JPH0223180Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のリヤシート装置に関する。
さらに詳しくは、前後回動可能なリクライニング
式のシートバツクと、該シートバツクの上部に配
設されたヘツドレストとを備え、シートバツクの
回動（傾動）に応じてヘツドレストもそれ自体が
前後動する自動車のリヤシート装置に関する。

（従来技術） シートバツクとヘツドレストとの間の最適な位
置関係は、シートバツクの傾き角度によつて変化
する。従つて、シートバツクが前後回動可能なリ
クライニング式である場合は、シートバツクの回
動に応じてヘツドレストを前後動させ、両者の位
置関係を常に最適状態に維持できるようにするこ
とが望ましい。

例えば、シートバツクに対するヘツドレストの
取付位置が、シートバツクが最も前方に回動して
いる状態において最適なものである場合、両者の
位置関係を一定に維持したままでシートバツクを
後方に回動させるとヘツドレストが後方に傾き過
ぎて頭を十分にささえることができなくなる。従
つて、上記の場合はシートバツクの後方回動に応
じてヘツドレストを前方に移動、即ち前方に平行
移動あるいは前方に回動させることが望ましい。

この様な要望に基づいて、シートバツクの前後
回動に応じてヘツドレストを回動させる様にした
シート装置が、実開昭58−14754号公報に開示さ
れている。この従来装置は、第４図に示す様に、
シートクツシヨン１に固設した歯車２と、シート
バツク３に回動可能に設けた歯付ドラム４と、歯
車２と歯付ドラム４とに掛け渡した歯付ベルト５
とを備え、シートバツク３を矢印Ａ方向に後方回
動させると、固設歯車２と歯付ベルト５とによつ
て歯付ドラム４が矢印Ｂ方向に回動し、それによ
り保持部材６を介してヘツドレスト７が矢印Ｃ方
向に前方回動、即ち本来７ａに位置すべきヘツド
レストを前方回動させて７ｂに位置させるように
構成されている。

しかしながら、上記従来装置においては、シー
トバツク３の回動に応じてヘツドレストを回動さ
せるために歯付ベルト５を使用しているので、シ
ートの前後回動を繰り返しているうちにベルトの
ゆるみが生じ、作動が不確実になる恐れがある。
また、図示の如く歯付ベルト５をシートバツク３
中に埋設する必要があるため、シートバツクの表
面３ａの裏側近傍にベルト５が位置することとな
り、シートバツク３のクツシヨン性を損なうおそ
れがある。

（考案の目的） 本考案の目的は、上記事情に鑑み、シートバツ
クの回動に応じてヘツドレストを移動させること
ができると共に、長期間にわたつて作動（両者の
連動）が確実であり、シートバツクのクツシヨン
性を損なうおそれのない自動車のリヤシート装置
に関する。

（考案の構成） 本考案に係る自動車のリヤシート装置は、上記
目的を達成するため、ヘツドレストを保持する保
持アームをシートバツクに固設した支持部材によ
つて回動可能に支持し、この保持アームの回動に
よつてヘツドレストを前後動（前後方向の平行移
動あるいは前後回動）するように構成し、一方、
上記シートバツクと共に回動するシートバツク連
動部材を設け、この連動部材に第１ロツドの下端
を回動可能に連結すると共に第１ロツドの上端を
第２ロツドの下端に回動可能に連結し、両ロツド
の連結点を車体側に固定したガイド部材により上
下方向にスライドするように規制し、この第２ロ
ツドの上端を上記ヘツドレスト保持アームに回動
可能に連結して成り、上記シートバツクが前後に
回動するとそれに応じてシートバツク連動部材が
回動し、この回動に応じて上端が上下方向にスラ
イドする様に規制されている第１ロツドが上下動
し、これに応じて第２ロツドも上下動すると共に
この第２ロツドの上下動により上記ヘツドレスト
保持アームが回動し、この保持アームの回動によ
りヘツドレストが前後動するように構成したこと
を特徴とする。

（実施例） 以下、本考案の実施例について、図面を参照し
ながら説明する。

第１図は本考案に係る自動車のリヤシート装置
の一実施例を示す側面図、第２図は第１図中のガ
イド部材を拡大して示す斜視図、第３図は第１図
中のヘツドレスト支持構造を拡大して示す側面図
である。

本実施例は、図示の如く、車体フロア１０ａ上
に載置されたシートクツシヨン１１と、下端近傍
で前後回動可能に支持されたシートバツク１２
と、該シートバツク１２の上部に配設されたヘツ
ドレスト１３とを備えて成る。

上記シートバツク１２は、その下端部に固設さ
た支持アーム１４をシートクツシヨン１１の後端
部に固設された支持アーム１５に軸１６を介して
回動可能に連結することにより、シートバツク１
２の下端部近傍で回動可能に支持されている。

上記ヘツドレスト１３は、シートバツクフレー
ム１７を介してシートバツク１２に固設された支
持部材２０と、この支持部材２０に回動可能に支
持されたヘツドレスト保持アーム２１とによつて
保持されている。即ち、第３図に示す様に、シー
トバツク１２に固設された支持部材２０の上端に
横部材２０ａを固設し、この横部材２０ａの前後
端部において前方保持アーム２１ａと後方保持ア
ーム２１ｂとを回動可能に支持し、両保持アーム
２１ａ，２１ｂの上端部をヘツドレスト１３に回
動可能に連結してある。また、前方保持アーム２
１ａの下端部には横方向に突出した延長部分が形
成され、この延長部分に以下に述べる第２ロツド
の上端が回動可能に連結されている。

また、上記シートバツク１２に固設されてシー
トバツク１２と共に回動する支持アーム１４に
は、横方向に突出した延長部分から成るシートバ
ツク連動部材２３が設けられている。このシート
バツク連動部材２３は必ずしも支持アーム１４に
設けられたものである必要はなく、シートバツク
１２と共に一体的にあるいは同期して回動するも
のであれば良い。このシートバツク連動部材２３
には第１ロツド２４の下端が回動可能に連結さ
れ、第１ロツド２４の上端は第２ロツド２５の下
端に回動可能に連結され、第２ロツド２５の上端
は前述の如く前方保持アーム２１ａの延長部分に
回動可能に連結されている。また、両ロツド２
４，２５の連結点２７は車体１０に固設されたガ
イド部材２６により上下方向（矢印Ｄ方向）にス
ライドすべくガイドされている。即ち、車体１０
に固設されたガイド部材２６には上下方向のガイ
ド溝２６ａが形成され、両ロツド２４，２５の連
結点２７の連結ピン２７ａをこのガイド溝２６ａ
に係合させてある。

次に、上記実施例の作動について説明する。

まず、シートバツク１２を回動中心である軸１
６を中心として後方（矢印Ａ方向）に回動させ
る。すると、この回動と一体的にシートバツク連
動部材２３が同方向に回動し、第１ロツド２４の
下端も同方向に回動する。そして、第１ロツド２
４の上端はガイド部材２６により上下方向にのみ
スライドするように規制されているのでこの場合
下方向にスライドし、それに伴つて第２ロツド２
５が下方向に移動する。ところが、第２ロツド２
５自体は下方に移動するが、シートバツク１２の
後方回動に伴つてヘツドレスト１３が下方に下が
つており、しかもこのヘツドレスト１３の下方移
動量よりも第２ロツド２５のそれの方が小さいの
で第２ロツド２５はヘツドレスト１３に対しては
上方に突き上げる形となり、それにより第３図に
示すように前方保持アーム２１ａが矢印Ｅ方向に
回動し、ヘツドレスト１３を介して後方保持アー
ム２１ｂも同方向に回動する。従つて、ヘツドレ
スト１３は支持部材の横部材２０ａに対して前方
（矢印Ｆ方向）に平行移動する。

上記実施例は、２本の保持アーム２１ａ，２１
ｂを用い、この２本の保持アーム２１ａ，２１ｂ
と横部材２０ａおよびヘツドレスト１３とで平行
リンクを構成し、前方保持アーム２１ａの回動に
よりヘツドレスト１３を前後に平行移動させるよ
うに構成されているが、例えば後方保持アーム２
１ｂを省略し、かつ前方保持アーム２１ａの上端
部をヘツドレストに固定的に連結することにより
この前方保持アーム２１ａの前後回動に伴つてヘ
ツドレストを前後回動させるように構成すること
も可能である。

（考案の効果） 本考案に係る自動車のリヤシート装置は、上述
の様に、シートバツクの回動に伴つて第１ロツド
及び第２ロツドを上下動させ、第２ロツドの上下
動によりヘツドレストを前後動即ち前後方向の平
行移動あるいは前後回動させるように構成されて
いる。

従つて、シートバツクの後方回動に伴つてヘツ
ドレストを自動的に前方へ移動させることがで
き、シートバツクの後方回動時においても乗員の
頭を十分に支持することができる。

また、上記シートバツクの回動とヘツドレスト
の前後動はリング機構によつて連動するように構
成されているので、長期間にわたつて確実に行な
われ、作動が不確実になるおそれがない。

また、上記リンク機構は従来例の歯付ベルト機
構の如き厚さを必要としないのでシートバツクの
後方に配設することができ、従つてシートバツク
のクツシヨン性を損なうおそれもない。

さらに、ヘツドレストを前後動させるにあたつ
て前後回動ではなく図示実施例の如く前後平行移
動させるように構成すれば、シートバツク後方回
動時にヘツドレストは前方に平行移動して頭を面
接触により十分にかつ安定的に支持することがで
き、ヘツドレストを単に前方に回動させるのみで
は頭とヘツドレストは点接触となり支持はされる
が安定性に欠けるという不都合を回避できるので
より好都合である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置の一実施例を示す側
面図、第２図は第１図におけるガイド部材の詳細
を示す斜視図、第３図は第１図におけるヘツドレ
スト支持構造の詳細を示す側面図、第４図は従来
例を示す側面図である。 １２……シートバツク、１３……ヘツドレス
ト、１７……支持部材、２１……保持アーム、２
３……シートバツク連動部材、２４……第１ロツ
ド、２５……第２ロツド、２６……ガイド部材、
２７……連結点。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下端近傍で前後回動可能に支持されたシートバ
   ツクと、該シートバツクの上部に配設されたヘツ
   ドレストとを備えて成る自動車のリヤシート装置
   において、 上記ヘツドレストが、上記シートバツクに固設
   された支持部材に回動可能に支持された保持アー
   ムにより、前後動可能に保持され、 一方、上記シートバツクと共に回動するシート
   バツク連動部材が設けられ、この連動部材に第１
   ロツドの下端が回動可能に連結され、この第１ロ
   ツドの上端が第２ロツドの下端に回動可能に連結
   されると共に両ロツドの連結点が車体に固設され
   たガイド部材により上下方向にスライドすべくガ
   イドされ、上記第２ロツドの上端は上記ヘツドレ
   スト保持アームに回動可能に連結され、 上記シートバツクの前後回動に応じて、上記シ
   ートバツク連動部材を介して上記第１および第２
   ロツドが上下動し、この上下動により上記保持ア
   ームを介してヘツドレストが前後動するように構
   成したことを特徴とする自動車のリヤシート装
   置。