JPH0222529Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、磁性流体によるシール構造の磁性流
体飛散防止を図つた磁性流体シール装置に関する
ものである。

磁性流体シールは、例えば第１図に示す如く、
軸方向に磁化された環状永久磁石１とこの磁石１
の両端に、同芯的に結合された環状ポールピース
２と、磁石１及びポールピース２を同芯的に貫通
させる強磁性シヤフト４と、シヤフト４とポール
ピース２との空間に、磁気的に誘起せしめた磁界
によつて磁気的に保持固定される磁性流体リング
３とから構成されている。５は磁石１及びポール
ピース２を固定させる非磁性ハウジングである。

このようにして磁性流体シールは、リング３に
よつて第１図における低圧側雰囲気Ａと高圧側雰
囲気Ｂとを密封遮断することができる。

しかしながら、低圧側Ａが低圧側の磁性流体リ
ング３の耐圧より低圧割合がより大きくなると、
第２図に示す如く、磁性流体リング３が破れて破
れたリング３の磁性流体が低圧側Ａへ飛散してし
まい、低圧側雰囲気Ａを磁性流体で汚染してしま
うことが起きる。

このような欠点を改善すべく、従来は第３図に
示すごとく、磁性流体飛散防止機構が考案されて
いる。第３図は前述した磁性流体シールを非磁性
スペーサ６を介して２組使用しているが、低圧側
の磁性流体シールは、シヤフト４中に低圧側と連
通する通気孔７が、該シール内と通して設けられ
ていることに起因して、低圧側シール部のポール
ピース２によつて形成される磁性流体リング３に
は、常に差圧が印加されず、常時破れることがな
い。破れるのは次段のシール以降からである。し
たがつて、低圧側Ａの最寄りのシールが常に破れ
ないのであるから、該シールが低圧側への磁性流
体の飛散を防止する壁の作用をすることになる。

しかし、第３図に示す如く、通気孔７の製作
は、シヤフト加工に伴なう難しさやシヤフトの機
械的強度の低下や、通気孔内の清浄のチエツクの
困難等の問題が生じてくる。

本考案はこれらの欠点をなくするため、シヤフ
トの通気孔を設けることなく、シヤフト加工を容
易にし、かつシヤフトの機械的強度を安定させ、
更に清浄容易性を重ね備えた磁性流体飛散防止機
構を有する磁性流体シール装置を提案することを
主たる目的とする。

以下本考案の一実施例について図面を参照しな
がら詳細に説明する。

第４図及び第５図は本考案の一実施例を示す断
面図及び第４図中Ｖ−Ｖ線断面図である。８は切
り欠き溝を示し、これは低圧側Ａ最寄りのポール
ピース２Ｂによつて形成される磁性流体リング３
の位置に対応するシヤフト４の円周方向に設けた
ものである。この切り欠き溝８の部分は、ポール
ピース２との磁気抵抗が、切り欠き８が存在しな
い磁性流体リング３によつて覆われている他のシ
ヤフト表面部分より十分大きくしてあるので、磁
性流体１３が充填されないようになり、実質的に
低圧側空間Ａと連通することになる。

すなわち磁性流体リング３は、常に低圧側の圧
力変動に左右さない安定した磁性流体リングが形
成される。従つて、破れるとすれば、次段の磁性
流体リング３（図中右側）であるが、このリング
３が破れて磁性流体が飛散したとしても、磁性流
体リング３Ｂが壁となつて、低圧側雰囲気を汚染
するようなことはなくなる。

第６図は本考案の他の実施例を示す断面図であ
る。本実施例においては、低圧側の２つの磁性流
体リング１２，１３が対応するシヤフト４の表面
に、夫々位相を180゜ずらして切り欠き４ｂ，４ｃ
を設け、より磁性流体の飛散防止の性能を向上さ
せたものであり、磁性流体シールとしては、非磁
性体スペーサ６により仕切られた高圧側の２つの
磁性流体リング３（図中右側）が受け持つ構造と
なつている。

第７図は本考案の更に他の例を示す断面図であ
る。低圧側最寄りの磁性流体リング３Ｂに対応す
るシヤフト９には、ポールピース２の位置に一致
して突起状の鍔９Ｂが設けられ、かつ円周方向の
一部には、切り欠き溝８が設けられたものであ
る。切り欠き溝８の部分は、ポールピース２との
磁気抵抗が、切り欠き８が存在しない磁性流体リ
ング３によつて覆われている他の鍔９Ｂの部分よ
り十分大きくなるので、この切り欠き８部には磁
性流体１２が充填されず、実質的に第４図例と同
様の役割、すなわち常に低圧側の圧力変動に左右
されない安定した磁性流体リングが形成されるこ
とになる。従つて、破れるのは、次段の磁性流体
リング１２となる。このリング１２が破れて、磁
性流体が飛散したとしても、磁性流体リング３Ｂ
が壁となつて、低圧側雰囲気Ａを汚染するような
ことはなくなる。

よつて本考案磁性流体シールは、磁気デイスク
のスピンドル部のシールや、真空シール等の高信
頼性を要求される磁性流体シールとして使用して
好適である。

以上述べたごとく本考案によれば、軸方向に磁
化された環状永久磁石と永久磁石との両端に、同
芯的に結合された強磁性環状ポールピースと、該
磁石及び該ポールピース内径側を同芯的に貫通さ
せる強磁性シヤフトと、該シヤフト外径と該ポー
ルピース内径との空間に、磁気的に捕捉される磁
性流体リングとからなる磁性流体シールにおい
て、 動作時において負圧側になる磁性流体リングが
覆つているシヤフトの円周方向の一部に切り欠き
を設けたので、 従来のようなシヤフトに貫通する連通孔の加工
に比して、切り欠きの加工は容易であり、従来の
ように加工した連通孔の洗浄の確認を必要とせ
ず、また、通気孔のようにシヤフトの内部深くま
で孔を設けることなく、シヤフト表面等のわずか
な切り欠き溝であるから、シヤフトの曲げ、ねじ
り等の外力に対する機械的強度を損なうことがな
い効果を有する。

よつて、本考案によれば、加工が容易であり、
機械的強度が安定し高洗浄等々の利点を有し、磁
性流体飛散防止機構を有する磁性流体シールを提
供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の構成にかかるこの種の装置の断
面図、第２図は第１図例の説明図、第３図は改良
された従来の断面図、第４図及び第５図は本考案
の一実施例を示す断面図及び第４図中Ｖ−Ｖ線断
面図、第６図及び第７図は夫々本考案の他の例を
示す断面図である。 １……磁石、２……ポールピース、２Ｂ……低
圧側最寄りのポールピース、３……磁性流体リン
グ、４……シヤフト、８……切り欠き溝、１３…
…磁性流体、Ａ……低圧側空間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 軸方向に磁化された環状永久磁石と永久磁石
   との両端に、同芯的に結合された強磁性環状ポ
   ールピースと、該磁石及び該ポールピース内径
   側を同芯的に貫通させる強磁性シヤフトと、該
   シヤフト外径と該ポールピース内径との空間
   に、磁気的に捕捉される磁性流体リングとから
   なる磁性流体シールにおいて、 動作時において負圧側になる磁性流体リング
   が覆つているシヤフトの円周方向の一部に切り
   欠きを設けたことを特徴とする磁性流体シール
   装置。 ２ 上記シヤフトには上記磁性流体リングの位置
   に対応して鍔が設けられ、該鍔の円周方向の一
   部に切り欠きを設けた実用新案登録請求の範囲
   第１項の磁性流体シール装置。