JPH021469Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関のヘツドガスケツト等に使
用される１枚金属板からなる金属単体ガスケツト
の改良に関する。

〔従来の技術〕

金属単体のガスケツトは、内燃機関のヘツドガ
スケツトとして多く使用されているが、このタイ
プのガスケツトは単なる板状であるとガスあるい
は液体と接触する部分がこのガスケツトを挾持す
る部材となじまず、ガスあるいは液体が漏洩する
欠点があり、これを防止するためにシールすべき
穴の周囲に突条部（いわゆるビード部）を形成し
ている。

第１図は内燃機関の排気マニホールドの接合部
分に設けられるガスケツトの正面図であつて、こ
のガスケツト１はステンレスあるいは鉄、アルミ
ニウム及び硬質金属と軟質金属を組合せたアルミ
クラツド、鋼クラツド等のクラツド材等の１枚の
金属板より構成され、穴部２の周囲にプレス加工
によつて突条部３が形成されている。

第２図は第１図における−断面を示す図で
あつて、穴部２に面した端面４の近傍に断面が半
円状の突条部３が形成されている。この突条部３
の高さＨは、通常は板厚ｔの２倍以上に形成され
ており、従つてこの突条部３の強度はかなり大き
い。

第３図に示すように前記構造のガスケツト１を
内燃機関のシリンダヘツド５と排気マニホールド
６との間に挿入してボルト７を締結するとこのガ
スケツト１は両者で挾持されて突条部３の回りに
高面圧帯Ｐが発生する。

〔考案が解決しようとする課題〕

この種のガスケツト１の場合には突条部３で必
要とする面圧を発生するように設計されているた
めに第３図に示すようにシール部、即ち突条部３
を平坦部３′に対して突出させてこの部分に積極
的に大きな荷重が加わるように配慮されており、
内燃機関が継続して運転される間にこの突条部３
に応力と熱応力とが継続的に作用して疲労し、シ
ール機能が劣化する欠点があつた。

具体的に説明すれば、内燃機関の作動中はシリ
ンダボデイ、シリンダヘツド及びシリンダヘツド
に接続される排気マニホールド等が熱膨脹した
り、衝撃的な圧力が作用すると共に、シリンダヘ
ツドと排気マニホールド等を結合させているボル
ト自体も熱膨脹する。また前記各部材の熱膨脹に
よつてシリンダヘツドと排気マニホールドとの間
の間隙も変化する。

しかし、前記のように従来のガスケツトの場合
には、第３図に示すようにガスケツト１に設けた
突条部３が殆ど潰れた状態にまで押圧して使用す
ることを原則としているために、前記のように各
部の熱膨脹等にこの突状部３が追従することは困
難であり、ガスや液体の漏洩の原因となつてい
た。

また、前記のように突条部３が殆ど潰れた状態
になるまで押圧して使用するとこの突条部３に過
大な圧力が作用し、特に熱負荷の大きい排気マニ
ホールドとシリンダヘツドの間に設けられるガス
ケツト等のような高圧力と共に熱応力が作用する
ガスケツトでは、突条部３が短期間に疲労して所
定の弾性力を発揮することが困難となり、前記の
ようにガスや液体の漏洩の原因となつているので
ある。

更に、シリンダヘツドにアルミニウムのような
軟質の金属材料を使用した内燃機関の場合にはシ
リンダヘツド側が撓んでシールを困難にすると共
に、シリンダヘツド面に前記突状部によつて傷が
付いたり、ガスケツト１の突条部３のへたりが原
因してガスや液体の漏洩の原因となつていた。

本考案は、シール対象部材の間に介装するガス
ケツトの厚さを可及的に薄くするために１枚の金
属板からなるガスケツトにおいて、上記欠点を解
消するものであつて、穴部を囲むように形成した
突条部３に長期間弾性力を保持することが可能な
ガスケツトを提供することを目的とするものであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するための本考案の構成は、ビ
ード板と、該ビード板に設けたビードの凸設高さ
より薄い板を、前記ビードに設けた部分を除いて
前記ビード板に積層した面圧調整板とから成り、
且つ前記ビードが直接シール対象に接するごとく
した金属ガスケツトである。

次に図面を参図して本考案の実施例を説明す
る。

第４図は本考案に係るガスケツトの要部を示す
断面図であつて、本考案に係るガスケツト１０は
ガスケツト本体１１の板厚をＴ、板の下面より突
条部３の頂点までの高さをＨ、突起高さをｈとす
ると、前記突起高さｈよりも板厚の薄い、厚さｌ
の面圧調整板１２をガスケツト本体１１の平坦部
１３上に積層したことを特徴とするものである。

第５図は本考案に係るガスケツトを内燃機関の
シリンダヘツド５と排気マニホールド６との間に
挿入するガスケツトとして使用した状態を示す要
部断面図で、ガスケツト１０を内燃機関のシリン
ダヘツド５と排気マニホールド６との間に挿入
し、ボルト７で締付けた状態を示している。

本考案に係るガスケツト１０は、ガスケツト本
体１１の平坦部１３上に面圧調整板１２を積層し
ているので、この平坦部１３の肉厚が一見厚くな
つた状態となり、その平坦部１３に連続して形成
した突条部３が自由に変形できる範囲が増加して
いることになる。

従つて突条部３は前記面圧調整板１２によつて
保護されたような状態となり、完全に押し潰され
るようなことはなく、シリンダヘツド５の上面と
排気マニホールド６のフランジ面との間の距離Ｓ
がガスケツト本体１１の厚さＴと面圧調整板１２
の厚さｌとの合計の厚さとほゞ同程度となる。

前記シールすべき二面間の距離Ｓをガスケツト
本体１１の平坦部１３において保持する機能は本
考案においては重要な意味を持ち、そのために突
条部３が完全に押圧状態とは成らず、弾性を常時
残した状態で使用されることになる。

第３図と第５図の状態を比較して分るように、
本考案に係るガスケツト１０は本体１１の平坦部
１３に突条部３の高さｈよりも若干薄い面圧調整
板１２を積層したことによつてシールする部分を
押圧しても突条部３が完全に潰れるようなことが
なく弾性を残しており、従つてシリンダヘツド５
及び排気マニホールド６が熱膨脹したり、また熱
変形したりしてもこれに追従して突条部３が変形
することが可能である。

また、前記突条部３が必要以上に押圧されない
のでシリンダヘツド等に損傷を与えるようなこと
を防止することができる。

更に、突条部３が弾性変形が可能な状態であり
ながらシールに必要な圧力を維持しているので、
従来のガスケツトのように突条部の強度が極端に
高く、軟質材料からなるシリンダヘツド等が変形
してシール機能を低下させるような欠点は全く生
じないものである。

（考案の効果） 以上説明したように本考案の金属ガスケツトを
構成したので次の効果を得ることができる。

即ち前記面圧調整板は、前記ビードを平らにな
るまで押し潰さないようにしたのでビードの塑性
変形が抑制され、長期間にわたり弾性を保つこと
ができる。従つて熱変形その他の変形に対しビー
ドが容易に追随してシール性能を維持することが
できる。

また単板ガスケツトはシール荷重がビードを設
けた部分に限定して生ずるが、本考案は、ビード
を押し潰すことがないので、荷重の集中を緩和す
ることができる。従つて軟質材料製のシール対象
に使用しても、シール対象を変形させてシール性
能を低下させる危険が防止される。

したがつてガスケツトの厚みを可及的に薄くす
るためにビードが直接シール対象に接する金属ガ
スケツトの信頼性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は内燃機関の排気マニホールドに使用す
るガスケツトの正面図、第２図は第１図における
−線拡大断面図、第３図は前記第１，２図に
示したガスケツトを排気マニホールドに使用した
状態を示す要部断面図である。第４図は本考案に
係るガスケツトの要部断面図、第５図はそのガス
ケツトの使用状態を示す要部断面図である。 １……ガスケツト、２……穴部、３……突条
部、４……端部、５……シリンダヘツド、６……
排気マニホールド、７……ボルト、１０……金属
ガスケツト、１２……面圧調整板、１３……平坦
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ビード板と、該ビード板に設けたビードの凸設
   高さより薄い板を、前記ビードを設けた部分を除
   いて前記ビード板に積層した面圧調整板とから成
   り、且つ前記ビードが直接シール対象に接するご
   とくした金属ガスケツト。