JPH0158079B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は進歩した光学的記録媒体、特に複数
個の空隙を内蔵する厚い上被層を持つ光学的記録
媒体に関する。

光学的記録媒体はその一部を記録用の光ビーム
に露出してその局部的光学特性を変えることによ
り情報を記録することができる。このような記録
媒体の最も簡単なものは基板上に設けた吸光性材
料の層で、この記録媒体を局部的に熔融または融
除してそれに開孔を形成することにより情報を記
録する。この開孔によつて記録媒体の透過度また
は反射率が局部的に変り、これを読取中に検知す
る。

米国特許第4097895号明細書には光反射層を被
覆した光吸収層を有し、この吸収層の厚さを記録
媒体の反射率を減ずるように選んだ光学的記録媒
体が開示されている。この記録媒体に集束変調さ
れた光ビームを当てるとその吸収層が熔融または
融除されて開孔を生じ、これによつてその記録媒
体の反射率が変る。再生中にこの記録媒体の露光
部と未露光部との反射率の差を光学的に検知し、
記録情報を表わす電気信号に変換する。

米国特許第4216501号明細書には上記光学的記
録媒体の反射層と吸収層との間に透明挿間層のあ
る３層式光学的記録媒体が開示されている。この
吸収層の厚さは、その挿間層の厚さおよび反射
層、挿間層の光学常数と、記録媒体の光反射率を
減じるような関係にある。集束変調された光ビー
ムから吸収されたエネルギによつて融除、熔融そ
の他により吸収層の光学的性質が変化し、それに
よつて記録媒体の反射率が変る。この３層式光学
的記録媒体は上述の米国特許第4097895号の記録
媒体におけるよりも、その低反射率の記録媒体と
してより広範囲の材料を使用し得る。

1977年８月29日付米国特許願第828815号明細書
（特開昭54−38123号公報対応）には光学的記録媒
体用の厚い保護上被層が開示されている。この厚
い上被層はその光学的記録媒体の吸収層上にあ
り、この構体上に沈着する塵埃その他の粒子を記
録用レンズの焦点面から離してこのような粒子の
記録および読取りへの影響を著しく減ずるように
している。

しかしこの上被層は吸収層に吸収されるエネル
ギの吸熱体になるため、記録媒体に情報を記録す
るときに記録感度を低下させるように働く。その
ために、吸収層の温度を開孔等の変化が生ずる点
まで上げるため吸収層に供給するエネルギを増す
必要がある。しかし吸収材料によつては記録過程
においてその材料の移動が機械的に制約を受ける
ため上被層によつてその変形が阻止されることが
ある。

従つて上述のような欠点がなく、しかもその利
点を維持する厚い上被層を持つ光学的記録媒体が
望ましい。

この発明による光学的記録媒体は、その上被層
が光吸収層に接する面に複数個の空隙を有し、こ
れによつて上被層が吸収層に接触しない複数の第
１の領域と、上被層が吸収層に接触した複数の第
２の領域が光学的記録媒体に形成されている。こ
の第１の領域は、第２の領域によつて互いに隔て
られた複数の円溝または渦線溝の形をなすように
配列されている。この発明の進歩した情報記録体
はまたその上被層が吸収層に接触しない領域の一
部に情報が記録されている。

以下添付図面を参照しつつこの発明をさらに詳
細に説明する。

第１図において、この発明の光学的記録媒体１
０は第１の主面１４を持つ基板１２と、その基板
１２の主面１４上の吸収層１６と、その吸収層１
６の上被層１８とから成り、上被層１８は吸収層
１６と接する面に１個またはそれ以上の空隙２０
を有し、これによつて上被層と吸収層が接触しな
い第１の領域２２と接触する第２の領域２４とを
記録媒体１０に形成している。

第２図において、記録媒体３０と第１図の記録
媒体１０とに共通の素子には同じ引用数字が付し
てある。この記録媒体３０が記録媒体１０と異な
る点は基板１２と吸収層１６との間に反射層３２
が挿入されていることである。

第３図でも記録媒体４０と第２図の記録媒体３
０とに共通の素子には同じ引用数字が付してあ
る。この記録媒体４０が記録媒体３０と異なるの
は反射層３２と吸収層１６との間に挿間層４２が
挿入されている点である。

基板１２はガラスまたはポリ塩化ビニルまたは
（ポリ）メタクリル酸メチル等のプラスチツク材
料で一般に円板状に形成されているが、記録用波
長の光を反射するアルミニウム等の材料で形成し
て基板１２と光反射層３２の機能を兼ねさせるこ
ともできる。基板に必要なことは構体の残部の支
持に充分なだけの厚さを持つことだけである。

基板１２の表面１４に集束された光ビームの直
径程度の粗さがあれば読取中に信号チヤンネルに
雑音を生ずるから、その表面１４に吸収層１６を
形成する前にエポキシまたはアクリル樹脂等のプ
ラスチツク材料より成る表面再現性のない補償層
を被着することもできる。この補償層は顕微鏡的
平滑面を有し、その雑音源を滅殺する。

反射層３２は記録用および読取用波長の入射光
の相当部分を反射するもので、一般にこの波長で
高反射率を示すアルミニウムまたは金のような金
属で形成される。反射層３２はその入射光の少な
くとも50％を反射することが望ましく、一般に厚
さ約30〜60nmである。この反射層３２は真空蒸
着法により基板１２の表面１４または補償層があ
ればその上に被着することができる。また単層ま
たは多層の誘電体反射板を用いることもできる。

吸収層１６は光学的性質の良好な、記録用光ビ
ームの波長の光を吸収する材料で形成される。第
１の実施例10および第３の実施例40の吸収層１６
に適する材料には、テルル、セレン、テルルおよ
びセレン合金、ビスマス、チタン、ロジウムがあ
り、第２の実施例30の吸収層１６に適する材料に
は、約820nmの波長を吸収するフタロシアニン染
料や441.6nmおよび488.0nmの波長を吸収する４
−フエニルアゾ−１−ナフチルアミンがある。

記録媒体４０の挿間層４２は記録用および読取
用の波長に対して実質的に透明で散乱を生じさせ
ない材料で形成される。これに有用な材料は２酸
化シリコン、１酸化シリコン、２酸化チタン、酸
化アルミニウム等で、これらの材料は電子ビーム
蒸着法によつて反射層３２上に被着することがで
きる。また平滑な被膜を形成する有機材料を使用
することもでき、このような材料は蒸着、回転被
覆、グロー放電法等で反射層上に被着することが
できる。

記録媒体１０の吸収層１６の厚さは高反射率と
高吸収率の平衡が得られるように選ばれるが、一
般に約10〜40nmである。

記録媒体３０の吸収層１６の厚さはその媒体の
第１の領域の反射率が低くなるように、好ましく
は反射防止状態に対応する最低値に低下するよう
に選ばれ、一般に約20〜120nmである。

記録媒体４０の挿間層４２と吸収層１６の厚さ
は、反射層３２、挿間層４２、吸収層１６および
上被層１８の光学常数と、その記録媒体４０の第
１の領域の反射率が低くなつて、好ましくは反射
防止状態に対応する最低値になるような関係を有
する。挿間層４２の厚さは通常約10〜150nm、吸
収層１６の厚さは通常約３〜40nmである。

上被層１８は記録用および読取用の光ビームの
波長に対して実質的に透明で、吸収層１６上に散
乱のない層を形成し得る材料で形成され、その厚
さは通常約0.05〜１mmである。

上被層１８は円溝または渦線溝として、または
トラツクに沿う分離した空隙の配列としてその吸
収層１６に接する面に並んだ１個またはそれ以上
の空隙を含んでいる。この空隙は通常上被層に約
100nm以上、通常200nm以上食い込んでおり、そ
れが溝型の場合は一般に幅約0.2〜2μ、間隔約0.5
〜2.0μである。

この上被層はプレス成形、鋳造または加圧成形
法によつて形成することができる。適当な材料に
は例えば片面に溝の親型を持つ鋳型を用いて真空
鋳造し得るエポキシ樹脂がある。また空隙はポリ
塩化ビニル等の材料を加圧成形して形成すること
もできる。この上被層を適当な接着剤を用いて光
学的記録媒体の吸収層上に積層する。

このようにして形成された光学的記録媒体は、
上被層が吸収層に接触しない第１の領域と、接触
する第２の領域とを有する。その第１の領域にお
ける吸収層から上被層への熱伝達は輻射の対流で
しか起り得ないため第２の領域におけるより少な
い。第２の領域では２つの層が接触しているため
直接伝導によつて熱が伝わる。従つて第１の領域
は熱損失が少ないため第２の領域より記録感度が
高い。また第１の領域では吸収層と上被層が接触
しないため、吸収層の変形を阻害する機械的制約
が制限される。従つて入射光エネルギが記録用の
閾値以上の場合は、吸収層の変形が第１の領域だ
けに限定されるため、記録トラツクの所要幅以上
の直径を持つ記録用光ビームを用いることができ
る。しかし、記録媒体に入射する記録用光ビーム
のエネルギ密度が充分大きければ、上被層が吸収
層に接触している第２の領域まで変形が拡大し得
ることに注意すべきである。

第４図は変調された記録用光ビームに露出する
ことにより情報を記録した情報記録体５０の斜視
図である。この情報記録体５０と記録媒体４０と
に共通の素子には同じ引用数字が付してある。こ
の上被層１８内には空隙が一連の溝５２として配
置され、情報トラツクはこの吸収層中の第１の領
域において未変化部５６で隔てられかつそれと光
学的性質を異にする１個またはそれ以上の領域５
４で構成されている。領域５４は吸収層中の開孔
とすることもできる。領域５４の有無またはその
トラツクに沿う長さおよび（または）間隔の変化
がその記録された情報を表わす。同様に第１およ
び第２の実施例10、30で示された吸収層に光学的
性質の異なる１つまたはそれ以上の領域を持つ記
録媒体を用いて情報記録体を作ることもできる。

第１および第２の領域では上被構造が異なるた
め、その光学的記録媒体の反射率が異なる。この
反射率の違いを用いてトラツキング情報を与え、
記録用または読取用の光ビームに空隙の径路を追
跡させることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による光学的記録媒体の断面
図、第２図および第３図はこの発明による光学的
記録媒体の第２および第３の実施例の断面図、第
４図は情報トラツクが記録されたこの発明の情報
記録体の斜視図である。 １２…基板、１６…吸収層、１８…上被層、２
０…空隙、２２…第１の領域、２４…第２の領
域。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基板と、この基板上にあつて記録用および読
   取用の光ビームの波長の光を吸収する吸収層と、
   この吸収層に接し、記録用および読取用の光ビー
   ムの波長の光を透過する上被層とを含み、この上
   被層がその吸収層に接する面に１個またはそれ以
   上の空隙を有し、これによつて上被層が吸収層に
   接触しない記録媒体の複数の第１の領域と、上被
   層が吸収層に接触する複数の第２の領域とが形成
   され、かつ上記第１の領域は上記第２の領域によ
   つて互いに隔てられた円溝または渦線溝の形に配
   列されて成る光学的記録媒体。