JPH0216852Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は溶解炉から流し出される溶融貴金属を
鋳型へ流し込ませる鋳型流し込み装置に関する。

〔従来の技術〕

溶解炉内で溶融された貴金属を鋳型に流し込ま
せる方法の一つにるつぼを利用する方法がある。

この方法は、貴金属を溶融させた後、傾むけら
れる溶解炉の払い出し口近傍に予めるつぼを配置
しておき、このるつぼによつて炉内の溶融貴金属
を受けた後、この受けた溶融貴金属をるつぼに入
れた状態のまま鋳型まで移送し、るつぼを傾むけ
ることにより炉内の溶融貴金属を鋳型内へ流し込
ませる方法である。そして、この方法を実施する
上で行なわせるるつぼの移送並びに回転操作は、
従来、るつぼの両側に設けた棒状把持部を、るつ
ぼの両側に立つ人がそれぞれ把持し、この状態で
人手により行なつていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、上述した従来の鋳型への流し込み方
法にあつては、るつぼ操作を行なうにあたり少な
くとも２名の人員が必要であり、しかもそれらの
操作はるつぼを持ち上げて支持した状態のまま行
なわなければならず、非常に労苦を伴なうという
欠点があつた。

本考案は上記事情に鑑み、るつぼ操作の機械化
を図つたものであり、一人でもるつぼ操作を行な
うことができ、作業能率の向上が図れて、経費の
節減を無理なく図ることができる溶融貴金属の鋳
型流し込み装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

係る目的を達成するために本考案では、るつぼ
を支持機構によつて支持し、しかもこのるつぼ支
持機構を、基台と、該基台に水平方向回転自在に
取り付けられた回転体と、該回転体に上下動自在
かつその軸線を中心として回転自在に片持ち支持
されるとともに自由端側にるつぼが組み付けられ
る水平棒と、該水平棒を上下動させる駆動機構と
から構成している。

〔作用〕

るつぼは上下動駆動機構によつてその高さ位置
が定められ、この状態でるつぼ内に溶融貴金属が
流し込まれ、その後同るつぼは回転体を介して水
平方向に回転させられることにより鋳型の上方位
置まで移送され、次いで水平棒をその軸線を中心
として回転させられることにより傾むけられて、
るつぼ内の溶融貴金属が鋳型内に流し込まれる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図は本考案に係る流し込み装置並びに溶解
炉の正面図、第２図はそれらの平面図、第３図は
それらの側面図であり、図において符号Ａは流し
込み装置、Ｂは溶解炉、Ｃは鋳型をそれぞれ示し
ている。

前記流し込み装置Ａは、るつぼ１と、このるつ
ぼ１を支持するるつぼ支持機構２とから構成され
ている。るつぼ支持機構２について説明すると、
基台３には棒部材３ａが上下方向に延在するよう
に設けられており（第２図参照）、この棒部材３
ａには回転体４が水平方向に回転自在に嵌合され
ている。回転体４は、前記棒部材３ａに嵌合され
る筒部５とこの筒部５から側方へ延びる函部６と
から構成されており、函部６内には移動体７がガ
イド部（図示せず）にガイドされて上下動自在に
配設されている。移動体７には下方へ延びるねじ
棒８が回転自在に取り付けられ、このねじ棒８
は、同ねじ棒８にねじ合わされているめねじ部材
（図示せず）がモータ９により回転操作されるこ
とによつて上下動操作される。そして、これら移
動体７、ねじ棒８、モータ９等は、後述する水平
棒１１を上下動させる駆動機構１０を構成してい
る。

移動体７には水平棒１１が貫通状態で片持ち支
持されており、水平棒１１は移動体７に対して軸
線方向に移動自在かつ軸線を中心として回転自在
とされている。また水平棒１１の自由端側中間部
には前記るつぼ１が組み込まれ、かつその先端に
は前記モータ９を駆動停止操作するスイツチ１２
が配設されている。

一方、前記溶解炉Ｂは、固体の貴金属を電気等
の熱源を利用して溶融させるものであつて、架台
１３にピン１４を介して垂直方向に回動自在に支
持されており、内部溶湯が払い出される際、モー
タ１５、歯車１６等からなる駆動機構１７が操作
されて、払い出し口１８が下方に位置するようピ
ン１４を中心として回転される。

次に、上記構成の流し込み装置Ａを用いて溶解
炉Ｂ内の溶融貴金属（溶湯）を鋳型Ｃへ流し込ま
せる方法について説明する。溶解炉Ｂ内での貴金
属の溶融が完了すると、駆動機構１７によつて溶
解炉Ｂが第３図中２点鎖線で示す如く傾斜され
て、払い出し口１８から炉内の溶湯が払い出され
る。このとき、るつぼ１は、予め、上下動駆動機
構１０によつてその高さ位置が適宜に設定される
とともに、回転体４に対する水平棒１１の軸線方
向の相対位置が設定されることにより、払い出し
口１８に対応する位置に位置決めされている。し
たがつて、払い出し口１８から払い出される溶湯
はるつぼ１内に流し込まれる。そして炉Ｂ内の払
い出しが完了すると、溶解炉Ｂは元の位置に戻さ
れ、またるつぼ１は駆動機構１０により適宜位置
まで上昇させられた後、水平棒１１の自由端が操
作されて、基台３の棒部材を中心として第２図中
２点鎖線で示すように時計方向へ回転され、鋳型
Ｃの真上の位置まで移送される。次いでるつぼ１
は水平棒１１がその軸線を中心として回転される
ことにより傾斜させられ、同るつぼ１内の溶湯が
鋳型Ｃ内に流し込まれる。かくして、溶解炉Ｂ内
の溶湯は鋳型Ｃ内に流し込まれる。その後、るつ
ぼ１は、上下動駆動機構１０により下降されると
ともに、水平棒１１が回転体４を介して回動操作
されることにより、元の位置に戻される。

なお、上記実施例においては、水平棒１１をそ
の軸線に沿わせて移動自在としているが、溶解炉
Ｂや鋳型Ｃの配置を考慮して流し込み装置Ａの位
置を決定すれば、必ずしもそのような構成にする
必要はない。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、溶解炉か
ら流れ出る溶融金属を受けるるつぼと、このるつ
ぼを支持するるつぼ支持機構とを備え、るつぼ支
持機構は、基台と、基台に水平方向回転自在に取
り付けられた回転体と、回転体に上下動自在かつ
その軸線を中心として回転自在に片持ち支持さ
れ、自由端側にるつぼが組み付けられる水平棒
と、水平棒を上下動させる駆動機構とから構成さ
れているため、るつぼの移送並びに回動操作を只
１人の人員で半自動的に行なうことができ、作業
能率の向上が図れて経費の節減を無理なく図るこ
とができる等の優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る鋳型流し込み装置並びに
溶解炉の正面図、第２図はそれらの平面図、第３
図はそれらの側面図である。 Ａ……流し込み装置、Ｂ……溶解炉、Ｃ……鋳
型、１……るつぼ、２……支持機構、３……基
台、４……回転体、７……移動体、８……ねじ
棒、１０……駆動機構、１１……水平棒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶解炉から流し出される溶融貴金属を受け、こ
   の受けた溶融貴金属を炉近傍に配した鋳型へ流し
   込ませる装置であつて、溶解炉から流し出される
   溶融貴金属を受けるるつぼと、該るつぼを支持す
   るるつぼ支持機構とを備え、前記るつぼ支持機構
   は、基台と、該基台に水平方向回転自在に取り付
   けられた回転体と、該回転体に上下動自在かつそ
   の軸線を中心として回転自在に片持ち支持され自
   由端側に前記るつぼが組み付けられる水平棒と、
   該水平棒を上下動させる駆動機構とから構成され
   ていることを特徴とする溶融貴金属の鋳型流し込
   み装置。