JP2000157798A - 上着仕上機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人の体型の相違による上着の形状の相違に
関わらず、全ての上着を好適に仕上げることができ、し
かも、仕上げ時間の短縮化を図ることができる上着仕上
機を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明に係る上着仕上げ機は、上着の肩
部を内部から保持する枠体４３と、上着の胴部を保持す
る胴体１２と、保持された上着内に熱風、蒸気等の流通
気体を送風する送風部５とを具備してなる上着仕上機に
おいて、上着の胴部を前後方向に緊張すべく、前記胴体
１２の一部１２ａが突出するよう構成されてなることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯後の上着の仕
上げ処理を行う上着仕上機に関する。

【０００２】

【従来の技術】ジャケット等の上着の多くは、いわゆる
ドライマーク衣料であって、水によって縮んだり、型崩
れが生じるので水系洗濯に適さない。そこで、従来はド
ライクリーニングを行った後、専用の上着仕上機にて乾
燥、しわ伸ばし等の仕上げ処理を行う方法が一般的であ
った。

【０００３】しかし、近年、洗濯装置や洗濯方法、ある
いは洗剤等の改良、発達により水系洗濯が可能となった
ため、従来の上着仕上機はドライクリーニングのみなら
ず、水系洗濯された上着の仕上げ処理にも使われるよう
になった。

【０００４】図６に示す実開昭５９−１４８７９４号公
報所載の上着仕上機は、従来からある装置で、送風機５
０を備えた送風部５１と、人体の上半身の形状に準じ、
支持柱５２に支持されて左右、上下に移動可能な枠体５
３と、上着の胴部の前後方向を保持する押さえ部材５４
と、上着を左右方向に緊張するための拡げ部材５５とを
備えている。

【０００５】かかる上着仕上機に対して、枠体５３に上
着を掛けて、押さえ部材５４により上着の胴部の前後方
向を押さえ、拡げ部材５５により上着を左右方向に緊張
した状態で、送風部５１から上着内に送風すると共に、
蒸気を上着内に噴射することで、アイロン仕上げと同様
の仕上げを行うことができるのである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の上着仕上機にあっては、上着を左右方向に緊張する
ものであるため、例えば、肥満体、中年太り等の人が着
用する上着を仕上げ処理する場合、上着の前身ごろに十
分な張りを与えることができず、上着が縮んだ状態やし
わの入った状態、最悪の場合、型崩れした状態で仕上が
るおそれがあった。特に、飽食の時代である現代では、
肥満体、中年太り等の人が増加してきており、かかる問
題が顕著なものとなりつつある。

【０００７】従って、すべての上着をきれいに仕上げる
ために、人の体型によって寸法の差に開きのある上着の
前後方向での張りに十分気を付けることが必要となって
くる。

【０００８】また、従来の上着仕上機によれば、上着を
左右方向に緊張することによって、上着の胴部が横長の
楕円形状に偏平された状態となって処理されるため、上
着本来の自然な形状に仕上げることができないという問
題があった。

【０００９】さらに、従来の上着仕上機は、ドライクリ
ーニングされた上着を仕上げる場合はさほど問題となら
ないのであるが、水系洗濯した上着を仕上げる場合、枠
体５３と送風の吹き出し部５７とが離間しており、併せ
て上着の肩部は何重にも縫合されて布地が厚くなってい
るため、乾燥時間が多くかかるという問題があった。

【００１０】そこで、本発明はこのような問題点を解決
するためになされたもので、人の体型の相違による上着
の形状の相違に関わらず、全ての上着を好適に仕上げる
ことができ、しかも、仕上げ時間の短縮化を図ることが
できる上着仕上機を提供することを課題とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明に係る上着仕上機は、上着の肩部を内部から保持
する枠体４３と、上着の胴部を保持する胴体１２と、保
持された上着内に熱風、蒸気等の流通気体を送風する送
風部５とを具備してなる上着仕上機において、上着の胴
部を前後方向に緊張すべく、前記胴体１２の一部１２ａ
が突出するよう構成されてなることを特徴とする。

【００１２】上記構成からなる上着仕上機によれば、枠
体４３の上に上着を外被して保持させると共に、上着の
胴部を胴体１２に保持させた後、胴体１２の一部１２ａ
を突出させて上着の胴部を前後方向に緊張させる。そし
て、かかる状態の上着内に、送風部５から熱風、蒸気等
の流通気体を送風して、仕上げ処理を行うものである。
尚、「仕上げ」とは、上着を乾燥させること、上着のし
わを取ること、上着の型を整えることを含む概念であ
る。

【００１３】また、本発明に係る上着仕上機は、請求項
２記載の如く、前記胴体１２の一部１２ａと、該一部１
２ａの表面側に接離可能な押さえ部材２０とにより、上
着の前身ごろの重なり部分を保持するような構成を採用
することができる。

【００１４】上記構成からなる請求項２記載の上着仕上
機によれば、前身ごろの重なり部分を胴体１２の一部１
２ａの表面側と押さえ部材２０とで挟んで保持するもの
であり、胴体１２の一部１２ａが突出する方向に移動し
ても、胴体１２の一部１２ａと押さえ部材２０との相対
移動は許容されず、かかる上着の保持状態は維持される
のである。

【００１５】さらに、本発明に係る上着仕上機は、請求
項３記載の如く、前記胴体１２が、前記枠体４３近傍に
て開口する略筒状に形成され、且つ、前記送風部５から
の流通気体が、胴体１２内を流通するような構成を採用
することができる。

【００１６】上記構成からなる請求項３記載の上着仕上
機によれば、送風部５からの流通気体は、胴体１２内を
通って枠体４３近傍の開口部から吹き出される。即ち、
保持された上着は、その肩部の内側が流通気体に常に晒
された状態となり、肩部の乾燥が促進されることとな
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る上着仕上機の
一実施形態について、図１乃至図５を参酌しつつ、以下
に説明する。

【００１８】本実施形態に係る上着仕上機は、地面に載
置可能な基台１に送風機２が固定され、該送風機２の吹
出し口２ａに接続された管路３が基台１内に配され、し
かも、基台１内の管路３上に熱交換器４が配設されてい
る。

【００１９】そして、前記管路３が、基台１の上方に回
動自在に取付けられた略筒状の胴体１２の下方開口部に
連通することで、送風機２から管路３を介して運ばれた
流通気体が胴体１２内に流入可能となる。ここで、送風
機２、管路３、熱交換器４は送風部５を構成する。

【００２０】尚、６は本装置の制御に与る制御部を収め
た制御盤であり、７は本装置の種々の操作を行う操作ボ
タン等を付設した操作パネル用ボックスである。

【００２１】前記胴体１２の下部には、円筒状の回転フ
ランジ体１３が取付けられ、該回転フランジ体１３が、
前記基台１の上面であって、内部が管路３に連通した固
定フランジ体８にベアリング１４を介して外挿され、胴
体１２は、基台１に対して水平面を回動自在となる。

【００２２】しかも、前記回転フランジ体１３の外周面
には、基台１に支持された回動用シリンダ１５のロッド
１５ａが固着されており、該ロッド１５ａの出退に伴っ
て、胴体１２が約１８０度の範囲で回動するようになさ
れている。

【００２３】また、前記胴体１２は、前記回転フランジ
体１３の上部に取付けられ、管路３、固定フランジ体８
の内部、回転フランジ体１３の内部と連通する略筒状に
形成され、断面平面視にて略四角形状をなす。

【００２４】さらに、前記胴体１２は、複数の孔を有す
るステンレス製の板体１７を所定の形状に屈曲した後、
その表面にスポンジ、フェルト等の弾性材１８を貼り付
け、さらにその表面に布等の保護シート１９をかけた３
層構造となっている。

【００２５】また、前記胴体１２の一部である前面部１
２ａは、胴体１２から分割され、後述するリンク機構３
１により前方に突出する構成となっている。この前面部
１２ａは、前方に突出させて上着を前後方向に緊張する
にあたり、上着の胴部を本来の形状である略円形状に維
持すべく、上着の前面の裏面に沿った曲面状に形成され
てなる。

【００２６】しかも、前記胴体１２にて上着の胴部を保
持すべく、胴体１２の前後二箇所位置には、押さえ部材
２０、２４が設けられている。

【００２７】前側の押さえ部材２０は、胴体１２の前面
部１２ａの中央部に当接可能な押しパッド２１と、一端
が押しパッド２１に揺動自在に支承され、他端が前面部
１２ａに揺動自在に支承された揺動片２２と、該揺動片
２１を揺動させるためのシリンダ２３とからなり、該シ
リンダ２３のロッドの出退によって押しパッド２１が胴
体１２の前面部１２ａの表面に接離する構成である。

【００２８】また、後側の押さえ部材２４は、前側の押
さえ部材２０と略同一構成からなり、胴体１２の後面部
１２ｂに当接可能な押しパッド２５と、一端が押しパッ
ド２５に揺動自在に支承され、他端が後面部１２ｂに揺
動自在に支承された揺動片２６と、該揺動片２６を揺動
させるためのシリンダ２７とからなり、該シリンダ２７
のロッドの出退によって押しパッド２５が胴体１２の後
面部１２ｂの表面に接離する構成である。

【００２９】尚、前記シリンダ２３、２７は、胴体１２
から突出した保持片２８、２９に揺動自在に支承されて
いるが、該保持片２８、２９は、胴体１２の構成の一部
をなすものとする。

【００３０】前記リンク機構３１は、胴体１２内に揺動
自在に支承された突出用シリンダ３２と、胴体１２内の
左右の内側面に支持されて回動自在、且つ、端部に固着
されたリブ３３に前記突出用シリンダ３２のロッド３２
ａの先端が揺動自在に支承された軸体３４と、該揺動軸
３４に固着され、他端が胴体１２の前面部１２ａの裏面
側に取付けられた揺動リンク３５、３５と、一端が胴体
１２内に揺動自在に支承され、他端が胴体１２の前面部
１２ａの裏面側に揺動自在に支承された補助リンク３６
とからなる。

【００３１】従って、前記突出用シリンダ３２のロッド
３２ａが伸長することで、リブ３３が押し上げられるよ
うにして軸体３４が回動するのに伴い、揺動リンク３
５、３５が胴体１２から外部に臨出するように揺動し、
胴体１２の前面部１２ａが、胴体１２から離間するよう
に前方に突出する。しかも、補助リンク３６の作用によ
って、胴体１２の前面部１２ａは平行移動するので、如
何なる状態であっても、胴体１２の前面部１２ａが直立
した状態が維持される。

【００３２】尚、前記揺動リンク３５、３５、補助リン
ク３６は、胴体１２の前面部１２ａの裏面側から突出し
た保持片３８、３８に揺動自在に支承されているが、該
保持片３８、３８は、胴体１２の前面部１２ａの構成の
一部をなすものとする。

【００３３】前記胴体１２の上方には、上着の肩部を内
部から保持する枠体４３が設けられており、送風部５か
らの流通気体が胴体１２内を流通して、上方開口部１２
ｃから枠体４３に吹き出されるよう構成されている。

【００３４】この枠体４３は、人体の上半身の形状に準
じたケーシング体４４と、該ケーシング体４４の両側方
に固着された二つの拡開用シリンダ４５、４５と、該拡
開用シリンダ４５のロッド４５ａの先端に取付けられた
肩張りパッド４６とを備えてなる。

【００３５】そこで、二つの拡開用シリンダ４５、４５
のロッド４５ａ、４５ａが伸長すれば、肩張りパッド４
６、４６間の距離が拡開される一方、二つの拡開用シリ
ンダ４５、４５のロッド４５ａ、４５ａが収縮すれば、
肩張りパッド４６、４６間の距離が狭められる。しか
も、二つの拡開用シリンダ４５、４５は、水平面に対し
て外向き斜め下方に傾斜した状態でケーシング体４４に
取付けられており、拡開用シリンダ４５のロッド４５ａ
の伸長に伴って、肩張りパッド４６は斜め下方に移動す
る。肩張りパッド４６をこのように斜め方向に移動させ
るのは、上着の肩部のラインに対応させるためである。

【００３６】そして、前記ケーシング体４４の下面に
は、上下方向に長尺な二本のスライド軸４８、４８が固
着されると共に、胴体１２の上方開口部１２ｃには、前
記スライド軸４８に外嵌して、摺動可能なブッシュ４９
が固着されている。

【００３７】しかも、胴体１内には、昇降用シリンダ５
０が前記スライド軸４８と平行に配設されると共に、該
昇降用シリンダ５０のロッド５０ａの先端が前記ケーシ
ング体４４の下面に固着されている。

【００３８】従って、前記昇降用シリンダ５０のロッド
５０ａが伸長すれば、ブッシュ４９内をスライド軸４８
が摺動して枠体４３が上昇する一方、昇降用シリンダ５
０のロッド５０ａが収縮すれば、枠体４３が下降して、
胴体１２に対して枠体４３が上下移動可能である。

【００３９】また、前記枠体４３の前面には、ケーシン
グ体４４の前面中央部に当接可能な押しパッド５３と、
一端が押しパッド５３に揺動自在に支承され、他端がケ
ーシング体４４に揺動自在に支承された揺動片５４と、
該揺動片５４を揺動させるためのシリンダ５５とからな
る押さえ部材５２が設けられ、該シリンダ５５のロッド
の出退によって押しパッド５３がケーシング体４４の前
面中央部の表面に接離する構成である。

【００４０】本実施形態に係る上着仕上機は、以上の構
成からなり、以下に上着仕上機を使用した上着の仕上げ
処理内容について説明する。まず、上着を枠体４３の上
に外被し、拡開用シリンダ４５、４５を作動させて肩張
りパッド４６、４６の間隔を調整し、上着の肩部を内側
から緊張させる。また、上着のラペルを折り返して、一
方の前身ごろのラペルと他方の前身ごろのラペルとを重
ね合わせた状態で、上側の押さえ部材５２のシリンダ５
５を作動させて、かかるラペルの重なり部分に押しパッ
ド５３を押し当てる。

【００４１】そして、昇降用シリンダ５０を作動させ、
上着の背丈に合わせて枠体４３を高さを調整する。

【００４２】しかる後、突出用シリンダ３２を作動させ
て、胴体１２の前面部１２ａを前方に突出させ、上着を
前後方向に緊張させる。

【００４３】そして、前側の押さえ部材２０のシリンダ
２３を作動させて、押しパッド２１を前身ごろの重なり
部分に押し当てると共に、後側の押さえ部材２４のシリ
ンダ２７を作動させて、押しパッド２５を上着の背の裾
の切り込み部分に押し当てる。

【００４４】従って、上着の前身ごろの重なり部分は、
押しパッド２１と胴体１２の前面部１２ａとに挟み込ま
れるようにして保持されると共に、上着の背の裾の切り
込み部分は、押しパッド２５と胴体１２の後面部１２ｂ
とに挟み込まれるようにして保持されて、上着が胴体１
２に保持される。また、上着のラペルの重なり部分は、
押しパッド５３と枠体４３のケーシング体４４の前面部
とに挟み込まれるようにして保持され、肩張りパッド４
６、４６による緊張と合わせて、上着が枠体４３に保持
される。

【００４５】以上のように、上着がセットされたなら
ば、送風機２を作動させて送風する。しかして、流通気
体は、吹出し口２ａから胴体１２内を通って、上方開口
部１２ｃから枠体４３に吹き出される。従って、流通気
体は、布地が重なり、乾燥しにくい上着の肩部に局所的
に吹き出されることとなるが、しかる後、この流通流体
は、上着内と胴体１２の外面との間を通って下方向に流
通し、上着の内部の隅々に流通気体が供給され、上着は
好適に仕上げられる。

【００４６】また、流通気体の一部は、胴体１２の上方
開口部１２ａから吹き出されることなく、胴体１２を構
成するステンレスの板体の多数の孔を介して胴体１２の
外部に吹き出され、この流通気体によっても上着は仕上
げられる。

【００４７】以上より、本実施形態に係る上着仕上機に
よれば、上着を前後方向に緊張することによって、上着
の前身ごろに十分な張りを与えることができ、人の体型
の相違による上着の形状の相違に関わらず、上着が縮ん
だ状態やしわの入った状態、型崩れした状態で仕上がる
のを好適に防止して、全ての上着を好適に仕上げること
ができるのである。

【００４８】尚、本発明に係る上着仕上機は、上記実施
形態に限定されるものではない。従って、流通気体を供
給する手段は、上記実施形態に限定されず、送風機２、
管路３の形状、配置態様等は適宜変更可能であり、ま
た、他の手段、例えば、配管等であってもよい。

【００４９】また、乾燥媒体である流通気体は熱風に限
定されず、水蒸気、通常の空気であってもよい。

【００５０】さらに、上着を前後方向に緊張するための
胴体１２の前面部１２ａの形状も上記実施形態のものに
限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変
更が可能であり、胴体１２の前面部１２ａを突出させる
ためのリンク機構３１も上記のものに限定されない。

【００５１】また、前記胴体１２は、複数の孔を有する
ステンレス製の板体１７と、スポンジ、フェルト等の弾
性材１８と、布等の保護シート１９との３層構造とした
が、本発明に係る上着仕上機の胴体は、これに限定され
ず、公知の技術範囲で設計変更可能である。例えば、板
体１７は、鋼板であってもよく、ＦＲＰ等の樹脂板であ
ってもよい。また、弾性材１８は、シリコンを含浸させ
たものであってもよい。

【００５２】さらに、上着をセットする方法も上記実施
形態のものに限定されず、以下の方法も考えられる。

【００５３】まず、 昇降用シリンダ５０を作動させ、
上着の背丈に合わせて枠体４３を高さを調整すると共
に、突出用シリンダ３２を作動させ、上着の胴部の前後
方向の寸法に合わせて胴体１２の前面部１２ａを前方に
突出させる。

【００５４】次に、上着を枠体４３の上に外被し、一方
の前身ごろのボタン穴に他方の前身ごろのボタンを止め
た状態で、拡開用シリンダ４５、４５を作動させて肩張
りパッド４６、４６の間隔を調整し、上着の肩部を内側
から緊張させる。

【００５５】そして、前側の押さえ部材２０のシリンダ
２３を作動させて、押しパッド２１を前身ごろの重なり
部分に押し当てると共に、後側の押さえ部材２４のシリ
ンダ２７を作動させて、押しパッド２５を上着の背の裾
の切り込み部分に押し当て、さらに、上着のラペルを折
り返して、一方の前身ごろのラペルと他方の前身ごろの
ラペルとを重ね合わせた状態で、上側の押さえ部材５２
のシリンダ５５を作動させて、かかるラペルの重なり部
分に押しパッド５３を押し当てる。

【００５６】この方法によっても、上着の胴部は前後方
向に緊張され、且つ、上着の前身ごろの重なり部分、上
着の背の裾の切り込み部分、および上着のラペルの重な
り部分はそれぞれ押さえ部材２０、２４、５２に保持さ
れるので、上着は好適に仕上げられる。

【００５７】

【発明の効果】以上の如く、本発明に係る上着仕上機
は、上着の胴部を前後方向に緊張すべく、上着の胴部を
保持する胴体の一部が突出する構成であるため、上着の
前身ごろに十分な張りを与えることができ、従って、人
の体型の相違による上着の形状の相違に関わらず、上着
が縮んだ状態やしわの入った状態、型崩れした状態で仕
上がるのを好適に防止して、全ての上着を好適に仕上げ
ることができる。また、上着が縮んだ状態やしわの入っ
た状態、型崩れした状態で仕上がることがないため、仕
上げ処理が不完全なことによる処理のし直しが不必要と
なり、仕上げ処理の効率向上を図ることができる。

【００５８】しかも、上着の胴部を前後方向に緊張させ
ることで、従来の左右方向に緊張させる場合と異なり、
上着の胴部が上着本来の自然な形状である略円形状に維
持された状態となって処理されるため、型崩れを防止し
て上着を好適な形状に仕上げることができ、付加価値の
ある仕上げ処理を実現することができる。

【００５９】また、本発明に係る上着仕上機は、請求項
２記載の如く、一方の前身ごろのボタン穴に他方の前身
ごろのボタンを止めて、前身ごろの重なり部分を胴体の
一部の表面側と押さえ部材とで挟んで保持し、しかも、
胴体の一部が突出する方向に移動したとしても、胴体の
一部と押さえ部材との相対移動は許容されず、かかる上
着の保持状態は維持されるため、前身ごろにしわが入る
ことなく、上着を好適に仕上げることができる。

【００６０】さらに、本発明に係る上着仕上機は、請求
項３記載の如く、送風部からの流通気体は、胴体内を通
って枠体近傍の開口部から吹き出され、上着の肩部の内
側に流通気体が直接吹きつけられる態様となるため、何
重にも縫合されて布地が厚くなった肩部の乾燥が促進さ
れて、上着全体の乾燥時間を短縮することができ、上着
の仕上げ処理の効率向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す上着仕上機の正面
図。

【図２】同実施形態の上着仕上機の側面図。

【図３】図５のＡ−Ａ線断面図。

【図４】同実施形態の上着仕上機の要部断面正面図。

【図５】同実施形態の上着仕上機の要部断面正面図。

【図６】従来の上着仕上機の正面図。

【符号の説明】

１…基台、２…送風機、５…送風部、１２…胴体、２０
…押さえ部材（前側）、２４…押さえ部材（後側）、４
３…枠体、５２…押さえ部材（上側）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上着の肩部を内部から保持する枠体（４
   ３）と、上着の胴部を保持する胴体（１２）と、保持さ
   れた上着内に熱風、蒸気等の流通気体を送風する送風部
   （５）とを具備してなる上着仕上機において、上着の胴
   部を前後方向に緊張すべく、前記胴体（１２）の一部
   （１２ａ）が突出するよう構成されてなることを特徴と
   する上着仕上機。
2. 【請求項２】 前記胴体（１２）の一部（１２ａ）と、
   該一部（１２ａ）の表面側に接離可能な押さえ部材（２
   ０）とにより、上着の前身ごろの重なり部分を保持する
   よう構成されてなる請求項１記載の上着仕上機。
3. 【請求項３】 前記胴体（１２）が、前記枠体（４３）
   近傍にて開口する略筒状に形成され、且つ、前記送風部
   （５）からの流通気体が、胴体（１２）内を流通するよ
   う構成されてなる請求項１又は２記載の上着仕上機。