JPH0213143Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は射出成形用金型、特にピン孔が貫通す
る突起部を有する製品を成形するための射出成形
用金型に関するものである。

第１図は製品の一例を示すもので、製品１の側
面にブラケツト１ａが突出しており、ブラケツト
１ａには取付ピン孔１ｂが貫通している。かかる
製品を成形するには一般にスライドコアを有する
金型が用いられる。第２図および第３図はこの種
の金型の要部を示すもので、２は固定型、３は可
動型で、これ等の間に製品を成形するためのキヤ
ビテイ（図示せず）が成形される。一方、可動型
３にはスライドコア４が設けてあり、その先端面
には製品のブラケツト１ａを成形する凹所が形成
してある。そして型閉め時、スライドコア４は製
品に対し第１図に示す位置関係となる。

ブラケツト１ａのピン孔１ｂを成形するために
スライドピン５が用いられる。即ち、スライドコ
アにはスライドピン挿通孔４ａが形成してあり、
また可動型３にも型締め時に挿通孔４ａと対応す
る位置にスライドピン案内孔３ａが形成されてい
る。そしてこれ等の孔３ａ，４ａには連結部材６
により油圧シリンダ装置９に連結されたスライド
ピン５が挿通される。しかしてこの金型にて成形
を行なう場合、固定型２および可動型３を型閉め
するとともにスライドコア４を成形位置へ前進さ
せ、一方、油圧シリンダ装置にてスライドピン５
を前進させて可動形３の案内孔３ａよりスライド
コア４の挿通孔４ａに通し更にスライドコア端面
のブラケツト成形凹所を貫通した状態におき、材
料を注入して成形する。成形後、スライドピン５
を後退させてスライドコア４の挿通孔４ａより抜
き、型開きを行なう。

ところで、スライドピン５を前進させてその先
端をスライドコア４の挿通孔４ａに挿入させる場
合、型閉めの状態によつては可動型３の案内孔３
ａとスライドコア４の挿通孔４ａとが厳格に対応
せず芯ずれが発生することがあり、かかる場合に
はスライドピン５にカジリや破損が発生するおそ
れがある。

本考案はかかる芯ずれが発生せず、従がつてス
ライドピンにカジリや破損が発生するおそれのな
い射出成形用金型を提供することを目的とするも
のである。

即ち、本考案はスライドコアのピン挿通孔にス
ライドピンを案内するためのスライドピン案内ス
リーブの一端を結合してこれを上記ピン挿通孔と
同軸的に配してその中にスライドピンを前進後退
可能に挿置し、かつ上記ガイド用スリーブをスラ
イドコアと一体に型内で移動可能としたことによ
り上記の目的を達成するものである。

以下、本考案を図示の実施例により説明する。
実施例を示す第４図において、２は固定型、３は
可動型、４はスライドコアであり、これ等の構造
は上記従来例を同じである。スライドコア４に
は、第１図に示す製品１のブラケツト１ａのピン
孔１ｂを成形するガイドピンを挿通せしめるため
のピン挿通孔４ａが設けてある。この挿通孔４ａ
の一方の開口にはスライドピン案内スリーブ７の
一端が螺結せしめてある。ピン挿通孔４ａと案内
スリーブ７とは同軸としてある。

一方、可動型３には第４図および第５図、特に
第５図に示すようにスリーブ案内孔３ｂが貫設し
てあり、これにはスライドピン５が挿通してあ
る。スリーブ案内孔３ｂの断面形状はスライドコ
ア４の移動方向（第４図の紙面垂直方向）に長い
長孔としてあり、したがつてスライドピン５を挿
通したスリーブ７はスライドコア４と一体にスリ
ーブ案内孔３ｂ内を移動する。

スライドピン５の可動型外の基端は押板８の上
板８ａおよび下板８ｂ間に連結され、該押板８は
油圧シリンダ装置９によりスライドピン５を前進
後退せしめる方向に移動せしめられる。上板８ａ
のスライドピン取付孔８１ａは第６図に示すよう
に上記スリーブ案内孔３ｂと同様の長孔となつて
おり、スライドピン５にスリーブ７と一体の移動
を許す。

上記の如く構成した射出成形用金型にて射出成
形を行なうに際しては、固定型２および可動型３
を閉じ、スライドコア４を、スライドピン５を挿
通したスリーブ７と一体に前進せしめて型閉めを
完了する。この場合、スリーブ７およびこれより
一端が突出したスライドピン５は可動型３のスリ
ーブ案内孔３ｂおよび押板８のスライドピン取付
孔８１ａ内を移動する。型閉め完了後、スライド
ピン５を前進せしめブラケツト１ａ（第１図）を
成形するキヤビテイ部を貫通した状態とする（第
４図）。そして射出成形を行なう。冷却完了後、
スライドピン５を後退せしめ、成形されたブラケ
ツト１ａよりスライドピン５を引抜く。これによ
りブラケツト１ａにはピン孔１ｂが形成される。
次に型開きを行ないスライドコア４を後退させ
る。このとき、スライドピン５を挿通したスリー
ブ７およびこれより突出するスライドピン５の基
端はスライドコア４と一体的に可動型３のスリー
ブ案内孔３ｂおよび押出板８のスライドピン取付
孔８１ａ内を移動する。そして可動型３をスライ
ドコア４、スリーブ７およびスライドピン５と一
体に下降させて型開きを完了する。

しかして本考案においては、スライドピン５
を、スライドコア４のスライドピン挿通孔４ａに
同軸的に固着したスリーブ７により前進後退せし
めるようになしたので、スライドピン５は常にス
ライドピン挿通孔４ａと同軸位置で該挿通孔４ａ
内を移動するので芯ずれによるカジリや破損が生
じることはない。また、可動型３および押板８に
断面長孔状の案内孔３ｂ，８１ａを設けたのでス
ライドコア４の移動に伴なうスリーブおよびスラ
イドピン５の移動に支障が生じることはない。更
に、従来のスライドピンは第２図、第３図より知
られるようにスライドコア４を移動させるときに
はスライドコア４より完全に抜けるまで後退させ
る必要があつたが、本考案では成形完了後にブラ
ケツト１ａ（第１図）成形部より抜ける位置まで
後退させるのみで、スライドコア４を前進後退せ
しめることができ、油圧シリンダ装置によるスラ
イドピンの移動ストロークを小さくすることがで
きる。

以上説明したように本考案は、ピン孔が貫通す
る突出部を側面に有する製品の射出成形用金型に
おいて、ピン孔を成形するためのスライドピンの
操作を容易にし、型開き、型閉じが円滑になさ
れ、かつスライドピンのカジリ、破損を防止する
すぐれた効果を発揮するものである。

なお、本考案は固定型にスライドコアを設けた
金型にも適用でき、この場合、スライドピン案内
スリーブを挿通するスリーブ案内孔を固定型に形
成することで、上記と実質的に同一の効果を奏し
得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は製品およびスライドコアを示す図、第
２は従来の射出成形用金型の一例を示すものでそ
の要部縦断面図、第３図は第２図の−線断面
図、第４図は本考案の射出成形用金型の要部縦断
面図、第５図は第４図の−線断面図、第６図
は第４図の−線断面図である。 １……製品、１ａ……突出部、１ｂ……ピン
孔、２……固定型、３……可動型、３ｂ……スリ
ーブ案内孔、４……スライドコア、４ａ……スラ
イドピン挿通孔、５……スライドピン、７……ス
ライドピン案内スリーブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピン孔が貫通する突起部を側面に有する製品を
   成形するための射出成形用金型であつて、固定
   型、可動型、上記突起部を有する製品側面を成形
   すべく固定型または可動型内に移動可能に設けた
   スライドコアおよび上記突起部のピン孔を成形す
   るスライドピンを具備し、スライドコアには上記
   突起部を成形する部分にスライドピン挿通孔を貫
   通せしめ、該挿通孔の一方の開口にはスライドピ
   ン案内スリーブの一端を固着して該スリーブを上
   記挿通孔と同軸的にスライドコアの側面より突出
   せしめて上記スリーブを固定型または可動型に形
   成したスリーブ案内孔に挿通し、上記スリーブ案
   内孔はその孔内で上記スリーブがスライドコアと
   一体に移動し得る断面形状となし、上記スリーブ
   にスライドピンを前進後退可能に挿置したことを
   特徴とする射出成形用金型。