JPH0148776B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0148776B2
JPH0148776B2 JP61107568A JP10756886A JPH0148776B2 JP H0148776 B2 JPH0148776 B2 JP H0148776B2 JP 61107568 A JP61107568 A JP 61107568A JP 10756886 A JP10756886 A JP 10756886A JP H0148776 B2 JPH0148776 B2 JP H0148776B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment agent
surface treatment
polymerizable
lipid
biocompatible surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP61107568A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62266066A (ja
Inventor
Hiroshi Yoshioka
Kazuhiko Suzuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP61107568A priority Critical patent/JPS62266066A/ja
Priority to EP19870106719 priority patent/EP0245799B1/en
Priority to DE8787106719T priority patent/DE3773989D1/de
Publication of JPS62266066A publication Critical patent/JPS62266066A/ja
Publication of JPH0148776B2 publication Critical patent/JPH0148776B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 (技術分野) 本発明は、生体適合性表面処理剤に関するもの
である。詳しく述べると本発明は、新規な重合性
脂質を利用した、生きている組織および体液との
長期間の接触に適した表面を与える生体適合性表
面処理剤に関するものである。
(先行技術) 人工臓器、人工血管、コンタクトレンズ、血液
回路、血液バツグ、血漿分離器、血液チユーブ、
組織ないし細胞培養用シヤーレなどの医療用具に
おいては、これらの表面が直接生体組織または液
体と接触するために、これら表面が接触する生体
組織または液体と相互作用を起こすことなく医療
用具本来の機能と生体と接触する条件下で十分に
発揮しうること、いわゆる生体適合性を有するこ
とが要求される。
従来より、このような医療用具の生体適合性
を、良好なものとするために、医療用具を構成す
る材質および性質、特にその表面部を構成する材
質および性質に関して数多くの研究がなされ、実
用化されている。例えば、アニオン性重合性また
は適当に配向したエレクトレツト重合性の如く、
負に帯電した表面、天然の抗凝固剤ヘパリンまた
は合成ヘパリン類似体を被覆した表面、固有に低
い表面自由エネルギーを有する荷電した表面、ア
ルブミンを被覆した表面などが挙げられる。しか
しながら、これらによつては、十分に満足できる
生体適合性というものは得られず、生体とこれら
の接触表面との反応は問題を残すものである。最
近、生体膜がリン脂質二重層のマトリツクスから
構成されているということから、疎水性基体表面
に生体適合性を付与するあるいは親水化というこ
とに脂質、特にその安全性の面から重合性の脂質
を利用することが注目されている(エス.エル.
リージエン、マクロモレキユール16 335(1983)
[S.L.Regen、Macromol.16335(1983)]、特開昭
56−135492号参照。)。このような重合性の脂質と
しては、疎水性アシル鎖に重合性官能基として共
役ジインを有するポリアセチレン型脂質が合成さ
れ、数多くの研究がなされている。ポリアセチレ
ン型脂質の製法に関しては、米国特許第2816149
号、同第2941041号及び同第3065283号などに、紫
外線照射によるゲル化挙動に関しては、リングス
ドルフ[H.Ringsdorf]ら(マクロモレキユール
ケミストリー[Macromol、Chem.]180、1059
(1979)]などの文献に詳しい。しかしながら、現
在開発されているポリアセチレン型脂質の場合、
分子内中の共役ジインは極めて綿密な分子設計に
基づいて純有機化学的に多数の反応段階を経て合
成されその収率も低いものであるため、実用的な
面での大量合成が困難であるばかりでなく、最終
生成物である生体適合性表面処理剤が極めて高価
なものとなつてしまう。またこのようなポリアセ
チレン型脂質により構成される生体適合性表面処
理剤の場合、その重合は、化学的開始剤や種々の
電磁波、特に紫外線の照射によつて行なわれてい
るが、化学的開始剤を用いると、これが最終製品
中に残存することによる毒性の問題が生じ、また
紫外線照射では、例えばカテーテル内面のように
紫外線の到達しない部分での重合は不可能であつ
た。
発明の目的 従つて本発明は、新規な生体適合性表面処理剤
を提供することを目的とする。本発明はまた、新
規な重合性脂質を利用した生体適合性表面処理剤
を提供することを目的とする。本発明はさらに酸
素の存在により重合し得る生体適合性表面処理剤
を提供することを目的とする。
上記諸目的は、疎水性アシル鎖として、一般式
() で表されるエレオスアリン酸由来のアシル鎖を少
なくとも一つ有する重合性脂質からなる生体適合
性表面処理剤により達成される。
本発明はまた、重合性脂質が、一般式() [ただし式中Rは−(CH2−)2N (CH33、−(CH2
−)2N H3または−CH2−CH(N H3)−COO
である。]で表されるホスフオリピドからなるも
のである生体適合性表面処理剤を示すものであ
る。本発明はさらに、一般式()のRが−(CH2
−)N (CH33である生体適合性表面処理剤を示
すものである。
発明の具体的説明 以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説
明する。
本発明の生体適合性表面処理剤は、疎水性アシ
ル鎖として、一般式() で表されるエレオステアリン酸由来のアシル鎖を
少なくとも一つ有する重合性脂質からなるもので
ある。
本明細書において「脂質」とは親水性の極性部
と少なくとも一つの長鎖脂肪族アシル鎖からなる
疎水性の非極性部を有する両親媒性化合物を示
し、例えばホスフアチジルコリン、ホスフアチジ
ルエタノールアミン、ホスフアチジルセリンおよ
びホスフアチジルグリセロールなどのようなホス
フオリピド類、スフインゴミエリンなどのような
スフインゴリピド類、セレブドシド、植物グリコ
リピドおよびガングリオシドなどのようなグリコ
リピド類、ホスフオノグリセリドなどのようなグ
リセリド類、グリセロールエーテル類、セラミド
−2−アミノエチルホスフオン酸およびホスフオ
ノグリセリドなどのようなホスフオノリピド類、
その他、ジアルキルホスフエート類、ジアルキル
ホスフオネート類、アルキルホスフイネートモノ
アルキルエステル類N,N−二置換ジメチルアン
モニウムハライド、トリアルキルメチルアンモニ
ウムハライド、テトラアルキルアンモニウムハラ
イドなどのようなアルキルアンモニウムハライド
類、ジアルキルスルホサクシン酸エステル類、
2,3−ジアシロキシスクシン酸類等のような脂
質ないし脂質類緑化合物の骨格を有するものをさ
す。なおこれらのうちアルキルアンモニウムハラ
イド類などの骨格を有するものとは、その骨格と
なる化合物のアルキル鎖の端部あるいは側部にエ
ステル結合によりアシル鎖が結合しているような
構造のものである。
また上記脂質ないし脂質類緑化合物群の名称
は、脂質の骨格となる構造を示すためのものであ
り、従つてその置換体および類似化合物を含む広
い意味で解釈されるべきで、例えば該名称におい
て「アルキル」で表わした部分がアルケニル、ア
ルカジエニル、アルカトリエニル、アルキニルな
どの不飽和炭化水素基である化合物も含まれる。
本発明の生体適合性表面処理剤を構成する一般
式()で表わされる疎水性アシル鎖を少なくと
も一つを有する重合性脂質は、上記のごとき「脂
質」の一種であつてその疎水性アシル鎖が合成的
に導入されたものである。本発明の重合性脂質と
しては生体適合性の面から上記に挙げた骨格のう
ち、ホスフオリピド類、スフインゴリピド類、グ
リコリピド類、グリセリド類、グリセロールエー
テル類あるいはホスフオノリピド類などのような
天然に存在する脂質の骨格を有するものが望まし
く、特に一般式() [ただし式中、Rは−(CH2−)2N (CH33(ホス
フアチジルコリン)、−(CH2−)2N H3(ケフアリ
ン)または−CH2−CH(2N H3)−COO (ホ
スフアチジルセリン)であり、またR1、R2は飽
和または不飽和炭化水素基である。]で表される
生体膜の構成部分としても代表的なホスフオリピ
ド、さらに好ましくはホスフアチジルコリンの骨
格を有するものが望まれる。
一般式()で表わされる疎水性アシル鎖の、
上記のような骨格構造を有する脂質への導入は、
エレオステアリン酸を出発物質として公知の方法
より容易に行なうことができる。このエレオステ
アリン酸は、一般式(′) CH3(CH23CH=CHCH=CHCH=CH(CH)7CO
OH(′) で表される第9、11、13位に共役二重結合を有す
る天然の不飽和脂肪酸であり、桐油中から容易に
抽出でき、混合脂肪酸の80〜95重量%を占めてい
る。この桐油を加水分解して得られる桐油脂肪酸
中にはエレオステアリン酸が60重量%以上、好ま
しくは80重量%以上含有され、残存成分としては
飽和酸、オレイン酸、リノール酸等が含まれてい
る。本発明の生体適合性表面処理剤を調製するた
めに、この桐油脂肪酸をそのまま天然不飽和脂肪
酸として用いてもよく、また必要によりカラムク
ロマトグラフイーおよび/または再結晶等で精製
してエレオステアリン酸のみを取り出して用いて
もよい。
例えば、ホスフオリピドの骨格へエレオステア
リン酸より一般式()で表わされるアシル鎖を
導入するには、以下のようにして行なわれる。も
う一つの出発物質となる脂質の親水性極性部は、
天然のホスフオリピド(その多くは、飽和脂肪酸
アシル鎖の疎水性非極性部を有する。)より容易
にかつ大量に得ることができる。天然のホスフオ
リピドは加水分解されて、特にその金属錯体か
ら、例えばカドミウム等の金属の錯体としてエレ
オステアリン酸とのエステル化反応に供される。
エステル化反応は、天然のホスフオリピドの加水
分解物ないしその金属錯体をクロロホルム、四塩
化炭素、塩化メチレン等の媒体中に加えて撹拌下
に懸濁させ、この懸濁液にエレオステアリン酸の
酸無水物誘導体をホスフオリピド加水分解物100
重量部あたり200〜400重量部、好ましくは300〜
370重量部および触媒を適当量加え、反応系内を
アルゴン、窒素、ヘリウム等の不活性ガスで置換
した後、5〜40℃、好ましくは15〜25℃の温度で
暗所にて24〜90時間、好ましくは40〜72時間反応
させることで行なわれる。触媒としては4−ジメ
チルアミノピリジンなどがあり、ホスフオリピド
加水分解物100重量部当り50〜100重量部、好まし
くは80〜85重量部使用される。反応後、白色の不
溶物が析出するので濾去し、溶媒を室温で減圧留
去後、クロロホルム/メタノール/水の混合溶媒
(容量比=4/5/1)に再溶解してイオン交換
樹脂と接触させ、ついで洗い落す。混合溶媒を減
圧留去後、少量のクロロホルムに溶解し、シリカ
ゲルカラム等によりクロロホルム、メタノール混
合溶媒で精製し、一般式() [ただし式中Rは−(CH2−)2N (CH33、−(CH2
−)2N H3または−CH2−CH(N H3)−COO
などである。]で表されるエレオステアリン酸ホ
スフオリピドを得る。
得られる生体適合性表面処理剤は、使用する出
発原料によつて異なり、例えば卵黄レシチンを使
用する場合には、一般式()で示されるエレオ
ステアリン酸ホスフアチジルコリン、またケフア
リンやホスフアチジルセリン等を使用した場合に
はこれらに対応する生体適合性表面処理剤が得ら
れる。
このようにして得られる本発明の生体適合性表
面処理剤は、アシル鎖として一般式()で表さ
れるような鎖中に3個の共役二重結合を有するエ
レオステアリン酸由来のアシル鎖を有する重合性
脂質により構成されるので、光、紫外線、β線、
γ線、X線、などの電磁波、特に紫外線を照射す
ることによりこの疎水性アシル鎖中の3個の共役
二重結合が容易に架橋反応を起こし、重合性脂質
同志が重合してゲル化し安定な状態を形成する。
この共役トリエン型の重合性脂質は、その吸光ス
ペクトルの極大波長が270nm以上の比較的低エネ
ルギー位置にあり(第2図参照)、それ自体が電
磁波エネルギーによる重合を行なうため重合開始
剤や増感剤、還元剤などは必要とせず、これらの
添加による毒性の心配もない。さらに驚くべきこ
とにこの共役トリエン型の重合性脂質は、単に空
気中に放置することによつても重合反応が生起す
ることが見い出された。すなわち、該重合性脂質
は、酸素の存在によつて自動的に酸化重合反応を
開始するものであつて、この結果、電磁波を照射
した場合と同様に、安定な架橋重合体を形成する
ものである。従つて、例えばカテーテル内面のよ
うに紫外線の到達し難い表面での重合も、酸素存
在下に放置することで可能となる。
本発明の生体適合性表面処理剤を構成する該重
合性脂質は、電磁波照射および/または、酸素接
触を受ける前には、クロロホルム、エーテル、メ
タノール、ジメチルホルムアミド等に可溶である
が、照射および/または接触を受け重合しゲル化
すると、これらの溶媒に対して全く不溶となり、
架橋重合によつて著しい溶解度の差が生じるもの
である。
さらに好適なことは、本発明の生体適合性表面
処理剤は、両親媒性を有する重合性脂質より構成
されるものであるので、疎水性の基体の表面に、
該重合性脂質の疎水性の非極性部、すなわちアシ
ル鎖部分が配向して良好な付着性を示し、かつ親
水性の極性部が外側に向くので処理表面を親水化
することができる。なお、架橋重合を起こす感応
基である共役トリエン基は、アシル鎖中に存在す
るので、架橋重合が起きた後においても、親水性
の極性部の性質には変化はない。
該重合性脂質はまた水性溶媒中に超音波処理等
で分散させると、自動的に脂質二重層構造よりな
る小胞体、いわゆるリポソームを形成する。該リ
ポソームにおいては、内方に疎水基、外方に親水
基が配向している。このリポソーム状態でも電磁
波照射および/または酸素接触により重合反応が
生起する。なおこの場合にはリポソーム懸濁液の
紫外吸収スペクトルを観測し、共役トリエンに基
づく紫外吸収バンドにおける吸光度の減少により
重合反応の進行を追跡することもできる。
本発明の生体適合性表面処理剤は、例えば、人
工臓器、人工血管、コンタクトレンズ、血液回
路、血液バツグ、血漿分離器、血液チユーブ、組
識ないし細胞培養シヤーレなどの医療用具の表面
性質の改善に用いられる。このような医療用具等
の基体の表面上への被覆法としては種々あるが、
簡単には該重合性脂質の溶液あるいはリポソーム
懸濁液を種々の基体上に塗布し、溶媒あるいは分
散媒を蒸発させることで被覆できる。また水面上
に形成させた該重合性脂質の単分子層をラングミ
ユアー−ブロージエツト法(Langmuir−
Blodgett method、LB法)により基体表面上に
累積させて行なうこともできる。こうして基体上
に被覆した重合性脂質を上記電磁波および/また
は酸素により架橋重合させて、生体適合性表面処
理剤を基体上に担持固定させることができる。
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
実施例 エレオステアリン酸の無水物の製造 エレオステアリン酸80gに相当する桐油脂肪酸
を脱水蒸留直後の四塩化炭素600mlに溶解した、
この溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド32.6
gを加え、容器内をアルゴンガスで置換して密封
し、そのまま25℃で24時間放置(時々撹拌)し
た。不溶成分を濾別し、蒸留乾固した。これをジ
クロロメタンを展開溶媒としてシリカゲルで精製
したところ、29%の収率でエレオステアリン酸無
水物が得られた。
卵黄レシチン(ホスフアチジルコリン)加水分
解物カドミウム錯体の製造 卵黄レシチン(キユーピーPL−100)45gを脱
水エーテル450mlに溶解し、不溶物を濾別後、10
%濃度のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド
のメタノール溶液50mlを加え、25℃の温度で激し
く振盪した。反応の進行に伴なつて溶液は白濁
し、次第に層分離してくるので、これを静置し、
褐色油状物を充分沈澱させ、上澄をデカンテーシ
ヨンした。褐色油状物を脱水エーテル100mlで3
回洗浄したのち、脱水メタノール125mlに加熱溶
解させ、沸点還流下に脱色剤1gを加えて熱時濾
過した。冷却後、濾液に脱水エーテル250mlを加
え、析出沈澱を残してデカンテーーシヨンし、沈
澱を熱湯40mlに溶解させた。これに塩化カドミウ
ム5/2水和物8gを純水20mlに溶解したものを
加え、さらに活性炭2.5gおよび脱色剤2gを加
えて沸点還流後、濾紙および0.25μmミリポアフ
イルターにて濾過した。これにエタノール100〜
150mlを加えたところ、着色沈澱が生成したので、
これを除去して白濁溶液のみを採取し、さらにエ
タノール100〜150mlを加えて激しく振盪したとこ
ろ、白色結晶を析出してきた。0〜5℃の温度で
一夜静置後、析出結晶を濾集し、脱水メタノー
ル、脱水エーテルおよび脱水ベンゼンの順で結晶
を洗浄し、さらに五酸化リン上で80℃の温度で終
夜真空乾燥したところ、56%の収率でホスフアチ
ジルコリン加水分解物のカドミウム錯体が得られ
た。
エステル化による重合性脂質の製造 卵黄レチシン加水分解物カドミウム錯体6.74g
に、蒸留直後のクロロホルム160mlを加えて撹拌
下に懸濁させた。これに桐油脂肪酸無水物24.70
gおよび触媒である4−ジメチルアミノピリジン
5.61gを加え、容器内をアルゴンガスで置換した
のち、密栓し、暗所で25℃の温度で60時間撹拌し
ながら反応させた。このとき、白色不溶物が析出
したので、これを濾別し、溶媒を室温下減圧留去
罪、メタノール/クロロホルム/水=5/4/1
混合溶媒100mlに再溶解させる。この溶液を再度
濾過して濾液をイオン交換樹脂AG−501−X8
(D)(Bio−Rad)カラムに注入し、先の混合溶
媒500mlで洗い落した。この溶媒を25℃の温度で
減圧留去したのち、クロロホルムに再溶解してシ
リカゲルカラムによる精製を行なつたところ、30
%の収率でエレオステアリン酸ホスフアチジルコ
リンが得られた。その赤外線吸収スペクトルは、
第1図のとおりであつた。
重合性リン脂質からのリポソームの製造 エレオステアリン酸ホスフアチジルコリン200
mgをクロロホルム6mlに溶解した。このようにし
て得られた脂質溶液をナス型フラスコに入れ、エ
バポレータで溶媒を完全に除去してナス型フラス
コ底面に脂質膜を形成させた。これにヘペスバツ
フア(Hepes buffer)(10mM、PH8.0)10mlに添
加してボルテツクスミキサーで振盪した後、チツ
プ型超音波照射機(40〜50W)でアルゴン気流下
に10分間処理した。処理液は白濁状態から透明分
散液となり、リポソームの形成が確認された。ま
た、走査型電子顕微鏡により直径0.2〜0.5μmの
球状粒子が観察され、リポソームの形成が確認さ
れた。
参考例 電磁波照射による生体適合性表面処理剤(リポ
ソーム)の重合例 75Wの水銀ランプを光源として照射距離12cm、
サンプル濃度10mg/mlとし、脱気下において、水
温25℃の水浴中で紫外線を照射したところ第2図
に示すようにトリエンに基づく272nmにおける吸
光度が照射時間の経過とともに減少していること
から重合が進行していることが確認された。
酸素による生体適合性表面処理剤の重合例 上記実施例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリン500mgを含むクロロホルム溶液
を100mlのナス型フラスコに入れ、ロータリ−エ
バポレーターでクロロホルムを減圧留去してナス
型フラスコ内面にエレオステアリン酸ホスフアチ
ジルコリンの薄膜を形成させた。これを空気中暗
所に室温下で一週間放置した。この結果、エレオ
ステアリン酸ホスフアチジルコリンは、空気中の
酸素により重合ゲル化し、クロロホルム、エーテ
ル、メタノール等の有機溶媒および水に対し全く
不溶となつた。
疎水性基体の親水化 上記実施例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリンの1重量%メタノール溶液をポ
リスチレン板に塗布して乾燥した。このポリスチ
レン板に対し、75W水銀灯により空気中室温下で
6時間紫外線照射を行なつた。ポリスチレン板を
蒸留水で十分洗浄後、ポリスチレン板表面の水滴
の接触角を測定した。エレオステアリン酸ホスフ
アチジルコリンの被覆処理を施していない対照用
のポリスチレン板における接触角が66゜であるの
に対し、上記処理を施したポリスチレン板の表面
の接触角は21゜であつた。
生体適合性の確認 上記実施例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリンの1重量%メタノール溶液をポ
リスチレン製シヤーレ上に塗布し乾燥した。この
ポリスチレン製シヤーレに対し、75W水銀灯によ
り窒素雰囲気中で12時間紫外線照射を行なつた。
このポリスチレンシヤーレにMEM培地で1×
105個(細胞)/mlに調製したHela−S3細胞浮遊
液5mlを分注し、48時間培養を行なつた。48時間
経過の後、このシヤーレ表面を顕微鏡で観察する
と細胞が生着、伸展、増殖していることが確認さ
れた。
発明の具体的効果 以上述べたように本発明は疎水性アシル鎖とし
て、一般式()で示されるエレオステアリン酸
由来のアシル鎖を少なくとも一つ有する重合性脂
質からなる生体適合性表面処理剤であるから、生
体膜を構成する成分とほぼ同様の構造を有し生体
適合性は高く、接触する組織ないし体液との相互
作用は極めて少なく、また、天然に得られるエレ
オステアリン酸および天然に得られる脂質を出発
物質として簡単、大量かつ安価に合成され得るも
のであり、人工臓器、人工血管、コンタクトレン
ズ、血液回路、血液バツグ、血漿分離器、血液チ
ユーブ、組識ないし細胞培養用シヤーレなどの医
療用具の表面処理剤として好適である。また該生
体適合性表面処理剤を構成する該重合性脂質の重
合は、光、紫外線、β線、γ線、X線などの電磁
波を照射することにより容易に生起されるのみな
らず、酸素の存在下においても生起するために、
単に空気中に一定時間放置しておくことのみによ
つても該生体適合性表面処理剤が重合ゲル化し、
安定な重合性膜を形成するので、従来のポリアセ
チレン型脂質の場合とは異なり、例えばカテーテ
ルの内面のように紫外線等の電磁波の到達しない
部分あるいは電磁波照射によつて劣化してしまう
虞れのある材質への適用も可能となる。さらに好
適なことには、該生体適合性表面処理剤を疎水性
の表面を有する基材へ適用すると、該重合性脂質
の疎水性であるアシル鎖側が該基材表面方向へ配
向し、親水性の極性部が外側に向くので処理表面
を親水化することが可能である。
このような効果は、一般式()で表されるエ
レオステアリン酸由来のアシル鎖を少なくとも一
つ有する重合性脂質がエレオステアリン酸ホスフ
オリピド、さらに好ましくはエレオステアリン酸
ホスフアチジルコリンである場合にはより顕著な
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の生体適合性表面処理剤の一
実施例に関する赤外線吸収スペクトルのチヤート
であり、また第2図は、本発明の生体適合性表面
処理剤の一実施例のリポソーム形態における紫外
線照射による重合の程度を示す紫外線吸収スペク
トルのチヤートである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 疎水性アシル鎖として、一般式() で表されるエレオステアリン酸由来のアシル鎖を
    少なくとも一つ有する重合性脂質からなる生体適
    合性表面処理剤。 2 重合性脂質が、一般式() [ただし式中Rは−(CH2−)2N (CH33、−(CH2
    −)2N H3または−CH2−CH(N H3)−COO-
    ある。]で表されるホスフオリピドからなるもの
    である特許請求の範囲第1項に記載の生体適合性
    表面処理剤。 3 一般式()のRが、−(CH2−)2N
    (CH33である特許請求の範囲第2項に記載の生
    体適合性表面処理剤。
JP61107568A 1986-05-13 1986-05-13 生体適合性表面処理剤 Granted JPS62266066A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61107568A JPS62266066A (ja) 1986-05-13 1986-05-13 生体適合性表面処理剤
EP19870106719 EP0245799B1 (en) 1986-05-13 1987-05-08 Electromagnetic wave-sensitive material and bio-adaptable surface treating agent
DE8787106719T DE3773989D1 (de) 1986-05-13 1987-05-08 Fuer elektromagnetische wellen empfindliches material und biokompatibles oberflaechenbehandlungsmittel.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61107568A JPS62266066A (ja) 1986-05-13 1986-05-13 生体適合性表面処理剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62266066A JPS62266066A (ja) 1987-11-18
JPH0148776B2 true JPH0148776B2 (ja) 1989-10-20

Family

ID=14462469

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61107568A Granted JPS62266066A (ja) 1986-05-13 1986-05-13 生体適合性表面処理剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS62266066A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62266066A (ja) 1987-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0032622B1 (en) Polymerisable phospholipids and polymers thereof, methods for their preparation, methods for their use in coating substrates and forming liposomes and the resulting coated substrates and liposome compositions
CA1222254A (en) Polymerized vesicles and compounds for their preparation
Hupfer et al. Liposomes from polymerizable phospholipids
EP0186211B1 (en) Polymerizable liposome-forming lipid, method for production thereof, and use thereof
US4594193A (en) Thiol based lipids and membranes made therefrom
CA1167838A (en) Polymerizable phospholipids and a process for their preparation, polymeric phospholipids and a process for their preparation, and the use of the polymeric phospholipids
Singh et al. Polymerizable phospholipids
US4808480A (en) Polymerizable heterocyclic disulfide-based compounds and membranes made therefrom
JP3187622B2 (ja) リポソーム
US4587055A (en) Polymerized vesicles and compounds for their preparation
EP0245799B1 (en) Electromagnetic wave-sensitive material and bio-adaptable surface treating agent
JPH0148776B2 (ja)
JPH0148777B2 (ja)
EP0251229A1 (en) Polymerizable beta-glycerophospholipid and method for production thereof
JPH0314838B2 (ja)
JP3860246B2 (ja) 陽イオン性ビタミンe誘導体及びその製造方法、並びにこれを用いて形成した両親媒性高分子
JPH03160086A (ja) ポリペプチド薄膜
JPH07173079A (ja) 両親媒性ポリエチレングリコール誘導体および用途
JPS61155336A (ja) 医用担体
JPH0572915B2 (ja)
JPS61155392A (ja) 重合性のリポソ−ム形成脂質およびその製造方法
CN111744011B (zh) 一种聚乙二醇衍生物形成的胶束在光动力治疗药物中的用途
JPH0588718B2 (ja)
JPH0453418B2 (ja)
KR101551464B1 (ko) 지질 이중층이 형성된 하이드로겔 입자 및 그 제조방법