JPH0211038Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、衣類、特にニツト製品を胴体用仕
上型（ボデイダミー）を装着して、スチームブロ
ー、熱風吹き付け、バキユーム等の工程を施して
製品の型仕上をなす衣類の胴体部仕上装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕 衣類、例えばニツト製品は、縫製後、スチーム
ブロー、熱風吹き付け、バキユーム等からなる仕
上工程を経て最終的な製品が得られる。

この仕上工程は製品の型仕上り、風合い等を向
上させ良好な品質を確保するため重要である。

ところで、このような仕上工程を袖をもつ衣類
に施す場合、同時に袖と胴体を仕上げるにはダミ
ーの複雑化および均一な仕上げ効果を得られない
等の種々の問題があるため通常は袖を先に仕上
げ、その後、胴体部分を仕上げることが作業性お
よび仕上状態等の点で望ましいとされている。

この胴体部分の仕上工程を行なう装置とては従
来、第３図に示すものがある。

図において、１はセータＳの胴体部Saを装着
するボデイダミーである。このダミー１は多数の
小孔１ａを有する板金により中空状に形成されて
おり、支台２内のスチームヒータ３を介して送給
されたスチームが、このダミーの中空部を経て前
記小孔１ａからセータＳの胴体部Saに噴出され
るようになつている。

セータＳはこのスチームを受けて柔軟性を帯
び、ダミー１に無理なく適合する。セータＳにス
チームがかけられると、その後、支台２内のブロ
ア４によりダミー１内に熱風が吐出されてセータ
Ｓの乾燥が行なわれ、さらにバキユームバルブ４
を開として、バキユームボツクス５よりダミー１
内の空気を吸入し、ダミー１内に残存するスチー
ムの除去およびセータＳの冷却を行ない、仕上げ
を完了する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記従来の装置にあつては胴体
部Saの仕上げにおいて、胴体部Saの生地を透過
して外方へ吐出されたスチームが既に仕上げを完
了している袖にかかり、袖が型くずれを行してし
まうという問題があつた。

この考案は前記問題点に着目して成されたもの
で、胴体部のスチームブロー時に、生地を透過し
て噴出されるスチームが袖にかかるのを防止し得
る胴体部仕上装置の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、ボデイダミーに装着した衣類の胴
体部に対し、ダミーの内側からスチーム、熱風吹
き出し、バキユームを行なうようにした衣類の胴
体部仕上装置において、ボデイダミーから吐出さ
れたスチームを袖より遮断する遮蔽板を設けたも
のである。

〔作用〕

上記構成により、胴体部へのスチームブロー時
にそのスチームが生地を透過して袖近傍に噴出さ
れたとしても、これらは遮蔽板によりさえ切られ
袖に付着することはない。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を第１図に基づき説
明する。なお、前記従来例と同一もしくは相当部
分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。

図において、６ａ，６ｂはボデイダミー１の左
右両側方に位置する吸入流路としてのバキユムー
パイプで、前記バキユームボツクス５と連通して
おり、ここからスチームブロー時において周囲に
吐出されたスチームを吸入するようになつてい
る。また、一対のバキユームパイプ６ａ，６ｂは
その下端部がガイド板７ａ，７ｂに設けたガイド
レール７ａ１，７ｂ１と嵌合する取付板８ａ，８
ｂにそれぞれ取付けられており、各バキユムーパ
イプ６ａ，６ｂに連結したエアシリンダ９ａ，９
ｂを作動させることによりガイドレール７ａ１，
７ｂ１に沿つて左右方向に移動するようになつて
いる。１０ａ，１０ｂはボデイダミー１に装着し
た衣類（セータＳ）の袖Sb，Sbを左右に開げた
状態で保持する袖保持板で、各々支台２に突設し
たポール１１ａ，１１ｂによつてバキユームパイ
プ６ａ，６ｂの側方に支持されている。１２，１
２は前記バキユームパイプ６ａ，６ｂに固着した
遮蔽板であり、この実施例では、前後方向に延出
する縦遮蔽板１２ａと、水平方向に延出する横遮
蔽板１２ｂとより成り、これら遮蔽板１２ａ，１
２ｂによつて前記袖保持板１０ａ，１０ｂに保持
された袖Sb，Sbの側方および下方を覆うように
なつている。なお、１３は支台２上に配設された
電源スイツチ、１４は始動スイツチ、１５は非常
停止用スイツチであり、また１６，１７，１８は
それぞれスチームブローとバキユームパイプ６
ａ，６ｂからの吸入、熱風吹き出し、バキユーム
用の作動ペダルで、各作動ペダルを踏んでいる間
だけ作動する。

上記構成を有する衣類の胴体部仕上装置におい
て、セータＳの仕上げを行なう際には、ボデイダ
ミー１にセータＳを装着した後、両袖Sb，Sbを
袖保持板１０ａ，１０ｂにそれぞれ保持させる。
この後、ペダル１６を踏み込むとスチームブロー
およびバキユームパイプ６ａ，６ｂからの吸入動
作が開始される。これによりセータＳの胴体部
Saからは吹き付けられたスチームが生地を透過
して外方へ噴出されるが、両袖Sb，Sbの下方お
よび側方は遮蔽板１２ａ，１２ｂによつて覆われ
ているため、噴出されたスチームはこの遮蔽板１
２ａ，１２ｂに沿つて矢印方向へ流出するか、あ
るいはここで水滴となつて下方へ滴下されてしま
い、袖Sb，Sbまで達することはない。

さらにこの実施例では、スチームブローと同時
にバキユームパイプ６ａ，６ｂからの吸気動作を
行ない、バキユームパイプ６ａ，６ｂ周辺に噴出
された不要なスチームを吸入するようになつてい
るため、一層、両袖Sb，Sbにおけるスチーム防
止効果を高めることができる。このため、既に仕
上げられた袖Sb，Sbに型くずれが生じることは
ない。スチームブロー後は、ペダル１５を踏み込
み熱風吹き込みを行なう。この際、ボデイダミー
１には多量の熱風が吹き込まれるため、乾燥に伴
なつてセータＳの胴体部Saが徐々に膨張してゆ
き、ついには近傍に位置するバキユームパイプ６
ａ，６ｂおよび遮蔽板１２ａ，１２ｂに当接して
毛が寝てしまい、製品の風合いが損なわれるおそ
れがあつた。そのためこの実施例では、スチーム
ブロー終了あるいは熱風吹き込み開始と同時にエ
アシリンダ９ａ，９ｂを作動させ、バキユームパ
イプ６ａ，６ｂおよび遮蔽板１２ａ，１２ｂを左
右両側方へ退避させることにより前述の不都合を
解消するようになつている。このようにして熱風
吹き込みを行なつた後は、ペダル１８を踏み込ん
でバキユームを行なつうことにより仕上作業は完
了する。

なお、上記実施例においては、遮蔽板１２とし
て縦遮蔽板１２ａと横遮蔽板１２ｂとを設け、両
袖Sb，Sbの側方および下方を覆うようにしたが、
側方、下方に加え、その他の方向を覆うようにし
ても良く、この考案は特に上記実施例に限定され
るものではない。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり、この考案によればスチー
ムブロー時において生地より噴出されるスチーム
が袖にかかることなく、袖の型くずれを防止で
き、従つて袖の再仕上げ等を行なう必要がない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す斜視図、第
２図は従来の衣類の胴体部仕上装置を示す斜視図
である。 １……ボデイダミー、６ａ，６ｂ……吸入流路
としてのバキユームパイプ、１２ａ，１２ｂ……
遮蔽板、Ｓ……衣類（セータ）、Sa……衣類の胴
体部、Sb……衣類の袖。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前面に多数の小孔が形成され、衣類の胴体部を
   装着する中空のボデイダミーを備え、ボデイダミ
   ー内側からスチーム、熱風を吹きだし、その後バ
   キユームを行う衣類の胴体部の仕上げ装置におい
   て、ボデイダミーの両側に対向配置した一対のバ
   キユームパイプ６ａ，６ｂを備え、上記バキユー
   ムパイプ６ａ，６ｂは互いにボデイダミーの両側
   に近接、離隔する方向に移動可能に支持されると
   共に、各バキユームパイプ６ａ，６ｂには両側に
   縦遮蔽板１２ａ，１２ａを設けると共に、中間部
   にバキユームパイプの移動方向に沿つて突出する
   横遮蔽板１２ｂ，１２ｂを設けることにより前記
   ボデイダミーから吐出されたスチームをバキユー
   ムパイプで吸収すると共に、スチームを衣類の袖
   より遮断することを特徴とする衣類の胴体部仕上
   装置。