JP2997166B2 - ステアリング装置の支持構造 - Google Patents

ステアリング装置の支持構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はステアリング装置の支持
構造、詳しくは、車体静止部材に組付ける支持部材にス
テアリングコラムを支持するようにしたステアリング装
置の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種ステアリング装置の支持構
造として、ダッシュパネルなどの車体静止部材に車体前
後方向に延びる支持部材を組付け、この支持部材に前記
ステアリング装置のステアリングコラムを支持させるよ
うにしたものは、例えば実開昭57ー105866号公
報などにおいて既に知られている。
【0003】また、従来では、前記ステアリング装置を
支持する前記支持部材を複数車種に適用可能とし、この
支持部材の汎用性を高めることを目的として、該支持部
材を前部支持体と後部支持体との2つの部材に分割形成
したものが見受けられるが、以上のように前部支持体と
後部支持体とを用いて前記ステアリング装置を支持させ
るときには、図3で示したように、ダッシュパネルなど
の車体静止部材Aに組付けられるステアリング装置の支
持部材Bとして、前記車体静止部材Aに対接される上部
壁C1と、該上部壁C1の車幅方向両側から下方に向か
って対向状に垂設される一対の縦壁C2と、この各縦壁
C2の下端側から車幅方向外方に向けて延びる鍔部C3
を備えた断面ハット形状の前部支持体Cと、同じく前記
車体静止部材Aに対接される上部壁D1と、該上部壁D
1の車幅方向両側から下方に向かって対向状に垂設され
る一対の縦壁D2と、この各縦壁D2の下端側から車幅
方向外方に向けて延びる鍔部D3を備えた断面ハット形
状の後部支持体Dとを用い、これら前,後支持体C,D
の前後両端部分を互いに重合させ、この重合部Eを溶接
により接合一体化すると共に、前記各支持体C,Dの下
方鍔部C3,D3にそれぞれ第1及び第2ブラケット
F,Gを組付け、これら各ブラケットF,Gを介してス
テアリングホイールH1を備えたステアリングコラムH
の前後部位を前記前,後支持体C,Dに支持させるので
あるが、このとき、前記支持部材Bは、2つの前,後支
持体C,Dに分割形成されていることから、これら両者
の重合部Eを溶接したとしても、前記支持部材Bの全体
的な剛性が弱くて、前記各ブラケットF,Gにより前記
ステアリグコラムHを支持部材B側に支持させるときの
支持強度が充分ではなく、従って、前記ステアリングコ
ラムHの支持強度を強化するため、前記前部支持体Cの
下端側にその各鍔部C3間に跨って車幅方向に延びる補
強メンバーIを溶接により固定し、該補強メンバーIで
前記前部支持体Cの強度強化を行い、かつ、前記補強メ
ンバーIに前記第1ブラケットFを固定ボルトやナット
を介して組付け、斯かる補強メンバーIで強化された第
1ブラケットFを介して前記ステアリングコラムHの前
部側を支持させることにより、該ステアリングコラムH
の前記支持部材Bに対する支持強度を高めるようにして
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上のよう
なステアリング装置の支持構造によれば、前記支持部材
Bが前,後支持体C,Dの2つに分割され、斯かる分割
された支持部材Bによる前記ステアリングコラムHの支
持強度が充分でないことから、以上のように前記前部支
持体Cに前記補強メンバーIを別途設ける必要があり、
このため、前記ステアリングコラムHを支持するための
部品点数が多くなって組付工数の増大を招くばかりか重
量がアップするのである。また、以上のように、前記支
持部材Bを2つの前,後支持体C,Dに分割形成すると
きには、これら各支持体C,Dの板厚を厚くして剛性ア
ップすることにより、前記ステアリングコラムHの支持
強度を高めることも考えられるが、斯くするときには、
前記支持部材Bの全体重量が大幅に増大するのである。
【0005】本発明の目的は、ステアリング装置を支持
する支持部材を2つの前、後支持体に分割形成するにも
拘らず、重量増加や組付工数の増大を招くことなく、前
記支持部材による前記ステアリング装置の支持強度を効
果的に高めることができる支持構造を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、車体静止部材Aに組付ける支持部材2に
ステアリングコラム11を支持するようにしたステアリ
ング装置1の支持構造であって、前記支持部材2を断面
ハット形状の前部支持体3と断面ハット形状の後部支持
体4とに分割して、この後部支持体4の前部を前記前部
支持体3の後部に重合して接合一体化を行い、該重合部
5に前記ステアリングコラム11を第1ブラケット6を
介して支持すると共に、後部支持体4に前記ステアリン
グコラム11を第2ブラケット7を介して支持し、両ブ
ラケット6、7を介してステアリングコラム11の前後
部位を前記前後支持体3、4に沿わせて支持させてい
る。
【0007】
【作用】以上の支持構造によれば、前記支持部材2が
前、後支持体3,4に分割され、これら各支持体3,4
の前後部位が互いに重合され、その重合部5に前記ステ
アリング装置1のステアリングコラム11が支持されて
おり、つまり、前記重合部5は前記各支持体3,4の前
後部位が二重に重ね合わせられているため剛性が最も高
く、斯かる剛性の高い部分に前記ステアリングコラム1
1が支持されるのである。従って、前記支持部材2を
前、後支持体3,4に分割形成し、この支持部材2を複
数車種に適用可能として汎用性を高めるようにしたにも
拘らず、従来のように、別途補強部品を用いたり又は前
記各支持体3,4のそれぞれを板厚大にしたりして前記
ステアリングコラム11の支持強度を強化したりするこ
となく、前記支持部材2の最も剛性の高い前記重合部5
に前記ステアリングコラム11を支持することにより、
組付工数を少なくし、かつ、前記支持部材2の全体重量
を軽量としながら、該支持部材2による前記ステアリン
グコラム11の支持強度を効果的に高めることができる
のである。
【0008】
【実施例】図1は本発明にかかるステアリング装置の支
持構造を示しており、この支持構造においては、ダッシ
ュパネルなどの車体静止部材Aに組付けられるステアリ
ング装置1の支持部材2として、前記車体静止部材Aに
対接される上部壁31と、該上部壁31の車幅方向両側
から下方に向かって対向状に垂設される一対の縦壁32
と、この各縦壁32の下端側から車幅方向外方に向けて
延びる左右一対の鍔部33を備えた断面ハット形状の前
部支持体3と、同じく前記車体静止部材Aに対接される
上部壁41と、該上部壁41の車幅方向両側から下方に
向かって対向状に垂設される一対の縦壁42と、この各
縦壁42の下端側から車幅方向外方に向けて延びる左右
一対の鍔部43を備えた断面ハット形状の後部支持体4
とを用い、これら前、後支持体3,4の前後両端部分を
互いに重合させて、該重合部5を溶接により接合一体化
すると共に、この重合部5に第1ブラケット6を組付
け、また、前記後部支持体4の下方鍔部43に第2ブラ
ケット7を組付け、これら各ブラケット6,7を介して
前記ステアリング装置1に備えるステアリングコラム1
1の前後部位を前記前、後支持体3,4に支持させるの
である。
【0009】尚、前記ステアリング装置1は、ステアリ
ングコラム11と、該コラム11内に回転可能に挿通支
持され、長さ方向後端側にステアリングホイール(図示
せず)を取付けるステアリングシャフト12とを備え、
このシャフト12の前部側を前記コラム11の前端側に
設けた径大部13から突出させ、該径大部13から突出
される前記シャフト12の前端部に、このシャフト13
を車輪操向装置側に至る操向シャフト14に連動連結さ
せるユニバーサルジョイント15を設けている。
【0010】更に詳記すると、前記前部支持体3を後部
支持体4に重合させるにあたっては、図2でも明らかに
したように、前記前部支持体3の後方側一部を前記後部
支持体4の上部側で前方側一部に、これら支持体3,4
の上部壁31,41と各縦壁32,42及び各鍔部3
3,43とがそれぞれ上下対接するように重ね合わせ、
これら重合部分を溶接一体化して、前記ステアリングコ
ラム11を前記第1ブラケット6を介して支持させる重
合部5となすのである。
【0011】また、前記第1ブラケット6は、前記ステ
アリングコラム11における径大部13の外周囲に抱持
状に固定される固定部61を備え、この固定部61の車
幅方向左右両側に、それぞれ後方に向かって延び、前記
後部支持体4の各鍔部43と対接される2つの第1及び
第2取付片62,63を一体状に設けて構成している。
【0012】そして、前記第1ブラケット6を介して前
記ステアリングコラム11の前部側を前記各支持体3,
4の重合部5に支持させるに際しては、同図で示すよう
に、前記第1ブラケット6における固定部61の車幅方
向左側に設けられる第1取付片62を、前記後部支持体
4の左側に形成される鍔部43の下面側に当接させ、前
記第1取付片62の下方側から固定ボルト64を、互い
に対接される前記各支持体3,4の鍔部43,34間を
上方側へと貫通させ、その貫通端部側を前記前部支持体
3の鍔部上面側に設けたナット65に螺締し、また、前
記後部支持体4の右側に形成される鍔部43の下面側に
は、該鍔部43から車幅方向内方に向かって延びる板状
部材66を溶接などにより固定し、この板状部材66の
下面側に前記第1ブラケット6の右側に形成される第2
取付片63を当接させ、この第2取付片63の下方側か
ら固定ボルト67を前記板状部材66の上方側へと貫通
させて、該板状部材66の上面側に設けたナット68へ
と螺締させることにより、前記第1ブラケット6を介し
て前記ステアリングコラム11の前部側を互いに重合さ
れた前記各鍔部33,43に支持させるのである。
【0013】さらに、前記ステアリングコラム11の後
部側を支持する前記第2ブラケット7は、前記ステアリ
ングコラム11の後方上部側外周囲に抱持状に固定され
る固定部71と、この固定部71の下端側に車幅方向外
方に向かって一体状に設けられた2つの取付片72とか
ら成り、これら各取付片72を前記後部支持体4に設け
た各鍔部43の後方下面側に当接させて、前記各取付片
72の下方側から前記各鍔部43の上方側へと固定ボル
ト73を挿通させ、該ボルト73の挿通端部を前記各鍔
部43の後方側上面に設けたナット74に螺締すること
により、前記第2ブラケット7を介して前記ステアリン
グコラム11の後部側を前記後部支持体4に支持させる
のである。
【0014】以上のようなステアリングコラム11の支
持構造によれば、前記支持部材2を前、後支持体3,4
に分割し、この前部支持体3の後方側一部を前記後部支
持体4の前方側一部に重ね合わせ、これら重合部分を溶
接一体化することにより重合部5となし、該重合部5に
前記ステアリングコラム11の前部側を前記第1ブラケ
ット6を介して支持させるようにしており、つまり、該
第1ブラケット6により前記コラム11が支持される前
記重合部5は、前記各支持体3,4の上部壁31,41
と各縦壁32,42及び各鍔部33,43とがそれぞれ
上下対接するように重合され、これら各重合部分が溶接
などにより一体化されているため最も剛性が高いのであ
り、従って、斯かる剛性の最も高い部分に前記ステアリ
ングコラム11を支持させることにより、前記支持部材
2を前,後支持体3,4に分割形成し、この支持部材2
を複数車種に適用可能として汎用性を高めるようにした
にも拘らず、従来のように、別途補強部品を用いたり又
は前記各支持体3,4のそれぞれを板厚大にしたりして
前記ステアリングコラム11に対する支持強度を強化す
る場合に較べ、組付工数を少なくし、かつ、前記支持部
材2を軽量としながら、該支持部材2による前記ステア
リングコラム11の支持強度を効果的に高めることがで
きるのである。
【0015】また、同各図の実施例では、前記前部支持
体3側における各部の肉厚に対し前記後部支持体4側の
肉厚大に形成し、例えば前記前部支持体3側の肉厚を
1.4mmとしたとき前記後部支持体4側の肉厚を1.
6mmに形成して、該後部支持体4側の剛性が前記前部
支持体3側に対し高くなるように設定し、この剛性大と
された後部支持体4の後方側に前記第2ブラケット7を
介して前記ステアリングコラム11の後部側を支持させ
ることにより、前記支持部材2の全体重量を大幅に増大
させたりすることなく、換言すれば、該支持部材2の軽
量化を図りながら、前記コラム11の後部側で発生し易
い振動を効果的に抑制できるようにしている。つまり、
前記ステアリングコラム11のステアリングホイールが
配置される後部側は遊端状とされていることから、自動
車走行時などに振動が発生し易いのであるが、以上のよ
うに、前記コラム11を前記第2ブラケット7を介して
支持する前記後部支持体4側だけを肉厚大となし、この
肉厚大で剛性アップされた後部支持体4に前記コラム1
1の後部側を支持させることにより、前記支持部材2の
全体を肉厚大として振動の発生を防止する場合のように
全体重量を増大させることなく、この支持部材2の全体
重量を軽量としながら、前記コラム11に発生する振動
を効果的に抑制することが出来るのであり、しかも、前
記後部支持体4側の各部の肉厚を大とするときには、該
後部支持体4と前記前部支持体3との重合部5の強度も
アップすることが出来るため、この重合部5に前記第
1,第2ブラケット6,7を介して支持される前記コラ
ム11の支持強度をさらに高めることも出来るのであ
る。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、車体静
止部材Aに組付ける支持部材2にステアリングコラム1
1を支持するようにしたステアリング装置1の支持構造
であって、前記支持部材2を前部支持体3と後部支持体
4とに分割して、この後部支持体4の前部を前記前部支
持体3の後部に重合し、該重合部5に前記ステアリング
コラム2を支持させたから、つまり、このステアリング
コラム11を前記支持部材2の最も剛性が高い前記各支
持体3,4の重合部5で支持させるようにしたから、前
記支持部材2を前、後支持体3,4に分割形成し、この
支持部材2を複数車種に適用可能として汎用性を高める
ようにしたにも拘らず、従来のように、別途補強部品を
用いたり又は前記各支持体3,4のそれぞれを板厚大に
したりして前記ステアリングコラム11の支持強度を強
化したりすることなく、前記支持部材2の剛性大とされ
た前記重合部5に前記ステアリングコラム11を支持す
ることにより、組付工数を少なくし、かつ、前記支持部
材2を軽量としながら、該支持部材2による前記ステア
リングコラム11の支持強度を効果的に高めることが出
来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるステアリング装置の支持構造を
示す側面図。
【図2】図1におけるX−X線拡大断面図。
【図3】従来の支持構造を示す概略側面図。
【符号の説明】
1……ステアリング装置 11…ステアリングコラム 2……支持部材 3……前部支持体 4……後部支持体 5……重合部 A……車体静止部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体静止部材(A)に組付ける支持部材
    (2)にステアリングコラム(11)を支持するように
    したステアリング装置(1)の支持構造であって、前記
    支持部材(2)を断面ハット形状の前部支持体(3)と
    断面ハット形状の後部支持体(4)とに分割して、この
    後部支持体(4)の前部を前記前部支持体(3)の後部
    に重合して接合一体化を行い、該重合部(5)に前記ス
    テアリングコラム(11)を第1ブラケット(6)を介
    して支持すると共に、後部支持体(4)に前記ステアリ
    ングコラム(11)を第2ブラケット(7)を介して支
    持し、両ブラケット(6)、(7)を介してステアリン
    グコラム(11)の前後部位を前記前後支持体(3)、
    (4)に沿わせて支持させることを特徴とするステアリ
    ング装置の支持構造。
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