JPH0210412Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は流水の慣性による羽根車の過剰積算
を防止して正確に計量できるようにした水道メー
タに関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に、水道メータは、そのケース本体に流入
口体と流出口体および羽根車を収容する計量室が
設けられている。そして、羽根車はピボツト軸に
よつて上記計量室に回転自在に支承され、流入口
体から計量室内に進入する流体力を受けて回転す
るようになつている。

この場合、上流流入口体から計量室に流入する
流体力を羽根車の羽根に有効に作用させ、微少流
量であつてもその流量に応じて羽根車が正確に回
転して計量できるようにすることが望ましい。そ
こで、従来から流入口体を計量室に対して接線方
向に開口させて羽根車の先端部に作用させるよう
にしたり、羽根車を軽量にして回転時の抵抗を減
少するなどの改良がなされている。

ところが、水道水を使用し蛇口を急閉した場
合、水道メータのケース本体内部には水の慣性ま
たは渦流が生じているため、上記のように回転抵
抗の微少な羽根車は、これら慣性、過流の影響を
受けて回転する。第３図において、左側の実線と
１点鎖線で囲まれた部分S₁は蛇口を開放したの
ち、羽根車が回転を開始するまでの遅れにもとづ
く積算されない、いわゆる不感流量であり、右側
の実線と破線で囲まれた部分S₂は蛇口を急閉した
のちに羽根車が回転した進み過ぎにもとづく流量
であり、このメータの進み量をα₁とすると α₁＝S₂−S₁ ……(1) となる。

したがつて、蛇口を閉じても羽根車が停止せず
に慣性によつて一定時間回転を続け、この回転数
が積算指示されてしまうという不都合が生じ、こ
のメータの進み量α₁の減少が望まれている。

〔考案の目的〕

この考案は上記の事情を考慮してなされたもの
で、蛇口を閉じた際には羽根車の回転による積算
量をカツトし、実際の使用流量をより正確に計測
できる羽根車式水道メータを提供することを目的
とするものである。

〔考案の概要〕

この考案においては、計量室に回転自在に設け
られた羽根車の上端部に磁石を取付け、この磁石
と対向し、計量室の上方に磁気抵抗素子を設けて
回転検出回路を形成する。また、計量室の下流に
流体の流速を検出する流速センサを設けて流速検
知回路を形成し、上記回転検出回路およびこの流
速検知回路からの電気信号を、ANDゲートを介
して電子回路に入力し、流水を検知したときのみ
積算するようにしたことにある。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を添付図面を参照し
て説明する。第１図中１はケース本体で、このケ
ース本体１には流入口体２、流出口体３および計
量室４が設けられている。この計量室４の周壁に
は対向する流入孔５，５…と流出孔６，６…とが
設けられ、内部には羽根車７が底部に突設された
ピボツト軸８により支承され、流入孔５，５…を
介してこの計量室４内に流入する流体により回転
するようになつている。計量室４の上部にはシー
ル部材９を介して電子回路室１０が水密に設けら
れている。そして、この電子回路室１０の底部に
は上記羽根車７の回転軸７ａが回転自在に支承さ
れており、この回転軸７ａの上端部には磁石１１
が埋設されている。そして、この電子回路室１０
の内部には上記磁石１１と対向して磁気抵抗素子
１２が設けられていて、第２図のブロツク図のよ
うに回転検出回路１３を形成するようになつてい
る。一方、上記計量室４の下流側にはたとえば、
ピトー管または平板動圧式流速計などの流速セン
サ１４が設けられ、これにより流速検知回路１５
が構成されている。そして、上記電子回路室１０
には上記回転検出回路１３および流速検知回路１
５の双方から出力信号を受けたときのみに出力信
号を出すANDゲート１６とこのANDゲート１６
に接続された正逆判定回路１７、定数変換回路１
８、積算回路１９および液晶駆動回路２０とから
なり、電池２１により作動する電子回路部２２が
構成されていて、羽根車７が回転するとともに計
量室４から流出口体３に向う流速を検出したとき
のみ、羽根車７の回転により流量を液晶表示部２
３に表示するようになつている。

上記のように構成された水道メータにおいて蛇
口を開放すると、従来の水道メータと同じように
流量S₁に相当する時間遅れて羽根車７が回転す
る。所要の流量が流出したのち蛇口を閉じても羽
根車７は水の慣性および渦流の影響を受け回転す
るが計量室４から流出する流れが停止すると、流
速検知回路１５からの出力信号は０となり、
ANDゲート１６からの出力も０となり、積算回
路１９は作動しない。したがつて、羽根車７が回
転しても積算されず、第３図右側の実線、破線お
よび上記２点鎖線で囲まれた部分をS₃とすると、
このS₃は実際の流出量Ｓよりも羽根車７の進み過
ぎだけ大きい積算量で、このメータの進み量をα₂
とすると、 α₂＝S₃−S₁ ……(2) で表される。

そして、S₃〈S₂であるから、この考案の水道メ
ータの進み量α₂は従来の進み量α₁よりも小さくな
る。

なお、上記実施例においては流速センサ１４を
本体ケース１の内部に設けたが、これい限定する
ものではなく、本体ケース１の外部で流出口体３
の接続配管の内部に設けてもよい。

〔考案の効果〕

以上、説明したようにこの考案においては、羽
根車の回転を検出する回転検出回路と流速を検知
する流速センサとからの電気信号を受け、流速セ
ンサが流水を検知したときのみ積算回路が作動す
るようにしたから、羽根車がたとえ水の慣性また
は計量室内に生じる渦流により回転した場合にお
いても、流速が検出されなければ羽根車の回転は
無視されるので計測精度が一段と向上するという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断側面
図、第２図は同じくこの電子回路の構成を示すブ
ロツク図、第３図は水道メータの流量曲線を対比
して示すグラフ図である。 ２……流入口体、３……流出口体、４……計量
室、７……羽根車、７ａ……羽根車の回転軸、１
１……磁石、１３……回転検出回路、１４……流
速センサ、１５……流速検知回路、１９……積算
回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流入口体と流出口体および羽根車を収容する計
   量室を備えるとともに、上記羽根車の回転軸に磁
   石を設け、この磁石に対向する磁気抵抗素子によ
   つて上記羽根車の回転を検出する回転検出回路を
   設け、この回転検出回路の出力信号を積算回路を
   介して積算指示するようにした羽根車式水道メー
   タにおいて、上記計量室の上流もしくは下流側に
   流体の流速を検知する流速センサを設けた流速検
   知回路と、この流速検知回路および上記回転検出
   回路の両方から出力信号を入力したとき、積算回
   路を作動させるANDゲートとを具備したことを
   特徴とする羽根車式水道メータ。