JPH0214263B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、直繰機、特に大枠に直接糸を捲き取
る形式の直繰機にあつて、捲取糸量が定量に達し
た綛の網素作業を行なうとき、網素作業を行なう
間も並行して捲取作業が行なえ、かつ、糸を綛に
捲き取りつつある大枠の間隔が小であつても綛の
取り外しが容易に行なえるようにすることを目的
とした捲取装置に係る。

従来、大枠に繰糸糸条を捲き上げ、綛にする場
合、大枠に一定糸長を捲き上げると大枠を停止し
大枠を機台から取り外し新たな大枠に糸を捲き付
けていたが、この手段だと、大枠の取り外し、取
り付けに多大の労力を要し、かつ、その間、完全
に捲き取りを停止しなければならない。捲き取り
を停止することは即ち、繰糸機の回転を停止する
ことであつて、能率の低下はまぬがれなかつた。

本発明にあつては、繰り上げた糸の綛に捲くた
めの大枠を、あらかじめ１緒に対して１対用意
し、１つの枠が糸を捲き付けつつあるときは他の
１つの枠は停止状態にあり、糸を捲き付けつつあ
る枠に糸が満捲となつたとき、直ちに１対の大枠
を旋回して位置を反転し、空の大枠に新たに糸を
捲き付けられるようにし、かつ、隣接する停止中
の待機大枠は、互に隣接する枠を支持する支持ア
ームの屈折角を異ならしめることにより、その軸
心が同一線上には位置しないようにし捲き上げた
綛の隣接する綛との間隔を大きくした。

本発明装置の実施の一例を図面と共に次に説明
する。

図示の例は繰糸機（図示せず）から繰り上げた
糸Ｙを乾糸し大枠に捲き取る直繰装置で、複数緒
が機台長手方向（紙面に垂直方向）に並行して設
けられている。１はフレーム２に支持された大枠
支持軸で、緒数と同一数の大枠支持腕３を旋回動
自在に支持している。大枠支持腕３は、図示の例
では支持部を中心にして120゜下方に屈曲したもの
と上方に屈曲したものとを交互に支持している。
大枠支持腕３の先端には支軸４によつて大枠５及
び大枠５と一体にプーリー６、大枠歯車７を回転
自在に支持する。８は大枠支持腕３と一体の綾振
部材支持腕で、先端に揺動糸ガイド９を軸支し、
揺動糸ガイド９の基部の長孔には、プーリー１０
に設けたピン１１を嵌合している。プーリー１０
とプーリー６との間にはベルト１２を架け渡して
いる。１３，１４はベルト１２のガイド部材であ
る。この構成によりプーリー６が回転するとベル
ト１２を介してプーリー１０が回転し、ピン１１
が揺動糸ガイド９の長孔内で往復運動を行ない、
揺動糸ガイド９の先端に揺動運動を行なわせる。

２０は図示しない原動機の回転を受けて回転す
る原動軸で、大枠支持軸１と平行に機台長手方向
に連なつている。２１は原動軸２０と一体のチエ
ンホイルで、電磁クラツチブレーキ２２のチエン
ホイル２３との間にチエン２４を架け渡す。２５
はチエンホイル２３と同一の軸２６に支持された
チエンホイルで、フレーム２に支腕２７により揺
動自在に支持された揺動腕２８先端の軸２９に支
持されたチエンホイル３０との間にチエン３１を
架け渡している。また、軸２９にはチエンホイル
３０と一体に大枠駆動歯車３２を軸支している。
該歯車３２は歯車７と噛み合うことができる。揺
動腕２８は通常は実線位置にあるが、ペダル３３
をふむことによつて鎖線位置に揺動し歯車７と歯
車３２とは噛み合いを停止する。

フレーム２の上部には籠形の乾糸枠３５が支持
されており、駆動源に連なる軸３６から動力の伝
達を受けて回転している。繰糸機で繰糸された糸
Ｙは一旦乾糸枠３５に捲き取られ、ヒーター３７
により加熱乾燥された後乾糸枠３５の下から引き
出されガイド３８を経て捲き取られる。

次に本発明装置の作用につき説明する。

繰糸機（図示せず）で繰糸された糸Ｙは回転す
る乾糸枠３５に捲き付きヒーター３７で乾燥され
乾糸枠３５の下方に引き出され大枠５に捲き取ら
れる。大枠５の回転は、原動軸２０からの動力の
伝達を受けて行なわれる。即ち、原動軸２０の回
転は、チエンホイル２１、チエン２４、チエンホ
イル２３、チエンホイル２５、チエン３１、チエ
ンホイル３０を介してチエンホイル３０と一体の
大枠駆動歯車３２を回転する。大枠駆動歯車３２
は、大枠支軸４の歯車７と噛み合つているために
歯車７を回転し大枠５を回転することになる。前
記歯車７の回転は同時に歯車７と一体のプーリー
６も回転することになり、その回転はベルト１２
を介してプーリー１０を回転することになり、プ
ーリー１０のピン１１が、長孔に嵌合している揺
動糸ガイド９はその先端を揺動することになり、
乾糸枠３５から大枠５に捲き取られつつある糸Ｙ
に大枠５の手前で往復動し大枠に綛として捲き取
られる糸に綾振を行なうことになる。

大枠に捲かれた綛３９が、糸長を測定すること
により或は繰糸時間を測定することによるなど適
宜手段によつて満捲となつたことが判明したと
き、電磁クラツチブレーキ２２を作動して原動軸
２０から大枠５への動力の伝達を断ち、大枠５の
回転を停止しペダル３３を踏んで揺動腕２８を鎖
線位置に揺動させると該腕２８先端の大枠駆動歯
車３２は大枠歯車７との噛み合いが外れ、く字形
をなした大枠支持腕３を自由に旋回することがで
きるようになる。そこで、第一の大枠支持腕３ａ
のＡ位置にある大枠を時計方向に120゜旋回しＣ位
置に旋回すると第一の大枠支持腕３ａの他端に支
持された大枠はＢ位置からＡ位置に旋回する。こ
のときにペダル３３を離し新たにＡ位置に来た大
枠の大枠歯車７と、揺動腕２８の大枠駆動歯車３
２とを噛み合せ、電磁クラツチブレーキ２２をオ
ンすれば原動軸２０の回転は前記と同様に大枠５
に伝わり糸Ｙの大枠５への捲き取りを再開する。
上記操作において、第一の大枠支持腕３ａに隣接
する大枠支持腕３ｂはＡ位置にある大枠を反時計
針方向に60゜旋回し、Ｂ位置に位置させ、Ｃ位置
にあつた大枠をＡ位置に位置させ、第一の大枠支
持腕３ａと同様にＡ位置に来た大枠５に糸を捲き
付ける。

このようにして、第一の大枠支持腕３ａの満捲
大枠をＣ位置に、第二の大枠支持腕３ｂの満捲大
枠をＢ位置にそれぞれ位置させると満捲大枠は一
緒ごとにＢ位置とＣ位置と交互に位置するように
なり、各隣接する大枠の間隔は捲取位置即ちＡ位
置にあつたときの２倍の間隔を持つことになる。

なお上記実施例は、直繰装置によつて繰糸され
た糸の捲き取りについて説明したが、特に直繰装
置に限らず、一般の揚返用として用いることもで
きることは勿論である。

また図示の実施例では、大枠駆動歯車３２を揺
動腕２８の先端に設け、揺動腕２８の揺動運動に
よつて大枠駆動歯車３２と大枠歯車７とを接離し
ているが、大枠歯車７に対し大枠駆動歯車３２を
直線状に接近離去して両者を噛み合わせても良い
ことは勿論である。

このように、本発明装置にあつては満捲となつ
た大枠を背面に反転したときに、隣接する大枠間
隔は捲き上げ時の間隔の倍となるために、網素糸
の付与或は大枠からの綛の取り外しなどの操作が
広い空間で行なうことができ、かつ、満捲の大枠
と空の大枠とを反転するだけで直ちに次の捲き取
りを開始できるために停止時間の短縮が得られ繰
糸能率上有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明装置の概略側面図である。 １……大枠支持軸、３……大枠支持腕、５……
大枠、７……大枠歯車、２８……揺動腕、３２…
…大枠駆動歯車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 両先端部に大枠及び大枠と一体の大枠歯車を
   枢支し、中央部の屈曲部においてく字形に屈曲し
   た複数の大枠支持腕を、屈曲部において大枠支持
   軸に、各大枠支持腕のそれぞれが自由旋回できる
   よう、かつ、各大枠支持腕の一方端に設けた大枠
   を巻取位置に一列に列設したときに、他方端の大
   枠は交互にその位置をずらせて軸支し、前記複数
   の大枠支持腕の数に対応する数の複数の揺動腕の
   それぞれの頂部に、原動部からの動力の伝達を受
   け回転する大枠駆動歯車を、前記大枠歯車と大枠
   駆動歯車とが噛み合い或は離去することができる
   よう可動状態に支持してなる糸条捲取装置。