JPH018182Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ズボンやスカート等に用いる鉤ホツ
ク雄体に関し、特に上下に離間して略平行に延び
る上下平板部を一端において折返し部より一体に
連結して略つ字状に作られ、かつ下平板部に係止
爪を下向きに形成したフツクと、取着体の裏側に
おいて前記係止爪と係合するプレートとからなる
鉤ホツク雄体に関する。

従来の技術 平板を折曲げて折返し部の両端に一体に続く上
下平板部を形成し、上平板部を鉤ホツク雌体のア
イへの挿入部とし、下平板部を生地等の取着体へ
の当接部としたフツクを用いた鉤ホツク雄体は、
上下平板部を互いに密着させたもの、上下平板部
を互いに離したもの、あるいは取着体への装着を
縫着により行なうもの等、種々提案されている。
これらの鉤ホツク雄体のうち、上下平板部を密着
させたフツクを用いるものは雌体に対する雄体の
着脱が面倒であり、またフツクを縫着により取着
体に取付けるものは取着体への装着が面倒である
欠点がある。

このため、上下平板部を互いに離間させるとと
もに略平行にし、かつ下平板部の側部に係止爪を
形成したフツクと、取着体の裏側において係止爪
と係合するプレートとを用い、係止爪を取着体に
刺通し、次いで取着体の裏側においてプレートの
切欠部に挿通した後折曲げて係止爪とプレートと
を係合させることにより取着体に装着するように
した鉤ホツク雄体が、雌体に対する着脱と取着体
への取付けが容易であり、部品点数が少なく、し
かも雌体に対する着脱が容易であるにもかかわら
ず、使用時に雌体から外れず、体裁がよい等の理
由から多く用いられている。しかし、従来のこの
種の鉤ホツク雄体は、上下平板部が互いに離れて
いるため、取着体に取付けた後において取着体に
アイロン掛けをするとき等、下平板部に向う力が
上平板部に加わると、折返し部が押しつぶされて
上下平板部が密着した状態に永久変形してしまう
ことが多い。このように永久変形すると、上下平
板部が密着しているため、上平板部を雌体に挿通
することが難しくなり、当初の目的を達成するこ
とができない。

また、上下平板部を互いに離間させたフツクの
折返し部に内側から外側（又は、その逆）に打ち
出して上平板部から下平板部に向う方向に延びる
リブを形成することにより、折返し部の機械的強
度を高めた鉤ホツク雄体が提案されている（たと
えば、英国特許第821459号）。

解決しようとする問題点 しかし、この鉤ホツク雄体は、プレス加工等に
よりリブを押し出すため、リブの形成時に亀裂が
生じやすいし、フツクの折り曲げ時に折返し部が
折損したり不規則に変形しやすく、従つて体裁が
悪い。また、この鉤ホツク雄体は、折返し部の外
側にリブ又は溝が露出するため、体裁が悪いし、
肌触りが悪い欠点がある。

本考案は、取着体に取付けた後において上平板
部に下平板部に向う力が加わつても、折返し部が
折損したり押しつぶされることがなく、しかも体
裁及び肌触りのよい鉤ホツク雄体を提供すること
を目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案によれば上記問題点は、フツクの折返し
部の内側にプレス加工により形成された溝を上平
板部から下平板部に延びる状態に有し、下平板部
の幅方向両側部に係止爪を少なくとも１個ずつ有
し、前記係止爪の間隔がプレートの係止爪挿通用
の欠除部の間隔よりも大きい鉤ホツク雄体とする
ことにより解決される。

作 用 このような本考案の鉤ホツク雄体は、フツク部
の上下平板部と折返し部とにより雌体のアイ用の
収納空間部を形成している。また、折返し部内側
のうち前記溝の近傍がプレス加工により適度な硬
さを有するとともに、折返し部に適度のバネ力が
残存し、しかも折ち出し加工のように折返し部に
亀裂を生じないし、溝やリブが折返し部の外側面
に露出しない。そして係止爪間の間隔がプレート
の係止爪挿通用の切欠部間の間隔よりも広くなつ
ているから、係止爪を取着体に刺通し、前記切欠
部に挿通した後、内向きに屈曲させて取着体に取
付けた状態において、係止爪の先端をプレートに
係合させ、係止爪とプレートとの間にクリアラン
スを形成することができ、これにより上平板部の
先端に取着体に向う力が加わると、フツク全体が
係止爪を中心に傾動し、アイロン掛け等の際に上
平板部に加わる折返し部の適度な硬度とバネ力と
ともに力を吸収し、フツクの折返し部が押しつぶ
されることがない。

実施例 以下、図面に示す実施例に基いて本考案を説明
する。

第１図ないし第５図に示すフツクＡは、金属板
をプレス加工することにより作られており、また
略平行に延びる長尺の上平板部１と短尺の下平板
部２とを一端において弧状の折返し部３により一
体に連結して略つ字状に形成され、下平板部２の
幅方向両側部に先細の係止爪４が下向きに１個ず
つ形成されており、上下平板部１，２と折返し部
３とにより形成される内側の空間部分を雌体のア
イＣの収納部にしている。

折返し部３の内側には、上平板部１から下平板
部２にまで延びる溝５が３条形成されている。各
溝５は、上平板部１側及び下平板部２側の端部が
各係止爪４の幅方向の中心線６近傍に達している
とともに徐々に浅くなつている。各溝５はプレス
加工すなわちプレス加工により形成されたもので
あり、このため折返し部３の内側の各溝５の近傍
が他部に比べて硬化しているが、折返し部３には
バネ力が残存する。すなわち、プレス加工による
溝５を折返し部３を介して爪４の中心近傍までと
することにより上平板部１の先端部側と折返し部
３との弾性力を異ならしめることによつて、加締
めの際のプレス圧が折返し部３に負担が掛からな
いようにしている。また、各溝５が衝撃加圧加工
によるものであつて、打ち出し加工によるもので
はないから、折返し部３に亀裂を生じないし、リ
ブ又は溝が折返し部３の外側面に生じないから、
体裁がよいし、肌触りがよい。

なお、溝５は、かならずしも３条である必要は
なく、２条であつてもよいし、４条であつてもよ
い。

各係止爪４は、折返し部３の外側端面から中心
線６までの距離ｌ１が折返し部３の外側端面から
上平板部１の先端までの距離ｌ２の略４分の１、
すなわち ｌ２≒４・ｌ１ となる個所に形成されている。また、各係止爪４
の外側面には中心線６に沿つて延びる溝７が各々
形成されている。各溝７も溝５と同様に衝撃加圧
加工により形成されたものであり、従つて各係止
爪４の外側面は溝７の近傍が他部に比べて硬化し
ている。

なお、係止爪４は、下平板部２の幅方向両側部
に複数個ずつ形成してもよいし、下平板部２の幅
方向両側部と、下平板部２の先端（第１図におい
て右端）又は後端とに形成してもよい。幅方向両
側部に係止爪を複数個ずつ形成するときは、折返
し部に最も近い係止爪を ｌ２≒４・ｌ１ になる位置に形成すればよい。

下平板部２の先端には雌体のアイＣを上下平板
部１，２と折返し部３とにより形成される収納部
に案内する傾斜面８が形成されている。この傾斜
面８は、図示の例では下平板部２の先端上隅部を
面取りすることにより形成されたものであるが、
下平板部２の先端を下方に屈曲することにより形
成してもよい。上平板部１は、下平板部２より
も、折返し部３の外側端面から下平板部２の先端
までの距離ｌ３の略1.5〜２倍の距離ｌ４突出し
ている。すなわち、 ｌ４≒（1.5〜２）・ｌ３ になつている。従つて、加締めの際のプレス圧
は、上平板部１の先端側が第１図において時計方
向に回転変形することにより、該先端部と爪４の
中心部と下平板部２との３点で支持するがｌ３の
略1.5〜２倍の距離ｌ４突出しているので上平板
部１は無理なく弾性変形し、プレス後は弾性によ
り元の位置に復帰する。

フツクＡとともに取着体に装着されるプレート
Ｂは、第６図ないし第８図に示すように、金属製
の平板をプレス加工することにより作られてい
る。このプレートＢの長手方向略中央部分には下
側から上側に押し出された突条１０が幅方向全体
にわたつて形成されており、この突条１０よりも
後端側が斜めに上方に延びる傾斜後端部１１であ
るのに対し、突条１０よりも先端側が略水平に延
びる水平先端部１２になつている。

突条１０には、係止爪４が挿通する欠除部１３
がプレートＢの幅方向に離間した２個所に形成さ
れている。各欠除部１３は、図示の例では方形状
をした孔であるが、プレートＢの幅方向端部から
切り込んだ切り込みであつてもよい。

欠除部１３，１３間の間隔Ｌ１は、挿通される
係止爪４，４間の間隔ｌ５よりも狭く、すなわ
ち、 Ｌ１＜ｌ５ になるように形成されている。また、各欠除部１
３の左右方向の長さＬ２は、係止爪４の幅ｌ６よ
りも大、すなわち ｌ６＜Ｌ２ になつている。

さらに、欠除部１３の中心から水平先端部１２
の先端までの距離Ｌ３は、フツクＡの係止爪４の
中心から上平板部１の先端までの距離ｌ７よりも
小、すなわち Ｌ３＜ｌ７ になつている。

このような構成のフツクＡとプレートＢとから
なる鉤ホツク雄体は、第９図及び第１０図に示す
ように、フツクＡの係止爪４を取着体Ｄに刺通
し、取着体Ｄの裏側においてプレートＢの欠除部
１３に刺通した状態で、パンチとダイとを用いて
各係止爪４を内向きに屈曲して加締ることによ
り、取着体Ｄに装着すればよい。

このように装着されると、プレートＢは、突条
１０と傾斜後端部１１とが取着体Ｄに部分的に食
い込んで取着体Ｄに対する動きを阻止され、フツ
クＡは係止爪４により加締止めされる。しかし、
加締圧を少し弱めると、フツクＡは、係止爪４の
間隔ｌ５がプレートＢの欠除部１３の間隔Ｌ１よ
りも大であるから、各係止爪４から先端において
プレートＢに係合しているだけであつて、各係止
爪４とプレートＢとの間に第１０図に示すような
クリアランス１４を有する状態に加締ることがで
きる。このように、クリアランス１４が生じる状
態に加締ると、フツクＡはプレートＢに対し係止
爪４を中心に第９図において矢印１５の方向に傾
動可能になり、しかも欠除部１３の幅Ｌ２が係止
爪４の幅ｌ６よりも大であるから、プレートＢに
対し前後左右の方向に、すなわち２次元的に移動
可能になる。従つて、このように装着した鉤ホツ
ク雄体は、アイロン掛け等により上下平板部１，
２に下向きの力が加わると、フツクＡが取着体Ｄ
に対し傾動したり、左右に移動し、折返し部３が
適度の硬度とバネ力を有することと相まつて折返
し部３が破損したり押しつぶされることがない。
なお、フツクＡは、プレートＢに対し傾動可能で
あれば、かならずしもプレートＢに対し前後、左
右に移動しなくても、折返し部３が破損したり押
しつぶされることを防止することができる。

上述の鉤ホツク雄体は、各係止爪４が ｌ２≒４・ｌ１ なる位置に形成しているから、各係止爪４から折
返し部３の外側端面までの距離ｌ１が短く、それ
にともなつてプレートＢの傾斜後端部１１をも短
くして取着体Ｄの縫い合せ用の縫いしろを広くす
ることができる。また、取着体Ｄに装着した状態
においては、下平板部２の傾斜面８がアイＣ用の
ガイドとなるため、アイＣを上下平板部１，２と
折返し部３とにより形成される収納部に挿入しや
すい。さらに、フツクＡの上平板部１がプレート
Ｂの水平先端部１２よりもさらに突出しているか
ら、取着体ＤのプレートＢよりも先端側の部分を
第９図において破線で示すように下方に曲げるこ
とにより、アイＣ用の収納開口部分を広くするこ
とができる。

考案の効果 以上のように本考案は、フツクの折返し部の内
側に上平板部と下平板部の爪の中心近傍にまで延
びる溝をプレス加工により形成したから、折返し
部と上平板部の他の部分との剛性が異なり、プレ
ス圧が折返し部に掛からず、前記折返し部を打ち
出すことにより溝又はリブを形成した場合に比べ
て折返し部に亀裂が生じないし折返し部の変形時
に折返し部が正しく変形し、しかも溝やリブが外
側に露出せず体裁がよい。また、係止爪間の間隔
がプレートの切欠部間の間隔よりも大であるか
ら、係止爪とプレートとの間にクリアランスをも
たせた状態に加締めて係止爪を中心にフツクを取
着体に対し傾動可能に装着することができ、その
結果折返し部が適度の硬さとバネ力を有すること
相まつて、アイロン掛け等により下平板部に向う
力が上平板部に加わつても、折返し部が折損した
り押しつぶされるおそれが少ない。更に上平板部
は下平板部よりも折返し部外側端面から下平板部
の先端までの距離ｌ３の略1.5〜２倍の距離ｌ４
突出するようにしたので、加締めの際のプレス圧
により上平板部が永久変形することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図はフツクの一実施例を示す正面図、第２
図は同フツクの平面図、第３図は同フツクの底面
図、第４図は同フツクの右側面図、第５図は第２
図の−線断面図、第６図はプレートの一実施
例を示す平面図、第７図は同プレートの底面図、
第８図は第６図の−線断面図、第９図はフツ
クとプレートを取着体に加締止めした状態を示す
一部切欠正面図、第１０図は第９図の−線断
面図である。 １：上平板部、２：下平板部、３：折返し部、
４：係止爪、５：溝、６：爪の中心線、１３：欠
除部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 〔１〕 互いに上下に離間して略平行に延びる上
   下平板部１，２を折返し部３により一体に連結
   して略つ字状に形成され、かつ下平板部２の幅
   方向両側部から下方に延びる係止爪４を少なく
   とも１個ずつ有するフツクＡと、前記係止爪４
   が各々挿通される少なくとも２個の欠除部１３
   を有するプレートＢとからなり、 前記フツクＡの折返し部３の内側に設けられ
   たプレス加工による溝５が上平板部１側の端部
   と下平板部２側の端部が前記係止爪４の幅方向
   中心近傍に達していると共に、上平板部１は下
   平板部２よりも折返し部３の外側端面から下平
   板部２の先端までの距離ｌ３の略1.5〜２倍の
   距離ｌ４突出しており、かつ前記欠除部１３間
   の間隔Ｌ１が前記係止爪４間の間隔ｌ５よりも
   大であることを特徴とする鉤ホツク雄体。 〔２〕 前記係止爪４は、前記折返し部３の外側
   端面から上平板部１の先端までの距離ｌ２の約
   ４分の１だけ折返し部３の外側端面から離れた
   個所に形成されている実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の鉤ホツク雄体。