JPH02153359A - 正孔輸送性層形成材料および電子写真感光体 - Google Patents

正孔輸送性層形成材料および電子写真感光体

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JPH02153359A JP30690888A JP30690888A JPH02153359A JP H02153359 A JPH02153359 A JP H02153359A JP 30690888 A JP30690888 A JP 30690888A JP 30690888 A JP30690888 A JP 30690888A JP H02153359 A JPH02153359 A JP H02153359A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、正孔輸送性物質および電子写真感光体に関す
る。
〔従来の技術〕
電子写真感光体としては、従来、セレン、酸化亜鉛、硫
化カドミウム等の無機光導電性化合物を用いて構成され
た無機感光層を備えてなる無機感光体が広く用いられて
いる。
しかし、斯かる無機感光体は、感度、熱安定性、耐湿性
、耐久性等の点においては、必ずしも十分に満足し得る
ものではない。例えばセレンを用いて構成された無機感
光層を備えてなる無機感光体は、高温になると結晶化し
て電子写真感光体としての特性が劣化しやすいため、製
造プロセスにおいて厳しい温度条件が必要とされ、また
取扱う際にも熱や指紋等による結晶化を避ける必要があ
る。
また、硫化カドミウムや酸化亜鉛を用いて構成された無
機感光層を備えてなる無機感光体は、耐湿性、耐久性が
劣る問題がある。
斯かる事情から、近年においては、有機光導電性化合物
を用いて構成された有機感光層を備えてなる有機感光体
の研究開発が盛んに行われている。
例えば特公昭50−10496号公報には、ポリ−Nビ
ニルカルバゾールと、2,4.7−)ジニトロ−9−フ
ルオレノンとを含有してなる有機感光層を備えてなる有
機感光体が開示されている。しかし、この有機感光体は
、感度および耐久性の点においていまだ不十分である。
これに対して、キャリア(正孔または電子)発生機能と
キャリア(正孔または電子)輸送機能とを異なる物質に
分担させるいわゆる機能分離型の有機感光層を備えてな
る有機感光体が開発された。
斯かる有機感光体によれば、感光層を構成する材料の選
択範囲が格段に広がり、種々の性能を有する有機感光体
を比較的容易に作製し得る利点がある。
しかし2て、キャリア発生機能を分担するキャリア発生
物質としては、各種のアゾ化合物が実用化され、キャリ
ア輸送機能を分担するキャリア輸送物質としては、例え
ば特開昭51−94829号、同52−72231号、
同53−27033号、同55−52063号、同58
−65440号、同58−198425号等の各公報に
提案されている。
しかし、上記のキャリア輸送物質を用いて構成された有
機感光体は、キャリア輸送能が十分大きくはなく、特に
環境温度が低い状態で高速度の複写プロセスに供すると
感度低下を生じ、あるいは残留電位の上昇を招く、とい
う欠点を有する。
斯かる事情から、最近、キャリア(正孔)輸送物質とし
て特定の構造のポリシランを用いる技術が提案された(
特開昭61−170747号公報参照)。
このポリシランによれば、既述のキャリア輸送物質と異
なり自己成膜性を有しているため、他のバインダーと組
合せることなく容易に膜状の感光層を形成することがで
き、また、正孔の移動度が約10−’ cm2/ V 
−secのオーダにあって既述のキャリア輸送物質に比
して約1桁以上大きく、上記したような既述のキャリア
輸送物質を用いて構成された有機感光体の欠点は、この
物質を用いることによって解消される。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、このポリンランを用いて構成された感光層は膜
強度が概して低く、そのため電子写真プロセスを繰返し
て遂行すると、現像時のトナーあるいはクリーニング時
のクリーニング部材等により受ける擦過力により表面が
損傷され、あるいは膜はがれが生じ、その結果、得られ
る複写画像には、白スジ、黒スジ等の欠陥が早期に発生
して画質が劣化する問題がある。また、ポリンランは暗
把抗が比較的小さく、これを用いて構成した有機感光体
は帯電能が不十分であることがもう1つの問題である。
これに対して、本発明者は、感光層の膜強度を高める観
点から、ポリシランと、その他のポリマーとを組合せて
感光層を構成することを試みたが、両者を単に混合する
手段では、ポリシランとその他のポリマーとの相溶性が
悪いために、相分離が生じて十分な性能が発揮されない
ことが判明した。
本発明は、以上の如き事情に基づいてなされたものであ
って、その目的は、次のとおりである。
(1) 正孔輸送性が優れ、機械的強度が優れ、かつ暗
抵抗の大きな正孔輸送性物質を提供すること。
(2)優れた帯電特性および感度特性を有し、しかも優
れた機械的耐久性を有する電子写真感光体を提供するこ
と。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の正札輸送性物質は、
ポリシランよりなる重合体ブロックAと、他の重合体よ
りなる重合体ブロックBとのグラフト共重合体からなる
ことを特徴とする。
また、ポリシランが下記一般式(a)で示されるもので
あることが好ましい。
一般式(a) (式中、R’、R2,R3,R’、R’、R’は、水素
、アルキル基もしくは置換アルキル基、アリール基もし
くは置換アリール基、アルコキシ基もしくは置換アルコ
キシ基、シリル基もしくは置換シリル基、シリリデン基
もしくは置換ンリリデン基、シリリゾイン基もしくは置
換シリリゾイン基を表し、互に同一でも異なっていても
よい。m。
n、pは、総ポリマー中の各モノマー単位の割合を表す
。) また、ポリシランの数平均重合度が10〜50.000
であることが好ましい。
また、他の重合体が、エポキシ樹脂、ポリウレタンであ
ることが好ましい。
また、他の重合体が、架橋結合を有してなることが好ま
しい。
また、グラフト共重合体における重合体ブロック八と重
合体ブロックBの重量比A/Bが、110.2〜0.2
/1であることが好ましい。
そして、本発明の電子写真感光体は、上記の特定の正孔
輸送性物質を含有してなる有機感光層を備えてなること
を特徴とする。
〔作用〕
本発明の正孔輸送性物質は、ポリシランよりなる重合体
ブロック八と、他の重合体よりなる重合体ブロックBと
のグラフト共重合体からなり、重合体ブロックAと重合
体ブロックBとが化学的に結合しているため、各重合体
ブロックの相分離という問題を招来せずに、ポリシラン
よりなる重合体ブロック八により優れた正孔輸送性が発
揮されるとともに、他の重合体よりなる重合体ブロック
已により十分な機械的強度と共に十分な暗抵抗が得られ
る。
そして、本発明の電子写真感光体によれば、上記特定の
正孔輸送性物質を含有してなる有機感光層を備えてなる
ため、優れた帯電特性および感度特性が発揮されると共
に、感光層の機械的強度が十分となり、電子写真プロセ
スを繰返して遂行するときにも、良好な画像を多数回に
わたり安定に形成することが可能となる。
〔発明の具体的内容〕
以下、本発明の正孔輸送性物質および電子写真感光体に
ついて、具体的に説明する。
〔1〕正孔輸送性物質 本発明の正孔輸送性物質は、ポリシランよりなる重合体
ブロックΔと、他の重合体よりなる重合体ブロックBと
のグラフト共重合体からなるものである。
〈重合体ブロックA〉 重合体ブロックAは、グラフト共重合体において、いわ
ゆる枝を構成するものである。
重合体ブロック八を構成するポリシランは、炭素(C)
の代わりにシリコン(Si)を主骨格とした有機物の総
称であり、具体的には種々の重合体が含まれる。
斯かるポリシランの好ましいものとしては、下記一般式
(a)で示されるホモポリマー、コポリマーターポリマ
ーを挙げることができる。
一般式(a) (式中、R’、R’、R3,R’、R’、R6は、水素
、アルキル基もしくは置換アルキル基、アリ−ル基もし
くは置換アリール基、アルコキン基もしくは置換アルコ
キシ基、シリル基もしくは置換シリル基、シリリデン基
もしくは置換シリリデン基、シリリゾイン基もしくは置
換シリリゾイン基を表し、互に同一でも異なっていても
よい。m。
n、pは、総ポリマー中の各モノマー単位の割合を表す
。) 斯かるポリンランよりなる重合体ブロックへの数平均重
合度は10〜50.000が好ましい。また、ボ177
ランの各モノマー単位は、重合体ブロックへの全体にラ
ンダムに分布していてもよいし、あるいはブロック状に
分布していてもよい。
前記一般式(a)を構成するアルキル基としては、炭素
数が1〜24、好ましくは1〜8の直鎖または枝分かれ
したアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ペンタデシル基、ステアリル基、シ
クロヘキシル基などのシクロアルキル基、アリル基を含
む不飽和アルキル基、これらの置換アルキル基等を挙げ
ることができる。特に好ましいアルキル基は、メチル基
、エチル基、プロピル基、ブチル基である。
アリール基としては、炭素数が6〜24のものが好まし
く、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等を挙げる
ことができる。
アルコキシ基としては、炭素数が1〜約10のものが好
ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基
、ブトキシ基等を挙げることができる。
置換アルキル基、置換アリール基、置換アルコキシ基、
置換シリル基、置換ン+J IJデン基、置換シリリゾ
イン基における置換基としては、アルキル基、アリール
基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミン基、アルコキシ基
、シアノ基、その他の置換基を挙げることができる。
例えば置換シリル基としては、5iH(CH,)、−5
1(C)h)*−1Si(CaHs)s−1Sl(C5
H−)□−8i(C,H−)−−1Si(CHa)2(
C2H−)−1Si (CH,)(C2H,)、−1S
i(CHs)i(CsHs)−1Si (CH,)、(
C,H5CH,)−等、 また、例えば置換シリリデン基としては、5iH(CH
3)く、5l(CH3)2ぐ、5i(CzH2)2ぐ、
5i(C,Ht)、ぐ、5i(C4H−)aく、5i(
Ct−(、) (C2H3)く、5i(CH3) (C
6H5)ぐ、Si (CH3) (C−1(SeH2に
等、 また、例えば置換ンIJ IJデイン基としては、Si
HミC、S+ (CH3) EE 、 S宜(C,H、
) ミ=::] 、 5i(C−H、) 、S+ (C
s Hs) ’F:、5i(CsHsCH2)EE等、
を挙げることができ、これらシリリデン基、シリリゾイ
ン基は、同一の重合体ブロック、あるいは他の重合体ブ
ロックのシリリデン基、シリリゾイン基と結合している
斯かるポリシランの具体例としては、例えばポリンクロ
トリメチレンシラン、ポリシクロペンタメチレン7ラン
、ポリ2−アセトキシエチルメチルシラン、ポリターシ
ャリ−ブチルメチルシラン、ポリジーt−プチルシラン
ーコージメチルシラン、ポリメチルフェニルシランーコ
ージメチルシラン、ポリシアノエチルメチルシラン、ポ
リn−プロピルメチルシラン、ポリp−)リルメチルシ
ラン、ポリシクロヘキシルメチルシラン、ポリシクロテ
トラメチレンシラン、ポリ2−カルボメトキンエチルメ
チルシラン、ポリフェニルエチルシラン、ポリジフェニ
ルシランーコーフェニルメチルンラン等を挙げることが
できる。
く重合体ブロックB〉 重合体ブロックBは、グラフト共重合体において、いわ
ゆる幹を構成するものである。
重合体ブロックBを構成する他の重合体としては、機械
的強度の大きい重合体が得られるものであれば特に限定
されないが、具体的には、不飽和ポリエステル、エポキ
シ樹脂、ポリウレタン等から選択することが好ましい。
不飽和ポリエステルとしては、単独重縮合反応による不
飽和ポリエステル、共縮合反応による不飽和ポリエステ
ルがあり、前者は不飽和多塩基酸と多価アルコールとを
1種類ずつ、後者は不飽和多塩基酸と多価アルコールと
少なくとも1種類の飽和多塩基酸を用いて合成された構
造を持つものである。不飽和多塩基酸単位は、マレイン
酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒ
ドロフクール酸、マシン酸、クロルマレイン酸、へ7)
酸および/またはこれらの無水物によって与えられる。
多価アルコール単位は、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、ビスフェノール、水添ビスフェ
ノール、ビスフェノールグリコールエーテル等によって
与えられる。
飽和多塩基酸単位は、フタール酸、テレフタール酸、イ
ンフタール酸、テトラヒロフクール酸、コハク酸、アジ
ピン酸、セパチン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフク
ール酸および/またはこれらの無水物によって与えられ
る。
不飽和ポリエステルとしては、また、末端基に高反応性
アクリル二重結合を持ち主鎖がビスフェノールA系エー
テル結合を有するいわゆるエポキシアクリレート構造の
ものを用いることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系エポキサイ
ド、フェノール系エポキサイド(ノボラック型エポキサ
イド、アルキルフェノールジグリシジルエーテノペ芳香
族ポリグリシジル、フェノールフタレインエポキサイド
、レゾルシンエポキサイド等)、ポリグリコール系エポ
キサイド、エステル系エポキサイド(ジグリシジルアジ
ペート、ジグリシジルフタレート、ダイマー酸ジグリシ
ジルエステル、メタアクリル酸メタグリシジルエステル
およびその重合物等)、N−グリンジルアミン系エポキ
サイド等から得られるものを挙げることができる。
ポリウレタンとしては、線状ポリウレタン(ポリテトラ
メチレンへキサメチレクン等)、ポリウレタンゴム、ポ
リウレタン接着剤(イソシナネートゴム系接着剤、プレ
ポリマー系接着剤(ポリオールイソシアネート系)、イ
ンシアネート変性ポリマー接着剤)、ポリウレタン塗料
(熱反応型ポリウレタン、湿気硬化型ポリウレタン、酸
素硬化型油変性ポリウレタン、ポリオール硬化型ポリウ
レタン、触媒硬化型ポリウレタンを用いることができる
また、重合体ブロックBの重合体は、架橋剤を用いであ
るいは用いないで架橋されていてもよい。
架橋結合を有することにより、正孔輸送性物質の機械的
強度をさらに高めることが可能となる。
斯かる架橋結合を形成するために用いられる架橋剤とし
ては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、パラメチ
ルスチレン、クロルスチレン、酢酸ビニル、メタアクリ
ル酸エステル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌ
レート、ジアリルベンゾフォスフォネート、不飽和油脂
およびこれらビニル反応性モノマー以外の種々の多官能
性物質を挙げることができる。
なお、架橋結合の形成時期は特に限定されないが、グラ
フト共重合体を形成する反応と同時に、あるいはその反
応の後に架橋剤を添加して重合体ブロックB同士を架橋
結合させるようにするのがよい。
〈グラフト共重合体〉 本発明の正孔輸送性物質は、以上の重合体ブロック八と
、重合体ブロックBとのグラフト共重合体からなるが、
その合成法としては、特に限定されない。具体的には、
以下の方法を適用することができる。
(1) 重合体ブロックAあるいはその誘導体の生成反
応と同時に、あるいはその生成反応終了後の反応系で引
き続いて、重合体ブロックBの生成反応を起こさせてグ
ラフト共重合体を得る方法。
(2) 重合体ブロックAあるいはその誘導体の生成反
応と同時に、あるいはその生成反応終了後の反応系で引
き続いて、既に生成した重合体ブロックBへのグラフト
反応を起こさせる方法。
(3〉重合体ブロックBの生成反応の終了後、その反応
系で引き続いて、重合体ブロックへの生成反応を起こさ
せてグラフト共重合体を得る方法。
(4)重合体ブロックBの生成反応と同時に、あるいは
その生成反応終了後の反応系で引き続いて、既に生成し
た重合体ブロックAあるいはその誘導体のグラフト反応
を起こさせる方法。
(5)別々に得られた重合体ブロックAあるいはその誘
導体と、重合体ブロックBとの間でグラフト反応を起こ
させる方法。
グラフト共重合体における重合体ブロックAと重合体ブ
ロックBの重量比A/Bは、110.2〜0.2/1が
好ましい。重合体ブロック八が過小であると感度特性が
低下し、一方、重合体ブロックBが過小であると、成膜
性、機械的強度および帯電特性が不十分となる。すなわ
ち、重合体ブロックAは、ポリシランの特長から感度特
性の向上に大きく寄与し、重合体ブロックBは、成膜性
、機械的強度、帯電特性の向上に大きく貢献する。
なお、感光層塗布液の調製においては、溶剤を添加して
もよいし、溶剤を用いなくてもよい。また、塗布液には
、必要に応じて架橋モノマーを添加し、さらに架橋反応
開始剤を加えて、液が硬化する前に塗布膜を形成し、こ
れを熱または光により乾燥硬化させて架橋構造の膜を形
成することができる。
斯かる架橋反応開始剤としては、例えば重合体ブロック
Bが不飽和ポリエステルの場合は必要に応じてラジカル
重合開始剤等が用いられ、重合体ブロックBがエポキシ
樹脂の場合はアミン、アルコールまたはその無水物等が
用いられ、重合体ブロックBがポリウレタンの場合は第
三級アミン、を載録化合物、ナフテン酸塩等の塩基性化
合物等が用いられる。
〔2〕電子写真感光体 本発明の電子写真感光体は、上記の特定の正孔輸送性物
質を含有してなる有機感光層を備えてなるものである。
すなわち、本発明の電子写真感光体は、基本的には、当
該特定の正孔輸送性物質をキャリア発生物質と組合せて
構成した機能分離型の有機感光層を有し、この有機感光
層を直接もしくは他の層を介して例えば導電性支持体上
に積層して構成したものである。
当該有機感光層の具体的構成は、特に限定されず、以下
のように種々の態様が可能である。
(1)キャリア輸送層と、キャリア発生層とを別個独立
の層とした構成(以下「構成(1)」という。)。
(2)独立したキャリア発生層を形成せずに、既述の特
定の正孔輸送性物質を含有してなる層中にキャリア発生
物質を分散含有させた構成(以下「構成(2)」という
。)。
斯かる機能分離型の有機感光層によれば、キャリアの発
生と、キャリアの輸送とを別個の物質に分担させるので
、キャリア発生物質の選択範囲が広範となり、画像形成
プロセスにおいて要求される緒特性、例えば帯電させた
ときの表面電位が高く、光感度が高く、また反復使用に
おける安定性が大きい等の優れた特性を有する有機感光
体を構成することが可能となる。
そして、本発明の特定の正孔輸送性物質はそれ自身で高
い成膜性を有しているので、バインダーを併用せずに構
成(1)におけるキャリア輸送層あるいは構成(2)に
おける感光層のキャリア発生物質以外の部分を形成する
ことができる。
そして、構成(1)におけるキャリア輸送層あるいは構
成(2)における感光層のキャリア発生物質以外の部分
は、既述の特定の正孔輸送性物質のみにより形成しても
よいし、所望の特性を付与するために必要に応じてその
他の物質を併用してもよい。
斯かるその他の物質としては、例えば次のようなものが
ある。
(1)絶縁性を高めるためのバインダー斯かるバインダ
ーとしては、絶縁性を有し、かつ、既述の特定の正孔輸
送性物質と相溶性のあるものが用いられる。具体的には
、例えばポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル
樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリイソ
プレン、ポリブタジェン、ポリアミド樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、例えばスチレン−ブタジェン共重合体、スチレ
ン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン共重合体
樹脂、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合
体等のアクリロニトリル系共重合体樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マ
レイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アル
キッド樹脂、フェノール樹脂、スチレン−アルキッド樹
脂、ボ’J−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリヒドロキシスチレ
ン等を挙げることができる。これらのバインダーは、単
独でまたは2種以上を混合して用いることができる。斯
かるバインダーの併用割合は、構成(1)におけるキャ
リア輸送層および構成(2)における感光層のキャリア
発生物質以外の部分の例えば5〜50重量%程度である
(2) 残留電位の低下を図るための他のn型のキャリ
ア輸送物質 斯かる他のn型のキャリア輸送物質としては、例えばテ
トラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ジク
ロルジシアノバラベンズキノン、トリニトロフルオレノ
ン、テトラニトロフルオレノン、フルオレニリデンマロ
ノジニトリル、アニール類等を挙げることができる。斯
かるキャリア輸送物質は、構成(1)におけるキャリア
発生層にも追加して用いることができる。
キャリア発生物質としては、一般に可視光から赤外光を
吸収して、自由キャリアを発生するものであれば特に限
定されないが、具体的には、無機顔料および有機顔料等
から選択することができる。
斯かる無機顔料としては、例えば無定形セレン、三方晶
形セレン、セレンーヒ素合金、セレン−テルル合金、硫
化カドミウム等を挙げることができる。
また、有機顔料としては、例えば(1)モノアゾ顔料、
ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ系顔料、(2)
ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミド等のペリレン系顔
料、り3)アンスラキノン誘導体、アンスアンスロン誘
導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピランスロン誘導
体、とオランスロン誘導体、イソビオランスロン誘導体
等の多環キノン系顔料、(4)インジゴイド誘導体、チ
オインジゴイド誘導体等のインジゴイド系顔料、(5)
金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロ
シアニン系顔料、等を挙げることができる。
斯かるキャリア発生物質は、それ自身では成膜性が乏し
いので、構成(1)のように別個独立のキャリア発生層
を形成する場合には、バインダーを併用することが好ま
しい。斯かるバインダーとしては、特に限定されないが
、例えば疎水性でかつ絶縁性の膜の形成が可能な高分子
重合体を用いることが好ましい。斯かる高分子重合体と
しては、絶縁性を高めるためのバインダーとして前記し
た物質と同様のものを用いることができる。これらのバ
インダーは、単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。斯かるバインダーは、キャリア発生物質の
1重量部に対して、5重量部以下の範囲で使用すること
が好ましい。
また、構成(2)のように既述の特定の正孔輸送性物質
を含有してなる層中に微粒子状のキャリア発生物質を分
散含有させて感光層を構成する場合には、キャリア発生
物質の含有割合は当該層の10〜90重量%が好ましい
導電性支持体としては、例えば下記のものを用いること
ができるが、これに限定されない。
(1)アルミニウム、ステンレス等の金属よりなる板状
もしくはドラム状の導電性支持体。
(2)紙あるいはプラスチックフィルム等の支持体上に
、アルミニウム、パラジウム、金等の金属よりなる薄層
をラミネートもしくは蒸着によって設けた構成の導電性
支持体。
(3) 紙あるいはプラスチックフィルム等の支持体上
に、導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化スズ等の導
電性化合物の層を塗布もしくは蒸着によって設けた構成
の導電性支持体。
次に、本発明に係る電子写真感光体の具体的構成例を図
面を参照しながら説明する。
第1図は、導電性支持体1上に、キャリア発生層2を積
層し、さらにこの上に、既述の特定の正孔輸送性物質を
含有してなるキャリア輸送層3を積層して、電子写真感
光体を構成した例である。
この例では、それぞれ独立したキャリア発生層2とキャ
リア輸送層3とにより有機感光層4が構成されている。
第2図は、第1図の例において、キャリア発生層2と、
キャリア輸送層3の積層順を逆にした構成である。
第3図は、第1図の例において、キャリア発生層2と導
電性支持体1との間に中間層5を付加した構成である。
この中間層5は、例えば接着層、バリア層等として機能
するものである。
第4図は、第2図の例において、キャリア輸送層3と導
電性支持体1との間に中間層5を付加し、さらに、キャ
リア発生層2の上にオーバーコーテイング層8を設けた
構成である。このオーバーコーテイング層8は必要に応
じて設けられるものである。
第5図は、正孔輸送性物質を含有してなる層6中に、微
粒子状のキャリア発生物質7を分散含有させて構成した
単一層からなる有機感光層4を導電性支持体1上に積層
した構成である。
第6図は、第5図の例において、有機感光層4と導電性
支持体1との間に中間層5を付加した構成である。
有機感光層4を、キャリア発生層2およびキャリア輸送
層3を含む多層構成とする場合において、キャリア発生
層2とキャリア輸送層3のいずれを上層とするかは、有
機感光層4の帯電極性に基づいて定めるのが好ましい。
すなわち、帯電極性を負とする場合には、第1図および
第3図に示すように、キャリア輸送層3を上層とするの
が有利である。
中間層5は、接着層またはバリア層として機能するもの
であり、具体的には、キャリア発生層に用いられるバイ
ンダーとして例示した既述の物質のほか、例えばポリビ
ニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、カゼイン等により構成することができる。
オーバーコーテイング層8には、キャリア発生層のバイ
ンダーに用いられる樹脂を用いることができる。また、
当該層中でのキャリアの走行を助けるために前記したn
型のキャリア輸送物質、あるいはピラゾリン誘導体、ベ
ンチジン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾー
ル誘導体、ポリフェニルアミン誘導体、スチリルアミン
誘導体、ヒドラゾン類等のp型のキャリア輸送物質を混
合して用いるのが好ましい。
キャリア輸送層3の厚さは、必要に応じて変更し得るが
、2〜50μ濡、好ましくは5〜30μ腫である。
キャリア発生層2の厚さは、0.01〜10μ屑、好ま
しくは0.05〜5μ清である。中間層5の厚さは、0
.01〜2n、好ましくは0.05〜0.5μ清である
。オーバーコーテイング層8の厚さは、0.1〜Ion
、好ましくは0.5〜5μ贋である。
また、既述の特定の正孔輸送性物質を含有してなる層中
にキャリア発生物質を分散含有させて構成される感光層
の厚さは、2〜50μ清、好ましくは5〜40μmであ
る。
感光体を構成する以上の如き各層は、種々の手段によっ
て形成される。例えばデイツプコーチインク法、スプレ
ーコーチインク法、フレードコーティング法、ロールコ
ーティング法、ラミネーティング法、溶融押出法を一般
に用いることが可能であるが、特に構成で1)における
キャリア発生層は、以上の方法のほか、真空蒸着法、ス
パッタリング法、イオンブレーティング法などによって
形成することも可能である。各層の設置に種々の塗布法
を用いる場合には、各層の成分の全部あるいは一部を溶
解する溶媒や、それらを全く溶解しない分散媒を用いる
ことも可能である。しかしながら、特に構成(1)にお
けるキャリア輸送層や構成(2)における感光層を液状
の既述の特定の正孔輸送性物質前駆体を用いて形成する
場合には、溶媒等を用いず、塗布法によって層を形成し
た後、これを硬化せしめる等の方法を採用することも可
能である。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明が
これらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉 (1)十分に精製脱水したテトラヒドロフラン10〇−
中に、乾燥窒素雪囲気下で、ピフェニル30.8 g(
0,2モル)を溶解し、さらに金属リチウム2.8g(
0,4モル)を加えて室温で2時間撹拌し、続いてドラ
イアイス−メタノール液により一78℃に冷却した。
次に、1.1.2.2−テトラメチル−1,2−ジクロ
ルジシラン18.7g (0,1モル)を精製乾燥した
テトラヒビ0フラン50m!!中に溶解して調製した溶
液を、上記冷却した溶液中に撹拌しながら徐々に滴下し
た。撹拌を2時間行った後、温度を−78℃に保って、
これを激しく撹拌しながら0.1モル/lのブチルリチ
ウムへキサン溶液1mlを徐々に滴下した。
以上の処理により、数平均分子量が11.6万、重合度
が2000の活性末端(−S↓0)を有するポリジメチ
ルシランよりなる重合体ブロック八を含む溶液を得た。
(2) 次に、上記重合体ブロックAを含む溶液を一7
8℃に冷却したまま、激しく撹拌して、m−インプロペ
ニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート0.0
4g (0,2ミリモル)を2−の乾燥テトラヒドロフ
ラン中に溶解して調製した溶液を徐々に滴下した。メタ
ノールを加えて得られた沈澱を再びテトラヒドロフラン
に溶解してメタノールで沈澱し、乾燥して下記2つの構
造の混合物を得た。
OCHa (n=2、開始末端: C4Hs、 Mwt : 11
6524)Hj 〜Si−−÷CH2−C)7H (3)  )リレンジイソシアネート[デスモジュール
T J  (Mwt : 174)と、トリイソシアネ
ート「デスモジュールRJ  (Mwt : 367)
と、ヘキサメチレングリ:]−ル(Mwt : 118
)とを4.9 +0.08 :5.02のモル比で混合
した混合物20gに、上記混合物20g(0,17ミ!
jモル)およびトルエン50rn1を混合し、さらに必
要に応じてキャリア発生物質を加えて塗布液を調製した
〈実施例2〉 (1)実施例1の(2)において、m−インプロペニル
−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート溶液を滴下
した後の反応液に1.5mi!の水と0.5mi!のト
リエチルアミン(インシアネートの加水分解触媒)を加
え、5時間還流加熱した。メタノールを加えて得られた
沈澱を再びテトラヒドロフランに溶解しメタノールで沈
澱し、乾燥して下記構造の物質を得た。
ヒドロ7ランーエタノール混合溶媒で再度沈澱精製して
、ビフェニル未反応のジグリシジルビスフェノールAお
よび金属リチウムを除去し、沈澱物を単離し、乾燥した
この乾燥物は下記の構造を有するものである。
H3 (2)上記(1)で得られた物質20gに「エピコート
8」10gを加え、室温で2時間撹拌する。次いで「エ
ピコート815」10gおよびトルエン20+dを混合
して、さらに必要に応じてキャリア発生物質を加えて塗
布液を調製した。
〈実施例3〉 (1)実施例1と同様にして、ポリジメチルシランより
なる重合体ブロック八を含む溶液を得た。
(2)次に、上記重合体ブロック八を含む溶液に、ジグ
リシジルビスフェノールA 3.4 g (0,01モ
ル)を加え、十分に撹拌して反応させた。さらに、エタ
ノールを加えて沈澱させ、この沈澱物をテトラ(3)こ
の乾燥物全景に、ビスフェノール系エポキサイド「エピ
コート815J  (エポキシ当量190) 19g、
ジエチレントリアミン2.06 g (10,8P H
R)、キシレン10m1、さらに必要に応じてキャリア
発生物質を加えて混合して塗布液を調製した。
〈実施例4〉 (1) 実施例1と同様にして、ポリジメチルシランよ
りなる重合体ブロックAを含む溶液を得た。
(2)次に、上記重合体ブロックΔを含む溶液に、数平
均分子ff115万の(4−クロロメチル)スチレン−
スチレン共重合体(モル比=110)  11.6gを
テトラヒドロフラン50一に溶解したものを加え、50
℃に加温して1時間撹拌した後、これを大量のエタノー
ル中に注いで沈殿させた。この沈澱物をテトラヒドロフ
ランに再度溶解し、次いでエタノール中に注いで再度沈
澱させ、この沈澱物を単離し、乾燥し、もって、ポリジ
メチルシランよりなる重合体ブロックAと、ポリスチレ
ンを主体とする重合体ブロックBとのグラフト共重合体
からなる正孔輸送性物質を得た。なお、このグラフト共
重合体は下記の構造を有すると推定される。
(3)この正孔輸送性物質20gをテトラヒドロフラン
200mI!に溶解し、さらに必要に応じてキャリア発
生物質を加えて塗布液を調製した。
〈実施例5〉 (1)実施例1と同様にして、ポリジメチルシランより
なる重合体ブロックAを含む溶液を得た。
(2)次に、上記重合体ブロックAを含む溶液に、N、
 N−ジ(トリメチルシリル)−3−クロロプロピルア
ミン(分子量237.5) 2.4g (0,01モル
)を乾燥精製したテトラヒドロフラン10d中に溶解し
たものを加え、40℃に加温して1時間撹拌した後、1
−の酢酸を加えてさらに1時間撹拌し、次いでエタノー
ルを加えて沈殿させた。この沈澱物をテトラヒドロフラ
ン500m1’に再度溶解し、次いでエタノール中に注
いで再度沈殿させ、乾燥して下記化合物を得た。
(3)この化合物20gを、トリレンジイソシアネート
「デスモジュールT」と、トリイソシアネート「デスモ
ジュールR」と、ヘキサメチレングリコールとを4.9
 :o、og :5.02のモル比で混合した混合物2
0gおよびキシレン20一に混合し、さらに必要に応じ
てキャリア発生物質を加えて塗布液を調製した。
〈実施例6〉 実施例5の(2)で得られた乾燥物を用いて、実施例2
の(2)と同様にして塗布液を調製した。
〈実施例7〉 円筒型のアルミニウム製ドラムからなる導電性支持体上
に、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体
「エスレックMF−10J(漬水化学工業社製)よりな
る厚さ0.1μ贋の中間層を設けた。
下記の構造式で示されるジブロムアンスアンスロン[モ
ノライトレッド2YJ  (ICI社製)1重量部と、
ポリカーボネート樹脂「パンライトL1250J  (
奇人化成社製)0.5重量部とを、1゜2−ジクロルエ
タン100重量部に混合し、ボールミルで24時間分散
して塗布液を調製し、この塗布液を用いて浸漬法により
、前記中間層上に、乾燥後の膜厚が0.5μ贋のキャリ
ア発生層を形成した。
次に、実施例1で得られたキャリア発生物質を含まない
塗布液を用いて浸漬法により、前記キャリア発生層上に
、乾燥後の膜厚が20μ屑のキャリア輸送層を形成し、
もって本発明に係る電子写真感光体を作製した。
r (評価) 上記電子写真感光体を、電子写真複写機rlJ−Bix
 7090J  (コニカ■製)改造機に装着し、スコ
ロトロン帯電器(グリッド電圧−5kV)により電子写
真感光体の表面を負の極性に帯電させた。
次いで、黒と白のチャート画像を用いて像様露光して当
該電子写真感光体上に静電潜像を形成した。
この静電潜像を、95重量%のスチレン−メチルメタク
リレ−)−n−ブチルメタクリレート共重合体と、5重
量%のカーボンブラックとよりなるトナーにより現像し
た。
次いで、現像により得られたトナー像を普通紙上に転写
し定着して複写画像を形成した。
一方、転写後に電子写真感光体上に残留したトナーをブ
レード方式のクリーニング器によりクリーニングした。
斯かる像形成プロセスを環境温度25℃および0℃にお
いてそれぞれ1万回繰返し、電子写真感光体の性能を評
価した。なお、電子写真感光体の表面の線速度は440
mm/secとした。結果は次のとおりである。
(1)1回目と1万回目の黒画像fi’ls右よび自画
像部の電位変動は、環境温度25℃でそれぞれ一20V
および一5V、環境温度0℃でそれぞれ一25Vおよび
一5vときわめて小さく、優れた帯電特性が安定して発
揮されることが確認できた。
(2)1回目と1万回目の両者とも、いずれの環境温度
においても黒画像部の反射濃度が1.3以上と十分に高
く、また、白画像部の反射濃度が0.01以下と十分に
低く、優れた帯電特性と共に優れた感度特性が安定して
発揮されることがm認できた。
(3)1回目から1万回目に至るまで、チャート画像の
再現性が優れており、電子写真感光体の損傷に起因する
白スジ、黒スジ等の欠陥も認められなかった。また、1
万回後において、電子写真感光体の表面を拡大鏡により
観察したところ、傷、膜はがれ等の損傷が認められなか
った。これは、電子写真感光体の機械的強度が大きく、
トナーやクリーニングブレード等による擦過力に十分耐
え得るからであると推察される。
〈比較例1〉 実施例7において、キャリア輸送層を下記のようにして
形成したほかは同様にして比較用の電子写真感光体を作
製した。
(キャリア輸送層の形成) 実施例1において(1)のプロセスで得られた溶液にメ
タノールを加えて沈澱物を取り出し、この沈澱物を再び
テトラヒドロフランに溶解させた後、再度メタノールを
加えて沈澱物を形成し、当該沈澱物を取り出した。斯か
る操作で得られたポリジメチルシランよりなる重合体ブ
ロックAを、テトラヒドロフランに溶解して塗布液を調
製し、この塗布液を用いて浸漬法により、乾燥後の膜厚
が20pmのキャリア輸送層を形成した。
(評価) 上記比較用の電子写真感光体を用いて環境温度25℃で
実施例7と同様の試験を行ったところ、下記の結果が得
られた。
(1)1回目と1万回目の黒画像部および白画像部の電
位変動は、それぞれ−20Vおよび一10Vと小さく、
実施例7と大差がなかった。
(2)白画像部の濃度は、実施例7とほぼ同様であった
が、黒画像部の濃度は終始0.6以下と小さく、実施例
7の電子写真感光体に比して帯電特性が劣っていた。
(3)1万回目の複写画像においては、黒スジが多く認
められた。この黒スジが生じた部分の電子写真感光体の
表面を拡大鏡で観察したところ、亀裂や膜はがれ等の損
傷が発生していた。これは、キャリア輸送層の機械的強
度が小さいために、トナーやクリーニングブレード等に
よる擦過力によって損傷しやすいためであると推察され
る。
く比較例2〉 実施例7において、下記構造式で示されるキャリア輸送
物質5重量部と、バインダーとしてポリカーボネート樹
脂「パンライトL−1250J 5重量部とを、1.2
−ジクロルエタン100重量部中に溶解した溶液を用い
て、浸漬塗布法により乾燥膜厚が201のキャリア輸送
層を形成したほかは同様にして比較用の電子写真感光体
を作製した。
(評価) 上記比較用の電子写真感光体を用いて実施例7と同様の
試験を行ったところ、下記の結果が得られた。
(1)1回目と1万回目の黒画像部および白画像部の電
位変動は、環境温度が25℃でそれぞれ40Vおよび7
0v、環境温度0℃でそれぞれll0Vおよび200v
ときわめて大きいことが確認された。
(2)黒画像部の反射濃度は終始1.3以上であったが
、白画像部の反射濃度は、環境温度25℃で1回目が0
.2.1万回目が0.35、環境温度0℃で1回目が0
.35.1万回目が0.45と濃度の変動が大きくカブ
リが発生した。
(3)1回目から1万回目に至るまで複写画像に電子写
真感光体の損傷に起因するスジ等の欠陥は認められす、
当該電子写真感光体のトナーやクリーニングブレードに
よる擦過力に対する機械的強度は実施例7とほぼ同等で
あった。
〈実施例8〉 実施例7において、実施例2で得られたキャリア発生物
質を含まない塗布液を用いて厚さ20Jjmのキャリア
輸送層を形成し100℃で30分間の加熱後処理を施し
たほかは同様にして本発明の電子写真感光体を作製した
(評価) 上記の電子写真感光体を用いて実施例7と同様の試験を
行ったところ、同様の良好な結果が得られた。
〈実施例9〉 実施例7において、キャリア発生層を下記のようにして
形成し、実施例3で得られたキャリア発生物質を含まな
い塗布液を用いてキャリア輸送層を形成したほかは同様
にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(キャリア発生層) 下記の構造式で示されるビスアゾ顔料1重量部と、ポリ
カーボネート樹脂「パンライトK −1300J(奇人
化成社製)0.5電型部とを、テトラヒドロフラン10
0重量部に混合し、ボールミルで24時間分散して塗布
液を調製し、この塗布液を用いて浸漬法により、中間層
上に、乾燥後の膜厚が0.4Imのキャリア発生層を形
成した。
(評価) 上記の電子写真感光体を用いて実施例7と同様の試験を
行ったところ、下記の結果が得られた。
(1)1回目と1万回目の黒画像部および白画像部の電
位変動は、環境温度25℃でそれぞれ一35Vおよび一
10V、i!境湿温度0℃一45V右よび一10Vとき
わめて小さく、優れた帯電特性が安定して発(軍される
ことが確&忍できた。
(2)1回目と1万回目の両者とも、いずれの環境温度
においても黒画像部の反射濃度が1.3以上と十分に高
く、また、白画像部の反射濃度が0.01以下と十分に
低く、優れた帯電特性と共に優れた感度特性が安定して
発揮されることが確認できた。
(3)1回目から1万回目に至るまで、チャート画像の
再現性が優れており、電子写真感光体の損傷に起因する
白スジ、黒スジ等の欠陥も認められなかった。また、1
万回後の電子写真感光体の表面の拡大鏡観察では、傷、
膜はがれ等の損傷は認められず、機械的強度の大きい電
子写真感光体であることが確言忍できtこ。
〈実施例10〉 実施例9において、実施例4で得られたキャリア発生物
質を含まない塗布液を用いてキャリア輸送層を形成した
ほかは同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(評価) 上記の電子写真感光体を用いて実施例7と同様の試験を
行ったところ、実施例9とほぼ同様の良好な結果が得ら
れた。
〈実施例11〉 ポリエステルフィルム上にアルミニウムを蒸着してなる
導電性支持体上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレ
イン酸共重合体「エスレフクMF−IOJ  (漬水化
学工業社製)よりなる厚さ0.1JJRの中間層を設け
た。
次に、実施例5で得られたキャリア発生物質を含まない
塗布液を用いて浸漬法により、前記中間層上に、乾燥後
の膜厚が2Onのキャリア輸送層を形成した。
下記の構造式で示されるキャリア発生物質1重量部を、
トルエン180重量部に混合し、ボールミルで24時間
分散した後、実施例5で得られたキャリア発生物質を含
まない塗布液(固形分含量で2重量部となる量)を加え
て混合し、これを用いてスプレー法により、前記キャリ
ア輸送層上に、乾燥後の膜厚が5μ清のキャリア発生層
を形成し、もって本発明に係る電子写真感光体を作製し
た。
Hs 3C (評価) 上記の電子写真感光体を用いて、帯電圧を+6kVに変
更し、トナーをポリエステルを主体とする負帯電性のト
ナーに変更したほかは実施例7と同様にして環境温度2
5℃において試験を行った。
結果は次のとおりである。
(1)1回目と1万回目の黒画像部および白画像部の電
位変動は、それぞれ60VおよびIOVときわめて小さ
く、優れた帯電特性が安定に発揮された。
(2)1万回に至るまで、黒画像部および白画像部の濃
度も実施例7と同様に良好であった。
(3)1万回に至るまで、チャート画像の再現性もよく
、画像の欠陥も認められず、電子写真感光体の損傷もな
かった。
〈実施例12> 実施例11において、実施例5で得られたキャリア発生
物質を含まない塗布液の代わりに実施例6で得られたキ
ャリア発生物質を含まない塗布液を用いてキャリア輸送
層およびキャリア発生層を形成したほかは同様にして本
発明の電子写真感光体を作製した。
(評価) 上記の電子写真感光体を用いて実施例7と同様の試験を
行ったところ、同様の良好な結果が得られた。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明の正札輸送性物質に
よれば、ポリシランよりなる重合体ブロック八と、他の
重合体よりなる重合体ブロックBとのグラフト共重合体
からなるため、優れた正孔輸送性と優れた機械的強度な
らびに大きな暗抵抗を有する。
また、本発明の電子写真感光体によれば、上記特定の正
札輸送性物質を含有してなる有機感光層を備えてなるた
め、電子写真プロセスを繰返して遂行する場合にも、優
れた帯電特性および感度特性が発揮されると共に、機械
的耐久性が優れていて再現性の優れた画像を多数回にわ
たり安定に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図はそれぞれ本発明の電子写真感光体の具
体的構成例を示す説明用断面図である。 1・・・導電性支持体   2・・・キャリア発生層3
・・・キャリア輸送N  4・・・感光層5・・・中間
層 6・・・キャリア輸送物質を含有してなる層7・・・キ
ャリア発生物質 8・・・オーバーコーテイング層 3図 +5 2図 十4図 +6

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)ポリシランよりなる重合体ブロックAと、他の重
    合体よりなる重合体ブロックBとのグラフト共重合体か
    らなることを特徴とする正孔輸送性物質。
  2. (2)ポリシランが下記一般式(a)で示されるもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の正孔輸送性物質
    。 一般式(a) ▲数式、化学式、表等があります▼ (式中、R^1、R^2、R^3、R^4、R^5、R
    ^6は、水素、アルキル基もしくは置換アルキル基、ア
    リール基もしくは置換アリール基、アルコキシ基もしく
    は置換アルコキシ基、シリル基もしくは置換シリル基、
    シリリデン基もしくは置換シリリデン基、シリリディン
    基もしくは置換シリリディン基を表し、互に同一でも異
    なっていてもよい。m、n、pは、総ポリマー中の各モ
    ノマー単位の割合を表す。)
  3. (3)ポリシランの数平均重合度が10〜50,000
    であることを特徴とする請求項2に記載の正孔輸送性物
    質。
  4. (4)他の重合体が、エポキシ樹脂、ポリウレタンであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の
    正孔輸送性物質。
  5. (5)他の重合体が、架橋結合を有してなることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか一に記載の正孔輸送性物
    質。
  6. (6)グラフト共重合体における重合体ブロックAと重
    合体ブロックBの重量比A/Bが1/0.2〜0.2/
    1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に
    記載の正孔輸送性物質。
  7. (7)請求項1〜6のいずれか一に記載の正孔輸送性物
    質を含有してなる有機感光層を備えてなることを特徴と
    する電子写真感光体。
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