JPH0220813Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関用点火装置に用いる点火コ
イルに関するものである。

［従来の技術］ 従来の点火コイルとして、第５図に示されてい
る構造のもの（実公昭47−32141号）が知られて
いる。この点火コイルにおいては、鉄心１に１次
コイル２と２次コイル３とを、１次コイル２を内
側に位置させて同心的に巻装し、２次コイル３の
最外周に絶縁テープ４を複数回巻回してその上に
金属板からなるＴ字状の端子金具５を配置してい
た。そして２次コイル３の巻終り端部を端子金具
５に半田付けし、更に該端子金具５に高圧コード
６を接続して、全体を覆うように樹脂モールド部
７を形成していた。この構造によれば、細い線か
らなる２次コイルの巻き終り端部が端子金具によ
り固定されるため、その断線を防ぐことができる
が、端子金具５を固定するために絶縁テープ４を
複数回巻回するテーピング作業を行なう必要があ
るため、作業が面倒で製造能率が悪くなるという
問題があつた。そこで、この欠点を解消するため
に第６図に示した点火コイル（実開昭58−18326
号）が提案された。この点火コイルは、鉄心１
と、該鉄心に巻装された１次コイル２と、該１次
コイルの外側に該１次コイルと同心的に巻装され
た２次コイル３と、高圧コード６を挿入する為の
有底の筒状部８ａを有する側板８と、高圧コード
の芯線内に係入し得るように先端部を尖らせた芯
線係入部９ａを有して該芯線係入部が側板の筒状
部８ａ内に突出するように取付けられた高圧コー
ド接続用端子金具９とを備え、側板８が鉄心１に
嵌着されて２次コイル３の巻終り端部からの引出
線３ａが高圧コード接続用端子金具９に半田付け
されている。この構造によれば、テーピング作業
を省略または簡略化できるため、コイルの巻回作
業の自動化を図ることができ、点火コイルを非常
に安価に提供することができる。

［考案が解決しようとする問題点］ 第６図に示した点火コイルの構造は、点火コイ
ルの製造工程の自動化を可能にして、コストの引
下げを図る上で有効なものであるが、従来のこの
種の点火コイルでは、２次コイルの巻き終り端部
を熱容量の大きい高圧コード接続用端子金具９に
直接半田付けする構造になつていたため、半田付
けを行なう際の加熱時間を長く必要とし、半田付
けの際の熱により端子金具９の周辺の樹脂が溶融
して端子金具９の取付け部に隙間が生じたり、端
子金具９が筒状部８ａから抜けたり、端子金具９
の芯線係入部９ａが筒状部８ａの中心軸線からず
れた方向に向いたりするといつた問題があつた。
端子金具９の取付け部に隙間が生じると後で樹脂
モールド部７を形成した際に樹脂が端子金具９の
取付け部の隙間から筒状部８ａ内に流れ込んで、
高圧コードを筒状部８ａ内に挿入することができ
なくなる。また端子金具９の向きがずれると筒状
部８ａ内に高圧コード６を挿入した際に端子金具
９の芯線係入部９ａを正しく高圧コードの芯線内
に係入させることができず、芯線係入部９ａが高
圧コードの絶縁被覆に刺さつて高圧コードの接続
ができなくなることがある。

本考案の目的は、上記の問題を解決した内燃機
関用点火コイルを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、鉄心と、該鉄心に巻装された１次コ
イルと、該１次コイルの外側に該１次コイルと同
心的に巻装された２次コイルと、高圧コードを挿
入する為の有底の筒状部を有する側板と、前記高
圧コードの芯線内に係入し得るように先端部を尖
らせた芯線係入部を有して該芯線係入部が前記側
板の筒状部内に突出するように取付けられた高圧
コード接続用端子金具とを備え、前記側板が前記
鉄心に嵌着されて前記２次コイルの巻終り端部か
らの引出線が前記高圧コード接続用端子金具に電
気的に接続されている内燃機関用点火コイルにお
いて、高圧コード接続用端子金具と２次コイルの
巻き終り端部からの引出し線との接続構造を改良
したものである。本考案においては、前記高圧コ
ード接続用端子金具がタツピングネジからなつて
いて前記筒状部の底部に螺入されて取付けられて
いる。そして線材からなる引出線接続金具が設け
られ、該接続金具が前記タツピングネジにより前
記筒状部の底部外面に取付けられ、前記２次コイ
ルの巻終り端部からの引出線が前記引出線接続金
具に半田付けされている。

［考案の作用］ 上記引出線接続金具は２次コイルの巻き終り端
部からの引出線を半田付けし得るものであればよ
く、高圧コード接続用端子金具のように高い機械
的強度を有する必要は無い。そのため、引出線接
続金具は熱容量の小さい細い線材により形成する
ことができ、２次コイルの巻き終り端部からの引
出し線と接続金具との半田付けは瞬時に行うこと
ができる。従つて、２次コイルの巻終り端部から
の引出線の半田付けを行う際に高圧コード接続用
端子金具が加熱されることがなく、該端子金具の
取付け部に隙間が生じたり、該端子金具の向きが
曲つたりするのを防ぐことができる。

上記のように高圧コード接続用端子金具をタツ
プネジにより構成すると、側板を成形した後に該
タツピングネジを側板の筒状部の底部に螺入する
ことにより端子金具の取付けを行うことができ
る。従つて側板の成形を行う際に金型内に端子金
具を固定する必要がなく、側板の成形作業を容易
にすることができる。

［実施例］ 以下添附図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

第１図は本考案の一実施例を示したもので、同
図において１は鉄心、２は該鉄心に巻装された１
次コイル、３は１次コイル２の外側に該１次コイ
ルと同心的に巻装された２次コイル、８は合成樹
脂の成形品からなる側板である。

側板８は、高圧コード６を挿入するための有底
の高圧コード挿入用筒状部８ａと、鉄心１を挿入
する窓部８ｂと、該窓部８ｂの相対する端縁部か
ら突出して鉄心１の外面に当接する１対の突出部
８ｃ，８ｃと、点火コイルの１次電流を制御する
点火回路（機関の点火時期に１次電流を急変させ
るように制御して点火コイルの２次コイルに点火
用の高電圧を誘起させる回路）をユニツト化した
点火回路ユニツトを収容するユニツト収容部８ｄ
と、点火コイルを樹脂モールドする際に金型内面
に当接して点火コイルの位置決めを図る位置決め
用突起８ｅ〜８ｋと点火回路ユニツトから引出さ
れるリード線を保持するリード線保持溝８ｌとを
一体に有し、筒状部８ａはその中心軸線が鉄心１
の軸線方向と平行な方向に向くように設けられて
いる。１０は高圧コード接続用端子金具を構成す
るタツプネジで、このタツピングネジは筒状部８
ａの底部に螺入されて取付けられ、該タツピング
ネジの筒状部８ａ内に突出した部分１０ａが高圧
コード接続用端子金具の芯線係入部を構成する。
このタツピングネジの取付けを容易にするため、
筒状部８ａの底部には、該筒状部と同軸的な貫通
孔を設けておく。

１１は上記タツピングネジにより筒状部８ａの
底部外面に取付けられた引出線接続金具である。
この引出線接続金具１１はタツピングネジより径
の小さい線材を第４図に示した形状に成形したも
ので、その一端にはタツピングネジ１０が貫通す
る円形の取付け部１１ａが設けられ、他端には線
材を折返してその端部を外側にくの字形に曲げる
ことにより、引出線を挟み込み隙間１１ｂ１を有
するヘアピン状の引出線接続部１１ｂが形成され
ている。この接続金具１１はその取付け部１１ａ
をタツピングネジ１０の頭部と筒状部８ａの底部
外面との間に介在させて取付けられ、このように
接続金具１１を取付けた状態で該接続金具の引出
線接続部１１ｂが筒状部８ａの外周部より更に外
側に位置するように接続金具１１の長さが設定さ
れている。

そして２次コイル３の巻終り端部から引出され
た引出線３ａを引出線接続金具１１の引出線接続
部１１ｂに数回巻きつけ、その端部を引出線接続
部１１ｂの隙間１１ｂ１に挟み込んで固定する。
次いで引出線３ａを引出線接続部１１ｂに半田付
けし、引出線の接続作業を完了する。引出線接続
金具１１は線材からなつていて、熱容量が小さい
ので、半田付けは瞬時に行なわれ、この半田付け
の際にタツピングネジ１０の側に熱が伝わること
は殆ど無い。従つて半田付け時の熱により側板の
筒状部８ａの樹脂が溶融してタツピングネジの取
付け部に隙間が生じたり、タツピングネジが曲つ
たりする虞れがなく、タツピングネジ１０を正し
く筒状部８ａの軸芯部に保持した侭で後の樹脂モ
ールド工程に進むことができる。

２次コイルからの引出線の半田付けが完了した
後、ユニツト収納部８ｄに点火回路ユニツトが収
納される。次いで該ユニツトと点火コイルの１次
コイル２との結線を行つた後、全体が金型内に入
れられて樹脂モールド部７が形成され、点火回路
ユニツトを一体に備えた内燃機関用点火コイルが
完成される。

上記の例では、点火コイルと点火回路ユニツト
とを一体化したが、点火回路ユニツトを点火コイ
ルに一体化することなく、点火コイルを点火回路
ユニツトととは別個に設ける場合にも本考案を適
用できるのは勿論である。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、高圧コード接
続用端子金具としてタツピングネジを用いたの
で、側板の埋込金具を無くすことができ、側板の
成形を容易にすることができる。また熱容量が小
さい線材からなる引出線接続金具を設けて、該引
出線接続金具に２次コイルの巻き終り端部からの
引出線を半田付けするようにしたので、半田付け
を瞬時に行なうことができ、半田付け時の熱によ
り側板の筒状部が溶融して高圧コード接続用端子
金具の取付け部に隙間が生じたり、該端子金具が
曲つたりして高圧コードの接続に支障を来たすの
を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した断面図、第
２図及び第３図はそれぞれ同実施例で用いる側板
の右側面図及び左側面図、第４図は同実施例で用
いる引出線接続金具を示す正面図、第５図及び第
６図はそれぞれ異なる従来例を示した半部縦断面
図及び縦断面図である。 １……鉄心、２……１次コイル、３……２次コ
イル、２次コイルの巻き終り端部からの引出線、
６……高圧コード、７……樹脂モールド部、８…
…側板、８ａ……高圧コード挿入用筒状部、８ｂ
……鉄心挿入用の窓部、１０……タツビングネジ
（高圧コード接続用端子金具）、１１……引出線接
続金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄心と、該鉄心に巻装された１次コイルと、該
   １次コイルの外側に該１次コイルと同心的に巻装
   された２次コイルと、高圧コードを挿入する為の
   有底の筒状部を有する側板と、前記高圧コードの
   芯線内に係入し得るように先端部を尖らせた芯線
   係入部を有して該芯線係入部が前記側板の筒状部
   内に突出するように取付けられた高圧コード接続
   用端子金具とを備え、前記側板が前記鉄心に嵌着
   されて前記２次コイルの巻終り端部からの引出線
   が前記高圧コード接続用端子金具に電気的に接続
   されている内燃機関用点火コイルにおいて、前記
   高圧コード接続用端子金具はタツピングネジから
   なつていて前記筒状部の底部に螺入されて取付け
   られ、線材からなる引出線接続金具が設けられて
   該接続金具が前記タツピングネジにより前記筒状
   部の底部外面に取付けられ、前記２次コイルの巻
   終り端部からの引出線は前記引出線接続金具に半
   田付けされていることを特徴とする内燃機関用点
   火コイル。