JPH022007B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電磁クラツチ、電磁ブレーキ等といつ
た電磁連結装置に関し、特にこの装置においてア
ーマチユアハブとアーマチユアとを一体的に連結
する板ばねの改良に関する。

〔従来の技術〕

この種従来の電磁連結装置として、概略第５図
ａ，ｂに示すような構成をもつカークーラ用電磁
クラツチが知られている。これを簡単に説明する
と、図中１はたとえばカークーラ用コンプレツサ
等のハウジング２にねじ止めされたベアリングホ
ルダで、その軸線方向に延設された筒状部１ａ上
には、ベアリング３を介して回転部材であるロー
タ４が回転自在に支持されている。このロータ４
は、前記ベアリング３の外側に嵌装される内側磁
束路部４ａ、外周にＶベルト（図示せず）等が添
接されるＶ溝を有する外側磁束路部４ｂ、および
これら両磁束路部を連結しかつ磁束迂回用の円弧
状長孔４ｃを有する半径方向のフランジ部４ｄと
によつて断面略コ字状を呈するように形成され、
かつその内側に形成された空間内には、一対をな
す環状磁性板５，６およびこれら磁性板で両側か
ら挟持された環状の永久磁石７によつて一体的に
構成された積層型の磁性体８が嵌合して配設され
ている。そして、前記一方の環状磁性板５の内周
面は前記内側磁束路部４ａの外周面に、他方の磁
性板６の外周面は前記外側磁束路部４ｂの内周面
にそれぞれ接し、またそれ以外の磁性体８の内、
外周部はそれぞれ間隙S1、S2を介してロータ４
側に対接する構成とされている。さらに、この磁
性体８において、一方の磁性板５とロータ４のフ
ランジ部４ｄ間、および他方の磁性板６とこれに
対向するフイールドコア９間にも、それぞれ間隙
S3、S4が形成されており、これによつてこの磁
性体８は、前記ロータ４の空間内で上述した各磁
性板５，６の一部のみが接した状態とされてい
る。

また、前記フイールドコア９には、電圧印加に
よつて永久磁石７の磁束の流れに対し正方向およ
び逆方向への磁束を生じさせる電磁コイル１０が
内設され、かつこのフイールドコア９は、その背
面側が前記ベアリングホルダ１側に固着されると
ともに、その一部が前記ロータ４の空間内に遊嵌
状態で嵌入され、ロータ４と対向して配置されて
いる。

１１は前記ロータ４のフランジ部４ｄと所定間
隙Ｇをおいて対向するアーマチユアで、このアー
マチユア１１には磁束迂回用の環状溝１１ａと円
弧状長孔１１ｂとが形成され、かつこのアーマチ
ユア１１は、板ばね１２を介して前記コンプレツ
サの回転入力軸１３に軸装されたアーマチユアハ
ブ１４に連結支持されている。なお、１５はアー
マチユア用ストツパ１６が装着されたストツパプ
レート、１７ａ，１７ｂ，１７ｃはそれぞれカラ
ー、ワツシヤおよびナツトである。

そして、上述した構成を有する電磁クラツチに
おいて、クラツチを連結状態とするには、前記電
磁コイル１０に電圧を印加し、その励磁力により
アーマチユア１１をロータ４側に吸着させ、この
状態で前記コイル１０への印加電圧を切るとよい
ものである。すなわち、このような状態では、前
記永久磁石７の自己保持機能により、第５図ａ中
実線で示すように、この永久磁石７からの磁束に
よつてアーマチユア１１が、図示されていないク
ランクプーリとＶベルトによつて回転するロータ
４側に磁気吸着された状態を維持し、ロータ４側
の回転駆動力はアーマチユア１１側すなわち入力
軸１３に伝達されることとなる。また、前記電磁
コイル１０に対し上述したとは逆方向への電圧を
印加すると、上述したとは逆方向への磁束（図中
破線で示す）が発生し、前記永久磁石７による磁
束が打消されることとなり、その結果アーマチユ
ア１１は板ばね１２の復帰力によつてロータ４側
から離間し、上述した駆動力伝達が遮断されたク
ラツチ非連結状態となるものであつた。

ところで、上述した従来構成では、アーマチユ
アハブ１４とアーマチユア１１とを連結する板ば
ね１２として、第５図ｂから明らかなように、略
矩形状を呈するもの（この例では三個）が用いら
れていた。そして、このような矩形状板ばね１２
は、第６図中Ａで示すように、その弾性変形限度
内において、撓み量と荷重とが比例するものであ
る。したがつて、この種の板ばね１２は、第５図
ａ，ｂに示したように、ストツパ１６によりアー
マチユア１１の後退位置を定めることで、初期撓
み量がp1となり、このp1により初期荷重がq1と
なるように組込まれているため、アーマチユア１
１がロータ４に磁気吸着されたときには、撓み量
がＧ（解放時のアーマチユア１１とロータ４間の
ギヤツプ）だけ増大しp2となり、この撓み量p2
によりアーマチユア連結時のばね荷重はq2とな
るものであつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述したような矩形状板ばね１
２を用いてなる構成では、板ばね１２の荷重が大
きいと、その分だけ自己保持用の永久磁石７の磁
気力を大きくしなければならないもので、さらに
この永久磁石７の磁束を消磁するための電磁コイ
ル１０の起磁力も大きくする必要があり、効率的
に不経済であるといつた問題をもつものであつ
た。

また、上述したように矩形状板ばね１２におい
て、その連結時の荷重を低くするためには、ばね
定数の小さいものを選択すればよいが、初期荷重
を得るために撓み量が大きくなるという問題もあ
つた。さらに、上述したような矩形状板ばね１２
のばね定数を小さくするには、長片を長くす
る、短片を短くする、断面を薄くする等とい
つた種々の対策が考えられるが、では組付け上
の問題があり、また、では強度上の問題（板
ばね１２はトルク伝達を行なうものである）があ
り、実用上問題が大きいもので、より簡単な構成
によりこのような問題点を一掃し得る何らかの対
策を講じることが望まれている。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した要請に応えるために、本発明に係る電
磁連結装置は、略リング状を呈するように形成さ
れた板ばねを用い、かつこのリング状板ばねの内
側縁を回転軸に軸装されたアーマチユアハブに固
定される基端部とし、外側縁を前記アーマチユア
ハブに対し同心上に配置されたアーマチユアに固
定される自由端部として構成するとともに、これ
ら基端部と自由端部との間を断面略くの字状に曲
折させて形成するようにしたものである。

〔作用〕 本発明によれば、リング状板ばねにおいて基端
部側の撓み部が皿ばねと同等に作用し、これによ
りアーマチユア連結時のばね荷重を小さくするこ
とが可能となるものである。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ａ，ｂないし第３図は本発明に係る電磁
連結装置の一実施例を示すものであり、これらの
図において、前述した第５図ａ，ｂと同一または
相当する部分には同一番号を付してその説明は省
略する。

さて、本発明によれば、回転入力軸１３に軸装
されたアーマチユアハブ１４に基端部が固定され
るとともに、自由端部がアーマチユアハブ１４に
対し同心上に配置されたアーマチユア１１に固定
されてなる板ばね２０を、第２図ａ，ｂから明ら
かなように、リング状を呈するように形成すると
ともに、このリング状板ばね２０の内側縁２０ａ
を、第１図ａに示すように、アーマチユアハブ１
４に固定される基端部とし、外側縁２０ｂをアー
マチユア１１に固定される自由端部として構成
し、かつこれら基端部２０ａと自由端部２０ｂと
の間を断面略くの字状に曲折させて形成するよう
にしたところに特徴を有している。

これを詳述すると、たとえばカークーラ用コン
プレツサの入力軸１３に軸装されたアーマチユア
ハブ１４には、軸線方向に段付きに形成された厚
肉部２１ａと薄肉部２１ｂとを有するフランジ部
２１が形成されている。そして、このフランジ部
の厚肉部２１ａには貫通孔２２が穿設されてお
り、前記板ばね２０の基端部２０ａがリベツト２
３にてかしめ付け固定されている。さらに、この
リング状に形成された板ばね２０は、その基端部
２０ａと同様に自由端部２０ｂが前記アーマチユ
ア１１とリベツト２４にてかしめ付け固定されて
おり、またこれら基端部２０ａおよび自由端部２
０ｂ間には断面略くの字状を呈するくの字状部が
形成されている。すなわち、図中２５ａ，２５
ｂ，２５ｃはこのくの字状部を形成する曲折部
で、また２６はくの字状部の頂点部を示してい
る。ここで、この頂点部２６は、前記薄肉部２１
ｂの側面に圧接され、曲折部２５ａと曲折部２５
ｂとの間の撓み部２７が撓み、所要のばね荷重
（初期荷重）が与えられている。すなわち、アー
マチユアハブ１４の厚肉部２１ａと薄肉部２１ｂ
との高低の度合い（第３図ｈで示す寸法）により
この板ばね２０の初期荷重が設定されるものであ
る。なお、プレス加工にて成形される板ばね２０
は、第２図ｂ中仮想線で示した形状で、その取付
けによつて実線で示すように変形されるものであ
る。

そして、このように構成された板ばね２０は、
第３図に仮想線で示したように、アーマチユア１
１とロータ４との空隙（ギヤツプ）Ｇだけ撓み、
第６図に示した特性図において、図中Ｂで示す放
物線を描くことになる。すなわち、この板ばね２
０は、撓み量p1′（＝ｈ）により初期荷重q1とな
り、また空隙Ｇの撓みによる撓み量p2′により連
結時の荷重q2′が与えられる。そして、このよう
な構成による板ばね２０を用いてなる電磁クラツ
チにおいては、従来のような矩形状の板ばね１２
のように、荷重が撓み量と比例し略直線状の特性
を描く場合とは異なり、第６図中Ｂで示す放物線
特性を描くため、その使用範囲をばね定数が小さ
くなる頂部付近に定めることにより、アーマチユ
ア連結時のばね荷重を従来に比べて小さくするこ
とができ、これにより永久磁石７や電極コイル１
０等の磁気力を大きくしなければならない等とい
つた従来の問題点を一掃し得るものである。

第４図は本発明の別の実施例を示すものであ
り、この実施例では、板ばね２０の基端部２０ａ
がアーマチユアハブ１４のフランジ部２１の反ア
ーマチユア側にかしめ付け固定されている。そし
て、この板ばね２０の初期撓み量は、フランジ部
２１に固着されたストツパ１６の端部の高さで設
定されている点で前述した実施例とは相違してい
るが、それ以外の構成および作用効果は実質的に
同等で、その詳細な説明は省略する。

なお、本発明は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造等を、適宜変形、変更する
ことは自由である。たとえば上述した実施例で
は、本発明を永久磁石７が内設された無励磁作動
型の電磁クラツチに適用した場合を説明したが、
本発明はこれに限定されず、電磁クラツチ、電磁
ブレーキ等の電磁連結装置であれば、種々構造を
有するものに適用してその効果を発揮し得るもの
である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係る電磁連結装
置によれば、回転軸に軸装されたアーマチユアハ
ブに基端部が固定されるとともに自由端部が前記
アーマチユアハブに対し同心上に配置されたアー
マチユアに固定されてなる板ばねを、リング状を
呈するように形成するとともに、このリング状板
ばねの内側縁をアーマチユアハブに固定される基
端部とし、外側縁をアーマチユアに固定される自
由端部として構成し、かつこれら基端部と自由端
部との間を断面略くの字状に曲折させて形成した
ので、簡単かつ安価な構成にもかかわらず、従来
の矩形状の板ばねとは異なり、基端部側の撓み部
の皿ばね作用により、その荷重と撓み量との関係
を放物線特性とし、アーマチユア連結時のばね荷
重を小さくすることが可能で、これにより従来の
不具合を一掃するとともに、従来のものに比べ相
対的な駆動伝達力を高くし得る等といつた種々優
れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本発明に係る電磁連結装置の一
実施例を示す電磁クラツチの縦断側面図およびそ
の右側面図、第２図ａ，ｂは本発明を特徴づける
板ばねを示す側面図およびその側断面図、第３図
は要部拡大断面図、第４図は本発明の別の実施例
を示す縦断側面図、第５図ａ，ｂは従来例を示す
電磁クラツチの縦断側面図およびその右側面図、
第６図は板ばねの撓み量に対する荷重変化を示す
特性図である。 ４……ロータ、８……磁性体、９……フイール
ドコア、１０……電磁コイル、１１……アーマチ
ユア、１３……回転入力軸、１４……アーマチユ
アハブ、１６……ストツパ、２０……リング状板
ばね、２０ａ……内側縁（基端部）、２０ｂ……
外側縁（自由端部）、２１……フランジ部、２１
ａ……厚肉部、２１ｂ……薄肉部、２２……貫通
孔、２３，２４……リベツト、２５ａ，２５ｂ，
２５ｃ……（くの字状部を形成する）曲折部、２
６……頂点部、２７……撓み部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転軸に軸装されたアーマチユアハブに基端
   部が固定されるとともに、自由端部が前記アーマ
   チユアハブに対し同心上に配置されたアーマチユ
   アに固定されてなる板ばねを備えた電磁連結装置
   において、前記板ばねを、リング状を呈するよう
   に形成するとともに、このリング状板ばねの内側
   縁を前記アーマチユアハブに固定される基端部と
   し、外側縁を前記アーマチユアに固定される自由
   端部として構成し、かつこれら基端部と自由端部
   との間を断面略くの字状に曲折させて形成したこ
   とを特徴とする電磁連結装置。