JPH0220263B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はゴルフクラブセツトに係り、特にシヤ
フトの一端にクラブヘツドを固定させた複数本の
ゴルフクラブから成り、シヤフトの長さが所定順
序で減少されると共にライ角およびロフト角が上
記所定順序で増加されたゴルフクラブセツトの改
良に関する。 一般に、ゴルフクラブセツトは、ウツドクラブ
とアイアンクラブ、ウツドクラブまたはアイアン
クラブの複数本から構成されている。ここでアイ
アンクラブを例にとると、各クラブに要求される
飛距離、弾道高さおよび正確さが異なり、２〜４
番までのロングアイアンと、５〜７番までのミド
ルアイアンと、８〜９番およびピツチンクウエツ
ジのシヨートアイアンとに分類することができ、
ロングアイアンからシヨートアイアンにかけて順
次飛距離が低下すると共に弾道高さが順次増加
し、順次ゴルフボールの落下点の正確さが増すよ
うに構成されている。そして、このためにシヨー
トアイアンからロングアイアンにかけてシヤフト
の長さを所定長さづつ増加させ、ライ角およびロ
フト角を所定角度づつ減少させ、シヨートアイア
ンからロングアイアンにかけて同一の感覚で打て
るようにスイングウエートを一定値にして、整列
集合させてセツトとしてまとめ上げている。 かかる従来のゴルフクラブセツト用いてプロゴ
ルフアがゴルフボールを打つと、プロゴルフアは
スイートスポツト（クラブヘツドのフエース上で
ゴルフボールが最もよく飛ぶ打撃点）の極く近傍
のヒツテイングエリアで打つため、シヨートアイ
アンからロングアイアンにかけて所定順序で飛距
離が略所定量づつ減少する。 しかし、飛距離が略所定量づつ減少するのみで
は、プロゴルフアはこのクラブセツトを良いゴル
フクラブセツトとして評価しない。これは、プロ
ゴルフアが各々、弾道高さや左右方向性を弾道イ
メージとして描き、かつクラブエースの幾可学的
中心でゴルフボールを打撃し、その時の弾道高さ
および左右方向性と弾道イメージと比較して球筋
を判断し、良いゴルフクラブか悪いゴルフクラブ
かを評価するためである。確かに、プロゴルフア
が、打撃点から百数十メートル離れた地点の飛距
離を即時に知ることは不可能であり、ゴルフクラ
ブの良し悪しの判断基準として、弾道高さや左右
方向性等の代用特性を用いることは合理的であ
る。そして、弾道イメージにそぐわない場合、多
くのプロゴルフアは、クラブヘツドに鉛板等のウ
エイトを貼着して修正している。このように、弾
道高さおよび左右方向性は、ゴルフアにとつて極
めて重要な要素であり、この要素を一次的判断基
準とすれば飛距離はその結果であり、二次的判断
基準ということができる。 上記のようにゴルフアは、クラブエースの幾何
学的中心でゴルフボールを打とうとするが、幾何
学的中心とスイートスポツトが一致していないた
め、一般にスイートスポツトから離れた点で打撃
（オフセンタヒツト）することになる。また、ス
イング中クラブヘツドは弧を描いており、トウ側
の方がヒール側より速度が速く、このため重心よ
りトウ側のところでゴルフボールを打たなけれ
ば、ゴルフボールの最大飛距離が得られない。更
に、ゴルフボールは通常地面に置かれているた
め、クラブヘツド上下方向の打撃点は地面に制約
され、一般にゴルフクラブでは重心より下側でゴ
ルフボールを打つように設計されている。従つ
て、重心回りの慣性モーメントおよび重心深さも
飛距離、弾道高さおよび左右方向性に関する力学
因子であることに着目しなければならない。 しかし、従来のゴルフクラブセツトは、重心回
りの慣性モーメントおよび重心深さに着目して飛
距離、弾道高さおよび左右方向性を所定量づつ変
化させるという発想がなかつたため、単なるスイ
ートエリア（スイートスポツトで打撃したときの
ボールの落下点から左右に最大飛距離の2.5％づ
つ離れた点と、前記落下点より打撃点方向に最大
飛距離の５％戻つた点から左右に最大飛距離の
2.5％づつ離れた点とを頂点とする正方領域内に
ボールが落下するクラブエース上の全ての点の集
合）拡大設計や低重心設計が行なわれているのみ
である。 しかし、これらの設計は上級者向けのゴルフク
ラブセツトを中級者向けのゴルフクラブセツト
に、中級者向けのゴルフクラブセツトを初級者向
けのゴルフクラブセツトにランクダウンして易し
く改良したに過ぎず、弾道高さおよび左右方向性
に対しての所定順序での整列性を解決したもので
はない。 本発明者等は、上記観点から従来のゴルフクラ
ブセツトについて、慣性モーメントI_x，I_y、重心
比率、重心距離Y_G、重心深さZ_G等の力学因子に
ついて調べたところ、いずれも所定順序での整列
性がなく、その大きさが逆転していることが確認
された。 ここで、上述の力学因子は、以下のように定義
したものである。これを第１図ａ，ｂに示すゴル
フクラブヘツドの正面図および側面図を参照して
説明する。まず、ｘ，ｙ，ｚ軸を次のように定義
する。すなわち、第１図ａ，ｂに示すように、ク
ラブヘツドのソール４を平面８に接触させて、所
定のライ角αおよびロフト角β通りに、クラブヘ
ツドを平面８上に設置する。そして、クラブヘツ
ドの重心Ｇを通りかつ平面８およびクラブヘツド
のフエース２に平行な直線を想定して、この直線
をｘ軸とする。また、クラブヘツドの重心Ｇを通
り、フエース２に平行でかつｘ軸に垂直な直線を
想定して、この直線をｙ軸とする。更に、ｘ軸お
よびｙ軸に垂直でかつ重心Ｇを通る直線を想定し
て、この直線をｚ軸とする。 また、ゴルフクラブヘツドのトウ６に接しかつ
ｙ軸に平行な直線Ｃをxy平面上に想定し、この
直線Ｃとｘ軸との交点Ｐから重心Ｇまでの距離を
X_Gとする。ソール４のリーデイングエツジ１０
からクラブヘツドの重心Ｇのフエース２への正射
影G′までの距離を重心距離Y_Gとし、重心Ｇから
正射影G′までの距離を重心深さZ_Gとする。そし
て、平面８から正射影G′までの距離を重心高さ
H_Gとする。 以上のように決定されたｘ，ｙ，ｚ軸等を用
い、慣性モーメントI_xをｘ軸回りの慣性モーメン
トで定義し、慣性モーメントI_yをｙ軸回りの慣性
モーメントで定義し、フエース長さをＬとして重
心比率を次の(1)式のように定義した。 重心比率＝X_G／Ｌ×100 …(1) 発明者等は、上記慣性モーメントI_xについて調
べたところ、この慣性モーメントI_xは、インパク
ト直後のゴルフボールのバツクスピンと打出角と
に強く影響することが確認された。このバツクス
ピンと打出角は弾道高さに関係するため、慣性モ
ーメントI_xは、弾道高さに関係する力学因子であ
る。 また、慣性モーメントI_yは、スイートスポツト
の左右方向の両側で打撃した場合の、ボール初
速、サイドスピンおよび打出方向に強く影響する
ことが確認された。このボール初速は飛距離に影
響し、打出方向とサイドスピンは左右方向性に影
響するため、慣性モーメントI_yは飛距離および左
右方向性に影響する。重心深さZ_Gは、サイドピ
ン、従つて左右方向性に影響する。これらの慣性
モーメントI_x，I_yおよび重心深さZ_Gは、スイート
エリアにも影響し、慣性モーメントI_xが大きくな
るとスイートエリアは上下方向に拡大し、慣性モ
ーメントI_yが大きくなるとスイートエリアは左右
方向に拡大し、重心深さZ_Gが大きくなるとスイー
トエリアが拡大する。従つて、慣性モーメント
I_x，I_yおよび重心深さZ_Gは、ゴルフボールの飛距
離、弾道高さおよび左右方向性に影響するのみで
なく、スイートエリアの大小で比較されるクラブ
の難易性にも影響する。 また重心の位置座標X_G、重心距離Y_Gは、ヒツ
テイングエリア内に対応させて設けることによ
り、スイートスポツトの位置に関係する因子であ
る。 本発明は、上記知見に基いて成されたもので、
飛距離、弾道高さおよび左右方向性について整列
性のあるゴルフクラブセツトを提供することを目
的とする。 この目的を達成するために本発明の構成は、シ
ヤフトの一端にクラブヘツドを固定させた複数本
のゴルフクラブから成り、上記シヤフトの長さが
所定順序で減少されると共にライ角およびロフト
角が上記の所定順序で増加された従来のゴルフク
ラブセツトにおいて、更に、力学因子を所定順序
で逆転することなく整列させたものである。本発
明の力学因子としては、前述の慣性モーメント
I_x，I_y、重心比率、重心距離Y_G、重心深さZ_Gを用
いた。そして慣性モーメントI_x，I_yの大きさは、
ゴルフクラブセツトの番手の若い順から所定順序
で増加され、重心比率、重心距離Y_Gおよび重心
深さZ_Gは、前記の所定順序で逆転することなく増
加、減少または一定になるように整列されてい
る。 この構成によれば、従来のライ角およびロフト
角等の整列性に加え、慣性モーメント等の力学因
子についても所定順序で整列され、この結果スイ
ートエリアが整列され、飛距離、弾道高さおよび
左右方向性について整列性が得られるという効果
がある。すなわち、ゴルフアがクラブヘツドの幾
何学的中心でゴルフボールを捉えようとしてスイ
ングした時、実際の打撃点がスイートスポツトに
対して例えば１cmのオフセンタ量（スイートスポ
ツトから打撃点までの距離）であつたとすれば、
セツト内の各ゴルフクラブについて１cmのオフセ
ンタ量らしい飛距離、弾道高さおよび左右方向性
の整列性が得られ、ある一部のクラブについて良
く飛んだり、ボールが高く上がつたり、左右方向
性が良くなつたりしないという特有の効果が得ら
れる。 次にアイアンクラブセツトについても本発明を
説明する。アイアンクラブセツトでは、慣性モー
メントI_xが３〜18ｇ・mm・sec²の範囲内で、慣性
モーメントI_yが17〜37ｇ・mm・sec²の範囲内で、
各々ゴルフクラブセツトの番手の若い順から所定
順序で所定量づつ増加するように整列される。ま
た、重心比率が45〜65％の範囲内で、重心距離
Y_Gが10〜25mmの範囲内で、重心深さZ_Gが０〜７
mmの範囲内で、各々ゴルフクラブセツトの番手の
若い順から所定順序で増加、減少または一定にな
るように整列される。なお、重心高さH_Gについ
ても14〜23mmの範囲内で所定順序で整列されてい
るのが好ましい。 次に本発明をアイアンクラブセツトに適用した
場合の実施例について説明する。 本実施例では、重心比率が略61％で一定、重心
距離Y_Gが19〜23mm、重心高さH_Gが18〜21mm、重
心深さZ_Gが1.5mm〜3.5mm、慣性モーメントI_xが５
〜９ｇ・mm・sec²、慣性モーメントI_yが20〜27
ｇ・mm・sec²の各範囲内で増減するように、コン
ピユータを利用して設計すると共に精密機械加工
で量産した。量産したアイアンクラブセツトの中
から５組を任意に選び出し、各力学因子を測定し
た結果を第２図から第７図に示す。図から理解さ
れるように、各力学因子について多少のばらつき
があるものの各力学因子について整列性が得られ
ている。 上記実施例にかかるアイアンクラブセツトをプ
ロゴルフアに実打させたところ、第８図の結果が
得られた。図の各曲線は５打での平均値を示して
いる。図から弾道高さおよび飛距離について整列
性が得られていることが理解される。なお、第９
図は、ライ角およびロフト角等について、整列性
のある従来のアイアンクラブセツトを用いて、同
一のプロゴルフアに前記と同様の条件で実打させ
た結果を示す比較例である。この比較例では、弾
道高さについては整列性が得られていない。 次に本実施例のアイアンクラブセツトについ
て、インパクト計算と弾道シユミレーシヨンプロ
グラムを利用してスイートエリアを描いた結果を
第１０図に示す。各スイートエリアは略相似であ
り、３番アイアンから９番アイアンにかけてスイ
ートエリアが拡大している。これに対し、従来の
ゴルフクラブセツトのスイートエリアは、第１１
図に示すように整列性が得られておらず、特に９
番アイアンのスイートエリアが他のスイートエリ
アと傾向を異にしている。 上記実施例のアイアンクラブセツトを用いて、
12名のプロゴルフアと、６名のアシスタントプロ
ゴルフアと、11名のアマチユアゴルフアに実打さ
せたときの評価を次表に示す。 上記表から、評価良いの比率が約60〜70％、評
価普通の比率が約20〜30％、評価悪いの比率が約
10〜20％で、ゴルフアの大半が満足していること
がわかる。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは、本発明に係る力学因子を説明
するための説明図、第２図は、本発明の実施例の
クラブ番手に対する重心比率を示す線図第３図〜
第７図は、各々前述と同様の重心距離、重心高
さ、重心深さ、ｘ軸回りの慣性モーメント、ｙ軸
回りの慣性モーメントの変化を示す線図、第８図
は、前記実施例における飛距離と弾道高さとの関
係を示す線図、第９図は、従来のアイアンクラブ
セツトの飛距離と弾道高さとの関係を示す線図、
第１０図は、前記実施例のスイートエリアを示す
線図、第１１図は、従来のアイアンセツトのスイ
ートエリアを示す線図である。 ２…フエース、４…ソール、６…トウ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シヤフトの一端にクラブヘツドを固定させた
   複数本のゴルフクラブから成り、前記シヤフトの
   長さが所定順序で減少されると共にライ角および
   ロフト角が該所定順序で増加されたゴルフクラブ
   セツトにおいて、前記クラブヘツドに想定される
   と共に該クラブヘツドの重心を通りかつ該クラブ
   ヘツドを所定のライ角およびロフト角通りに平面
   上に設置した場合における該平面および該クラブ
   ヘツドのフエースに平行なｘ軸回りの慣性モーメ
   ントが前記所定順序で増加され、前記ｘ軸に対し
   て垂直に想定されると共に前記クラブヘツドの重
   心を通りかつ前記フエースに平行なｙ軸回りの慣
   性モーメントが前記所定順序で増加され、前記フ
   エースの長手方向の長さに対する前記重心から前
   記クラブヘツドのトウに接しかつ前記ｙ軸に平行
   な直線と前記ｘ軸との交点までの距離の比率で表
   わされる重心比率と、前記クラブヘツドのリーデ
   イングエツジから前記重心の前記フエースへの正
   射影までの距離で表わされる重心距離と、前記重
   心から前記正射影までの距離で表わされる重心深
   さとの大きさが、前記所定順序で逆転することな
   く整列されていることを特徴とするゴルフクラブ
   セツト。 ２ 前記重心比率の大きさが略一定値にされ、前
   記重心距離の大きさが前記所定順序で増加され、
   前記重心深さの大きさが前記所定順序で減少され
   ている特許請求の範囲第１項記載のゴルフクラブ
   セツト。 ３ 前記シヤフトの一端にクラブヘツドを固定さ
   せた複数本のゴルフクラブは、アイアンクラブで
   ある特許請求の範囲第１項または第２項記載のゴ
   ルフクラブセツト。