JPH018403Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はタイヤのトレツドのリブに互いに係合
しあう凸状部と凹状部とを形成する切込み溝を設
けることにより、操縦安定性と乗心地とを同時に
向上させうる低圧用タイヤに関する。

悪路、泥道、じやり道、岩石等の全地形用の走
行に適するレジヤー用あるいは産業用タイヤに供
するタイヤは比較的低速かつ低圧条件（約0.05〜
0.5Kg／cm²）下で使用される。従来のこの種の目
的で用いられるタイヤは使用条件の特殊性及び経
済性の観点から通常の車両用タイヤに比べてより
簡略な構造、例えばコードレスタイヤ、あるいは
カーカス層のみ配置した構造のタイヤが使用され
ておりタイヤの周方向のタガ効果に寄与するベル
ト層は通常用いられない。従つてかかるタイヤは
内圧付加時にタイヤ外径が過度に大きくなりその
結果接地面積が減少し操縦安定性、タイヤ寿命が
著しく阻害される。

そこで接地面積を増大し操縦安定性を良好とす
るため、モールドを扁平にするとともにタイヤの
トレツドのパターンをタイヤの周方向に沿うリブ
型とすることによりタガ効果を向上させたタイヤ
が採用されているが、かかるタイヤではその接地
時においてリブが収縮されにくく乗心地を阻害し
ていた。なお逆に乗心地を良好とするために、タ
イヤのトレツドのパターンをラグ型としあるいは
リブ・ラグ併用型の一種である所謂ブロツク型と
するばあいには、前記タガ効果が不十分となり接
地面積を減少させ操縦安定性の不良を招く結果と
なる。このように従来のトレツドのパターンにお
いては操縦安定性と乗心地という２つの要求を同
時に満足させてはいない。

本考案はかかる問題点を解決しうる低圧用タイ
ヤの提供を目的とし、以下本考案の低圧用タイヤ
の一実施例を、タイヤとして扁平モールドのタイ
ヤを用いたばあいを例にとりその一実施例を図面
により説明する。

図において本考案の低圧用タイヤ１は、タイヤ
２のトレツド３のリブ４に設けた切込み溝５によ
り互いに係合しあう凸状部６と凹状部７とを形成
したものであり、タイヤ２は左右一対のビード
９，９に両端を固定されトロイド状に形成される
カーカス１０を具え、又トレツド３のクラウン部
１１にはタイヤ２の円周方向に５条の前記リブ４
を配設する反面、タイヤ２の周方向のタガ作用を
奏するベルト層を具えてはいない。切込み溝５は
中央及び両側のリブ４ａ，４ｂ，４ｂに凹設され
ており、中央のリブ４ａに設けた切込み溝５と両
側のリブ４ｂ，４ｂに設けた切込み溝５とはその
位相を若干ずらせてある。切込み溝５は本実施例
では略アリ溝状に折曲がつて横切り、その両側で
凸状部６と凹状部７とを形成する。凸状部６は一
端面Ｓ１から突出する頚部１６の先端に矩形の頭
部１７を膨設した略Ｔ字状に形成され、又凹状部
７は、凸状部６の頭部１７を入れる矩形穴１８と
該矩形穴１８に連通し頚部１６が通る開口部１９
とを有し、前記一端面Ｓ１に対向する端面Ｓ２
に、夫々前記切込み溝５を隔てて形成される。こ
のようにタイヤのトレツドに、互いにからみ合う
凹状部７と凸状部６とが形成される。なお切込み
溝５の少なくとも円周方向の溝巾ｌは４mm以下、
好ましくは約１〜２mm程度に設定され、従つて第
２図ｂに示すように接地時等タイヤ２が収縮、変
形するときには、両者が相対的に遊動して矩形穴
１８の対向する内面、即ち前記凹状部７のタイヤ
軸に平行な１つの面Ｓ３と、前記頭部１７の外
面、即ち凸状部６のタイヤ軸に平行な１つの面Ｓ
４とが当接する一方、第２図ａに示すようにタイ
ヤ２が地面から離れる空間に位置するときその膨
張、変形によつて頭部１７の内面、即ち凸状部６
のタイヤ軸に平行な他の面５は矩形孔１８のタイ
ヤ軸に平行な他の面Ｓ６に互いに掛合され当接し
合う。このように前記１つの面Ｓ３，Ｓ４の互い
に当接、及び他の面Ｓ５，Ｓ６の互いに当接によ
つてトレツド部の円周方向の過度の収縮と膨張を
抑制する。なお円周方向の切込み溝５の溝巾ｌは
トレツド３が伸縮変形を受けるのは通常４mm以下
であることから前記のごとく通常は４mm以下であ
り、望ましくは１〜２mmの範囲に定めるのがよ
い。

然してタイヤ２に所定内圧の空気を充填しタイ
ヤ２が伸長したとき、第２図ａに示すように凸状
部６と凹状部７とは掛合することにより、連続し
たリブ４を形成し、該リブ４がタイヤ２のタガ効
果を発揮してタイヤ２外径が過度に大となること
を防止するとともに、タイヤ２の接地部分におい
てはトレツド３の収縮に伴い、第２図ｂに示すよ
うに凸状部６と凹状部７とが前記掛合を脱して凸
状部６が切込み溝の溝巾ｌだけ収縮方向に移動で
き、従つて凸状部６の１つの面Ｓ４が該１つの面
Ｓ４と対向する凹状部７の１つの面Ｓ５と略接す
るため切込み溝１８は略完全に埋められ接地面積
が増大する。

その結果かかる両作用の相乗効果により良好な
操縦安定性をうることができる。又凸状部６は凹
状部７内において、切込み溝５の溝巾ｌ分を自由
に円周方向に移動できトレツド３の膨縮を円滑化
し乗心地を良好とする。

叙上のごとく本考案の低圧用タイヤは、タイヤ
のトレツド部のリブに設けた切込み溝によつて互
いに係合しあう凸状部と凹状部とを形成する構成
とした結果、トレツド部に適度の剛性を付与しか
つ接地面積を増大させることができるため良好な
操縦安定性を保持しうると同時にトレツド部に適
度の柔軟性を付与することによつて乗心地を改善
しうる。なお凸状部の下面に上面と並行な切込み
を周囲に設け該凸状部の変形を容易とすることも
できる。

切込み溝は中央のリブのみに設けてもよく又全
てのリブに設けることもできなお収縮時での係合
において、頭部と対向する内面との間あるいは一
端面と対向する端面との間のいずれか一方のみを
当接可能とし、他には〓間が生じるように構成し
てもよい。又本考案の低圧用タイヤは補強材を全
く用いない所謂コードレスタイヤも含む。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部斜視図、
第２図ａ，ｂは凸状部と凹状部との係合状態を示
す斜視図である。 １……低圧用タイヤ、２……タイヤ、３……ト
レツド、４……リブ、５……切込み溝、６……凸
状部、７……凹状部、Ｓ３……１つの面、Ｓ４…
…１つの面、Ｓ５……他の面、Ｓ６……他の面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タイヤのトレツドに円周方向にのびる複数条の
   リブを設けるとともに、その少なくとも１つのリ
   ブに、該リブを折曲がつて横切ることにより、互
   いにからみ合う凹状部と凸状部を形成し、接地に
   よりタイヤが円周方向に収縮するときに、凹状部
   ７のタイヤ軸に平行な１つの面Ｓ３と凸状部６の
   タイヤ軸に平行な１つの面Ｓ４が互いに当接し、
   又逆に、円周方向にタイヤが膨張するときには、
   凸状部６のタイヤ軸に平行な他の面Ｓ５と凹状部
   ７のタイヤ軸に平行な他の面Ｓ６が互いに当接し
   合つて、トレツド部の円周方向の過度の収縮と膨
   張を抑制する機能を有するようにした複数の切り
   込みを設けたことを特徴とする低圧用タイヤ。