JPH0154680B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は原子力施設の改修や解体等に使用する
ための汚染コンクリート表面研削装置に関する。

従来技術 現時点では我が国に於いて原子力施設の大がか
りな改修や解体は行われていない。しかし、原子
力施設を永久的に使用することが不可能であるこ
とを考えれば、改修や解体の工法を研究する必要
がある。従来、原子力施設に於いて小規模にコン
クリートの汚染が発した場合にはグラインダーや
チツピングハンマーによつてコンクリートの汚染
した部分を除去した。しかし、この方法を大規模
な原子力施設の解体や改修に適用することは困難
である。もし、大規模な改修や解体にそのまま適
用すれば、作業者の被曝、汚染の拡散、大量な廃
棄物の処理の問題が生じる。

発明の目的 そこで、本発明の目的は、上述の如き問題を解
決することが可能な汚染コンクリート表面研削装
置を提供することにある。

発明の構成 上記目的を達成するための本発明は、汚染コン
クリートの表面部分を研削するための研削回転体
と、前記研削回転体を覆うための防じんカバー
と、前記防じんカバーに結合された研削粉体吸引
パイプとから成り、前記防じんカバーは、少なく
とも第１、第２及び第３のカバー部材を備えてお
り、前記第１のカバー部材は広がり角度が約90度
の扇形の一対の側面とこの一対の側面の円弧状周
縁相互間に設けられた外周面とを有し、前記第２
及び第３のカバー部材は広がり角度が90度以下の
扇形の一対の側面とこの一対の側面の円弧状周縁
相互間に設けられた外周面とを夫々有し、前記第
１、第２及び第３のカバー部材の一方の側面の扇
形の中心部は第１の軸によつて回動自在に連結さ
れ、前記第１、第２及び第３のカバー部材の他方
の側面の扇形の中心部は第２の軸によつて回動自
在に連結され、前記第２及び第３のカバー部材の
半径は前記第１のカバー部材の半径と異なる値に
設定され、前記第２及び第３のカバー部材は前記
第１のカバー部材に対して重ね合わせることがで
きると共にこの重ね合わせの程度を変えることが
できるように形成されていることを特徴とする汚
染コンクリート表面研削装置に係わるものであ
る。

発明の作用効果 本発明は次の作用効果を有する。

(イ) 第１、第２及び第３のカバー部材の重ね合わ
せの程度を変えることが可能であるので、汚染
コンクリートの平面部分と角部分との両方の研
削を防じん状態で行うことができる。

(ロ) 吸引パイプを有するので、汚染物体の拡散を
阻止することができる。

実施例 次に第１図〜第１０図に示す本発明の実施例に
係わる汚染コンクリートの廃棄処理方式について
述べる。第１図は原子力施設のコンクリート製壁
１、天井２、及び床３の汚染コンクリートを除去
する装置を概略的に示すものである。この第１図
に於いて、４は研削回転体であり、汚染コンクリ
ート面５を研削する部分である。６は防じんカバ
ーであり、研削回転体４で研削することによつて
生じる汚染コンクリートの粉体の拡散を阻止する
ように研削回転体４を覆うものである。７は防じ
んカバー６に結合されたフレキシブル吸引パイプ
であり、汚染コンクリートの粉体を吸引除去する
ものである。８は吸引パイプに結合された集じん
装置であり、円筒うず巻入力形サイクロン９、ブ
ロア即ち吸引器１０、バグフイルタ１１、第１及
び第２の回収容器１２，１３等を含む。なお、集
じん装置８はローラ１４を有しているので、移動
自在である。１５はキヤタピラを有する運搬装置
であり、研削装置を支持し且つ運搬するものであ
る。研削回転体４、防じんカバー６、モータ１６
等から成る研削装置は伸縮及び回転が自在な支持
機構１７で支持され、この支持機構１７は運搬装
置１５に載せられている。なお、支持機構１７と
ここに連結された駆動装置１７ａは、パワーシヤ
ベル又はフオークリフトのような構成になつてお
り、研削回転体４及び防じんカバー６を所望位置
に移動させることが出来る。

第１図に示す方式で、深さ５〜10mm程度汚染さ
れたコンクリート面５を削り取る場合には、運搬
装置１５と支持機構１７とによつて研削回転体４
を汚染コンクリート面５に当て、研削回転体４を
防じんカバー６で覆つた状態で研削回転体４を回
転させて汚染コンクリート面５を研削する。この
研削により、汚染コンクリートは粉体となり、吸
引パイプ７を通して集じん装置８に至り、回収容
器１２，１３に回収される。

次に、研削装置を第２図〜第８図に基づいて詳
しく説明する。研削回転体４は第２図に示す一対
の支持アーム１８，１９の先端で回転自在に支持
された軸２０に固着され、モータ１６と軸２０と
はチエーン（図示せず）で連結されているので、
モータ１６の駆動に応じて研削回転体４が回転
し、汚染コンクリートが研削される。アーム１
８，１９は第１図に示す移動自在な支持機構１７
に取付けられているから、研削回転体４は運搬装
置１５及び支持機構１７の直接の操作又は遠隔操
作に基づいて所望位置に移動可能である。

防じんカバー６は平担な汚染コンクリート面５
を研削する場合には、第３図〜第５図に示すよう
な形態となり、壁と天井との境界部即ち直角な入
隅部を研削する場合には第８図に示す形態とな
る。防じんカバー６の角度の切換えは、本実施例
の場合、第５図から最も明らかなように第１，第
２、第３、第４及び第５のカバー部材２１，２
２，２３，２４，２５の組み合せによつて行われ
る。第１〜第５のカバー部材２１〜２５から成る
防じんカバー６を最も開いた第３図〜第５図の場
合には、断面又は側面形状で半円状のカバーとな
る。第１のカバー部材２１の分担角度は約90度で
あり、第２〜第５のカバー部材２２〜２５の分担
角度は夫々約22.5度である。各カバー部材２１〜
２５は分担角度に応じた円周面２６，２７，２
８，２９，３０と、両側面３１〜４０とから成
り、中央の第１のカバー部材２１に対して回動可
能であるように第１のカバー部材２１の両側面３
１，３６の先端の軸４１，４２に第２〜第５のカ
バー部材３２〜３５が装着されている。第１〜第
５のカバー部材２１〜２５は軸４１，４２に対し
て回動自在であり、且つ第２〜第５のカバー部材
２２〜２５は汚染コンクリート面５の方向に第６
図で説明的に示す捩りバネ５１によつて夫々偏倚
されているが、第２〜第５のカバー部材２２〜２
５の孔にストツパピン４３〜５０が挿入されてい
るため、第３図及び第４図に示す状態で第３及び
第５のカバー部材２３，２５が汚染コンクリート
面５に偏角を持つて押圧されても、開口部角度は
180度に保たれる。また、第１〜第５のカバー部
材２１〜２５の相互間が折り曲げ部７０，７１で
係合しているので、捩りバネ５１で第２〜第５の
カバー部材２２〜２５が汚染コンクリート面５の
方向に偏倚されていても、開口部角度は180度に
保たれる。一方、ピン４３〜５０を取り除き、防
じんカバー６を第８図に示すように直角な入隅部
に押圧すると、捩りバネ５１に抗して第２〜第５
のカバー部材２２〜２５が閉じて、開口部の角度
が約90度になる。防じんカバー６を入隅部から遠
ざけると、捩りバネ５１の力で第２〜第５のカバ
ー部材２２〜２５は開口部角度180度の位置に戻
る。

防じんカバー６の効果を高めるために、第２図
〜第４図から明らかな如く、防じんカバー６の第
１のカバー部材２１と固定部５２との間に第１〜
第４のバネ５３〜５６が設けられている。このバ
ネ５３〜５６は、防じんカバー６を汚染コンクリ
ート面５の方向に押圧すると共に、約60度の角度
（上下に各30度）範囲で防じんカバー６の回動を
許すように、第１及び第４のバネ５３，５６が第
１のカバー部材２１の中心よりも上に係合し、第
２及び第３のバネ５４，５５が上記中心よりも下
で第１のカバー部材２１に係合している。各バネ
５３〜５６は、第４図の断面図から明らかなよう
に、コイルバネ５７と、伸縮自在に組み合せた２
つの円筒状カバー５８，５９とから成る。

防じんカバー６は４つのバネ５３〜５６によつ
て汚染コンクリート面の方向即ち前方に押し出さ
れているので、防じんカバー６を汚染コンクリー
ト面５に押し当てない場合には、防じんカバー６
の開口面よりも少し奥に研削回転体４が位置す
る。しかし、防じんカバー６には第４図及び第５
図に示す如く長孔６０が設けられ、研削回転体４
の軸２０に対して防じんカバー６が約30mm移動自
在であるから、研削回転体４を汚染コンクリート
面５に当てることが出来る。即ち防じんカバー６
及び研削回転体４を汚染コンクリート面５に向つ
て移動させ、防じんカバー６の開口面を汚染コン
クリート面に当て、更にバネ５３〜５６に抗して
押圧すると、防じんカバー６は研削回転体４に相
対的に後退し、研削回転体４が汚染コンクリート
面５に向つて移動し、ここに当る。この時、防じ
んカバー６はバネ５３〜５６の力で常に汚染コン
クリート面５に近づく方向に偏倚されているの
で、汚染コンクリート面５と防じんカバー６の開
口面との間隔は実質的に零に保たれる。尚回転軸
２０に対する防じんカバー６の移動を円滑に行う
ために、長孔６０に移動自在な軸受６１が設けら
れ、更に、長孔６０から汚染コンクリートの粉体
が流出することを阻止するカバー（図示せず）が
設けられている。

第１のカバー部材２１の背面中央には第５図か
ら明らかな如く孔６２が設けられ、ここに、第２
図〜第４図から明らかな如く、汚染コンクリート
粉体集じん用のフレキシブル吸引パイプ７が結合
されている。

研削回転体４は、第７図に示す如く、軸２０に
固着された直径約8.8cmの刃取付部６３と、この
取付部６３に３分割されてネジ６４で固着されて
いる刃先板６５とから成り、円筒の一部を構成す
る各刃先板６５には約４〜５mmの厚さに超硬鋼チ
ツプ又はダイヤモンドがろう付されている。

第９図及び第１０図は集じん装置８を詳しく示
すものである。第１図に示すパイプ７が結合され
る入口６６から入つた汚染コンクリートの粉体は
サイクロン９を通り、大きな研削物のみが第１の
回収容器１２に落下し、小さな粉体はバグフイル
タ１１によつて阻止され、第２の回収容器１３に
送り込まれる。吸引された空気は、更に第１０図
に示すフイルタ６７，６８を通つて出口６９から
送り出される。第１及び第２の回収容器１２，１
３は着脱自在に配置されている。従つて、新しい
回収容器と容易に交換することが出来る。

上述から明らかな如く本実施例には次の作用効
果がある。

(A) 移動自在に支持されている研削回転体４及び
防じんカバー６を、運搬装置１５は支持機構１
７で汚染コンクリート面５に押し当てると、防
じんカバー６がバネ５３〜５６に抗して汚染コ
ンクリート面５から離れる方向に移動し、研削
回転体４が汚染コンクリート面５に接して研削
可能になる。この際、防じんカバー６はバネ５
３〜５６によつて汚染コンクリート面５の方向
に偏倚されているので、研削によつて生じる粉
体の漏れが良好に阻止される。更に防じんカバ
ー６が所定角度範囲で回動可能であるので、汚
染コンクリート面５に対する位置関係が変化し
ても、良好な防じん効果を保つことが出来る。

(B) 防じんカバー６に吸引パイプ７が結合され、
吸引しつつ研削するので、研削によつて生じる
粉体を拡散させずに回収することが出来る。従
つて、作業者の被曝量を大幅に低減することが
出来る。

(C) 防じんカバー６の開口部の角度を第８図に示
す如く変えることが出来るので、壁１と天井２
との隅部の汚染コンクリートの処理も可能であ
る。

(D) 壁１、天井２、床３等のコンクリートの全部
を汚染コンクリートとして処分せずに、汚染さ
れている数mm〜２cm程度を研削して廃棄する方
式であるので、放射性廃棄物の量を大幅に低減
することが出来る。

(E) 研削回転体４により、汚染コンクリートを粉
体にして処理するので、回収を迅速且つ円滑に
行うことが出来る。

(F) 研削回転体４の刃先板６５が基部６３に対し
て着脱自在に取付けられているので、交換を迅
速且つ容易に行うことが出来る。

(G) 水を使用しないで汚染コンクリートの回収が
出来るので、２次汚染が防止される。

変形例 本発明は上述の実施例に限定されるものでな
く、種々変形可能なものである。例えば、アーム
１８，１９を伸縮自在に構成することにより、研
削回転体４を防じんカバー６に対して移動可能に
なし、防じんカバー６を汚染コンクリート面５に
押し当てた状態で、研削回転体４を汚染コンクリ
ート面５の方向に押し出して研削を行うようにし
てもよい。またカバー部材２１〜２５を所定角度
に保つためのストツパーピン４３〜５０を設ける
代りに、ボルトとナツトでカバー部材２１〜２５
の相互間を固定してもよい。この場合にはバネ５
１が勿論不要になる。またカバー部材２１〜２５
の枚数を増減しても差支えない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係わる汚染コンクリ
ート廃棄方式を概略的に示す正面図、第２図は第
１図の方式で使用する研削装置を示す平面図、第
３図は第２図の研削装置の正面図、第４図は第３
図の研削装置の一部を切欠して示す正面図、第５
図は第４図の防じんカバーを示す斜視図、第６図
は第４図の防じんカバーの左側面図、第７図は研
削回転体を示す一部切欠正面図、第８図は隅部の
研削状態を示す一部切断正面図、第９図は集じん
装置の正面図、第１０図は第９図の集じん装置の
平面図である。 ４……研削回転体、５……汚染コンクリート
面、６……防じんカバー、７……吸引パイプ、８
……集じん装置、１２，１３……回収容器、１５
……運搬装置、１７……支持機構、２１，２２，
２３，２４，２５……カバー部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 汚染コンクリートの表面部分を研削するため
   の研削回転体と、前記研削回転体を覆うための防
   じんカバーと、前記防じんカバーに結合された研
   削粉体吸引パイプとから成り、 前記防じんカバーは、少なくとも第１、第２及
   び第３のカバー部材を備えており、 前記第１のカバー部材は広がり角度が約90度の
   扇形の一対の側面とこの一対の側面の円弧状周縁
   相互間に設けられた外周面とを有し、 前記第２及び第３のカバー部材は広がり角度が
   90度以下の扇形の一対の側面とこの一対の側面の
   円弧状周縁相互間に設けられた外周面とを夫々有
   し、 前記第１、第２及び第３のカバー部材の一方の
   側面の扇形の中心部は第１の軸によつて回動自在
   に連結され、 前記第１、第２及び第３のカバー部材の他方の
   側面の扇形の中心部は第２の軸によつて回動自在
   に連結され、 前記第２及び第３のカバー部材の半径は前記第
   １のカバー部材の半径と異なる値に設定され、 前記第２及び第３のカバー部材は前記第１のカ
   バー部材に対して重ね合わせることができると共
   にこの重ね合わせの程度を変えることができるよ
   うに形成されていることを特徴とする汚染コンク
   リート表面研削装置。 ２ 前記防じんカバーは前記研削回転体に相対的
   に移動自在に配設されたものである特許請求の範
   囲第１項記載の汚染コンクリート表面研削装置。