JPH0156287B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車等車輌用デイスクブレーキ、特
に、制動トルクがピンを介し車輌に直接伝達され
る、ドラグの少ない改良ピン型浮上カリパスデイ
スクブレーキ（浮動キヤリパデイスクブレーキ）
に関する。

従来周知の１つの形式のデイスクブレーキ組立
体はデイスクをまたぐように取り付けられた摺動
カリパスを有する。カリパスの外側脚に取り付け
られた外側ブレーキパツドは回転デイスクの外側
摩擦面に係合する。カリパスの内側脚は油圧ピス
トンを有し、この油圧ピストンは作動時、内側ブ
レーキパツドをデイスクの内側摩擦面に押圧す
る。同時に、カリパスは摺動して等しく且つ反対
の力が外側パツドによつてデイスクに加えられる
ことにより制動作用を生ずる。ピストンから油圧
が解放されると、ブレーキパツドはデイスクに沿
つて前進する。理想的には、ブレーキパツドは僅
かに浮き上りデイスク面から離れて制限的な摩擦
が生ずる。デイスクとブレーキパツドとのドラグ
により車輌の効率を減少し且つパツドの摩耗を早
める。従来のブレーキの支持ピンは通常カリパス
組立体に取り付けられるか又は、浮上カリパスデ
イスクブレーキの場合、ピンは引留板（アンカー
プレート）上に取り付けられる。この引留板は車
輛構造体に剛的に取り付けられる。前輪の場合、
引留板は車輪スピンドルに取り付けられ後輪の場
合には、引留板は車輌フレーム又は車輪により懸
架される他のフレーム部材に取り付けられる。い
づれの場合にも、引留板は車輌にも車輪懸架部に
もかなりの重量を与えるので好ましくない。一方
車輪に対し重量の大きな懸架部分を使用しなけれ
ばならない。

本発明によれば、自動車等車輌に対する改良低
ドラグピン型浮上カリパスデイスクブレーキを提
供する。このデイスクブレーキは２つのピン上に
浮上するよう取り付けられ、これらピンは前輪に
は車輪スピンドルに直接取り付けられ、後輪の場
合には車輌フレーム部材に取り付けられる。外側
ブレーキパツド組立体を取り付けるカリパス組立
体はカリパスの前縁に隣接して設けられるピンの
内一方の上を浮動する。内側ブレーキパツド組立
体はカリパスの後縁部に隣接して設けられる第２
ピンに浮上する。その結果、制動トルクは２つの
ピンの間に分配される。他の実施例に於いて、カ
リパス組立体は後ピンに取り付けられ、内側ブレ
ーキパツド組立体は外側パツド組立体に対する押
圧が反転した場合先ピンに取り付けられる。２つ
のブレーキパツド組立体はパツド組立体の対向端
部に設けられるピンの上を浮動するので、パツド
組立体ははさみ状作用で移動又は回動し且つブレ
ーキが開放された時デイスクに生ずる摩擦的ドラ
グは少なくなる。これらピンは引留板を使用しな
いで車輌に直接接続されるので、引留板の重量は
排除され、一方車輌の重量が減少されるので車輪
懸架位置及び車輌自身の効率が向上する。以下図
面について本発明のデイスクブレーキを詳細に説
明する。

図面特に第１図ないし第６図に於いて本発明に
よるデイスクブレーキ１０が示されている。この
デイスクブレーキ１０はピン型で２つのピン１１
と１２に支持されている。これらピン１１と１２
は一般に軸線１３と平行に延長する、この軸線１
３を中心にデイスクないしローター１４が回転す
る。ここに用いられる“デイスク”とは、中実デ
イスク、通気ローター及びデイスクブレーキに用
いられる同様な構造体の総称である。ピン１１と
１２は軸線１３からの一般に同じ半径方向の間隔
を有する。デイスク１４の通常の回転方向１５に
ついて、ピン１１はピン１２の後方にある。

ブレーキ１０はカリパス１６を有し、このカリ
パス１６は一般にＣ形状をなしデイスク１４の周
囲に延長している。外側ブレーキパツド組立体１
７はカリパス１６の外側脚１８に取り付けられ
る。外側脚１８と内側脚１９との間に延長するカ
リパスブリツジは、一対の平行案内２０を形成す
るような形状をなしている。カリパス内側足１９
はシリンダ２１を形成し、シリンダ内をピストン
２２が移動する。ピストン２２は内側ブレーキパ
ツド組立体２３に作用し、この組立体２３は案内
２０にそつてカリパス１６に対し移動する。（図
示せざる）がた防止ばねクリツプが従来周知のよ
うに、内側パツド２３に設けられている。

第２図、第３図、第６図、第７図及び第１２図
に明示されている様に、外側ブレーキパツド組立
体１７を取り付けたカリパス１６は先ピン１２に
摺動可能に支持される。デイスクブレーキ１０が
前輪に用いられる場合、先ピン１２は車輪懸架部
分例えば車輪スピンドル２８にねじ付き端部２７
によつて直接固定される。後輪の場合には、ピン
１２は車輪懸架部分と共に移動車輛フレーム部
材、例えば後方車軸ハウジングに取り付けられ
る。以下の説明及び特許請求範囲に於いて使用さ
れている“車輌フレーム部材”とは車輪スピンド
ル又は車軸ハウジイング若しくは引留板等車軸に
対しその相対位置を保持する回転しない車輌構造
体を広く含むものである車輌スピンドル２８又は
その他適当な車輌フレーム部材にピン１２を直接
取り付けたので、ピン１２は一般に軸線１３と平
行でかつそこから一定の間隔をおいて配設され
る。

カリパス１６はブツシング組立体２９によりピ
ン１２に取り付けられる。ブツシング２９は内側
カリパス脚１９の孔３０を貫通しかつ孔３０とピ
ン１２との間に設けたテフロン等低摩擦材よりな
る管状スリーブ３１を有する（第７図参照）。環
状シール孔３０の外側端部にある対応する環状溝
に係合し、環状シール３３は孔３０の内側端部の
対応する環状溝に係合する。シール３３は管状端
部域３４を有し、この管状端部域３４はピン１２
の延長端部２６にわたり孔３０から延長する。シ
ール３２と３３はスリーブ３１がごみや水等によ
り汚染されないようにする。プツシング２９は支
持ピン１２のカリパス１６の作動に必要な弾性と
横移動とをカリパス１６に付与する。

第３図、第４図、第８図及び第１２図に明示す
るように内側ブレーキパツド組立体２３は後縁３
６を有する鋼背板３５を備え、この後縁３６はピ
ン１１を介し車輪スピンドル２８に固定される。
後ピン１１はボルト３７と鋼スリーブ３８とを有
する。ボルト３７はスリーブ３８を貫通し且つ車
輪スピンドル２８又はその他車輌フレーム部材に
係合する。スリーブ３８はピン１２と、デイスク
１４の軸線１３と（図示せざる）車輪とに対し平
行で且つ一定の間隔が保持されている。背板３５
の後縁３６にはスリーブ３８に摺接する開口３９
を備えている。開口３９は背板３５に直接形成さ
れるか又は背板３５に取り付けられた（図示せざ
る）ブツシングによつて形成される。以下で詳細
に説明する様に、なるべく開口３９とスリーブ３
８との間に僅かなすき間が設けられそれで内側パ
ツド２３はピンの軸線を中心に縦方向に移動する
のに加えピン１１の軸線を中心に僅かに揺動す
る。内側ブレーキパツド組立体２３にはデイスク
１４を半径方向に延長する２つの腕４０を備えて
いる。これら腕４０は、カリパスブリツジの間隔
をおいた案内２０に沿つて摺動するために間隔を
おいた溝４１を形成する。これら溝４１は案内２
０と協動しカリパスブリツジの内側ブレーキパツ
ド組立体２３を保持する。案内２０と腕４０との
間にすき間を設けて内側ブレーキパツド組立体２
３を取り付けピン２１の軸線を中心に僅かに傾動
又は揺動させる。

内側ブレーキパツド組立体２３の詳細が第１３
図ないし第１６図に示されている。背板３５には
合成摩擦パツド４２が取り付けられる。このパツ
ド４２は図示例において５つのリベツト４３によ
り背板３５に取り付けられ、これらリベツト４３
は摩擦パツド４２内にはめこみ又はさら穴状にう
めこまれている。この摩擦パツド４２はブレーキ
パツドに使用される普通の材料で形成される。図
示の摩擦パツド４２は背板３５にリベツト付けさ
れているが、業界で周知の適当な取り付け技術を
使用しても良い。例えば、周知の方法により摩擦
パツド４２は背板３５に一体に成形される。摩擦
パツド４２が背板３５に一体に成形されると、こ
の成形摩擦パツドはリベツト４３に対し設けられ
た様な凹部を貫通してブレーキの作動中パツド４
２と背板３５との間のせん断力に耐える。

外側ブレーキパツド組立体１７の更に詳細が第
１７図ないし第１９図に示されている。ブレーキ
パツド組立体１７にはリベツト４６又はその他適
当な手段によつて背板４５に取り付けられる摩擦
パツド４４を有する。背板４５の後方ないし外側
４８には２つの肩部４７が設けられ外側パツド組
立体１７をカリパス１６の２つの外側脚１８に整
列させる。肩部４７はカリパス脚１８の開口４７
と整例しブレーキパツド組立体１７をカリパス１
６に対し正確に配向し且つカリパス脚１８と確実
に係合して制動トルクを背板４５からカリパス脚
１８に伝達する。肩部４７にはねじ付き開口５０
が設けられている。ボルト５１は外側カリパス脚
１８を貫通し且つ開口５０と螺合してブレーキパ
ツド１７をカリパス１６に固定する。他の実施例
に於いて、ブレーキパツド組立体１７はバネクリ
ツプ等周知の方法に依りカリパス脚１８に固定さ
れる。

第７図、第８図及び第１２図はデイスクブレー
キの油圧装置を明示する。前述のように、ピスト
ン２２はカリパス１６の外側脚１８に形成された
シリンダ２１内を摺動するように取り付けらる。
ピストン２２とシリンダ２１との間に形成される
室５７内に圧力流体が導入されてブレーキ１０の
作動時ピストン２２を移動させる。圧力流体は車
輌ブレーキ系統の標準マスターシリンダ（図示せ
ず）から導入される。このブレーキ系統は（図示
せざる）ねじ付き部品によつて固定されたブレー
キラインを介し内側カリパス脚１９のねじ付き開
口３８に接続されている。適当なバルブ５９を設
けて、ブレーキが最初に車輌ブレーキ系統に接続
された時室５７から空気を抽気する。シリンダ２
１に形成される環状溝６１にはＯ−リング型シー
ル６０が取り付けられシリンダー２１とピストン
２２との間に流体密封を行う。更にシリンダー２
１の外側端部の環状溝６３とピストン２２の環状
溝６４との間にダスト・ブーツ６２が延長してい
る。ダスト・ブーツ６２は一般にうず巻きベロー
形であり第７図及び第８図に収縮位置で示されこ
こでピストン２２はシリンダー２１内に完全に後
退されている。ダストブーツ６２は、ブレーキパ
ツド１７と組立体が摩耗したり又はデイスクブレ
ーキ１０に図示のようなデイスク１４より薄いデ
イスク例えば中空通気デイスクよりも中実デイス
クを用いる時、溝６３と６４との間に延長する。

第９図と第１０図は夫々第７図と第８図に対応
する略図でありブレーキパツド４４と４２が摩耗
した時カリパス１６とピストン２２の相対位置を
示す。外側パツド４４が摩耗すると、カリパス１
６はピン１２上を左へ移動して車輌スピンドル２
８から離れる。同時に内側パツド４２は同量だけ
摩耗する。ピストン２２はシリンダ２１内で延長
して内側パツドとデイスク１４との接触を保持す
る。パツド４２が摩耗すると、パツドはピン１１
の車輌スピンドル２３の方へ右側に移動する。

カリパス１６はピン１２上を摺動し内側ブレー
キパツド組立体２３はピン１１上を摺動するが、
内外両摩擦パツド４２と４４からの制動力はピン
１１，１２、車輌スピンドル２８を介し比例的に
伝達され又はピン１１と１２を固定した他の適当
な支持部材に伝達される。外側ブレーキパツド４
４とデイスク１４との間の摩擦制動力の一部はカ
リパス１６を介しピン１２に直接伝達される。残
りの摩擦制動力部分は肩部２０によつて内側背板
３５を介しピン１１に伝達される。

同様に、内側摩擦パツド４２とデイスク１４と
の間の制動力の一部はピン１１に直接伝達されそ
の残余部分は肩部２０によつてそしてカリパス１
６を介しピン１２に伝達される。

上記のブレーキ組立体が作動されると、反時計
方向カツプルＫ（第５図参照）はカリパス１６に
付与されてカリパスを同方向に僅かに回転させ
る。外側摩擦パツド４４はピストン２２の軸方向
中心線を中心に対称して設けられた場合、カリパ
スのこの様な回転により摩擦パツド４４の負荷は
不均一となりパツドの後部分の負荷は前部分の負
荷よりも大きくなる。このような不均一な負荷に
よりパツド４４に不ぞろいな摩耗を生ずる。この
様な現象を保償するため摩擦パツド４４はピスト
ン２２の軸方向中心線に対し非対称的に設けられ
る。

内側ブレーキパツド組立体２３に対するピスト
ン２２の圧力足跡と外側ブレーキパツド組立体１
７の幾何学的図形との関係が第１７図に更に示さ
れている。第１７図に於いて、円５２は内側ブレ
ーキパツド組立体２３に対するピストン２２の足
跡をあらわし且つ外側ブレーキパツド組立体１７
に重なつている。内側ブレーキパツド組立体２３
に対するピストンの圧力中心はピストン２２の軸
方向中心線上にあり更に点Ｐで表わされる。外側
ブレーキパツド４４の中心軌跡も第１７図に示さ
れ且つ点Ｃで表わされる。尚ピストン２２の圧力
中心、又は軸方向力線は距離ｄだけブレーキパツ
ド４４の中心軌跡に通ずる。距離ｄはカリパスの
反時計方向回転であるため摩擦パツド４４に加わ
るカリパスの合成力のおよその変位を示す。従つ
て、摩擦パツド４４の中心軌跡Ｃはピストンの中
心線より距離ｄだけ物理的に変位され、それでカ
リパスの合成力が作用することに依つて摩擦パツ
ド４４の負荷は均一になる。距離ｄは周知の分析
手段ないし周知の試験方法によつて設定させる。

カリパス１６の反時計方向回転によつて、カリ
パスと内側背板３５とピン１１，１２とは組み合
わさり対向する時計方向カツプルを合成しそれで
ブレーキ組立体カリパス１６の解放により時計方
向に回転しそれによつてデイスク１４と内側及び
外側摩擦パツドとは分離し、自由走行ローター１
４に対するデイスクブレーキの前進力は減ずる。

本発明の上記例示的実施例に於いて、種々の変
更及び変形が特許請求の範囲の精神と範囲から逸
脱しないで可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は外側から見た本発明により構成された
デイスクブレーキの斜視図、第２図は内側から見
た第１図に示すデイスクブレーキの斜視図、第３
図は内側から見た第１図に示すデイスクブレーキ
の背面図、第４図は外側から見た第１図に示すデ
イスクブレーキの正面図、第５図は第１図に示す
デイスクブレーキの平面図、第６図は第１図の６
−６線についての縦断面図、第７図は第４図の７
−７線についての横断面図、第８図は第４図の８
−８線についての横断面図、第９図はパツド摩耗
時のブレーキの作動を示す第７図と同様な略横断
面図、第１０図はブレーキパツド摩耗時のデイス
クブレーキの作動を示す第８図と同様な略横断面
図、第１１図は外側ブレーキパツドのカリパスへ
の取り付けを示す第４図１１−１１線についての
横断面図、第１２図は一部切欠き且つ一部略示し
た第１図に示すデイスクブレーキの分解斜視図、
第１３図は本発明によるデイスクブレーキの内側
ブレーキパツドの側面図、第１４図は第１３図の
デイスクブレーキパツドの平面図、第１５図は第
１３図のデイスクブレーキパツド端面図、第１６
図は第１３図の１６−１６線についての横断面
図、第１７図は本発明に依るデイスクブレーキの
外側ブレーキパツドの側面図、第１８図は第１７
図のブレーキパツドの平面図及び第１９図は第１
７図の１９−１９線についての横断面図である。 図面に示す符号に於いて、１０……デイスクブ
レーキ、１２，１２……ピン、１４……デイス
ク、１６……カリパス、１７……外側ブレーキパ
ツド組立体、１８……外側脚、１９……内側脚、
２０……案内、２１……シリンダ、２２……ピス
トン、２３……内側ブレーキパツド組立体、２８
……車輪スピンドル、２９……ブツシング、３０
……孔、３２，３３……環状シール、３５……背
板、３９，４９……開口、４０……腕、４１……
溝、４２……摩擦パツド、５７……室、５９……
弁、６０……Ｏ−リングシール、６１，６３，６
４……環状溝、６２……ダスト・ブーツ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内側及び外側摩擦面を有する回転デイスクに
   軸方向にまたがつているブリツジ部分で相互に連
   結されている外脚及び内脚、及びキヤリパ外脚に
   装着された回転デイスクの外側摩擦面と摩擦係合
   するための外側摩擦ブレーキパツド部材を有して
   おり、単一のピン上に摺動自在に支持されている
   浮動キヤリパを有するデイスクブレーキであつ
   て、背板と、該回転デイスクの内側摩擦面と摩擦
   係合するための該背板に装着された内側摩擦パツ
   ドを有する浮動内側ブレーキパツド組立体を有し
   ており、該背板が該キヤリパブリツジと摺動可能
   にかみ合つており且つ単一のピン部材上に摺動自
   在に支持されていて、外側摩擦ブレーキパツド部
   材の制動トルクの一部が該キヤリパブリツジを介
   して該内側ブレーキパツド組立体背板へ及び内側
   背板のピン支持部材を介して車輌構造体に伝達さ
   れ、且つ内側ブレーキパツド制動トルクの一部が
   内側背板からキヤリパを介して、該キヤリパ支持
   ピンを通して車輌構造体に伝達されることを特徴
   とするデイスクブレーキ。 ２ 該重心が該起動力印加中心線から回転デイス
   クの前進用回転の方向にずれている特許請求の範
   囲第１項記載のデイスクブレーキ。 ３ 内側摩擦面と外側摩擦面とを有する回転デイ
   スク、該内側及び外側摩擦面に並置された該両面
   との摩擦係合用の内側及び外側ブレーキパツド部
   材、該両ブレーキパツド部材をまたぐ内外脚を有
   し且つ該ブレーキパツド部材の一方に起動力を印
   加して該ブレーキパツド部材を該回転デイスクと
   摩擦係合させそしてキヤリパを軸方向に移動させ
   て他方のブレーキパツド部材を該回転デイスクの
   他方の摩擦面と摩擦係合させる圧力印加部材を有
   するキヤリパ部材を有するデイスクブレーキであ
   つて、他方のブレーキパツドの摩擦係合面の重心
   が該起動力印加中心線からずれていることを特徴
   とするデイスクブレーキ。