JPH018475Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動二輪車において燃料タンクの前
部を車体フレームに対しダンパを介して脱着自在
に差込んで組付ける形式のタンク取付け装置の構
造に関する。

〔従来技術〕

自動二輪車にあつては、燃料タンクは車体フレ
ームの上部に装着され、その前部取付け装置はヘ
ツドパイプ近くに設けられる。また、タンクの前
部取付け装置としては、ゴム状弾性材のダンパを
介して差込み装着し、防振機能とともに前後方向
遊びを持たせる型式のものが広く採用されてい
る。

一方、車体フレームの燃料タンク下方の位置に
はエンジンが装着されており、該エンジンの近傍
にはエアクリーナーや気化器などの補助部品が装
着されている。

しかして、従来の自動二輪車のタンク前部取付
け装置は、第１図または第２図に示すごとく、ヘ
ツドパイプ１から後方へ延びる一対のアツパパイ
プ２Ａ，２Ｂに直接差込み部を設ける構造を有し
ていた。

すなわち、第１図のごとく、アツパパイプ２
Ａ，２Ｂの内側にブラケツト３Ａ，３Ｂを溶接等
で固定し、各ブラケツトに固定（溶接など）した
ピンにゴム等で作つた円筒状のダンパ４を嵌合す
るか、あるいは、第２図のごとく、左右のアツパ
パイプ２Ａ，２Ｂ間にパイプなどの連結材５を溶
接し、該連結材に固定（溶接等で）した一対の板
６Ａ，６Ｂにピンを固定し、これらのピンにゴム
等で作つた円筒状のダンパ４Ａ，４Ｂを嵌合する
などの構造を有していた。

燃料タンクを取付ける場合は、該タンクの左右
内壁に設けた前方開放の一対の挿入ガイド部を前
記一対のダンパ４，４に差込んでタンク前部を支
持する。

なお、第１図および第２図中の符号７Ａは左側
のダウンパイプを、符号８はヘツド補強用ガセツ
トを示す。

しかし、以上第１図および第２図で説明したよ
うな従来構造では、タンク前部取付けのための差
込み部を支持するための部材、すなわち第１図中
のブラケツト３Ａ，３Ｂあるいは第２図中の連結
材５および板６Ａ，６Ｂなどをアツパパイプ２
Ａ，２Ｂの内側に溶接等で固定するので、燃料タ
ンクを取外したとしても、車体上方から左右のア
ツパパイプ間を通して車体フレーム内のエンジン
（特にエンジンヘツド）やエアクリーナーなどへ
の接近することが困難であり、エンジンヘツドや
エアクリーナーなどの取付け取外しを伴なう保守
点検作業が困難であり、整備性に劣るということ
があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、エアクリーナー等のフレーム
内装着部品の整備性を向上させることができる自
動二輪車のタンク前部取付け装置を提供すること
である。

〔考案の構成〕

本考案は、車体フレームに設けたブラケツトに
左右一対のゴム状弾性材から成るブロツク状のダ
ンパを取付け、タンク前部に設けた左右一対の前
方開放の挿入ガイド部を前記ダンパに脱着自在に
差込み装着する型式の自動二輪車のタンク前部取
付け装置において、左右の前記ダンパを取付ける
ためのブラケツトを一体の別部品で構成し、該ブ
ラケツトを車体フレームのヘツド補強ガセツトに
位置調節可能に上方からねじ締結する構成によ
り、上記目的を達成するものである。

〔実施例〕

以下、第３図〜第５図を参照して本考案の実施
例を説明する。

第３図において、車体フレームのヘツド部分
は、前車輪（操向車輪）支持用のフロントホーク
を回動自在に軸支するヘツドパイプ１並びに該ヘ
ツドパイプに溶接された左右のアツパパイプ２
Ａ，２Ｂおよび左右のダウンパイプ（左側のダウ
ンパイプ７Ａのみ図示）でその骨格が形成されて
いる。

左右のアツパパイプ２Ａ，２Ｂをヘツドパイプ
１に接続する付け根部分にはヘツド補強用ガセツ
ト９が一体的に溶接されている。このガセツト９
には横方向に所定間隔をおいて２ケ所に雌ねじ１
０，１０が形成されている。

以上の車体フレームとは別体の部品として図示
のような着脱可能なブラケツト１１が使用されて
いる。このブラケツトは、前記雌ねじ１０，１０
と同じピツチで形成された取付孔１２，１２を有
し、ボルト１３，１３により車体フレームすなわ
ち図示の例ではヘツド補強用ガセツト９に上方か
ら脱着可能に締結される。なお、取付孔１２，１
２は前後方向に長軸を有する長孔とし、車体フレ
ームに対するブラケツト１１の取付け位置を前後
に調整できる構造になつている。

ブラケツト１１の後部すなわち取付孔１２，１
２より後方の位置には、左右両側への突出部を有
するシヤフトまたはパイプ１４が溶接などで固定
され、該突出部に円筒状のダンパ４，４を嵌合さ
せて装着するようになつている。なお、図示の例
では左右の突出部を一本のパイプで形成している
が、これは左右別々のパイプ（またはピン）をそ
れぞれ同芯状に溶接する構造にすることも可能で
ある。

前記ダンパ４，４は、従来品と同様、ゴム状弾
性材で作られている。

こうして、車体フレームとは別体のブラケツト
１１に、パイプ１４およびダンパ４，４から成る
タンク前部取付け装置の差込み部が構成されてい
る。なお、ブラケツト１１は例えば鋼板プレス成
形品で作ることができ、その形状は図示のものに
限らず自由に設計することが可能である。

ブラケツト１１を車体フレーム（ヘツド補強用
ガセツト９）にねじ締結した後、パイプ１４に嵌
合させたダンパ４，４を介して燃料タンク１５の
前部が取付けられる。

この燃料タンク１５には、第４図および第５図
に示すように、その左右内側壁の表面に前方解放
の一対の挿入ガイド部１６，１６が設けられてい
る。この挿入ガイド部１６は、タンクが鋼板成形
品の場合は鋼板で図示のように成形したものをス
ポツト溶接等で固着されるが、タンクがプラスチ
ツク一体成形品の場合はプラスチツクで一体に成
形したり金具を埋込んだりして形成することも可
能である。

なお、第３図において、符号１７はタンク後部
取付用のブラケツトを例示する。

タンク１５の取付けは、ブラケツト１１をボル
ト１３，１３でヘツド補強用ガセツト９に締結
し、ダンパ４，４を該ブラケツトのパイプ１４に
嵌合し、タンク１５の挿入ガイド部１６，１６を
各ダンパ４，４に差込み、最後にタンク１５の後
部取付けブラケツト１７を車体フレームの所定位
置に取付けるという手順で行なわれる。タンク１
５の取外しはこれと逆の手順で行なわれる。

以上説明した実施例によれば、タンク１５の前
部を別体の脱着可能なブラケツト１１を介して取
付ける構造にしたので、従来のようなアツパパイ
プ２Ａ，２Ｂ間に固定するブラケツト類を除去す
ることができ、したがつて、エアクリーナやエン
ジン（特にシリンダヘツドなど）の整備作業に際
してはアツパパイプ２Ａ，２Ｂ間の広い空間から
接近することが可能となり、整備性を大巾に向上
させることができる。

また、タンク前部取付け用のブラケツト１１を
別体としてねじ締結するとともに、該ブラケツト
１１の取付孔１２，１２を長孔にしたので、タン
ク取付位置の調節巾を簡単に増加することがで
き、したがつて、タンク後部とシート前部の整合
を一層容易に行なうことができ、場合によつては
ライデイングポジシヨンの調節にも資することが
可能になる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本考案によれ
ば、車体フレームに設けたブラケツトに左右一対
のゴム状弾性材から成るブロツク状のダンパを取
付け、タンク前部に設けた左右一対の前方開放の
挿入ガイド部を前記ダンパに脱着自在に差込み装
着する型式の自動二輪車のタンク前部取付け装置
において、左右の前記ダンパを取付けるためのブ
ラケツトを一体の別部品で構成し、該ブラケツト
を車体フレームのヘツド補強ガセツトに位置調節
可能に上方からねじ締結するよう構成したので、
一体型のブラケツトを取外すことによりフレーム
内装着部品の取付け取外しが容易となり、保守点
検時の作業性を向上させることができ、また、前
記ブラケツトをヘツド補強ガセツトに位置調節可
能にしかも上方から締結することにより、組立て
作業が容易でしかも外部からブラケツト取付け部
が見えないすぐれた外観のタンク前部取付け装置
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ従来のタンク前
部取付け装置の車体フレーム側の構造例を示す斜
視図、第３図は本考案によるタンク前部取付け装
置の一実施例を示す分解斜視図、第４図は第３図
中の線−に沿つた拡大断面図、第５図は第４
図中の線−から見た一部截断矢視図である。 １……ヘツドパイプ、２Ａ，２Ｂ……アツパパ
イプ、４……ダンパ、９……ヘツド補強用ガセツ
ト、１０……雌ねじ、１１……ブラケツト、１２
……取付け孔、１３……ボルト、１４……ダンパ
嵌合用のピン（支軸）、１５……タンク、１６…
…挿入ガイド部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体フレームに設けたブラケツトに左右一対の
   ゴム状弾性材から成るブロツク状のダンパ４，４
   を取付け、タンク前部に設けた左右一対の前方開
   放の挿入ガイド部１６，１６を前記ダンパ４，４
   に脱着自在に差込み装着する型式の自動二輪車の
   タンク前部取付け装置において、左右の前記ダン
   パ４，４を取付けるためのブラケツト１１を一体
   の別部品で構成し、該ブラケツト１１を車体フレ
   ームのヘツド補強ガセツト９に位置調節可能に上
   方からねじ締結することを特徴とするタンク前部
   取付け装置。