JPH017907Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、消火ホースなどの高圧水を圧送す
るための送水ホース接手、特に接手筒に送水ホー
スを接続するための連結構造に関するものであ
る。

「従来の技術、考案が解決せんとする問題点」 従来、送水ホース接手における接手筒の内部に
布地と合成ゴムとを積層した送水ホースを連結す
る構造として、接手筒の接合端部内周に先端に外
パツキンを固着した突周縁部を設け、この突周縁
部の後端の凹段部にほぼ横断面四角形の環状の内
パツキンを装填し、この内パツキンの後端に接手
筒の内部に嵌挿した送水ホースの先端を当接し、
内パツキンと送水ホースの内側に金属製拡張管を
挿入して、これを外方に拡張することにより、内
パツキンと送水ホースとを内側から圧締して防水
すると共に、送水ホースの外周を接手筒の内周に
設けた鋸刃状の凹凸条に食い込ませて送水ホース
の引き抜けを防止するようにした送水ホースの連
結構造が知られている。

ところで、一般に送水ホースに高圧水を圧送し
た場合、接手筒の内部には高圧が作用するため
に、微妙なシールの緩みによつても漏水し易く、
しかも送水ホースが膨張するために金属の接手筒
内部に結合されて拘束された送水ホースの端部に
大きな引き抜き力が作用する。

これに対して上記従来の送水ホース接手におい
ては、拡張管の押圧力により送水ホースを単に接
手筒内面の鋸刃状の凹凸条に圧着し、また内パツ
キンを凹段部に圧着したものであるため、高圧水
による軸方向の引き抜き力に対する抵抗が不足
し、送水ホースが接手筒から引き抜け易い欠点が
あり、しかも拡張管とホースとの間から浸透した
水が容易に内パツキンとホース先端との間を通る
ことができるため、ここから浸透した水が接手筒
の内周面を伝わつて外部に漏水し易い欠点があつ
た。

「問題点を解決する手段」 この考案は前記従来の送水ホース接手の課題を
解決するために、接手筒の突周縁部の後端に形成
された凹段部内に、内外二重の環状に形成された
挟着リツプを後端に設けた環状の内パツキンを装
填し、この内外の挟着リツプ間に形成されたリン
グ溝内に、接手筒の後方から嵌挿した送水ホース
の先端部を嵌合し、送水ホースとパツキンの内周
部に嵌挿して外周方向に拡張した拡張管により、
内パツキン並びに内外の挟着リツプ及びこれらの
間に嵌合した送水ホースの先端部を圧締すると共
に、送水ホースの外周を接手筒の内周壁周囲に設
けた断面鋸刃状の凹凸条に圧締することにより、
送水ホースの先端部を内パツキン後端の内外二重
の挟着リツプ間に圧締挟着し、内パツキンとホー
ス先端間の漏水を完全に遮断し、耐久的に水封性
能を維持すると共に、挟着リツプを介して内パツ
キンとホース先端部を一体化し、鋸刃状凹凸条へ
の食い込みと相まつてホース引き抜き力に強力に
抵抗し得るようにした送水ホース接手を提案する
ものである。

「実施例」 以下この考案を図面に示す実施例について説明
すると、精密鋳造などにより鋳造成形した２個一
対の接手筒１，２の外周に、同じく鋳造成形した
環状の締結作動環９，１０が旋回自在に嵌合され
ている。

各締結作動環９，１０の外周には、それぞれ鉤
形に屈曲形成された一対の鉤止爪５，５及び６，
６がそれらの鉤形内側凹部Ｕを互いに径方向に相
対向して各接手筒１，２の先端の接合端面前方に
突設され、各鉤止爪５，５及び６，６の付根間の
両外周には各締結作動環９，１０の周方向に沿つ
て横長楔状に延出する楔突条７，７及び８，８が
形成されている。

各鉤止爪５，６の内側凹部Ｕは、各締結作動環
９，１０の先端面からほぼ直角に立ち上がる垂直
壁Ｓとその頂端から対向方向に屈曲した接合面
３，４とから鉤形状に形成され、その接合面３，
４はその基端から先端に向かつて各締結作動環
９，１０の先端面からの高さを徐々に減少するよ
うに締結作動環９，１０の先端面に向かつて約
20゜の勾配をなして傾く傾斜面（以下径方向傾斜
面という）に形成され、更にこの各接合面３，４
は締結作動環９，１０の周方向一側から他側にか
けて各締結作動環９，１０からの高さを徐々に減
少するように傾く傾斜面（以下周方向傾斜面とい
う）に形成されている。

また、垂直壁Ｓの頂端と接合面３，４の基端の
交角部には、円弧面部Ｒが形成されている。

楔突条７，８は、接手筒１，２同士をその先端
に固着したパツキン１７，１８を介して突き合わ
せたとき、相手の接手筒１又は２から突出する鉤
止爪５又は６の内側凹部Ｕに嵌合可能な位置及び
突出高さに設定され、その先端とこれに隣接する
鉤止爪５又は６との間には相手の鉤止爪５又は６
が自由に出入りできる間隙が設けられている。

そして、楔突条７，８の後面（締結作動環９，
１０の後端方向に向けられた面）７′，８′は、そ
の先端から周方向の後端にかけて締結作動環９，
１０の先端面からの高さを徐々に増大するよう
に、上記各鉤止爪５，６の接合面３，４の左右方
向傾斜面と同方向で同一勾配の傾斜面（以下周方
向傾斜面という）に形成され、更にこの後面７′，
８′の外周縁から内周縁にかけて（締結作動環９，
１０の円筒中心に向かつて）締結作動環９，１０
の先端面からの高さを徐々に減少するように上記
各鉤止爪５，６の接合面３，４の前後方向傾斜面
と同方向で同一勾配の傾斜面（以下径方向傾斜面
という）に形成されている。

また、楔突条７，８の先端部付近における後面
７′，８′の高さは、接手筒１，２同士をその先端
のパツキン１７，１８を介して突き合わせたと
き、相手の締結作動環９，１０から突出する鉤止
爪５又は６の接合面３又は４に対して充分な段差
を有するような高さに設定され、嵌合開始時に鉤
止爪５又は６の内側凹部Ｕに余裕を持つて嵌合で
きるように設定されている。

なお、接手筒１，２に対して締結作動環９，１
０を円滑に旋回させるために、両者の回転摺動面
に半円リンク溝１１，１２が形成され、これを向
かい合わせて形成した円形溝１３，１４に多数個
のボールベアリング１５，１６が装填されてい
る。

上記のように構成された接手筒１，２の内部に
は、内層に合成ゴム層１９を、また外層に布層２
０を積層して成形した送水ホースＨの端部が連結
されている。

接手筒１，２の接合端部内周には、先端に外パ
ツキン１，１８を固着した突周縁部２２が設けら
れ、その後端にはこの突周縁部２２よりも内径が
大きい接手筒１，２の内周壁にかけて段差が付い
た凹段部２２′が設けられ、この凹段部２２から
後方の内周壁周囲には断面鋸刃状をなす凹凸条２
１が形成されている。

凹段部２２′には、後端に内外二重の環状をな
す挟圧リツプ２５，２６を一体に突設した合成ゴ
ムなどから成形した内パツキンＰが装填され、こ
れらの挟圧リツプ２５，２６間に形成されたリン
グ溝２４内に送水ホースＨの先端部２３が嵌合挟
着されている。

送水ホースＨと内パツキンＰの内周部には、真
鍮などの金属からなる拡張管２７が挿嵌され、こ
の拡張管２７をほぼ突周縁部２２の内径に等しく
なるように内側から外側方向に拡張することによ
り、送水ホースＨを凹凸条２１に食い込み圧着し
て接手筒１，２と一体的に連結し、また内パツキ
ンＰを凹段部２２′の頂面及び周面に圧着させて
シールし、更に挟着リツプ２５，２６とその間に
嵌合した送水ホースＨの先端部２３を圧着シール
している。

「考案の作用」 このように膨張管２７により圧締された内パツ
キンＰの内周側挟着リツプ２５は、その外周面を
送水ホースＨのゴム層１９に圧着して一体化さ
れ、またその内周面を膨張管２７に圧着して一体
化されるため、送水ホースＨの先端部とパツキン
Ｐの間は完全に水封され、接手筒１，２の内周面
への漏水を完全に遮断することになる。

一方、内パツキンＰの外周側挟着リツプ２６は
その外周面を接手筒１，２の凹凸条２１に圧着
し、内パツキンＰの外周面と共に接手筒１，２の
内周壁周囲をより確実に密着シールすると共に、
その内周面において送水ホースＨの布層２０を圧
着し、内周側挟着リツプ２５と共にホース先端部
２３を挟着結合して高圧流体の圧送時に作用する
送水ホースＨの引き抜き力に強力に抵抗し、その
離脱を完全に阻止することになる。

なお、内パツキンＰの外周面の幅方向中間に凹
溝２８を設け、内パツキンＰの圧締時にその凹溝
２８の前後の周面２９，３０を互いに外方に拡開
させて凹段部２２′の周面により強力に密着させ、
シール効果を高めるように構成してもよい。

また、挟着リツプ２５，２６間のリング溝２４
は、第５図に示すようにその底部を広げて送水ホ
ースＨの先端部２３を先鋭状に形成することなく
嵌合できるよう構成してもよく、更に第６図に示
すようにその内面を凹凸状に形成して、ホース先
端部２３との摩擦力を強化するように構成しても
よい。

「考案の効果」 以上の通りこの考案によれば、接手筒の突周縁
部の後端に形成された凹段部内に、内外二重の環
状に形成された挟着リツプを後端に設けた環状の
内パツキンを装填し、この内外の挟着リツプ間に
形成されたリング溝内に、接手筒内に嵌挿した送
水ホースの先端部を嵌合し、送水ホースとパツキ
ンの内周部に嵌挿して外方に拡張した拡張管によ
り、内パツキン並びに内外の挟着リツプ及びこれ
らの間に嵌合した送水ホースの先端部を圧締する
と共に、送水ホースの外周を接手筒の内周壁周囲
に設けた断面鋸刃状の凹凸条に圧締してなるの
で、送水ホースの先端部を内パツキン後端の内外
二重の挟着リツプ間に圧締挟着し、特にホース内
周のゴム層と内周側挟着リツプとが圧着一体化し
てパツキンとホース先端間の漏水を完全に遮断
し、耐久的に水封性能を維持すると共に、挟着リ
ツプを介して内パツキンとホース先端部を結合一
体化し、鋸刃状凹凸条への食い込みと相まつてホ
ース引き抜き力に強力に抵抗し得る強固な連結構
造とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る接手筒の接合締結状態
をす正面図、第２図はこの考案の実施例を示す部
分縦断面図、第３図は同要部の拡大縦断面図、第
４図〜第６図はそれぞれこの考案に係る態様の異
なるパツキンを示す部分縦断面図、第７図は同パ
ツキンの側面図、第８図は同平面図、第９図は同
底面図、第１０図はこの考案に係る接手筒の締結
作動環の部分縦断面図、第１１図は同送水ホース
を連結しない状態における接手筒の部分縦断面図
である。 １，２……接手筒、Ｈ……送水ホース、１９…
…ゴム層、２０……布層、２１……凹凸条、２２
……突周縁部、２２′……凹段部、２３……ホー
ス先端部、２４……リング溝、Ｐ……パツキン、
２５，２６……挟着リツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 相互に対面して締結接合する一対の接手筒の接
   合端部の内周に中心方向に張り出す突周縁部を設
   け、この突周縁部の後端に形成された凹段部内
   に、内外二重の環状に形成された挟着リツプを後
   端に設けた環状の内パツキンを装填し、前記内外
   の挟着リツプ間に形成されたリング溝内に、前記
   接手筒内に嵌挿した送水ホースの先端部を嵌合
   し、前記送水ホースと内パツキンの内周部に嵌挿
   して外方に拡張した拡張管により、前記内パツキ
   ン並びに内外の挟着リツプ及びこれらの間に挟着
   した送水ホースの先端部を圧締すると共に、前記
   送水ホースの外周を接手筒の内周壁周囲に設けた
   断面鋸刃状の凹凸条に圧締してなることを特徴と
   する送水ホース接手。