JP2610891B2

JP2610891B2 - 積層金属ガスケット

Info

Publication number: JP2610891B2
Application number: JP62227931A
Authority: JP
Inventors: 展生吉野
Original assignee: Toyota Motor Corp; Japan Metal Gasket Co Ltd
Current assignee: Toyota Motor Corp; Japan Metal Gasket Co Ltd
Priority date: 1987-09-11
Filing date: 1987-09-11
Publication date: 1997-05-14
Anticipated expiration: 2012-05-14
Also published as: JPS6473157A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この発明は積層金属ガスケットに係り、特に燃焼室周
りに生ずるデッキ面間隙を補償してビードの機能劣化を
防止するとともに、ビード部位における夫々基板のばね
力の均一化を図り、シール性を向上させるとともに耐久
性を向上させ、しかも夫々基板のばね力特性の変更を容
易に果し得る積層金属ガスケットに関する。

〔従来の技術〕

内燃機関を構成する被接合体であるシリンダヘッドと
シリンダブロックとの接合部には、金属ガスケットが利
用されている。金属ガスケットは、シリンダヘッドとシ
リンダブロックとのデッキ面をシールすべく形成された
ビードを有し、このビードが被接合体同士を接合する締
結用ボルト等の締結手段の締結力によりデッキ面に弾性
的なシール線を形成し、シールを果すものである。

近年、内燃機関は、軽量化、性能向上、経済性が要求
されるとともに耐久性を有するものが望まれている。従
って、内燃機関が長い期間に亙って使用されるので、内
燃期間の熱変形や膨縮等が頻繁に惹起する。よって、シ
リンダヘッドとシリンダブロックとの接合部をシールす
る金属ガスケットには、内燃機関の熱変形等の耐え得る
ものが望まれていた。そこで、この発明の出願人は、耐
久性を向上すべく、例えば特願昭60−292893号の如き出
願をしている。この出願に記載のものは、中間構成体を
構成すべく中間板と補償板とを積層させるとともに補償
板の燃焼室孔側周縁部を折返して補償部を形成し、ビー
ドを形成した基板を中間板の表面と補償板の表面とに夫
々配設して構成されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、金属ガスケットを介してシリンダブロック
にシリンダヘッドを締結用ボルトによって締結した際
に、ボルト締結力によって例えばシリンダヘッドが湾曲
し、特に燃焼室周りの間隙が大となり、歪みが生ずるも
のである。

しかし、従来の金属ガスケットにおいては、積層する
二枚の基板に形成した夫々ビードが同じビード高さで形
成されているので、圧縮変形した際に中間構成体を構成
する補償板の折返した燃焼室孔側周縁部が位置しない側
の基板のビードが必要以上に押下押圧され、ビード部位
における基板のばね力が不均一となって夫々デッキ面に
均一にシールすべく押圧力を得ることができなかった。
このため、シール性が低下するとともに、必要以上に押
下押圧された基板のビードにへたり等が生じ易い弊害が
あり、耐久性が低下するという不都合を招いた。

〔発明の目的〕

そこでこの発明の目的は、上述の不都合を除去すべ
く、補償部を設けるべく折返した中間構成体の燃焼室孔
側周縁部が位置する一側の基板のビード高さを中間構成
体の他側に位置する基板のビード高さよりも所定量大き
く設定することにより、燃焼室周りに生ずるデッキ面間
隙を補償してビードの機能劣化を防止するとともに、ビ
ード部位における夫々基板のばね力の均一化を図り、シ
ール性を向上させるとともに耐久性を向上させ、しかも
夫々基板のばね特性の変更を容易に果し得る積層金属ガ
スケットを実現するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するためにこの発明は、燃焼室孔を囲
繞してビードを形成した弾性金属板からなる二枚の基板
を設け、この二枚の基板間に中間構成体を介装した積層
金属ガスケットにおいて、前記中間構成体の燃焼室孔側
周縁部を折返すとともに前記二枚の基板の燃焼室孔側周
縁部に重合させて所定厚さの補償部を設け、前記折返し
た中間構成体の燃焼室孔側周縁部が位置する一側の前記
基板のビード高さを前記中間構成体の他側に位置する前
記基板のビード高さよりも所定量大きく設定したことを
特徴とする。

〔作用〕

この発明の構成によれば、接合部に介装された積層金
属ガスケットが圧縮変形する際には、折返した中間構成
体の燃焼室孔側周縁部が位置する一側に配設された基板
のビードは該中間構成体の燃焼室孔側周縁部によってそ
の押圧変形が抑制されるとともに中間構成体の他側に配
設された基板の小なる高さのビードの変形量が小さいの
で、ビード部位における夫々基板のばね力の均一化を図
り、シール面全体を均一にシールさせてシール性を向上
させるとともに夫々基板のビードの機能劣化を防止して
耐久性を向上させることができる。

〔実施例〕

以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体
的に説明する。

第１〜３図は、この発明の第１実施例を示すものであ
る。図において、２は積層金属ガスケットである。この
積層金属ガスケット２は、第１、第２基板４、６、これ
等第１、第２基板４、６間に介装する中間構成体８であ
る中間板10及び補償板12により構成される。前記第１、
第２基板４、６は、硬質の弾性金属板からなり、夫々が
板厚t₁を有している。また、前記中間板10は、板厚t₂を
有する金属板で構成されている。更に、前記補償板12
は、板厚t₃を有する金属板で構成されている。

前記第１、第２基板４、６、中間板10、補償板12は、
夫々積層される。この第１、第２基板４、６、中間板1
0、補償板12には、燃焼室孔14が形成されるとともに、
この燃焼室孔14の周辺に後述する締結手段である締結用
ボルト32を挿通する複数のボルト孔16が形成されてい
る。

第２図において、補償板12の燃焼室孔14側の補償周縁
部12eは、曲げ加工等により中間板10が位置する側に、
つまり第２基板６が位置する側に折返され、この中間板
10の燃焼室孔14側の中間周縁部10e面上に重合してい
る。

また、前記第１基板４には、燃焼室孔14を囲繞して第
１ビード18が形成されている。この第１ビード18は、締
結前において、頂部18aが高さH1だけ突出し、つまり第
１基板４の補償板12側の面4fから頂部18aまでの距離が
ビード高さH1として形成されている。更に、前記第２基
板６には、燃焼室孔14を囲繞して第２ビード20が形成さ
れている。この第２ビード20は、締結前において、頂部
20aが該第２基板６の中間板10側の面6fから高さH2だけ
突出して形成される。即ち、この第２ビード20のビード
高さH2は、前記第１ビード18のビード高さH1よりも所定
量だけ、つまり前記折返した補償板12の補償周縁部12e
に対応させて高く形成される。

更に、前記第１ビード18を形成した第１基板４は、第
１ビード18の頂部18aが補償板12の表面12fに当接し且つ
基部18b−１、18b−２が例えば第３図に示すシリンダヘ
ッド26のデッキ面26dに当接するように配設される。

また、中間板10の表面10fに積層される第２基板６
は、第２ビード20が前記第１ビード18が位置する箇所に
おいて、第２ビード20の頂部20aが中間板10の表面10fに
当接するとともに基部20b−１、20b−２が例えば第３図
に示すシリンダブロック28のデッキ面28dに当接するよ
うに配設されている。つまり、第１基板４と第２基板６
とは、夫々の頂部18a、頂部20aが補償板12の表面12f、
中間板10の表面10fに当接し、これ等補償板12及び中間
板10に対し対称形状に配設されている。従って、積層金
属ガスケット２の燃焼室孔14周りには、第１基板４の第
１周縁部4eと、第２基板６の第２周縁部6eと、中間板10
の中間周縁部10eと、折返された補償板12の補償周縁部1
2eとによって最大の厚さを有する補償部22が形成され
る。即ち、この補償部22は、第１、第２ビード18、20が
位置するビード部位24よりも燃焼室孔14側に形成され
る。また、補償部22の厚さは、第１基板４と第２基板６
と中間板10と補償板12とを重合した厚さよりも大きく、
しかもシリンダヘッド26とシリンダブロック28とを締結
用ボルト32で締付けた際に生ずる燃焼室34周りのデッキ
面の間隙よりも少許大きく形成されている。詳述すれ
ば、補償部22においては、他部位の第１、第２基板４、
６、中間板10、補償板12を重合した厚さに比し、補償板
12の補償周縁部12eの厚さ分だけ大きく形成されてい
る。これにより、燃焼室34周りのデッキ面26d、28dの間
隙を確実に補償させるものである。

また、第１基板４と第２基板６と中間板10と補償板12
とを一体的に結合する場合には、例えばボルト孔16に中
空円筒状の止め具（図示せず）を挿入するとともに止め
具の両端部を第１基板４、第２基板６面上に折曲げてか
しめを施したり、あるいは第１基板４、第２基板６、中
間板10、補償板12の外縁部の一部を突出させて形成し、
これ等の突出部位をスポット溶接やリベット止めをする
ことにより、夫々が結合される。

第３図において、26、28は内燃機関を構成するシリン
ダヘッド、シリンダブロックであり、このシリンダヘッ
ド26のデッキ面26dとシリンダブロック28のデッキ面28d
間の接合部30にこの発明の積層金属ガスケット２を介装
し、締結用ボルト32により締結する。なお、符号34は燃
焼室である。

次に、この第１実施例の作用を説明する。

シリンダヘッド26のデッキ面26dに第１基板４の第１
ビード18の基部18b−１、18b−２が当接するとともにシ
リンダブロック28のデッキ面28dには第２ビード20の基
部20b−１、20b−２が当接して接合部30に介装された積
層金属ガスケット２は、締結用ボルト32の締結力により
圧縮され、これにより第１、第２ビード18、20が高さを
低減して圧縮変形される。このとき、第２ビード20は、
締結用ボルト32の締結力により漸次高さを低減するが、
第２基板６の第２周縁部6eが補償周縁部12eに当接する
ことによってその押下押圧が阻止され、つまり押圧変形
が抑制され、偏平にならない。

そして、締結用ボルト32をさらに強く締め付けた場合
には、ボルト締結力に対する内燃機関の剛性不足等によ
ってシリンダヘッド26に歪みを生じ、特に燃焼室34周り
のデッキ面の間隙が大となる問題がある。しかし、前述
の如く、ビード部位24よりも燃焼室孔14側に補償部22を
構成したことにより、この補償部22の厚さによって、シ
リンダヘッド26の歪みに起因する大なる間隙を確実に補
償することができる。またこのとき、積層金属ガスケッ
ト２は、圧縮され補償部22の厚さが締付けられる前の厚
さよりも少許減少する。

また、ビード部位24においては、補償板12の補償周縁
部12eが位置する第２基板６の第２ビード20の高さH2が
第１基板４の第１ビード18の高さH1よりも大きく形成さ
れているので、第１基板４のばね力と第２基板６のばね
力との均一化を図ることができる。

この結果、ビード部位24において第１ビード18と第２
ビード20とにより、シリンダヘッド26のデッキ面26dと
シリンダブロック28のデッキ面28dとに略均一な押圧力
をシール面全体に作用させることができ、シール性を向
上させ得る。また、第１基板４の第１ビード18の高さが
低減しても、この第１ビード18が必要以上に押下押圧さ
れることがないので、第１ビード18にへたり等が生ずる
のを回避し、第１ビード18の機能を良好に維持させ、耐
久性を向上させ得る。

また、補償板12の補償周縁部12eの板厚が異なって補
償部22の厚さが変わる場合には、第２基板６の第２ビー
ド20の高さH2を変更するとともに、この第２ビード20の
高さH2に対応させて第１基板４の第１ビード18の高さH1
も変更し、ビード部位24において第１基板４のばね力と
第２基板６のばね力との均一化を図り、シール効果をさ
らに安定させることができる。従って、第１基板４と第
２基板６とのばね力は補償板12の補償周縁部12eの板厚
に応じて第１ビード18と第２ビード20とのビード高さを
変えることによって変更されるので、ばね特性を容易に
変更し得る。

更に、この実施例によれば、第１、第２基板４、６を
中間板10及び補償板12に対して対称形状に配設したの
で、ビード部位24の復元量及び復元力を増大させ、ビー
ド部位24のシール効果を向上させる。従って、燃焼室34
周りは補償部22とビード部位24との２箇所でシールされ
るので、更に高いシール効果を得ることができ、燃焼ガ
スのリークを効率良く防止する。

更にまた、補償部22の厚さを変更する際は、中間板10
の中間周縁部10eあるいは補償板12の補償周縁部12eの厚
さを変更すればよいだけなので、厚さの変更を容易に果
し得て、また積層金属ガスケット２の製作も容易であ
る。

第４図は、この発明の第２実施例を示すものである。
以下の実施例においては、上述の第１実施例と同一機能
を果す箇所には同一符号を付して説明する。

この第２実施例の特徴とするところは、以下の点にあ
る。即ち、中間構成体８を構成する補償板12の表面12f
には第１基板４を第１ビード18の基部18b−１、18b−２
が当接するように積層するとともに、中間構成体８を構
成する中間板10の表面10fには第１実施例の場合と同様
に第２基板６を第２ビード20の頂部20aが当接するよう
に積層する。つまり、第１ビード18の頂部18aと第２ビ
ード20の頂部20aとは、同方向に指向して配置される。
また、中間板10に積層される第２基板６の第２ビード20
のビード高さH4は、補償板12に積層される第１基板４の
第１ビード18の高さH3よりも所定量だけ大きく設定され
ている。

この第２実施例の構成によれば、上述の第１実施例と
同効を得るとともに、第１ビード18と第２ビード20とを
同方向に指向させればよいだけなので、積層金属ガスケ
ット２の製作を容易に果し得る。

なお、この発明は上述の実施例に限定されず、種々応
用改変が可能であることは勿論である。

例えば、上述の第１、２実施例において、第１、第２
基板の夫々周縁部には、補償部の厚さを調整するため
に、メッキ、溶射、塗着等を施したり、あるいは金属ま
たは耐熱性樹脂等の部材を設けることも可能である。

また、補償板の折返した補償周縁部の厚さ分を、シリ
ンダヘッドあるいはシリンダブロックのデッキ面に補償
部材を固着したり、あるいはデッキ面と基板間に補償部
材を介設することも可能である。

更に、補償板の折返した補償周縁部の厚さ分を、燃焼
室周り全体に形成せず、所望に応じて燃焼室周りに部分
的に設けることが可能である。これにより、例えば、ボ
ルト締結部位においては点接触させる一方、ボルト締結
部位から離間する箇所においては線接触させ、シール性
を担保し得る。

更にまた、補償板の折曲した補償周縁部の厚さを、例
えばボルト締結部位において小さくする一方、ボルト締
結部位から離間する箇所においては大きくし、シール面
圧の均一化を図り、シール性を向上させることも可能で
ある。

また、積層金属ガスケット表裏面、つまり第１基板の
表面及び第２基板の表面にはデッキ面のツールマーク等
の不整面を補償するメッキ層やシール材を被着すること
も可能である。

更に、第１、第２ビードの幅や高さを、デッキ面間隙
に応じて変更することも可能である。

更にまた、補償部の高さを調整するために、中間構成
体、即ち補償板や中間板の燃焼室孔側周縁部の板厚を所
望に応じて変更することも可能である。

また、第１、第２実施例において中間構成体を中間板
と補償板とによって構成したが、中間構成体を一枚の金
属板で構成することも可能である。

〔発明の効果〕

以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれ
ば、補償部を設けるべく折返した中間構成体の燃焼室孔
側周縁部が位置する一側の基板のビード高さを中間構成
体の他側に位置する基板のビード高さよりも所定量大き
く設定することにより、燃焼室周りに生ずるデッキ面間
隙を補償してビードの機能劣化を防止するとともに、ビ
ード部位における夫々基板のばね力の均一化を図り、シ
ール性を向上させるとともに耐久性を向上させ、しかも
基板のばね特性の変更を容易に果し得る。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図はこの発明の第１実施例を示し、第１図は積
層金属ガスケットの平面図、第２図は第１図のII−II線
による要部拡大断面図、第３図は積層金属ガスケットを
接合部に介装した状態の一部省略した要部断面図であ
る。第４図はこの発明の第２実施例を示し、積層金属ガスケ
ットの要部拡大断面図である。図において、２は積層金属ガスケット、４は第１基板、
６は第２基板、８は中間構成体、10は中間板、12は補償
板、14は燃焼室孔、18は第１ビード、20は第２ビード、
22は補償部、24はビード部位、26はシリンダヘッド、28
はシリンダブロック、30は接合部、32は締結用ボルト、
そして34は燃焼室である。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】燃焼室孔を囲繞してビードを形成した弾性
金属板からなる二枚の基板を設け、この二枚の基板間に
中間構成体を介装した積層金属ガスケットにおいて、前
記中間構成体の燃焼室孔側周縁部を折返すとともに前記
二枚の基板の燃焼室孔側周縁部に重合させて所定厚さの
補償部を設け、前記折返した中間構成体の燃焼室孔側周
縁部が位置する一側の前記基板のビード高さを前記中間
構成体の他側に位置する前記基板のビード高さよりも所
定量大きく設定したことを特徴とする積層金属ガスケッ
ト。