JPH0213031Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は人形用椅子に関するもので、特に、装
飾布地を基体に対し展張させた状態に貼着して美
麗に形成され、さらには背もたれの端面に取着さ
れる飾り紐が簡単に取付けできるようにしたもの
である。

〔従来技術の欠点〕

従来の人形用椅子では基体の表面に装飾布地を
べた貼りしているために皺ができて見栄えを低下
させることがあり、また、背もたれの端面に綱状
の飾り紐を歪ませることなく取着するのが困難で
著しく手間がかかるといつた欠点があつた。

このため例えば実開昭58−58093号の「人形用
腰掛け」では、発泡スチロール等より成る基体の
表面に適宜模様状に木目込溝を形成せしめ、該基
体の表面に装飾布地を貼付けると共に該装飾布地
は前記各木目込溝に押込ませて形成することで基
体表面に充分展張して密着し皺ができないように
している。しかし、かかる木目込み溝はあくまで
装飾布地の展張という作用効果を生ずるにすぎ
す、前記、背もたれの端面に綱状の飾り紐を歪ま
せることなく取着する手段は何ら開示されていな
い。

そこで、実開昭52−155604号の「自動車座席用
クツシヨンシート」ではアクリル樹脂又はスフよ
り成る薄い紙状の不織布の平条を適宜着色し、こ
れを経緯として織成したものを略長方形に形成
し、これを表とし、その裏面にスポンジフオーム
を合接し、周囲に縁飾を附して該クツシヨンシー
トを形成する。しかしこの縁飾りは繊維状のもの
で該クツシヨンシート外周の端縁に沿つて平板状
に付着させ、該端縁を被うにすぎない。このため
人形用椅子の背もたれの端面に、かかる取着手段
を用いて綱状の飾り紐を取付けようとしても、互
いの断面形状がうまく噛み合わずスムーズに取着
できないという欠点がある。

さらに実公昭35−13366号の「車両用座席」は
車両用座席クツシヨン及び同もたれに対する被覆
用の各ビニールレザー製防水布を相互接合縁部に
おいてその各表面側のビニール被膜面を対向さ
せ、この間に同質のビニール製にして外側縁をパ
イプ状に形成した所謂「玉縁附きのテープ状中間
当片」を挿入し、これを外側の両防水布を通じ圧
迫加熱して溶解し、両防水布のビニール製防水布
を同接合縁部において反転し、以てクツシヨン及
びもたれを被覆するものである。しかし該考案に
係る「玉縁附きのテープ状中間当片」は、該中間
当片を前記両防水布の間に挿入しておき、圧迫加
熱すると溶解し、接着料となつて両防水布のビニ
ール被膜面を完全一体に接着させるものである。
従つて、本願考案が椅子の背もたれ端面に取着す
る「綱状の飾り紐」とは形状、構造、機能が全く
異なるためその取付手段として応用することはで
きないものである。

〔本考案の目的と構成〕

本考案は上記従来例の欠点をすべて解決して基
体表面に装飾布地を緊密に展張して皺ができず、
かつ背もたれの端面に綱状の飾り紐を歪ませるこ
となく取着できる人形用椅子を提供することを目
的とするものであり、このため発泡スチロール等
より成る基体の背もたれ部等の端面に凹溝を線状
に長く形成せしめ、前記基体の表面に装飾布地を
貼付けると共に該布地の一部を前記凹溝に木目込
ませて展開せしめ、さらに該凹溝上に綱状の飾り
紐をピン止め或いは接着することにより取着させ
て該飾り紐により前記凹溝をすつぽりと覆つて完
全に隠蔽できるようにしたものである。

〔作用〕

背もたれ部等の端面に凹溝を線状に長く形成し
て装飾布地の一部を該凹溝に木目込ませて展張す
るため、該布地表面に皺が生じない。該凹溝上に
断面が略円形の綱状の飾り紐を押し付けるように
して安定位置させ、ピン止め或いは接着すること
により、接着するため、該飾り紐は凹溝上で歪む
ことなく取着される。また該飾り紐により前記凹
溝は完全に隠蔽され、装飾的効果は一層向上す
る。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を説明する。図におい
て１は発泡スチロール等より成る、長椅子形状の
基体であり、座部２の前側部以外の側縁に背もた
れ部３が一体的に形成されている。該基体１の露
出する全表面に装飾布地４が貼着され美麗な人形
用椅子が構成される。而して、５は前記背もたれ
部３端面の略中心に形成された凹溝である。該凹
溝５は木目込人形の木目込溝と同様に機能させる
べく設けられるもので長い線状に形成される。

前記したように装飾布地４を基体１へ貼着させ
る際にへら等を用いて布地４をしごいて基体１表
面に対する余剰分を凹溝５に追込み、木目込ませ
ることで装飾布地４を展張状態に基体１の表面に
貼着固定させる。６は綱の形状に形成された飾り
紐であり、該飾り紐６は装飾布地４を木目込ませ
た凹溝５に沿わせ、押し付けるようにして安定位
置させ、その後ピン止めしたり、或いは接着させ
ることにより固定させて、極く容易にかつ確実に
取着することができるため取付けが簡単で歪みを
生じない。さらには前記凹溝５をすつぽりと覆つ
て完全に隠蔽することができるため美観を損なわ
ない。また第２図に示したものは凹溝５に押込ま
れる装飾布地４が切断されず続いているものを使
用しているが、第３図には装飾布地４の端部が切
断されたものを凹溝５へ押込ん状態を示してい
る。このように装飾布地４の端部を切断して押込
むのは、同一の布地に限らず、例えば異色の布地
をバランスを考え組合わせ使つたり、或いは端布
を有効利用する場合等に極めて具合がよい。

〔考案の効果〕

以上に述べたように本考案の人形用椅子は、基
体の端面に設けた凹溝に装飾布地の一部を木目込
ませることで該布地を展張状態にて美麗に貼着で
きる利点がある。さらに、この凹溝上に綱状の飾
り紐をピン止め又は接着という極めて簡単な手段
により固着させることができるためその取付けを
容易にし、しかも極めて見栄えよくすることがで
きるといつた利点がある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の人形用椅子の一実施例に係わるも
ので第１図は斜視図、第２図及び第３図は背もた
れ部の要部断面図である。 １……基体、３……背もたれ部、４……装飾布
地、５……凹溝、６……飾り紐。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発泡スチロール等より成る基体の背もたれ部等
   の端面に凹溝を線状に長く形成せしめ、前記基体
   の表面に装飾布地を貼付けると共に該布地の一部
   を前記凹溝に木目込ませて展張せしめ、さらに該
   凹溝上に綱状の飾り紐をピン止め或いは接着する
   ことにより取着させ、該飾り紐により前記凹溝を
   すつぽりと覆つて完全に隠蔽できるようにしたこ
   とを特徴とする人形用椅子。