JPH0212302Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、燃料噴霧装置、特に燃料噴霧式エン
ジンに好適な燃料噴霧装置に関し、詳しくは、吸
気流通路およびそれに通じる燃料噴霧用孔が穿設
された取付部に燃料ノズルが、そのノズルの先端
に嵌挿された保持部材を介して圧接され、その保
持部材及び前記取付部材にその両方に跨つて嵌挿
される有底円筒状混合部材には、その混合部材の
開放端を閉塞するとともに底部を流体密に貫通し
て前記燃料噴霧用孔から吸気流通路内に突入する
細長い有底円筒状エマルジヨンチユーブがそのチ
ユーブの開放端を前記燃料ノズルの先端に向ける
ようにして固着され、前記混合部材とエマルジヨ
ンチユーブとの間には、前記保持部材に設けたブ
リード空気取入口に連通する環状室が画成され、
エマルジヨンチユーブには、そのチユーブ内と前
記環状室間を連通させるブリード孔と、該チユー
ブ内と前記吸気流通路間を連通させる噴霧孔とが
穿設され、その噴霧孔が、エマルジヨンチユーブ
の、吸気流通路内への突入部外周面に吸気流過方
向下流側に向けて開口されてなる、燃料噴霧装置
に関する。

かかる燃料噴霧装置では、エマルジヨンチユー
ブの噴霧孔が吸気流通路内で吸気流過方向下流側
に正確に向けられていることが必要である。しか
しエマルジヨンチユーブは混合部材とともに保持
部材に取付けられた状態で、燃料ノズルを取付部
材に向けて押付けることにより吸気流通路内に挿
入されるので、従来では、前記噴霧孔が流過方向
下流側に正確に向くように取付けるためには細心
の注意が必要であり、熟練した技術が必要であつ
た。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもので
あり、熟練した技術を必要とせず、噴霧孔の向き
を吸気流過方向下流側に向けて確実にかつ容易に
設定し得るようにした燃料噴霧装置を提供するこ
とを目的とする。

そして上記日的を達成するために本考案は、吸
気流通路およびそれに通じる燃料噴霧用孔が穿設
された取付部材に燃料ノズルが、そのノズルの先
端に嵌挿された保持部材を介して圧接され、その
保持部材及び前記取付部材にその両方に跨つて嵌
挿される有底円筒状混合部材には、その混合部材
の開放端を閉塞するとともに底部を流体密に貫通
して前記燃料噴霧用孔から吸気流通路内に突入す
る細長い有底円筒状エマルジヨンチユーブが、そ
のチユーブの開放端を前記燃料ノズルの先端に向
けるようにして固着され、前記混合部材とエマル
ジヨンチユーブとの間には、前記保持部材に設け
たブリード空気取入口に連通する環状室が画成さ
れ、エマルジヨンチユーブには、そのチユーブ内
と前記環状室間を連通させるブリード孔と、該チ
ユーブ内と前記吸気流通路間を連通させる噴霧孔
とが穿設され、その噴霧孔が、エマルジヨンチユ
ーブの、吸気流通路内への突入部外周面に吸気流
過方向下流側に向けて開口されてなる、燃料噴霧
装置において、前記保持部材と混合部材との嵌合
面間には、その両部材の軸線回りの相対嵌合位置
を決定保持する位置決め手段が設けられ、また前
記保持部材および取付部材のいずれか一方の当接
面には突起が突設され、いずれか他方の当接面に
は前記突起を嵌入し得る嵌合穴が穿設されること
を特徴とする。

以下、図面により本考案を燃料噴霧トーチ点火
式エンジンの副燃焼室用燃料噴霧装置に適用した
ときの一実施例について説明すると、先ず第１図
において、燃料ノズルＮは支持部材１によつて燃
料供給管２に取付けられるとともに、その先端に
は保持部材３が嵌挿される。保持部材３に、混合
部材４およびそれと一体的なエマルジヨンチユー
ブ５を嵌合した状態で、前記燃料供給管２を固定
位置に固定することにより、燃料ノズルＮは保持
部材３を介して取付部材６（この実施例では吸気
マニホールド）に向けて押付けられ、したがつて
燃料ノズルＮは燃料供給管２および取付部材６間
に支持される。この状態で、取付部材６の吸気流
通路７（この実施例では副燃焼室に通じる吸気流
通路）内にエマルジヨンチユーブ５が突入され、
エンジン運転時に吸気流通路７を矢符８で示す流
過方向に向けて流過する吸気中に、エマルジヨン
チユーブ５から前記流過方向下流側に向けてエマ
ルジヨン化した燃料が噴霧される。

燃料供給管２には燃料通路９が穿設されてお
り、この燃料通路９の開放端はキヤツプ１０で流
体密に閉塞される。燃料供給管２の途中には燃料
通路９に連通する分岐路１１が穿設されており、
この分岐路１１は燃料供給管２の取付部材６側の
側面に穿設された連結穴１２の底部に連通する。

燃料ノズルＮの燃料供給管２側後端部には、小
径部１３およびその小径部１３より大径の外鍔部
１４が設けられており、該後端部は小径部１３を
外囲するＯリング１５を外鍔部１４と連結穴１２
の底部との間に介在して連結穴１２に嵌合され
る。しかも燃料ノズルＮの中間部は、吸振材１６
を介して支持部材１で保持されており、この支持
部材１を燃料供給管２に締着することにより、燃
料ノズルＮは燃料供給管２に向けて押圧される。
これにより、Ｏリング１５が外鍔部１４と連結穴
１２の底部とに挟圧されてシ−ル機能を発揮し、
燃料ノズルＮの後端部と、分岐路１１すなわち燃
料通路９とが流体密に連通する。ここで、燃料ノ
ズルＮの後端部と連結穴１２の内面との間には、
Ｏリング１５の外面に当接し得る内鍔１７を有す
るスリーブ１８が介挿されており、このスリーブ
１８の働きにより、燃料ノズルＮの後端部と分岐
路１１とが、それらの軸線を一致させて連通す
る。

第２図および第３図において、保持部材３は基
本的に円筒状に形成されており、その中心部に
は、上方から順に、支持孔部１９、中間孔部２
０、小径孔部２１、位置規制孔部２２および嵌合
孔部２３が同心に穿設される。燃料ノズルＮの先
端部は、支持孔部１９の段部２４と、燃料ノズル
Ｎの肩部２５との間に円筒状吸振材２６を介在さ
せて小径孔部２１まで挿入される。位置規制孔部
２２の内面は、嵌合孔部２３よりもわずかに小径
の半径を有する円弧面２７と、該円弧面２７の両
端を連結する平面状規制面２８とから成り、規制
面２８は保持部材３を取付部材６に押付けたとき
に流過方向８の下流に位置する。

保持部材３の側部にはブリード空気取入口２９
を有するブリード空気取入管３０が一体的に突設
され、このブリード空気取入管３０の突設位置は
前記規制面２８から90度ずれた位置に設定され
る。保持部材３の取付部材６に対向する端面には
平担状の取付面３１が形成されており、この取付
面３１には、前記ブリード空気取入口２９に空気
ジエツト３２を介して連通するブリード空気通路
３３が穿設され、さらにブリード空気通路３３お
よび嵌合孔部２３の開口端を相互に連通する連通
溝３４が穿設される。

取付面３１には、嵌合孔部２３、連通溝３４お
よびブリード空気通路３３を外囲するようにし
て、環状溝３５が前記嵌合孔部２３とは偏心して
穿設される。この環状溝３５の内周縁には、第４
図で拡大して示すように、半径方向外方に突出し
た突部３６が周方向に等間隔たとえば90度をあけ
て突設されており、これらの突部３６と環状溝３
５の外周縁とによつてＯリング３７が保持され
る。

第１図を再び参照して、取付部材６には、吸気
流通路７に連通する燃料噴霧用孔３８が穿設され
ており、この噴霧用孔３８は外方から内方に向け
て順に、前記保持部材３の嵌合孔部３３に対応す
る嵌合孔部３９と、該嵌合孔部３９よりも小径の
突入孔部４０とを有する。

第５図および第６図において、混合部材４は、
基本的に有底円筒状に形成され、前記両嵌合孔部
２３，３９に嵌入される嵌合部４１と、位置規制
孔部２２に嵌入される位置規制部４２とから成
る。嵌合部４１の位置規制部４２寄り端部には、
前記連通溝３４を内部に連通させる連通孔４３が
穿設される。位置規制部４２には、前記保持部材
３の規制面２８に対応する平担状の係止面４４が
設けられる。而して前記規制面２８及び係止面４
４は、互いに協働して、保持部材３及び混合部材
４の軸線回りの相対嵌合位置を決定保持するため
の、本考案の位置決め手段を構成する。また混合
部材４の底部にはエマルジヨンチユーブ５を貫通
させるための貫通孔４５が穿設される。さらに嵌
合部４１の外周には取付部材６の嵌合孔部３９の
内周面との間でシ−ル機能を果すＯリング４６が
嵌着される。

エマルジヨンチユーブ５は有底円筒状であり、
その開放端部には混合部材４の開放端を閉塞する
ための外鍔部４７が一体的に設けられる。このエ
マルジヨンチユーブ５は、その開放端を混合部材
４の開放端側に位置させて、混合部材４に挿通固
着される。これによりエマルジヨンチユーブ５は
貫通孔４５を流体密に貫通して下方に突出する。
しかも混合部材４とエマルジヨンチユーブ５との
間には、連通孔４３に連通した環状室４８が画成
され、この環状室４８に臨む部分でエマルジヨン
チユーブ５にはブリード孔４９が穿設される。ま
た、エマルジヨンチユーブ５の混合部材４から突
出して吸気流通路７内に突入する細長い部分に
は、たとえば２つの噴霧孔５０が穿設される。こ
れらの噴霧孔５０は、吸気流通路７内に臨んだと
きに流過方向８に沿う下流側すなわち係止面４４
と同一方向に位置する必要がある。このため、エ
マルジヨンチユーブ５の外鍔部４７には、噴霧孔
５０の軸線と平行な合せ溝５１が穿設されてお
り、一方混合部材４の開放側端面には係止面４４
と直交する合せ溝５２が穿設される。したがつ
て、これらの合せ溝５１，５２を一直線状に配置
して、混合部材４にエマルジヨンチユーブ５を挿
通、固着することにより、係止面４４とエマルジ
ヨンチユーブ５の噴霧孔５０とが同一方向に配置
されることになる。

再び第２図および第３図を参照して、保持部材
３の取付面３１には、ブリード空気取入管３０と
は反対側寄りの部分に位置決め用突起５３が突設
される。また取付部材６の前記取付面３１に対向
する取付面５４には突起５３を嵌入し得る嵌合穴
５５が穿設される。この嵌合穴５５の位置は、突
起５３を嵌入したときに、保持部材３の規制面２
８が流過方向８に沿う下流側に位置するように、
すなわち保持部材３に嵌入保持されたエマルジヨ
ンチユーブ５の噴霧孔５０が前記流過方向８に沿
う下流側に位置するように設定される。

次にこの実施例の作用について説明すると、燃
料ノズルＮの取付部材６への取付にあたつては、
先ず支持部材１によつて燃料ノズルＮの後端部を
燃料供給管２に流体密に連結し、該燃料ノズルＮ
の先端部に吸振材２６を介して保持部材３を嵌挿
する。次いで、一体化されている混合部材４およ
びエマルジヨンチユーブ５を保持部材３の嵌合孔
部２３および位置規制孔部２２に嵌合するが、位
置規制孔部２２には規制面２８が設けられ、混合
部材４には規制面２８に対応する係止面４４が設
けられているので、混合部材４と保持部材３との
軸線まわりの相対位置は常に一定である。したが
つて連通孔４３は連通溝３４に対応する位置にあ
り、エマルジヨンチユーブ５の噴霧孔５０と保持
部材３の突起５３との相対位置は一定である。

このように、保持部材３で混合部材４およびエ
マルジヨンチユーブ５を保持した状態で、エマル
ジヨンチユーブ５を取付部材６の燃料噴霧用孔３
８に対応させ、燃料供給管２を固定位置に固着す
ると、燃料ノズルＮを取付部材６に向けて押付け
られる。これにより、保持部材３の取付面３１は
Ｏリング３７を介して取付部材６の取付面５４に
密着し、混合部材４はＯリング４６を介して嵌合
孔部３９に嵌入し、エマルジヨンチユーブ５は突
入孔部４０から吸気流通路７内に突入する。この
際、保持部材３には突起５３が突設され、取付部
材６にはその突起５３に対応する嵌合穴５５が穿
設されているので、突起５３が嵌合穴５５に嵌入
するように保持部材３の軸線まわりの位置を調整
することにより、エマルジヨンチユーブ５の噴霧
孔５０は流過方向８に沿う下流側に向けられる。
したがつて、非熟練作業員でも極めて容易にかつ
確実に、エマルジヨンチユーブ５の噴霧孔５０を
流過方向８に沿う下流側に設定することができ
る。

燃料ノズルＮの取付が終了した後の運転時にお
いては、燃料ノズルＮからはエマルジヨンチユー
ブ５内に燃料が供給される。一方、吸気流通路７
の吸気の流通に応じて、ブリード空気取入口２９
からは空気ジエツト３２、ブリード空気通路３
３、連通溝３４、連通孔４３を経て環状室４８内
にブリード空気が導入され、このブリード空気は
ブリード孔４９からエマルジヨンチユーブ５内に
導入される。したがつてエマルジヨンチユーブ５
内では燃料がブリード空気によつてエマルジヨン
化し、このエマルジヨン化した燃料が噴霧孔５０
から流過方向８に沿う下流側に向けて噴霧され
る。

本考案の他の実施例として、取付部材６に位置
決め用突起５３を突設し、保持部材３に嵌合穴５
５を穿設してもよい。

以上のように本考案によれば、吸気流通路およ
びそれに通じる燃料噴霧用孔が穿設された取付部
材に燃料ノズルが、そのノズルの先端に嵌挿され
た保持部材を介して圧接され、その保持部材及び
前記取付部材にその両方に跨つて嵌挿される有底
円筒状混合部材には、その混合部材の開放端を閉
塞するとともに底部を流体密に貫通して前記燃料
噴霧用孔から吸気流通路内に突入する細長い有底
円筒状エマルジヨンチユーブが、そのチユーブの
開放端を前記燃料ノズルの先端に向けるようにし
て固着され、前記混合部材とエマルジヨンチユー
ブとの間には、前記保持部材に設けたブリード空
気取入口に連通する環状室が画成され、エマルジ
ヨンチユーブには、そのチユーブ内と前記環状室
間を連通させるブリード孔と、該チユーブ内と前
記吸気流通路間を連通させる噴霧孔とが穿設さ
れ、その噴霧孔は、エマルジヨンチユーブの、吸
気流通路内への突入部外周面に吸気流過方向下流
側に向けて開口されてなる、燃料噴霧装置におい
て、前記保持部材と混合部材との嵌合面間には、
その両部材の軸線回りの相対嵌合位置を決定保持
する位置決め手段が設けられ、また前記保持部材
および取付部材のいずれか一方の当接面には突起
が突設され、いずれか他方の当接面には前記突起
を嵌入し得る嵌合穴が穿設されるので、組立に当
つては、前記位置決め手段によつて混合部材及び
エマルジヨンチユーブの、保持部材に対する相対
嵌合位置が正しく決定される一方、前記突起と嵌
合穴との係合によつて保持部材の取付部材に対す
る相対取付位置が正しく決定され、従つて組立完
了状態においては、エマルジヨンチユーブの、吸
気流通路内への突入部外周面に開口する噴霧孔を
吸気流過方向に常に正しく向けることができるか
ら、非熟練作業員でも噴霧孔の向きを間違えて組
立てる惧れがなく、上記形式の燃料噴霧装置の組
立作業を常に簡単的確に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を燃料噴霧式エンジンの副燃焼室
用に適用したときの一実施例を示すものであり、
第１図は要部縦断面図、第２図は第１図の−
線断面図、第３図は第２図の−線から見た端
面図、第４図は第３図の矢視の部分を拡大して
示す端面図、第５図は混合部材およびエマルジヨ
ンチユーブの上面図、第６図は第５図の−線
断面図である。 ３……保持部材、４……混合部材、５……エマ
ルジヨンチユーブ、６……取付部材、７……吸気
流通路、８……流過方向、２８；４４……位置決
め手段を構成する規制面；係止面、２９……ブリ
ード空気取入口、３１，５４……取付面、３８…
…燃料噴霧用孔、４８……環状室、４９……ブリ
ード孔、５０……噴霧孔、５３……突起、５５…
…嵌合穴、Ｎ……燃料ノズル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気流通路７およびそれに通じる燃料噴霧用孔
   ３８が穿設された取付部材６に燃料ノズルＮが、
   そのノズルＮの先端に嵌挿された保持部材３を介
   して圧接され、その保持部材３及び前記取付部材
   ６にその両方に跨つて嵌挿される有底円筒状混合
   部材４には、その混合部材４の開放端を閉塞する
   とともに底部を流体密に貫通して前記燃料噴霧用
   孔３８から吸気流通路７内に突入する細長い有底
   円筒状エマルジヨンチユーブ５が、そのチユーブ
   ５の開放端を前記燃料ノズルＮの先端に向けるよ
   うにして固着され、前記混合部材４とエマルジヨ
   ンチユーブ５との間には、前記保持部材３に設け
   たブリ−ド空気取入口２９に連通する環状室４８
   が画成され、エマルジヨンチユーブ５には、その
   チユーブ５内と前記環状室４８間を連通させるブ
   リード孔４９と、該チユーブ５内と前記吸気流通
   路７間を連通させる噴霧孔５０とが穿設され、そ
   の噴霧孔５０は、エマルジヨンチユーブ５の、吸
   気流通路７内への突入部外周面に吸気流過方向下
   流側に向けて開口されてなる、燃料噴霧装置にお
   いて、前記保持部材３と混合部材４との嵌合面間
   には、その両部材３，４の軸線回りの相対嵌合位
   置を決定保持する位置決め手段２８，４４が設け
   られ、また前記保持部材３および取付部材６のい
   ずれか一方の当接面には突起５３が突設され、い
   ずれか他方の当接面には前記突起５３を嵌入し得
   る嵌合穴５５が穿設されることを特徴とする燃料
   噴霧装置。