JPH022182Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は手押し式草刈機に関し、更に詳しくは
エンジンからの回転動力を直線往復運動に変換し
てバリカン式刈刃を作動させる回転変換機を取付
装備して成る手押し式草刈機の改良に関するもの
である。

従来、此種の手押し式草刈機としては実開昭58
−220615号公報のものが存在している。

斯る草刈機は、前端にバリカン式刈刃を、回転
変換機を介して取付支持し、後端にエンジンを取
付支持するフレームに連結パイプを介して手押し
用ハンドルと両側端部に車輪を取付支持せる車軸
とを取付けてなるものである。

しかし乍ら、連結パイプとフレームとの連結は
単にフレームを連結パイプ内に同軸上に嵌挿係止
せしめた連結構造であるため、フレームを中心に
刈刃を回転させ、該刈刃を草刈り場所の地表面、
例えば道路際の土手面、或いは水田の境に細長く
盛り上げられた畦道のノリ面等に対応させた傾斜
角度で固定保持し、道路際、或いは畦道の走行面
を走行させながら草刈りを行なう時には車輪の一
方を走行面から土手面、或いはノリ面側に外した
状態で尚且つ外した車輪を浮かした状態にしなけ
れば傾斜させた刈刃を土手面、或いはノリ面に対
して平行に対応させることができないといつた不
便を有していた。

即ち、エンジンからの回転動力を直線往復運動
に変換してバリカン式刈刃を作動させる回転変換
機は、動力伝達シヤフトに固着した第１かさ歯車
に第２かさ歯車を噛合せしめ、エンジンの回転動
力を直交方向の回転動力に変換すると共に、更に
前記伝達シヤフトに対して直交させた状態で設け
た第２かさ歯車を固着支持せる偏心カムから刈刃
の可動刃に渉つて可動ホルダーを設けて前記直交
方向に変換した回転動力を直線往復運動に変換す
る様にした変換機構（構造）であるため、刈刃は
フレームの軸芯線上、即ちフレームを支持せる連
結パイプから延長させた該連結パイプの軸芯線上
から外れた回転変換機の前端で取付支持される結
果になり、刈刃を回転させるとその刈刃と回転変
換機との連結部が土手面、或いはノリ面側の走行
面縁を走行する車輪側に位置せず反対側の車輪側
に位置してしまうものである。そのため、刈刃を
土手面、或いはノリ面に対応させるためには一方
の車輪即ち土手面、或いはノリ面側の車輪を走行
面から外した状態にしなければならず、作業性が
悪く、作業者の疲労を増大させるばかりでなく横
転しやすく大変危険なものであつた。

尚、上記した従来の公開公報に添付されている
図面中第４図において両車輪を走行面上に位置さ
せた状態で傾斜させた刈刃を草刈りは場所の地表
面に平行に対応させた状態で示されているが、刈
刃の固定刃と可動刃との関係が他の第１図乃至第
３図から明らかである様に地表面（傾斜面）に対
する固定刃と可動刃との位置関係が異なり斯様な
状態で草刈りを行なうことは不可能である。即ち
第１図の草刈り状態においては固定刃を地表面側
に位置させているのに第４図の状態においては、
可動刃を地表面側に位置させてその可動刃上に固
定刃があり、この状態で草を刈取ることは困難且
つ不可能で作図上の間違いである。

本考案はこの様な従来事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とする処は、両車輪でもつて走行
させながら刈刃を土手面、或いはノリ面に平行に
対応させた状態で土手面、或いはノリ面の草刈り
を行ない得る手押し式草刈機を提供せんとするも
のである。

斯る本考案手押し式草刈機の基本的な構成は、
手押し用ハンドルの下端にブラケツトを取付け、
このブラケツトに連結パイプと車軸を取付けると
共に、連結パイプ内に回転部材を回転可能に嵌挿
係止し、その回転部材の軸線と斜交させた斜交線
上に保持孔を穿設貫通し、この保持孔に、前端に
バリカン式刈刃を、回転変換機を介して取付保持
し、後端にエンジンを取付支持するフレームを嵌
挿係止して連結パイプから延長させた該連結パイ
プの軸芯線上に前記刈刃を位置させたことを特徴
とするものであり、その実施の一例を図面に基づ
いて説明する。

手押し式草刈機は、バリカン式刈刃Ａ、回転変
換機Ｂ、エンジンＣ、フレームＤ、手押し用ハン
ドルＥ、左右一対の車輪Ｆ，F′より構成してなる
従来周知のもので、前記フレームＤの前端（先
端）に回転変換機Ｂを介してバリカン式刈刃Ａを
取付支持すると共に、後端にはエンジンＣを取付
支持し、このエンジンＣと回転変換機Ｂとをフレ
ームＤ内全長に渉つて貫通状に軸架内蔵した動力
伝達シヤフト１で連係せしめる。

手押し用ハンドルＥは、草刈機を手押し走行さ
せると共に、その走行操作を行うためのもので、
平面略Ｖ型の操作部２とこの操作部２を前記フレ
ームＤに取付連結する連結フレーム３から構成し
てなり、該連結フレーム３の下端にはブラケツト
４を一体に取付ける。

ブラケツト４は、所望の肉厚を有する金属板を
折り曲げて形成した側面略逆Ｖ型の第１部材４ａ
と側面コ型の第２部材４ｂとを一体に溶着連結し
て形成し、第１部材４ａの一片を連結フレーム３
の下端に一体的に溶着固定すると共に、両片の下
端を略円弧型に切欠形成して連結パイプ５を嵌合
溶着して取付固定する。

連結パイプ５は、手押し用ハンドルＥとフレー
ムＤとを連結するためのもので、フレームＤの外
径より内径を大径とする金属パイプを所望の長さ
に截断してない内部に回転部材６を回転可能に嵌
挿係止すると共に、外側下部中央には細長の支持
パイプ７を連結パイプ５の軸芯に対して直交する
様に溶着固定し、その支持パイプ７内に両端部に
車輪Ｆ，F′を取付けた車軸８を回転可能に嵌挿す
る。

上記回転部材６は、フレームＤと一体的に連結
されて該フレームＤの回転中心体となると共に、
フレームＤの先端に回転変換機Ｂを介して取付支
持された刈刃Ａを連結パイプ５から延長させた該
連結パイプ５の軸芯線Ｘ上に位置させる。詳しく
は回転変換機Ｂより前方に突出させた可動ホルダ
ーb₁前端縁と刈刃Ａとの連結部Ｚを前記軸芯線Ｘ
上に位置させて刈刃Ａを回転傾斜させた際に生じ
る連結部Ｚの相反する方向への位置ズレを阻止す
る働きをなすものである。

この回転部材６は外径を連結パイプ５の内径と
略同径とする金属製棒材を前記連結パイプ５の長
さと同じ長さに截断し、その軸線X′と斜交させ
た斜交線Ｙ上に保持孔９を穿設貫通し、その保持
孔９にフレームＤを嵌挿係止せしめて該フレーム
Ｄの軸芯線Y′を連結パイプ５の軸芯線Ｘに対し
て斜交させると共に、両端面の相返する箇所には
螺子孔１０を夫々刻設形成する（第４図）。

軸線X′は連結パイプ５の軸芯線Ｘとなり、斜
交線ＹはフレームＤの軸芯線Y′となるもので、
その斜交線Ｙの軸線X′に対する斜交角度は、回
転変換機Ｂの変換機構を構成する第１かさ歯車
b₂、第２かさ歯車b₃、偏心カムb₄、可動ホルダー
b₁それらの連係構造によつて生じた連結パイプ５
から延長させた軸芯線Ｘ上から外れた刈刃Ａの取
付支持位置、即ち回転変換機Ｂとの連結部Ｚが前
記軸芯線Ｘ上に位置する角度θとする（第３図）。

図中１１は刈刃Ａの回転傾斜角度を任意に設定
するための刈刃角度設定金具であり、金属や硬質
樹脂材等によつて側面半円弧状（扇型状）に形成
し、その外周に円周方向適宜間隔においてロツク
凹部１２を夫々凹欠形成すると共に、下面中央に
はフレームＤの外側に嵌合係止する凹部１３を傾
斜状に形成する。１４は挟持金具であり、この挟
持金具１４は連結パイプ５及び回転部材６がフレ
ームＤとの嵌挿係止位置より移動しない様に、又
刈刃角度設定金具１１をフレームＤの外側に取付
けるためのもので、刈刃角度設定金具１１と同じ
部材によつて半分円弧状（扇型形状）に形成し、
外周に鍔１４′を設けた鍔付きのものと、鍔なし
のもの二つのタイプを夫々形成する。

また、この挟持金具１４の鍔付きのものにあつ
てはその鍔１４′に取付孔１５を開孔し、回転部
材６両端面の螺子孔１０にボルト１６を螺合せし
めて回転部材６に連結固定せしめる。

斯る固定部材６は、フレームＤの外側に連結パ
イプ５を前後より挟持する如くボルト１７で螺着
固定された挟持金具１４を介してフレームＤと一
体になり、フレームＤの回転中心体として刈刃Ａ
の回転操作時に連結パイプ５内を回転するもので
ある。

１８はロツクピン１９を一体に備えた操作ノブ
であり、この操作ノブ１８は刈刃角度設定金具１
１のロツク凹部１２内にロツクピン１９下部を付
き当て係止せしめて道路際の土手面、或いは図示
した様に水田の境に細長く盛り上げられた畦道Ｌ
のノリ面Ｇの傾斜角度に対応させた角度で刈刃Ａ
を固定保持すると共に、刈刃Ａを任意の角度に変
える際の操作部となるもので、そのロツクピン１
９をブラケツト４の第２部材４ｂの上下片部４
b′，４b″間に渉り貫通状に且つ上下摺動自在に取
付装備し、ロツクピン１９の中途部外側に係止ピ
ン２０を介して挟持リング２１を取付け、このリ
ング２１と第２部材４ｂの上部片部４b′との間
に、ロツクピン１９の外側に巻回せしめた状態で
押圧スプリング２２を装備する。

斯る操作ノブ１８は押圧スプリング２２の押圧
力でロツクピン１９の下部を刈刃角度設定金具１
１のロツク凹部１２内に付き当て係止せしめて刈
刃Ａを保持固定すると共に、刈刃Ａの角度変更時
には押圧スプリング２２の押圧力に反して持ち上
げる。

刈刃Ａは、固定a₁とこの固定刃a₁上に左右スラ
イド自在に取付載置した可動刃a₂から構成してな
るもので、固定刃a₁を回転変換機Ｂ下面に取付固
定した固定ホルダーb₅に脱着自在に螺着固定する
と共に可動刃a₂は回転変換機Ｂ内から突出せる可
動ホルダーb₁の先端に連結係止せしめ、エンジン
Ｃから動力伝達シヤフト１、回転変換機Ｂ内に内
蔵された第１、第２かつ歯車b₂，b₃及び偏心カム
b₄を介して可動ホルダーb₁に伝わつた直線往復運
動動力でもつて可動刃a₂を左右スライド移動させ
て草を刈取る様に形成してなる。

２３は刈刃Ａの固定刃a₁に螺着固定したソリ
で、固定刃a₁の裏面と地表面とに所望の間隙を持
たせた状態で刈刃Ａを地表面上に位置させてスム
ーズに草を刈取ることができるように図る働きを
なすものである。

尚、回転変換機Ｂの固定ホルダーb₅及び可動ホ
ルダーb₁に対する刈刃Ａの連結形態は刈刃Ａの長
さ方向中央を連結取付けた形態（第２図）にした
り、刈刃Ａの左側又は右側を連結取付けた形態
（第７図の二点鎖線）にできるものである。

次に以上の如く構成した手押し式草刈機の作用
を説明すると、操作ノブ１８を持ち上げて刈刃Ａ
を道路際の土手面、或いは畦道Ｌのノリ面Ｇに対
応する様に回転傾斜させ操作ノブ１８を外して固
定保持する。するとフレームＤは連結パイプ５内
に備えられた回転部材６によつて回転変換機Ｂを
ノリ面Ｇ側の車輪Ｆ側に位置させ、後端のエンジ
ンＣをもう一方の車輪F′側に位置させた状態に変
化すると共に、刈刃Ａと回転変換機Ｂとの連結部
ＺはフレームＤの上記変化に伴なつてノリ面Ｇ側
の車輪Ｆ前方に寄り、両車輪Ｆ，F′を畦道Ｌの走
行面（上面）を走行させながら刈刃Ａをノリ面Ｇ
に平行に対応させることができるものである（第
７図）。

本考案は叙上の如く、手押し用ハンドルの下端
にブラケツトを取付け、このブラケツトに連結パ
イプと車軸を取付けると共に、連結パイプ内に回
転部材を回転可能に嵌挿係止し、その回転部材の
軸線と斜交させた斜交線上に保持孔を穿設貫通
し、この保持孔に、前端にバリカン式刈刃を、回
転変換機を介して取付支持し、後端にエンジンを
取付支持するフレームを嵌挿係止して連結パイプ
から延長させた軸芯線上に前記刈刃を位置させた
ので、刈刃を回転させて道路際の土手面、或いは
畦道のノリ面に対応させた傾斜角度で固定保持し
ても従来の様に車輪の一方を走行面から外さなく
ても刈刃を土手面、或いはノリ面に対して平行に
対応させることが出来る。

従つて、両車輪でもつて走行させながら土手
面、或いはノリ面の草刈りを行なうことができる
ため、作業性の向上を図り得ると共に作業者の疲
労を軽減することが出来、しかも横転する恐れの
ない安全な状態で草刈り作業を行なうことが出来
る。

依つて所期の目的を達成し得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施の一例を示し、第１図は正
面図で一部切欠して示す、第２図は同側面図、第
３図は要部を拡大して示す断面正面図、第４図は
回転部材を示す斜視図、第５図は第３図の−
線拡大断面図、第６図は刈刃を回転傾斜させた状
態で示す第３図の−線拡大断面図、第７図は
刈刃を草刈り場所の地表面（畦道のノリ面）に対
応させた角度で固定保持した使用状態を示す側面
図である。 図中、Ａ……バリカン式刈刃、Ｂ……回転変換
機、Ｃ……エンジン、Ｄ……フレーム、Ｅ……手
押し用ハンドル、Ｆ，F′……車輪、４……ブラケ
ツト、５……連結パイプ、６……回転部、X′…
…回転部材の軸線、Ｙ……斜交線、Ｘ……連結パ
イプから延長させた軸芯線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端にバリカン式刈刃を、回転変換機を介して
   取付支持し、後端にエンジンを取付支持するフレ
   ームに手押し用ハンドルと車輪を取付けて成る手
   押し式草刈機に於いて、前記手押し用ハンドルの
   下端にブラケツトを取付け、このブラケツトに連
   結パイプと車軸を取付けると共に、連結パイプ内
   に回転部材を回転可能に嵌挿係止し、その回転部
   材の軸線と斜交させた斜交線上に保持孔を穿設貫
   通し、この保持孔に前記フレームを嵌挿係止して
   連結パイプから延長させた軸芯線上に前記刈刃を
   位置させたことを特徴とする手押し式草刈機。