JPH0218351Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は板ばねを使用したクラツチデイスクに
関する。

従来コイルばねを使用したクラツチデイスクが
知られている。コイルばねは、使用中ばね定数を
変化させることが困難で大きいトルクが作用する
とコイルばねの素線が密着し、ばね作用がなくな
り動力係にシヨツクがかかる欠点があつた。

本考案の目的は、前記従来装置の欠点を解消
し、大トルクが働いても動力係にかかるシヨツク
を緩和したばね定数が多段式で複動形の重ね板ば
ねをダンパばねとして使用したクラツチデイスク
を提供するにある。

本考案の実施例を第１図乃至第３図を参照して
説明する。

第１図はダンパばねとして装着される複動形の
重ね板ばねの斜視図で、親ばね１の両面には長さ
の異なる複数枚の子板ばね４，５，６および７，
８，９を順次短かいものが外側になるように重ね
て、各板のほぼ中央で２本のボルト１０で締め付
け、しかも外側の短かい子板ばねほど曲率を大き
く曲げて形成されている。なお図中２，３は親ば
ね１に設けたストツパである。

第２図は本考案に係るクラツチデイスクの部分
的斜視図である。１１はクラツチプレート、１２
はクラツチプレート１１の両面に環状にはりつけ
られたクラツチフエーシング、１３は重ね板ばね
でこの例では子板ばねを親板ばねの両側に１枚ず
つ装着しているが、一般には第１図のように複数
枚の子板ばねが使用されている。１４，１４およ
び１５，１５はクラツチプレート１１に植え込ま
れたナイロンを被覆したピンである。上記重ね板
ばね１３をクラツチデイスクの一つの半径上に前
記ナイロン被覆したピン１４，１４及び１５，１
５により両側より挾んで取り付け、かつこの重ね
板ばね１３の半径方向の位置を、重ね板ばね１３
の突起１６，１６を前記１４，１４および１５，
１５の間に置くことによつて位置ぎめしている。
１７はクラツチプレート１１の中心孔にゆるく嵌
入して設けられたハブプレートでこのハブプレー
ト１７には窓部１８が設けられ、この窓部の空間
にクラツチプレート１１に装着した重ね板ばね１
３を入れ、かつ前記窓１８の内縁がナイロン被覆
された突起１９，２０の間に重ね板ばね１３が挿
入されている。ハブプレート１７の中心に設けら
れたスプライン孔２１には図示しない被動軸のス
プライン軸が嵌合されている。２２はクラツチプ
レートに植えられたピン、２３はハブプレート１
７の外周に設けられた切欠きで、この切欠き内に
はピン２３がはめ込まれている。重ね板ばね１３
には親板ばね１３の両側にそれぞれ１枚の子板ば
ね１３ａ，１３′ａが取り付けられているが必要
に応じて、第１図に示すように両側にそれぞれ複
数枚の子板ばね４，５，６および７，８，９をそ
なえ、各板ばねの中央部で重ねてボルトまたはリ
ベツト１０で締め付けた構造としてもよい。

次に前記実施例の作用について説明する。

クラツチをつなぐ操作をするとフエーシング１
２は図示しないフライホイールとクラツチプレツ
シヤプレートの間に挾まれて強く押し付けられ、
フエーシング１２に摩擦力が働き、前記フライホ
イールより矢印Ａ方向のエンジントルクが伝達さ
れる。重ね板ばね１３はクラツチプレート１１に
植込まれたナイロン被覆されたピン１４，１４お
よび１５，１５によつて支えられているので、ク
ラツチプレート１１と１体に動き、その中央部が
ハブプレート１７に設けられた窓部１８の内縁の
ナイロン被覆された突起２０に当り、之に矢印Ａ
に示す方向のエンジントルクが重ね板ばね１３突
起２０を介してハブプレート１７に伝えられる。

この際重ね板ばね１３は両端をピン１４，１５
で支えられ、その中央部はスプラインハブ１７に
設けられた窓の内縁の突起２０に当接しているの
で、クラツチがつながれクラツチプレート１１が
矢印Ａ方向にまわされると、重ね板ばね１３の中
央部は突起２０よりエンジントルクの反力として
矢印Ａと反対方向の力Ｆで押されるので、その方
向にたわみを生じこのたわみが大きくなるにつれ
て、伝達トルクも大きくなる。伝達トルクが大き
くなり、重ね板ばね１６のたわみが所定の値に達
すると、板ばね１３の曲りの曲率が子板ばね１３
ａとともに曲るのでばね定数が大きくなる。この
間に伝達トルクがハブプレート１７のスプライン
孔に嵌合している図示していない被動軸の抵抗ト
ルクより大きくなると、被動軸は回転をはじめ
る。クラツチプレート１１とハブプレート１７と
はクラツチデイスク１１に両端を支えられた重ね
板ばね１３の中央とハブプレート１７に設けてあ
る窓の内縁の突起２０で接しているので、重ね板
ばねがたわむとそのたわみ量に相当するだけは、
クラツチプレート１１とハブプレート１７は相対
的に回転変位する。相対変位が所定の値を超える
と、重ね板ばね１３の子板ばね１３ａが働き、ば
ね定数が大きくなる。したがつて相対的変位が大
きくなると伝達トルクは急に大きくなる。

相対回転変位が別の所定の値に達すると、ピン
２２がハブプレート１７の外周の切欠２３の端２
４に当り、以後はトルクの増し分は重ね板ばね１
３を介せず直接ピン２２からスプラインハブ２３
の外周の切欠きの端２４をへてスプラインハブ２
１に伝達される。

この装置は、クラツチをつなぐ操作によつて、
クラツチフエーシング１２がフライホイールとプ
レツシヤープレート（図示せず）の間の強く挾ま
れると、エンジントルクがクラツチフエーシング
とクラツチプレートを介して伝わり、該トルクは
たわみが大きくなるとばね定数が２段に大きくな
る重ね板ばねを介して被動軸に嵌合したスプライ
ンハブ２０に伝えられ、最終的にはクラツチプレ
ート１１とハブプレート１７が直結となるように
構成されているので、比較的小形の装置で大きな
トルクが伝達され駆動係に加えられるトルク変動
やシヨツクを緩和する効果がある。

前述のとおり本考案のクラツチデイスクは１枚
又は複数枚の子板ばねを有する複動形の重ね板ば
ねをクラツチばねとして、装着しているので、伝
達トルクが増大したわみが大きくなるとばね定数
が段階的に増加し動力係にシヨツクがかかること
が少く大トルクをスムースに伝達することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は多段特性を有する重ね板ばねの部分的
斜視図、第２図は該重ね板ばねを装着したクラツ
チデイスクの斜視図、第３図はクラツチデイスク
の特性線図である。 １１……クラツチプレート、１２……フエーシ
ング、１３……複動型重ね板ばね、１３ａ，１
３′ａ……子板ばね、４，５，６，７，８，９…
…子板ばね、１４，１４、１５，１５……ピン部
材、１７……スプラインハブ、１８……窓。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心部にスプラインを切削したハブプレート
   と、このハブプレートと中心部でゆるく嵌合し外
   周の両面には環状にフエーシングがはりつけられ
   たクラツチプレートよりなるものにおいて、上記
   ハブプレートの上記中心部と外周部との間の上記
   ハブプレートに穿設された窓部、上記ハブプレー
   トの半径方向に沿つて上記窓部を二分割するよう
   に上記窓部内で上記ハブプレートの回転方向に沿
   つて互いに対向させて突設されると共に上記ハブ
   プレートに一体に形成された一対の突起部、上記
   窓部のうち上記突起部より上記ハブプレートの半
   径外方向に存する外方窓部および半径方向に存す
   る内方窓部に露呈する上記クラツチプレートに植
   設したピン部材、および中間部を上記一対の突起
   部に挟挿されその両端部を上記各ピンを介して単
   純支持形式に支持した重ね板ばねを具備し、上記
   重ね板ばねを長方形平板状の親ばねの両側に相互
   に長さの異なるそれぞれ少なくとも１枚の子板ば
   ねを順次短いものが外側になるよう重ね、しかも
   外側の短い子板ばねほど曲率を大きく形成してな
   るばね定数が多段式でかつ複動型のばね特性が得
   られるよう構成してなることを特徴とするクラツ
   チデイスク。