JPH0439508Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は地盤改良工事等に使用する鋼管製のケ
ーシングを継ぎ足すのに使用するケーシング継手
に関するものである。

従来の技術 軟弱な地盤を強固な地盤に改良するために、鋼
管製のケーシングを地中に回転挿入し、該ケーシ
ング内部に砂や生石灰等の地盤改良材を投入した
のちにケーシングに圧縮空気を導入し、該圧縮空
気で前記砂や生石灰等を加圧して、ケーシングを
引き抜き、地中に砂や生石灰等の柱を多数作つ
て、軟弱な地盤を補強する工法が知られている。

このような工法において、改良しようとする地
盤が深いと、一本のケーシングでは長さが足りな
くなり、ケーシングを継ぎ足していつて、地盤の
深さに見合う長さにしなければならない。（ケー
シングを予め地盤の深さに見合う長さに形成して
おくことも考えられるが、ケーシングが長くなる
とこれを地中に挿入するための機械、装置も大型
になり、また運搬の際に不便であり、スペース的
な制約も生じる。） ケーシング継手は、上記のような場合に、地中
に挿入したケーシングの上端部に、他のケーシン
グを接続するためのものであり、ケーシング継手
にはその性質上次の事が要求される。

(1) 地盤改良工事は多数の柱を地中に埋設しなけ
ればならず、そのためには、ケーシングの継ぎ
足しも短時間で出来ること。

(2) ケーシングを回転させながら地中に挿入する
ので回転方向及びスラスト方向に充分な強度を
有すること。

(3) 地中に挿入する際の抵抗を少なくするために
コンパクトであり、ケーシングの外周面から余
り突出しないこと。

(4) 砂や生石灰等を加圧する際に圧縮空気が洩れ
ないこと。

(5) ケーシング継手の内径は充分大きく、砂、生
石灰等の通過が支承なくできること。

ケーシング継手には上記のような事項が要求さ
れ、従来、このような用件を満足するケーシング
継手はなかつた。

考案が解決しようとする課題 本考案は前述したケーシング継手に要求される
事項を満たし、継ぎ足しが容易で、回転方向やス
ラスト方向に充分な強度を有し、地中に挿入する
際に抵抗が少なく、かつ圧縮空気の漏れを防止す
ることのできるケーシング継手を提供することを
目的として為されたものである。

課題を解決するための手段 鋼管製のケーシングの上端部と、該ケーシング
の上端部に接続する鋼管製のケーシングの下端部
に、それぞれ互いに嵌まり合う大径筒部と小径筒
部を設け、これら大径筒部と小径筒部の内、外周
面には、大径筒部に小径筒部を挿入したときに互
いに嵌まり合う凹部と凸部を設け、これら凹部と
凸部の内、外周面の対向部には、前記ケーシング
の軸方向と略直交する方向に一対の凹溝を形成
し、これら凹溝の両者に跨がつた状態でコツター
を挿入することにより、大径筒部と小径筒部を結
合するようになつていると共に、前記大径筒部の
内周面には、前記小径筒部の端面との間に所定の
間隔をもたせた状態でリング状のパツキング受座
を突設し、該パツキング受座と前記小径筒部の間
には、前記ケーシング内の圧力上昇によつてリツ
プ部が拡大して、パツキング受座乃至大径筒部と
小径筒部の間を密封するリング状のパツキングを
取り付けた。

作 用 互いに接続しようとする鋼管製のケーシングの
上、下端部に設けた大径筒部に小径筒部を挿入す
れば、これら大径筒部と小径筒部の内、外周面に
設けた凹、凸部が自づと嵌まり合つて、これら
凹、凸部の左右両側面で回転方向のトルクが伝達
される。

また前記凹、凸部の内、外周面の体口部に設け
た一対の凹溝に、これら一対の凹溝に跨がるよう
にコツターを挿入すれば、該コツターでスラスト
方向のトルクが伝達される。

またケーシング内に圧縮空気を注入すれば、該
圧縮空気の圧力でリング状のパツキングのリツプ
部が拡大して、大径筒部と小径筒部の間をシール
して、圧縮空気の洩れを防止する。

実施例 次に本考案のケーシング継手を図面を参照して
説明する。

１は本考案のケーシング継手であり、該ケーシ
ング継手１は、互いに接続しようとする鋼管製の
ケーシング２，３の上、下端部に、接合して互い
に嵌まり合う大径筒部４と小径筒部５を設け、こ
れら大径筒部４と小径筒部５の内、外周面には、
大径筒部４に小径筒部５を挿入したときに互いに
嵌まり合う凹部６と凸部７を設け、これら凹部６
と凸部７の内、外周面の対向部には、前記ケーシ
ングの軸方向と略直交する方向に一対の凹溝８，
９を形成し、これら凹溝８，９の両者に跨つた状
態でコツター１０を挿入することにより、大径筒
部４と小径筒部５を結合するようになつていると
共に、前記大径筒部４の内周面には、前記小径筒
部５の端面との間に所定の間隔をもたせた状態で
リング状のパツキング受座１１を突設し、該パツ
キング受座１１と前記小径筒部５の間には、前記
ケーシング内の圧力上昇によつてリツプ部１２ａ
が拡大して、パツキング受座１１乃至大径筒部４
と小径筒部５の間を密封するリング状のパツキン
グ１２を取り付けることにより形成されている。

前記大径筒部４は円筒形に形成されていて、こ
の下端部が一方のケーシング２の上端部に溶接１
３により取り付けられている一方、小径筒部５は
前記大径筒部４の内径よりもやや小径の円筒形に
形成されていて、その上端部が前記一方のケーシ
ング２に接続しようとする他方のケーシング３の
下端部に溶接１４により取り付けられている。

また前記凹部６は大径筒部４の円周方向の３箇
所を略120°ごとに上端側から下端側に向けて、所
定の幅で、かつ所定の長さに凹ませて段部にする
ことにより形成されている一方、凸部７は前記３
個の凹部６…６に対応させて、小径筒部７の外周
面の円周方向の３箇所を突出させることにより形
成されていて、前記凹部６…６にそれぞれ嵌合で
きるようになつている。そして小径筒部５の外周
と大径筒部４の内周の間は、凹部６…６の内周面
や凸部７…７の外周面に土砂等が多少付着してい
ても、容易に嵌合できるように、適宜の遊び間
隙、所謂ガタが生じるようになつている。

また前記一対の凹溝８，９は半円弧状に形成さ
れていて、これら一対の凹溝８，９が重なり合つ
て第４図に示すように断面円形のコツター受孔１
５が形成されるようになつている。そして前記凹
部６の左右両側には前記コツター受孔１５に連通
するコツター挿入孔１６が形成されていて、該コ
ツター挿入孔１６からコツター１０を前記コツタ
ー受孔１５内に挿入できるようになつている。前
記コツター１０は前記コツター受孔１５やコツタ
ー挿入孔１６よりもやや小径で、前記凹部６の幅
よりもやや長目の丸棒状に作られていて、前記コ
ツター挿入孔１６からコツター受孔１５内に挿入
するようになつている。そしてコツター受孔１５
内に挿入されたコツター１０の円周面の一側部が
一方の凹溝８に、他側部が他方の凹溝９に嵌まり
込むようになつている。

なおコツター１０の一端側には前記コツター挿
入孔１６よりも大径の頭部１０ａが形成されてい
る一方、他端側は円錐状の先細部１０ｂになつて
いて、コツター挿入孔１６への挿入を容易に行う
ことができるようになつていると共に前記先細部
１０ｂに近傍には抜止ピン取付孔１７が形成され
ていて、該孔１７に抜止ピン１８を取り付けるこ
とによりコツター１０のコツター受孔１５やコツ
ター挿入孔１６からの抜け落ちを防止するように
なつている。

また前記リング状のパツキング受座１１は、コ
ツター１０で大径筒部４と小径筒部５とを結合し
た状態の下で、該小径筒部５の下端面との間に所
定の隙間をもつて対向する位置に形成されてい
て、その上面つまり小径筒部５の下端面と対向す
る面にパツキング１２を取り付けるようになつて
いる。

また前記パツキング１２はゴムやプラスチツク
等の弾力性のある素材で前記パツキング受座１１
と略同径のリング状に形成されていると共に、そ
の断面形状は第６図に示すように所定の肉厚t₁の
ベース部１２ｂの内周側の上、下端部に所定の拡
がり角度θをもつて肉厚方向に拡がる上下のリツ
プ部１２ａ，１２ａを連設することにより形成さ
れている。そして、これらリツプ部１２ａ，１２
ａ間の肉厚t₂は前記パツキング受座１１と小径筒
部５との間に形成される隙間よりも、僅かに厚く
なつていて、前記パツキング受座１１上に載置し
た状態で大径筒部４内に小径筒部５を挿入する
と、該小径筒部５の下端面が上方のリツプ部１２
ａに当たり、下方のリツプ部１２ａをパツキング
受座１１に軽く押し着けるようにして上下のリツ
プ部１２ａ，１２ａを僅かに圧縮方向に撓ませ
て、パツキング受座１１と小径筒部５との間を気
密にシールするようになつている。そして、この
パツキング１２の内周面にケーシング内に挿入し
た圧縮空気の圧力を掛けると、前記リツプ部１２
ａ，１２ａは互いに離間する方向に拡開し、一方
のリツプ部１２ａが小径筒部５の下端面に強く圧
着し、他方のリツプ部１２ａがパツキング受座１
１に強く圧着して、大径筒部４と小径筒部５の間
をシールするようになつている。

このような上下のリツプ部１２ａ，１２ａを設
けたパツキング１２によるシールは、上下のリツ
プ部１２ａ，１２ａの存在によつて、当初は僅か
な潰し代（リツプ部１２ａ，１２ａの先端を僅か
に圧縮させるだけ）でもよく、それに要する力は
僅少で、従つてコツター１０の打込みも少ない力
ですむ。またパツキング１２のリツプ部１２ａ，
１２ａは可撓性、追従性が大きいのでコツター１
０のコツター受孔１５への嵌合は充分ゆるくても
よく、コツター１０の打込み、抜き取りは極めて
容易になり、ジヨイントの分離、結合の作業性を
高めることができる。

実施例のケーシング継手は上記のような構成で
あるから、下部のケーシング２を地中に挿入後上
部のケーシング３を吊り上げて、前記下部のケー
シング２の上端部に取り付けた大径筒部４の凹部
６…６に、上部のケーシング３の下端部に取り付
けた小径筒部５の凸部７…７の位置を合わせて、
ケーシング３を降ろせば、凹部６…６に凸部７…
７が嵌まり合つた状態で大径筒部４内に小径筒部
５が入り込み、前記凹部６…６と凸部７…７の
内、外周面に設けた一対の凹溝８，９の位置が合
致して、コツター受孔１５が形成されるので、こ
れにコツター１０を挿入すれば、コツター１０に
よつて大径筒部４と小径筒部５は一体的に結合さ
れた状態になる。

従つて、一方のケーシング２の上方に接続した
他方のケーシング３を回転させれば該ケーシング
３の回転トルクは凸部７…７と凹部６…６の左右
両側面を介して、またスラスト方向の力はコツタ
ー１０…１０を介してケーシング２に伝達され、
ケーシング２及びケーシング３は地中に挿入され
ていく。そして所定の位置まで、挿入したらこれ
らケーシング２，３内に砂や生石灰等を投入した
のちにこれら砂や生石灰等を圧縮空気で加圧した
のちに、ケーシング２，３を引き抜けばよいので
ある。

なお第７図はパツキング１２の第２実施例を示
し、該実施例において、パツキング１２には内周
側と外周側にそれぞれ上下一対づつのリツプ部１
２ａ，１２ａが設けられていて、内周側のリツプ
部１２ａ，１２ａでケーシング内の気密を保ち、
ケーシング内の圧縮空気が外部に洩れるのを防止
する一方、外周側のリツプ部１２ａ，１２ａで液
密を保ち、外部からケーシング内に雨水等が浸入
するのを防止するようになつている。

なお図面に示す実施例では凹部６と凸部７を
120°の間隔で３箇所に設けた場合を示したが凹部
６と凸部７は180°の間隔で２箇所に設けても、或
は４箇所以上に設けてもよい。

また図面に示す実施例ではコツター受孔１５が
円形に成るように凹溝８，９を半円弧状に形成し
た場合を示したが、凹溝８，９は半円弧状に限定
されず方形であつてもよい。

また図面に示す実施例では大径筒部４をケーシ
ング２，３よりもやや大径に形成した場合を示し
たが、ケーシング２，３と同径に形成して、ケー
シング２，３の外周面とケーシング継手の外周面
が略面一になるようにしてもよく、内径は小さく
なるが、ケーシングを地中に挿入する際の抵抗が
より少なくなる。

考案の効果 本考案のケーシング継手は以上、説明したよう
な構成であるから次に述べるような効果がある。

(1) 凹部と凸部の位置を合わせて、大径筒部内に
小径筒部を挿入し、前記凹部と凸部の内、外周
面の対向部に設けた一対の凹溝にコツターを挿
入するという簡単な操作で確実にケーシング相
互を接続できる。

(2) 凹部と凸部の嵌め合わせにより回転トルクを
確実に伝達することができる。また凹部と凸部
の内、外周面に形成した一対の凹溝に跨がるよ
うにコツターを挿入したので、該コツターの長
さ方向（軸方向）の断面でスラスト力を受ける
ので大きなスラスト力にも耐えられる。

(3) コンパクトであり、特に外径を小さくできる
のでケーシングを地中に挿入する際の抵抗を少
なくすることができる。

(4) パツキングはリツプ部でシールするようにな
つていて、当初は僅かな潰し代でよく、内圧に
よつてリツプ部はより一層拡大してシール性を
高めるのでシートパツキングの場合におけるシ
ールのように大きな締付力を必要としない。従
つてコツターと、そのコツター受孔の嵌合も充
分ゆるく取れるので、コツターの打込み、抜き
取りを極めて弱い力で行うことができ、ジヨイ
ントの結合、分離の作業を非常に容易に行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のケーシング継手の分解斜視
図、第２図は嵌合状態の斜視図、第３図は第２図
の横断面図、第４図は第２図の縦断面図、第５図
はパツキング部分の拡大断面図、第６図はパツキ
ングの断面図、第７図はパツキングの他の例の断
面図である。 １……ケーシング継手、２，３……ケーシン
グ、４……大径筒部、５……小径筒部、６……凹
部、７……凸部、８，９……一対の凹溝、１０…
…コツター、１１……パツキング受座、１２……
パツキング、１１ａ……リツプ部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 鋼管製のケーシング２の上端部と、該ケーシ
   ング２の上端部に接続する鋼管製のケーシング
   ３の下端部に、それぞれ互いに嵌まり合う大径
   筒部４と小径筒部５を設け、これら大径筒部４
   と小径筒部５の内、外周面には、大径筒部４に
   小径筒部５を挿入したときに互いに嵌まり合う
   凹部６と凸部７を設け、これら凹部６と凸部７
   と内、外周面の対向部には、前記ケーシング
   ２，３の軸方向と略直交する方向に一対の凹溝
   ８，９を形成し、これら凹溝８，９の両者に跨
   つた状態でコツター１０を挿入することによ
   り、大径筒部４と小径筒部５を結合するケーシ
   ング継手。 (2) 前記大径筒部４の内周面には、前記小径筒部
   ５の端面との間に所定の間隔をもたせた状態で
   リング状のパツキング受座１１を突設し、該パ
   ツキング受座１１と前記小径筒部５の間には、
   前記ケーシング内の圧力上昇によつてリツプ部
   １２ａが拡大して、パツキング受座１１乃至大
   径筒部４と小径筒部５の間を密封するリング状
   のパツキング１２を取り付けた第１項記載のケ
   ーシング継手。