JP4050387B2 - 車両用内装 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装本体に加飾体を設けたドアトリム等の車両用内装に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用内装を、図3を参照して説明する。車両用内装は、内装本体4と、この内装本体4の表面に設けられた加飾体3とを備えている。加飾体3は、芯材39と、この芯材39上に設けられた加飾本体30とを備えている。芯材39は、平板状の板紙で形成されている。加飾本体30は、左右外側の加飾片31Aと、その間に挟まれた加飾片31Bとの、2種類の加飾片31A,31Bを有している。
【0003】
左右外側の加飾片31Aは、皮革32Aと、この皮革32Aの裏側に設けられたクッション材33Aとを有している。クッション材33Aは、単に皮革32Aと芯材39との間に詰め込まれただけであり、接着剤等によって皮革32Aに接着されて一体になっているわけではない。もう1種類の加飾片31Bは、皮革32Bと、この皮革32Bの裏側にステッチ用の糸34によって縫い付けられたクッション材33Bとを有している。皮革32Bには、ギャザー用の糸35によってギャザーが形成されている。
【0004】
何れの加飾片31A,31Bのクッション材33A,33Bも、接着剤によって芯材39に接着されている。また、これらの加飾片31A,31B全体の外周部、つまり、加飾本体30の外周部が、糸36によって芯材39の外周部に縫い付けられている。これによって、加飾片31A,31Bが変形自在で、しかも一部の加飾片31Bにギャザーが付いていても、加飾本体30の寸法形状を一定に維持することができ、内装本体4に取り付け易くなっている。そして、芯材39が内装本体4に接着剤(図示せず)で接着される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来構成では、芯材39が有るために、加飾体3を平面にしか取り付けることができず、内装本体4が曲面をなす場合には取り付けることができないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内装本体と、この内装本体の表面に設けられる加飾体とを備えた車両用内装において、上記加飾体は、その両側に位置する第1の加飾片と、この第1の加飾片の間に挟まれた第2の加飾片とを備え、上記第1の加飾片が、皮革と、この皮革の裏側にラミネート加工によって一体に設けられたクッション材と、このクッション材の裏側にラミネート加工によって一体に設けられた変形自在のシートとを有し、上記第2の加飾片が、ギャザーが形成された皮革と、この皮革の裏側に縫い付けられたクッション材とを有し、隣接する加飾片の皮革どうしが互いに縫い合わされることによって、上記加飾体が一体をなしており、上記第1の加飾片のシートを上記内装本体に接着剤で接着することによって、上記加飾体が上記内装本体に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記内装本体に溝が形成され、この溝に上記加飾体の側縁に位置する上記第1の加飾片の縁部が嵌め込まれることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1及び2において、上記シートが、不織布であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、車両のドアトリム(内装)Dを示したものである。ドアトリムDは四角形状をなすドアトリム本体(内装本体)1と、このドアトリム本体1の表面に設けられた加飾体2とを備えている。具体的な図示は省略するが、ドアトリム本体1における加飾体2を設けるための加飾配置部10は、縦方向に曲面をなしている。加飾配置部10の左右両側の縁部には、それぞれ溝10aが形成されている(図2参照)。
【0009】
加飾体2は、左右外側の加飾片(第1の加飾片)20Aと、その間に挟まれた2つの加飾片(第2の加飾片)20Bとの、2種類の加飾片20A,20Bを備えている。
図2に示すように、左右外側の加飾片20Aは、合成の皮革21Aと、この皮革21Aの裏側(図2において下)に設けられたポリウレタンフォームからなるクッション材22Aと、このクッション材22Aの裏側(図2において下)に設けられた変形自在の不織布からなるシート23とを有している。これら皮革21A、クッション材22A、及びシート23は、ラミネート加工によって一体になっている。
【0010】
すなわち、皮革21A、クッション材22A、およびシート23は、初め、それぞれ長尺の帯状をなして別体になっている。そして、クッション材22Aの両面がバーナで加熱溶融され、片面に皮革21Aが圧し当てられ、他面にシート23が圧し当てられる。これによって、これらが3層にラミネートされた帯が形成される。この帯を裁断することによって加飾片20Aとなる。
【0011】
この左右外側の加飾片20Aの間に挟まれたもう1種類の加飾片20Bは、合成の皮革21Bと、この皮革21Bの裏側に設けられたポリウレタンフォームからなるクッション材22Bとを有している。皮革21Bには、糸24Sによってギャザー24が形成されている(図1参照)。皮革21Bとクッション材22Bとは、加飾片20Bの両側縁に沿って糸25Sで縫い合わされる。この糸25Sによってステッチ25が形成される(図1参照)。皮革21Bとクッション材22Bとをラミネート加工で一体にしない理由は、そのようにすると皮革21Bにギャザー24を付けるのが困難になるからである。
【0012】
これらの加飾片20A,20Bは、隣接するものどうしが互いに連なり合っている。すなわち、左側の加飾片20Aとそれに隣接する加飾片20Bの皮革21A,21Bどうしが糸26Sによって互いに縫い合わされており、右側の加飾片20Aとそれに隣接する加飾片20Bの皮革21A,21Bどうしが糸26Sによって互いに縫い合わされている。また、左右に隣り合う2つの加飾片20Bの皮革21Bどうしが糸26Sによって互いに縫い合わされている。これによって、加飾体2が一体をなしている。
【0013】
加飾体2の製造工程を説明する。
先ず、左右外側の加飾片20Aを製造する。また、皮革21Bにギャザー24を形成する。次に、加飾片20Aの皮革21Aと皮革21Bとを糸26Sによって縫い合わせる。そして、糸25Sによってステッチ25を入れながら皮革21Bにクッション材22Bを縫い付け、加飾片20Bとなす。
【0014】
加飾体2は、接着剤(図示せず)によってドアトリム本体1に貼り付けられる。
詳述すると、先ず、ドアトリム本体1の表面に、加飾配置部10の全面にわたって接着剤を塗布する。そして、加飾体2を貼り付ける。これによって、外側の加飾片20Aについては、シート23がドアトリム本体1に接着し、内側の加飾片20Bについては、クッション材22Bがドアトリム本体1に接着する。
【0015】
また、加飾体2の左右側縁に位置する加飾片20Aの縁部をドアトリム本体1側へ折り曲げ、これを加飾配置部10に形成された溝10aに嵌め込む。これによって、加飾体2の左右側縁が固定されるとともに、この左右側縁の端面が溝10a内に隠れて外部からは見えなくなる。
【0016】
なお、図1に示すように、ドアトリム本体1の上縁部には、ウェザーストリップWが加飾体2の上縁部に被さるようにして取り付けられる。また、ドアトリム本体1には、加飾配置部10の下縁部に沿ってアームレストRが加飾体2の下縁部に被さるようにして取り付けられる。これによって、加飾体2の上下縁部の端面が外部からは見えなくなる。
【0017】
上記のように構成された加飾体2の作用について説明する。
加飾体2には芯材が無く、折り曲げ自在になっており、これをそのままドアトリム本体1に貼り付けるようになっている。したがって、ドアトリム本体1の加飾配置部10が曲面状をなしていても、容易に貼り付けることができる。
【0018】
加飾片20Bにはギャザー24が付いているため、寸法形状を一定に維持するのが難しい。しかし、左右外側の加飾片20Aについて、皮革21Aとクッション材22Aとシート23とがラミネート加工されて一体になっているので、これら加飾片20Aの形状がほぼ一定に維持される。したがって、芯材が無くても、加飾体2全体の形状がほぼ一定に維持され、大きく変形することはない。これによって、加飾体2のドアトリム本体1への取り付け作業が容易になる。しかも、ドアトリム本体1に形成された溝10aに加飾体2の縁部を嵌め込むようになっているので、加飾体2の位置決めが極めて容易になり、加飾配置部10に正確に取り付けることができる。併せて、加飾体2の端面が溝10a内に隠れて外部から見えなくなるため、美観も向上する。
【0019】
加飾体2を接着剤で直接ドアトリム本体1に接着しても、皮革21A,21Bがでこぼこになることはない。
すなわち、もしも加飾片20Aにシート23が設けられていなかったとすれば、クッション材22Aがドアトリム本体1に塗布された接着剤に直接接触することになる。すると、クッション材22Aの内部に接着剤が浸透する。浸透した接着剤が固化すると、それに伴ってクッション材22Aが収縮する。通常、接着剤はクッション材22A内に均一に浸透することはなく、ある箇所には深く浸透し、他の箇所には浅く浸透する。したがって、クッション材22Aの収縮度合いも場所によってまちまちになる。しかも、クッション材22Aと皮革21Aとは、ラミネート加工によって一体になっている。そのため、皮革21Aにでこぼこができてしまう。
【0020】
しかし、加飾片20Aでは、直接にはシート23が接着剤に接触するため、このシート23によってクッション材22Aの内部に接着剤が浸透するのが阻止される。したがって、皮革21Aがでこぼこになることはない。
【0021】
一方、加飾片20Bについては、クッション材22Bが接着剤に直接接触するので、クッション材22Bの内部に接着剤が浸透し得る。しかし、皮革21Bとクッション材22Bとは、糸25Sで縫い合わされており、ラミネート加工によって両者の接合面が分離不能に一体になっているわけではない。したがって、クッション材22B内に浸透した接着剤が固化することによってクッション材22Bが収縮しても、それと一緒に皮革21Bがへこむことはない。よって、皮革21Bがでこぼこになることはない。
【0022】
本発明は、ドアトリムDだけでなく、ピラートリムやルーフライナ等、その他の車両用内装にも適用することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明では、芯材が無くても加飾体がほぼ一定の形状に維持される。したがって、この加飾体をそのまま内装本体に取り付けることとしても、取り付け作業性が損なわれることはない。よって、内装本体が曲面状をなしていても、容易に取り付けることができる。しかも、シートによって接着剤がクッション材内に浸透するのを防止することができるので、皮革がでこぼこになることはない。
請求項2に係る発明では、加飾体の位置決めが容易になるとともに、加飾体の端面を外部から見えなくさせて美観を向上させることができる。
請求項3に係る発明では、シートが不織布で形成されているので、クッション材とシートとのラミネート加工が容易になるとともに、接着剤がクッション材内に浸透するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るドアトリムを車内側から見た図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】従来構成の図2相当図である。
【符号の説明】
D ドアトリム(内装)
1 ドアトリム本体(内装本体)
10a 溝
20A 加飾片(第1の加飾片)
20B 加飾片(第2の加飾片)
21A,21B 皮革
22A,22B クッション材
23 シート
24 ギャザー
Claims (3)
- 内装本体と、この内装本体の表面に設けられる加飾体とを備えた車両用内装において、
上記加飾体は、その両側に位置する第1の加飾片と、この第1の加飾片の間に挟まれた第2の加飾片とを備え、
上記第1の加飾片が、皮革と、この皮革の裏側にラミネート加工によって一体に設けられたクッション材と、このクッション材の裏側にラミネート加工によって一体に設けられた変形自在のシートとを有し、
上記第2の加飾片が、ギャザーが形成された皮革と、この皮革の裏側に縫い付けられたクッション材とを有し、
隣接する加飾片の皮革どうしが互いに縫い合わされることによって、上記加飾体が一体をなしており、
上記第1の加飾片のシートを上記内装本体に接着剤で接着することによって、上記加飾体が上記内装本体に取り付けられることを特徴とする車両用内装。 - 上記内装本体に溝が形成され、この溝に上記加飾体の側縁に位置する上記第1の加飾片の縁部が嵌め込まれることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装。
- 上記シートが、不織布であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装。
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JP14510398A Expired - Fee Related JP4050387B2 (ja) | 1998-05-11 | 1998-05-11 | 車両用内装 |
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1998
- 1998-05-11 JP JP14510398A patent/JP4050387B2/ja not_active Expired - Fee Related
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