JPH0219214Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はチエーンソーの安全装置に関し、さ
らに詳しくは、チエーン刃が作業者に向つて急激
にはね返る運動（キツクバツク現象）を起した場
合、あるいは作業者の手がチエーンソーのハウジ
ンググリツプからチエーン刃の方にスリツプした
場合に作業者がチエーン刃で損傷される危険を防
止するための安全装置に関する。

一般に、チエーンソーにおける切断作業中、チ
エーン刃が枝等にひつかかるような場合、あるい
はガイドバー先端部が木材等に衝突する場合等に
生じる切削抵抗によつて反力を受けて、ガイドバ
ー上方垂直方向にチエーンソーの重心を中心とし
て急激にはね返る運動（キツクバツク現象）を起
し、作業者に重大な損傷を与えることがある。ま
た、作業者が無理な切断をしようとしてグリツプ
下向きに力を加えたような場合、あるいは不注意
によつて作業者の手がグリツプからスリツプして
チエーン刃に食込んでしまうという危険性もあ
る。そのため、従来から上述のような突発的な事
故を防止するためのチエーンソーにおける種々の
安全装置が提案されている。そのようなチエーン
ソーの安全装置として、例えば米国特許第
3776331号明細書に開示されているように、トリ
ガ手段（すなわち、安全ブレーキバー）によりロ
ツク機構を解除してチエーン刃を巡回駆動するた
めのドラム外周に配された制動バンドにばね力を
加え、キツクバツク時にドラムを締め、ドラムの
回転を制動するようにしたものがある。しかしな
がら、このものは構造が複雑で、ドラム手段から
制動バンドまでの制動伝達機構に中間レバー等を
含み、伝達が間接的で複雑になり、ドラム手段が
作動してからの実際の制動時間が遅れるという問
題がある。

本考案の主要な目的は、上記欠点を解消して、
危急的にチエーン刃を巡回駆動するためのチエー
ンホイールにブレーキバーによつて制動力を瞬時
にして加えると共に、チエーンホイールに伝達さ
れるモータの回転動力をクラツチ機構を介して確
実に遮断することができる安全性、信頼性に富む
チエーンソーの安全装置を提供することにある。

他の目的は、ブレーキバーが制動用と動力遮断
用の力として利用されることにより、安全性を確
保し得る構造が簡単でしかも安価な安全装置を提
供することにある。

さらに他の目的はスプリングの弾力による制動
力に、キツクバツク力を利用したブレーキレバー
による制動力が加わることにより、危急時におけ
る制動力がより確実に増加され得る安全装置を提
供することにある。

続いて、本考案の一実施例を図面にしたがつて
説明すると、図中、１はチエーンソー本体Ｈのハ
ウジング、２はハウジング１の後方に対し作業者
が主として右手で握持するために連設されたハン
ドル、３はハウジング１の前端に取着されて前方
へ延出されたガイドバー、４はハウジング１内と
ガイドバー３の先端とに対し循回可能に掛装され
たチエーン刃、５はハウジング１の前端付近上部
に対し作業者が主として左手を掛止するために突
設されたグリツプである。

６はハウジング１に対し横状に内装されたモー
タであつて、そのモータ軸６ａにはフアン７が嵌
着されるとともに、モータ軸６ａの前端部にはピ
ニオン８が形成されている。

９はハウジング１内に対し、モータ軸６ａと平
行状に可転支持された主軸であつて、その後端付
近（図示左端付近）にはモータ軸６ａのピニオン
８と噛合つて主軸９を定常回転させるためのギヤ
１０が嵌着されるとともに、その中央部付近には
キー１１を軸方向への移動可能に貫挿するための
キー孔９ａが軸方向に沿つて長孔状に貫設され、
さらに、その軸孔９ｂにはキー１１を常には前方
（図示右方）へ付勢するためのスプリング１２が
嵌挿されている。

１３はキー１１に係止されて主軸９に対し共転
および軸方向への変位可能に嵌装されたクラツチ
ホイールであつて、円筒状の胴部１３ａの後端に
はフランジ１３ｂが環状に突設される一方、その
前端面にはクラツチ面１３ｃが歯状に形成されて
いる。

１４はチエーン刃４を循回駆動するために主軸
９の前端に対し遊転可能に嵌挿されてクラツチホ
イール１３に対し連繋および解離可能に対置され
た連動ホイールであつて、その後端部でクラツチ
ホイール１３の胴部１３ａをスライド可能に外嵌
するとともに、その後端面にはクラツチホイール
１３のクラツチ面１３ｃに噛合つてクラツチホイ
ール１３の回転を連動ホイール１４に伝達するた
めのクラツチ面１４ａが歯状に形成され、常には
前記スプリング１２の弾撥力で両クラツチ面１３
ｃ，１４ａが噛合つて連動ホイール１４が回転駆
動される一方、クラツチホイール１３が連動ホイ
ール１４側から後退したときには両クラツチ面１
３ｃ，１４ａの噛合状態が解離されて連動ホイー
ル１４への回転伝達が断絶される。

１５はクラツチホイール１３を押動して後退さ
せるためにハウジング１に対し片持状の揺動可能
に取着された押動プレートであつて、ビス２７で
ハウジング１に対し遊動可能に係止された固定端
１５ａと、主軸９の軸方向への変位可能で常には
スプリング１６で図示右方へ付勢された自由端１
５ｂとがクラツチホイール１３の前後に配置され
るとともに、その中央部にはクラツチホイール１
３の胴部１３ａを貫挿した嵌合口１５ｃが開設さ
れ、押動プレート１５の中央部付近に配設された
嵌合口１５ｃの両側端縁１５ｄ，１５ｄでクラツ
チホイール１３のフランジ１３ｂを反連動ホイー
ル１４側へ押動することができる。

１７は押動プレート１５の自由端１５ｂに対し
共動可能に付設されたフオロアであつて、このフ
オロア１７と押動プレート１５の固定端１５ａと
はクラツチホイール１３の直径の延長線上に配置
されかつフオロア１７はクラツチホイール１３の
前上方に配置される。

１８はハウジング１の前端に対し軸２９を支点
として揺動可能に支持された安全用のブレーキレ
バーであつて、その上部には作業者が主として左
手で握持するためにグリツプ５に対向して起立さ
れたガード部１８ａが形成される一方、その下部
にはほぼＬ型状に曲折されて下端付近が連動ホイ
ール１４に対置された作動部１８ｂが形成され、
常にはハウジング１に突設したピン３０と作動部
１８ｂの下部とに掛装されたスプリング１９で図
示時計方向へ付勢されている。そして、作動部１
８ｂの下端にはハウジング１の凹部２０内に嵌合
されてスプリング２１で付勢された球状のロツク
部材２２を係脱可能に弾性係合してブレーキレバ
ー１８を定常姿勢で保持するために凹設された係
合部２３ａを備えかつガイドプレート２４とハウ
ジング１との間に挾持された係止片２３が突設さ
れ、さらに、作動部１８ｂの中央部付近にはブレ
ーキレバー１８のガード部１８ａが衝撃作用で前
傾してブレーキレバー１８が時計方向へ揺動した
ときに押動プレート１５の自由端１５ｂを押動し
てクラツチホイール１３を両クラツチ面１３ｃ，
１４ａの噛合が解離されるように連動ホイール１
４側から後退させるためにフオロア１７に対し接
離可能に対置されて円弧移動されるカム面２５が
傾斜面状に形成されている。また、作動部１８ｂ
の下端付近の連動ホイール１４側にはブレーキレ
バー１８が時計方向へ揺動したときに連動ホイー
ル１４を両クラツチ面１３ｃ，１４ａの解離と同
期して制動するためにカム面２５の若干下方に対
しカム面２５に追従して円弧移動し、かつ、カム
面２５とフオロア１７との対接に追従して連動ホ
イール１４の外周面１４ｂ前端に対接されるよう
に配置された円弧状の制動部材２６が付設されて
いて、キツクバツクの反動でチエーンソー本体Ｈ
が作動者側へ回動されてブレーキレバー１８がグ
リツプ５を握持した作業者の手で時計方向へ揺動
したときにはロツク部材２２とブレーキレバー１
８の係合部２３ａとの係合が解離されてブレーキ
レバー１８がスプリング１９の弾撥力で時計方向
へ揺動するため、制動部材２６が連動ホイール１
４に圧接し、連動ホイール１４が同ホイール１４
への回転伝達の断絶と同期して緊急制動され、チ
エーン刃４が急速制止される。

なお、２８はカバーである。

続いて、上記した構成をもつ実施例の作用と効
果を説明する。

切断作業中にチエーン刃に異常な力が加えられ
てキツクバツクに伴う衝撃力によつてブレーキレ
バー１８のガード部１８ａが押圧されると、ブレ
ーキレバー１８がロツク部材２２の係止力に抗し
て時計方向へ揺動し、押動プレート１５がブレー
キレバー１８のカム面２５によつて押動されかつ
クラツチホイール１３が押動プレート１５によつ
て反連動ホイール１４側へ押動され、クラツチホ
イール１３のクラツチ面１３ｃと連動ホイール１
４のクラツチ面１４ａとの噛合状態が解離されて
主軸９から連動ホイール１４への回転伝達が遮断
されると同時に、制動部材２６がブレーキレバー
１８に対する作業者の押圧力と、スプリング１９
の弾発力とを複合した加圧力によつて連動ホイー
ル１４に圧接し、連動ホイール１４が制動部材２
６によつて制動されてチエーン刃４が急速に停止
する。

従つて、キツクバツクによる衝撃力を有効活用
して連動ホイール１４への回転伝達を遮断するた
めの力と、連動ホイール１４を制動するための力
とに変換し、異常発生時にチエーン刃４を的確に
急速停止してチエーンソーによる切断作業の安全
性を高めることができる。

とくに、カム面２５が押動プレート１５の自由
端１５ｂを押動するタイミングと、制動部材２６
が連動ホイール１４に圧接するタイミングとが追
従するようにカム面２５と制動部材２６とを関連
的に配置してあるため、連動ホイール１４に対す
る回転伝達の断絶動作と制動動作とを適確かつ無
断状に遂行してチエーン刃４の制止所要時間を短
縮しうる効果がある。

本考案は上記したように構成してあるので、切
断作業中にチエーンソーに対してキツクバツクに
よる衝撃力が加えられたときに連動ホイールへの
回転伝達を即時遮断すると同時に、連動ホイール
を制動してチエーン刃を急速に停止させることが
でき、チエーンソーによる切断作業の安全性を高
めることができる。

また、本考案においてはブレーキレバーの揺動
動作が制動用と動力伝達遮断用との駆動源として
利用されるようにしたため、構造が簡単になり、
さらに、キツクバツク作用を受けたときにスプリ
ングの弾発力に加えてキツクバツク力を利用した
ブレーキレバーの動作による制動力も加わること
により、危急時の制動力がより増加されるという
利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
はチエーンソー本体の側面図、第２図は同じく要
部の拡大側面図、第３図は第２図のＸ−Ｘ線断面
図、第４図はブレーキレバーの揺動時の要部を第
２図のＸ−Ｘ線で示す断面図、第５図は第３図の
Ｙ−Ｙ線断面図である。 １……ハウジング、４……チエーン刃、９……
主軸、１３……クラツチホイール、１４……連動
ホイール、１５……押動プレート、１８……ブレ
ーキレバー、２５……カム面、２６……制動部
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チエーンソー本体のハウジング内に対し回転可
   能に支持された主軸にはチエーン刃を循回駆動す
   るための連動ホイールを遊転可能に嵌装するとと
   もに、前記主軸には前記連動ホイールに形成した
   クラツチ部に対し解離可能に噛合されるクラツチ
   部材を前記主軸の軸方向への移動可能で前記主軸
   との共転可能に装着し、前記ハウジングに対し揺
   動可能に支持されたブレーキレバーの一端部付近
   には前記ハウジングに突設したグリツプに対向し
   てガード部を形成するとともに、前記ブレーキレ
   バーの他端部付近にはこのブレーキレバーが揺動
   して前記ガード部が前記ハンドルから離隔する方
   向へ変位したときに前記連動ホイールに圧接して
   この連動ホイールを制動するための制動部材を付
   設し、さらに、制動部材を前記連動ホイール側へ
   付勢するために前記ブレーキレバーに掛止された
   スプリングと、前記ブレーキレバーの一部を解離
   可能に係止して前記制動部材を常には前記連動ホ
   イールから離隔した状態で保持するためのロツク
   機構と、前記ガード部が前記ハンドルから離隔す
   る方向へ変位したときに前記クラツチ部材を押動
   して前記クラツチ部材と前記連動部材のクラツチ
   部との噛合状態を解離するために前記ブレーキレ
   バーと前記クラツチ部材とを連動可能に連係する
   連動機構とを設けたことを特徴とするチエーンソ
   ーにおける安全装置。