイルムを得るものであ
る。 しかして、本発明方法においては、ポリプロピ
レン樹脂の原反シートにおける片面もしくは両面
を加熱し、該シートの表層部分のみを溶融し、こ
れを冷却することによつて、前記表面層部分のみ
をβ晶を含む表層に変化させる工程での加熱操作
を、金属熱板の褶動によつて行なうものであるか
ら、前記原反シートの表層をβ晶を含む層に変化
させる工程が、ポリプロピレン樹脂シートの表面
が応力を受けた状態での加熱でなされていること
によつて、表層におけるβ晶の生成効率が極めて
良好であり、表層のみが高度に粗面化されている
二軸延伸ポリプロピレンフイルムが得られる。 したがつて、本発明の二軸延伸ポリプロピレン
フイルムの製造方法では、例えば、コンデンサー
用絶縁フイルムとして利用するような場合に、β
晶を含む表層における高度の粗面化状態によつ
て、含浸油の含浸量が大きく、しかも、β晶を含
む表層以外のα晶,スメチカ晶等による結晶層に
よつて、粗面化されていない二軸延伸ポリプロピ
レンフイルムと同様の機械的性質が電気的性質が
奏されるので、機械的性質および電気的性質にお
いても優れた作用を奏するポリプロピレンフイル
ムが得られる。 また、本本発明の粗面化二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルムの製造方法では、原反シートを得る際
の冷却工程において急冷却を行なつているので、
延伸に付される原反シートは、第2工程での加熱
工程で溶融された表層部分以外が、密度の低いポ
リプロピレン樹脂で形成されているので、二軸延
伸工程での原反シートの延伸性が非常に良好であ
り、延伸温度,延伸倍率,延伸スピード等の延伸
条件のコントロールを、広範囲の中から選択して
利用し得る。
Claims (1)
- 1 ポリプロピレン樹脂を溶融,押し出し後、急
冷して得られたポリプロピレン樹脂の原反シート
を、該シートにおける片面もしくは両面に、金属
熱板を褶動させて加熱し、該表層部分のみを溶融
し、次いで、冷却することによつて、前記表層部
分のみを、光学顕微鏡等で視覚的に、α晶,スメ
チカ晶層から明確に区別して観察されるβ晶層に
変化させ、しかる後に、二軸延伸処理を施して、
前記表層部分のみが、JIS K―6714によるヘイズ
度が20%以上に粗化されているフイルムを得るこ
とを特徴とする粗面化二軸延伸ポリプロピレンフ
イルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7948882A JPS58197025A (ja) | 1982-05-12 | 1982-05-12 | 粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7948882A JPS58197025A (ja) | 1982-05-12 | 1982-05-12 | 粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58197025A JPS58197025A (ja) | 1983-11-16 |
JPH0224206B2 true JPH0224206B2 (ja) | 1990-05-28 |
Family
ID=13691280
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7948882A Granted JPS58197025A (ja) | 1982-05-12 | 1982-05-12 | 粗面化二軸延伸ポリプロピレンフイルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58197025A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022123915A1 (ja) | 2020-12-07 | 2022-06-16 | ホヤ レンズ タイランド リミテッド | 眼鏡レンズの加工方法及び眼鏡レンズの加工プログラム |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3341358B2 (ja) * | 1992-06-19 | 2002-11-05 | 新日本理化株式会社 | β晶系ポリプロピレン延伸フィルム及びその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58188627A (ja) * | 1982-04-30 | 1983-11-04 | Toray Ind Inc | ポリプロピレンフイルムの製造方法 |
-
1982
- 1982-05-12 JP JP7948882A patent/JPS58197025A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58188627A (ja) * | 1982-04-30 | 1983-11-04 | Toray Ind Inc | ポリプロピレンフイルムの製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022123915A1 (ja) | 2020-12-07 | 2022-06-16 | ホヤ レンズ タイランド リミテッド | 眼鏡レンズの加工方法及び眼鏡レンズの加工プログラム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58197025A (ja) | 1983-11-16 |
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