JPH0223576Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、箱内に複数の壜を収納する場合にこ
れらの壜を相互に接触させずかつ安定よく保持す
るための包装用緩衝材に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

多数の壜を箱の中に収納して輸送したり、運搬
する場合には、箱内の壜が互いに接触して割れる
ことのないようにすることが必要である。このた
め従来は、厚紙または段ボール等を十字に交叉さ
せたものが用いられていたが、この挿入作業に手
数を要する等の欠点を有することから近年、凹部
及び凸部が形成され二つ折りにして箱内の壜の間
に挿入して壜相互の接触を防ぐ合成樹脂等よりな
る包装箱用緩衝材（実公昭46−22238号公報及び
実公昭49−29988号公報）が提案された。しかし、
上記のものはいずれも壜相互の接触は防ぐことが
できるものの、壜の底面および側面が箱の底面お
よび側面に接触しているため、外部から箱の底面
または側面に衝撃が加わつた場合、例えば壜が収
納された箱を床等に勢いよく置いた場合に、その
衝撃が壜に直接伝わり、壜が割れるおそれがあつ
た。また、壜を収納する箱が若干大きすぎると、
上記の衝撃材等がずれたり、また輸送や運搬の際
の振動によつて中の壜ががたついたりするという
欠点があつた。

本考案は包装用緩衝材において上記の欠点を解
消するためになされたもので、壜相互の接触を防
止できかつ壜ががたつかず安定よく保持できると
ともに、包装箱の外部からの衝撃を吸収できる緩
衝保護効果の優れた包装用緩衝材を提供するもの
である。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の欠点を解消するために、本考案の包装用
緩衝材は、合成樹脂発泡シートにより両半部を中
央の折曲部を介して折曲可能に形成してなり、前
記両半部には、壜の胴部を前記折曲部と直交方向
に嵌合できる複数の凹部が仕切部となる凸部を介
して隣接するように並設されるとともに、前記折
曲部と相対する側の端部に、前記凹部に嵌合する
壜の底部を受ける底面部が設けられ、該底面部の
開口側の縁部に裏面側への折曲縁が設けられてな
ることを特徴とする。

〔作用〕

この包装用緩衝材によれば、両半部の凹部が外
方を向くように折曲部で二つ折りにして下方ほど
若干広がつた状態で包装箱内に設置し、複数の壜
を各凹部に嵌合すると、凹部及びその仕切部とな
る凸部によつてそれぞれの壜を個々的に保持で
き、壜相互の接触を防止するとともに、素材シー
トの弾力性も加わつて横方向の衝撃を効果的に緩
和できる。

また、箱の底面に対しては壜の底を受ける底面
部に設けられた下方への折曲縁で接し、底面部は
箱の底面より浮き上つた状態になり、素材自体の
弾力性とも相まつて上下方向にも優れた緩衝性を
有することとなる。

さらに、この緩衝材の凹部、凸部および底面部
が壜の胴部および底部の両方を支持するととも
に、この緩衝材が下方ほど若干開いて壜を内方へ
傾いた状態にすることによつて壜を安定に保持
し、また壜の胴部が直接箱の側面に接触せず壜と
箱の側面との間には間隙を有することになつて、
外部から衝撃を受けてもその衝撃は直接壜の側面
には伝わらない。

〔実施例〕

以下、図面に基いて本考案の一実施例を説明す
る。

Ａは合成樹脂発泡シートにより形成された本考
案に係る包装用緩衝材で、両半部ａ，ｂが両者の
中央の折曲部１を介して背中状に折曲可能になる
よう互いに対称形をなしている。２ａおよび２ｂ
は壜の胴部を前記折曲部１と直交する方向に嵌合
できる複数の凹部で、その間に仕切部となる凸部
３ａ，３ｂを介して隣接するようにかつ一方の端
部が折曲部に沿うように並設されている。４ａお
よび４ｂは前記凹部に嵌合する壜の底部を受ける
底面部で、前記折曲部と相対する側の端部に設け
られており、その底面部４ａ，４ｂの開口側の縁
部には裏面側への折曲縁５ａ，５ｂが設けられて
いる。この折曲縁５ａ，５ｂは底面部４ａ，４ｂ
との間に間隙を有するよう折返し形成されてお
り、このように形成することによつて二つ折りに
して箱内に設置したとき箱の底面に接する折曲縁
５ａ，５ｂ自体がその屈曲部で弾力性を有するこ
ととなり、緩衝効果が一層高まる。また、６ａ，
６ｂは凹部２ａ，２ｂ内面の中央に縦方向に設け
られた凹陥部で、これによつて凹部２ａ，２ｂが
補強されるとともに、凹部２ａ，２ｂ背面どうし
の対接に対して緩衝性を与えている。７ａ，７ｂ
は中央部の底面部４ａ，４ｂ下面に突出形成され
た下方への突部で、ダンボール箱等の包装箱底面
の短辺フラツプによる段差によつて折曲縁５ａ，
５ｂの中央部が底面に接しないで浮いた状態にな
り、壜の重みでこの包装用緩衝材Ａが彎曲するお
それがあるので、これを防止すべく設けている。
なお、折曲縁５ａ，５ｂの中央部を前記段差に対
応するよう形成しておくこともできる。

なお、本考案の包装用緩衝材の素材である合成
樹脂発泡シートとしてはポリスチレンおよびスチ
レンを主体とする共重合体等のスチレン系樹脂、
ポリオレフイン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂その
他の熱可塑性樹脂を主としてシート状に押出し発
泡成形した発泡シート等が緩衝性、断熱性および
適度の剛性を備えており好適に使用できる。

前記折曲部１は断面Ｖ形溝その他の凹条に加熱
押圧等の手段により形成でき、特に加熱押圧によ
ると折曲部１が樹脂化して強度が増す。上記のよ
うな凹条は１本であつても２本以上であつても差
し支えない。また、折曲可能な素材からなる場合
には折曲部１に特に凹条を設けなくともよい。

本考案の包装用緩衝材Ａを使用する際には、両
半部ａ，ｂに設けられた凹部２ａ，２ｂが外方を
向くようこの緩衝材Ａを二つ折りにして、両半部
ａ，ｂの下部が若干開いた状態で包装箱１０内に
設置し、両半部ａ，ｂの各凹部２ａ，２ｂ内に壜
１１を嵌合すればよく、これらの壜１１は内方へ
僅かに傾斜した状態で個々的に保持されることに
なる。なお、前記両半部ａ，ｂ下部の開き具合は
箱の寸法によつて定まる。

〔考案の効果〕

本考案の包装用緩衝材によれば、両半部を二つ
折りにして箱内に設置しておいて、複数の壜を前
記両半部の各凹部に嵌合することによつて各壜を
個々的に隔離状態に保持して収納でき、壜相互の
接触を防止できるので、素材自体の弾力性とも相
まつて、輸送や運搬の途中に壜が割れるようなこ
ともなくなる。また、両半部の下端には壜を受け
る底面部を有し、しかも該底面部の開口側の縁部
に折曲縁が設けられており、箱の底面にはこの折
曲縁で接し、底面部は箱底との間に間隙を存し浮
いた状態となつて、上下方向に弾力性を有するの
で、壜の底部への衝撃を緩和することができ、壜
が収納された箱を床等に勢いよく置いた場合など
にも中の壜が割れないという効果があり、またこ
の折曲縁が底面部の縁部を補強することにもな
る。さらに、この緩衝材は両半部が下部ほど若干
開いた状態で使用されるので、壜は内方へ傾斜し
て収納されることとなり、安定よく保持され、壜
を収納する箱が若干大きすぎる場合でも中の壜が
揺れ動くこともなく、また壜の胴部と箱の側面が
接触せず間隙を存した状態となるので、箱側面へ
外部から衝撃が加わつた場合でもその衝撃は直接
壜へ伝わらず壜が割れることもない。そのうえ合
成樹脂発泡シートで形成されているため、軽量
で、しかも不使用時には入れ子式に多数積み重ね
て嵩低い状態で容易に取扱うことができ、また全
体を一体に成型でき、容易かつ安価に提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例を示す斜視
図及び縦断面図で、第３図及び第４図は同実施例
の使用状態を示す斜視図及び縦断面図である。 Ａ……包装用緩衝材、ａ，ｂ……半部、２ａ，
２ｂ……凹部、３ａ，３ｂ……凸部、４ａ，４ｂ
……底面部、５ａ，５ｂ……折曲縁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 合成樹脂発泡シートにより両半部を中央の折
   曲部を介して折曲可能に形成してなり、前記両
   半部には、壜の胴部を前記折曲部と直交方向に
   嵌合できる複数の凹部が仕切部となる凸部を介
   して隣接するように並設されるとともに、前記
   折曲部と相対する側の端部に前記凹部に嵌合す
   る壜の底部を受ける底面部が設けられ、該底面
   部の開口側の縁部に裏面側への折曲縁が設けら
   れてなることを特徴とする包装用緩衝材。 ２ 折曲縁が底面部との間に間隙を有するよう折
   返し形成されたものである実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の包装用緩衝材。