JPH0588718B2 - - Google Patents

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JPH0588718B2
JPH0588718B2 JP61199479A JP19947986A JPH0588718B2 JP H0588718 B2 JPH0588718 B2 JP H0588718B2 JP 61199479 A JP61199479 A JP 61199479A JP 19947986 A JP19947986 A JP 19947986A JP H0588718 B2 JPH0588718 B2 JP H0588718B2
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JP
Japan
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acid
phospholipid
liposomes
lecithin
glycerophosphorylcholine
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JP61199479A
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Yoshihiko Nagata
Akira Akimoto
Yasuji Muneda
Akira Myamoto
Fujimi Shichino
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Tosoh Corp
Nippon Shoji Co Ltd
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Tosoh Corp
Nippon Shoji Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、混合酸型重合性リン脂質誘導体、さ
らに詳しくは光重合可能なジエン基を官能基とし
て有するホスフアチジン酸型リン脂質誘導体及び
その製造法に関する。 (従来技術) リン脂質は、生体膜脂質の主体であり、このう
ち、グリセロールに2分子の脂肪酸と1分子のリ
ン酸がエステル結合したものをホスホグリセリド
といい、両親媒性物質の1種である。 このリン脂質を水中に懸濁後、超音波処理等を
用いて分子組織化を行うことにより、内殻水相を
有する脂質2分子膜からなる閉鎖小胞であるリポ
ソームを形成する。この際、リポソーム膜に荷電
を与えることによりリポソーム同志の凝集を防
ぎ、又、多重層リポソームの場合には、その静電
的反発力によりによりラメラ間の内殻水相部分を
広げ、封入物質の保持容量を拡大することができ
る。正電荷を与える物質としてはステアリルアミ
ンが、負電荷を与える物質としては、ジセチルリ
ン酸やホスフアチジン酸等が通常用いられる。し
かし、このように調製されたリポソームはその構
造を疎水的な凝集力のみで維持しているため、構
造が不安定であるという問題を抱えている。 この問題の解決手段として、リポソーム調製原
料であるリン脂質に光重合性官能基を導入し、分
子組織化した後、光照射により重合高分子化し
て、その構造を安定化させる技術が注目されてい
る。特に医用リポソーム、免疫診断薬等への応用
では生体適合性の良好な天然リン脂質類似の構造
及び組成を有する光重合性リン脂質誘導体が強く
要望されている。 本発明者らは、この要望に答えるものとして、
通常利用されるジアシル−3−グリセロホスホリ
ルコリン(以下、レシチンと称す)型のリン脂質
の一方のアルキル鎖のみにジエン基を導入したリ
ン脂質誘導体(以下、モノジエンレシチンと称
す)を製造し、該誘導体の生体適合性が良好なこ
とを報告した。しかし、このようなリン脂質誘導
体から調製した重合性リポソームと共重合可能な
ホスフアチジン酸型のリン脂質及びこの化合物を
収率よく製造する方法は知られていない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は以上の観点からなされたもので、その
目的は天然リン脂質類似の構造及び組成を有し、
さらにモノジエンレシチン等との組合せにより重
合性リポソームに電荷を与えることが可能な混合
酸型重合性リン脂質誘導体及びこの化合物を収率
よく製造する方法を提供するものである。 (問題点を解決するための手段) かかる目的の実現のために鋭意検討を行つた結
果、ホスフアチジン酸型リン脂質の一方のアルキ
ル鎖に光重合性官能基としてジエン基を導入した
リン脂質誘導体が前述の要望を満足する化合物で
あり、本化合物は、合成レシチンや天然レシチン
から収率よく完全L体として製造できることを見
出し、本発明を完成するに至つた。 以下、本発明を詳細に説明する。 即ち、本発明は下記一般式()
【式】 (式中、R1とR2とは互いに異なり、その一方は
飽和又は不飽和のC10〜C22の脂肪酸残基を示し、
他方はR0CH=CHCH=CHCO(但し、R0はC5
C17のアルキル基)のアシル基を示す。) で表わされる混合酸型重合性リン脂質誘導体及び
その製造法に関する。一般式()で表される化
合物の製造法は(a)レシチンをホスホリパーゼA1
又はA2を用いて加水分解することにより得られ
るモノアシル−L−3−グリセロホスホリルコリ
ンに、 (b) R0CH=CHCH=CHCOOH(但し、R0はC5
〜C17のアルキル基)で表わされる長鎖ジエン
カルボン酸とN,N′−カルボニルジイミダゾ
ールとから得られる1−アシルイミダゾール
を、(c)イミダゾールナトリウム存在下で反応さ
せ、(d)次いで加水分解酵素を反応させる工程 からなる。 出発物質であるモノアシル−L−3−グリセロ
ホスホリルコリンには、1−モノシアル体と2−
モノシアル体があり、いずれも本発明に適用可能
である。 この1−モノアシル−L−3−グリセロホスホ
リルコリンは、通常レシチンを適当な溶媒、例え
ばクロロホルムやエチルエーテルなど、中でPH約
7の適当な緩衝液、例えば0.2Mトリス塩酸緩衝
液(PH7.4)など、および賦活剤、例えば塩化カ
ルシウム溶液の存在下、蛇毒、例えばナジヤ・ナ
ジヤ(Naja naja)などの毒から得られるホスホ
リパーゼA2またはその類縁酵素を用いて、常温
にて、アシル転移を起こさぬよう注意深く加水分
解を行うことにより得られる。 また、2−モノアシル−L−3−グリセロホス
ホリルコリンは、各種バクテリア、例えばエ・シ
エリチア・コリ(E.Coli)、ミコバクテリウム・
フレイ(Mycobacterium pheri)、バチルス・ス
プチリス(B.subtilis)、から得られるホスホリパ
ーゼA1または類縁酵素を用いて、同様に、レシ
チンを加水分解することにより得られる。 さらに、得られたモノアシル−L−3−グリセ
ロホスホリルコリンに水素添加処理を行い、アル
キル鎖中の不飽和結合をなくした飽和型の完全水
添モノアシル−L−3−グリセロホスホリルコリ
ンの形にしても本発明に供することができる。 一般式()におけるR1又はR2の脂肪酸残基
は、炭素数が10〜22個で飽和又は不飽和であれば
特に制限はないが、より生体適合性を高めるため
には、飽和の脂肪酸残基が好ましい。本リン脂質
誘導体の脂肪酸残基は、レシチンの2本のアシル
鎖のうち、ホスホリパーゼA1又はA2によつて加
水分解を受けなかつたアシル基に相当する。 レシチンには天然レシチンと合成レシチンがあ
るが天然レシチンとしては、例えば卵黄由来レシ
チン、大豆由来レシチン等、合成レシチンとして
は、例えばジミリストイルグリセロホスホリルコ
リン、ジパルミトイルグリセロホスホリルコリ
ン、ジステアロイルグリセロホスホリルコリン等
をあげることができる。 本発明に用いる長鎖ジエンカルボン酸は R0CH=CHCH=CHCOOH (R0はC5〜C17のアルキル基) で表わされるα,β,γ,δ−不飽和カルボン酸
である。このようなジエンカルボン酸の例とし
て、2,4−デカジエン酸、2,4−ウンデカジ
エン酸、2,4−ドデカジエン酸、2,4−トリ
デカジエン酸、2,4−テトラデカジエン酸、
2,4−ペンタデカジエン酸、2,4−ヘキサデ
カジエン酸、2,4−ヘプタデカジエン酸、2,
4−オクタデカジエン酸、2,4−ノナデカジエ
ン酸、2,4−エイコサジエン酸、2,4−ヘン
エイコサジエン酸、および2,4−ドコサジエン
酸等の全ての光重合性を有する幾何異性体を挙げ
ることができる。このような長鎖ジエンカルボン
酸は、例えば特開昭60−13737号公報等の方法に
よつて得ることができる。 一般式()のR1又はR2のジエン基を有する
アシル基:R0CH=CHCH=CHCO(R0は前記に
同じ)は、長鎖エンカルボン酸のアシル基に相当
する。1−アシルイミダゾールはN,N′−カル
ボニルジイミダゾールを無水クロロホルム中に懸
濁させ、これに長鎖ジエンカルボン酸を加え、窒
素気流中、遮光下で室温にて約1時間反応させる
ことによつて得られる。この化合物は単離した
後、又は単離することなく反応液のまま、次の工
程に供することができる。 以上のように得られた1−アシルイミダゾール
反応液に、触媒であるイミダゾールナトリウム−
ジメチルスルホキシド溶液及び無水ピリジンと共
に先に調製したモノアシル−L−3−グリセロホ
スホリルコリンを加える。反応は0℃ないし30℃
の温度で、通常は室温で数時間撹拌することによ
り終了する。アシル化剤は、モノアシル−L−3
−グリセロホスホリルコリンに対し、過剰量用い
ることが好ましく、さらに好ましくは1.2当量〜
1.5当量である。 反応終了後、反応液を塩酸−メタノールで中和
し、減圧濃縮する。ついでこの濃縮液をクロロホ
ルム−メタノールに溶解し、さらに水を入れた
後、分液し、その下層をさらに減圧濃縮する。得
られた濃縮液にクロロホルム−メタノール−水、
続いてエタノールを加えて「アンバーライトMB
−3型」樹脂カラムに通し、同溶媒で洗い、その
通導液および洗液を合せて減圧濃縮する。この濃
縮物を常法に従つて例えばシリカゲルカラムクロ
マトグラフ法にて処理精製後、再びクロロホルム
に溶解する。続いてこの加水分解酵素としてホス
ホリパーゼDを含むPH約7の緩衝液及び塩化カル
シウム溶液を加える。この溶液を室温にて十数時
間撹拌後、塩酸を加えて反応を停止する。反応混
合物より目的物を単離するには、まず、反応液を
遠心分離して上層を除去し、残つた下層に無水硫
酸ナトリウムを加えて乾燥し、減圧濃縮し、この
濃縮液を五酸化リンを用いて室温で乾燥すればよ
い。 (実施例) 本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものでない。 実施例 1 1−パルミトイル−2−(2E,4E−オクタデカ
ジエノシル)−L−3−グリセロホスフアチジン
酸の合成 (a) 1−パルミトイル−L−3−グリセロホスホ
リルコリンの調製 1,2−ジパルミトイル−L−3−グリセロホ
スホリルコリン3gをクロロホルム60mlに溶解し、
これに、ナジヤ・ナジヤの毒から得られたホスホ
リパーゼA230mgを0.2Mトリス塩酸緩衝液(PH
7.4)6mlに溶解した液および1M塩化カルシウム
溶液0.1mlを加えて室温にて約20時間撹拌した。 この反応液にエタノールを加えて減圧濃縮乾固
し、乾固物を少量のクロロホルムに溶かし、同溶
媒で活性化したシリカゲル(40g)カラムにか
け、クロロホルム600ml、クロロホルム−メタノ
ール−水(65:25:4)1.5で順次溶出された。
得られた溶出分画を薄層クロマトグラフイー(以
下TLCと略す)を用いて目的画分を集め、減圧
濃縮後、五酸化リンで、約20時間減圧乾燥し、1
−パルミトイル−L−3−グリセロホスホリルコ
リン1.8g(収率:87.8%)を得た。 (b) 1−パルミトイル−2−(2E,4E−オクタデ
カジエノイル)−L−3−グリセロホスホリルコ
リンの調製 2E,4E−オクタデカジエン酸3.5g(12.5ミリモ
ル)とN,N′−カルボニルジイミダゾール2.4g
(15ミリモル)乾燥クロロホルム50mlを入れて窒
素気流中、遮光下、室温にて約1時間反応させ
た。ついで、この反応液に(a)の方法で得た1−パ
ルミトイル−L−3−グリセロホスホリルコリン
5.1g(10ミリモル)を入れ、さらに氷冷下で触媒
として、水素化ナトリウム500mg(50%)とイミ
ダゾール(以下ImHと略する)1gとを乾燥ジメ
チルスルホキシド(以下DMSOと略す)20ml中、
約1時間反応させて調製したイミダゾールナトリ
ウム(以下ImNaと略す)−DMSO溶液20mlおよ
び無水ピリジン1mlを加えた後、室温にて2時間
撹拌した。 反応終了後、反応液を1N塩酸−メタノールで
中和し、減圧濃縮する。得られた濃縮物をクロロ
ホルム−メタノール(2:1)600mlに溶解し、
ついで水120mlを入れて分液ロートにて分液し、
下層を分取して減圧濃縮する。 得られた残渣にクロロホルム−メタノール−水
(65:25:4)200ml、エタノール1000mlを加えて
溶解し、次いで「アンバーライトMB−3型」80
mlを加えて約2時間撹拌した後、樹脂を別し、
前記溶媒系で洗浄し、得られた液と洗液を合せ
て減圧濃縮した。 この濃縮液を適量の95%エタノールに溶解し、
あらかじめ95%エタノールで活性化したアルミナ
(40g)カラムにかけ、同溶媒240mlで溶出し、こ
の溶出液を減圧濃縮した。 この濃縮物を少量のクロロホルムに溶解し、あ
らかじめ同溶媒で活性化したシリカゲル(150g)
カラムにかけ、クロロホルム1、クロロホルム
−メタノール−水(65:25:2)4.0で順次溶
出させた。得られた溶出画分からTLCによつて
目的画分を集め、減圧濃縮乾燥して、1−パルミ
トイル−2−(2E,4E−オクタデカジエノイル)
−L−3−グリセロホスホリルコリン4.7g(収
率:60.6%)を得た。 本物質はTLC分析(シリカゲルプレート、展
開溶媒:クロロホルム−メタノール−水(65:
25:4)を行つたところ、紫外線およびリンモリ
ブデン酸による検出で、単一のスポツトを与え、
そのRf値はジパルミトイル−L−α−グリセロ
ホスホリルコリン(シグマ)とほぼ一致した。な
お、旋光度は次のようであつた。 〔α〕29 D=+6.49(CHCl3、C=1) 又、本物質の元素分析値、核磁気共鳴
(NMR)スペクトル、赤外線(IR)吸収スペク
トル及び紫外線(UV)吸収スペクトルの測定結
果を示した。 元素分析値(C42H80O8NP・H2O分子量776.1
として) 計算値(%):C;65.00、H;10.65、N:1.805 実測値(%):C;64.6、H;10.7、N;2.2
【化】
【表】
【表】
【化】
【表】
【表】
【表】 (c) 1−パルミトイル−2−(2E、4E−オクタデ
カジエノイル)−L−3−グリセロホスホフアチ
ジン酸の合成 (b)で得られた1−パルミトイル−2−(2E、4E
−オクタデカジエノイル)−L−グリセロホスホ
リルコリン0.5gをクロロホルム50mlに溶解し、ス
トレプトマイセスクロモフセイス
(Streptomyces chromofusuis)から得られたホ
スホリパーゼD(54.0Units/mg)1.5mg0.2Mをト
リス塩酸緩衝液(PH7.4)1.5mlに溶解した液およ
び1M塩化カルシウム水溶液0.1mlを加えて室温に
て約16時間撹拌した。 この反応液に1N塩酸(約0.5ml)を加えて反応
を停止し、遠心分離(2500rpm、10分間)にか
け、上層を除去した。 得られた下層に少量の無水硫酸ナトリウムを加
えて乾燥し、減圧濃縮後、五酸化リンを用いて室
温で約20時間減圧乾燥し、1−パルミトイル−2
−(2E、4E−オクタデカジエノイル)−L−3−
グリセロホスフアチジン酸0.42g(収率95%)を得
た(以下モノジエンホスフアチジン酸と称す)。 本物質はTLC分析(シリカゲルプレート、展
開溶媒:クロロホルム−メタノール−水(65:
25:4)を行つたところ、紫外線、ヨウ素および
リンモリブデン酸による検出で単一のスポツトを
与え、そのRf値はジパルミトイル−L−α−ホ
スフアチジン酸(シグマ)とほぼ一致した。な
お、旋光度は次のようであつた。 〔α〕D=+7.61 (l=10.0cm、C=1.024g/dlinCHCl3) 又、本物質の元素分析値、核磁気共鳴
(NMR)スペクトル、赤外線(IR)吸収スペク
トル及び紫外線(UV)吸収スペクトルを測定し
た結果を示した。 元素分析値(C37H69O8P・H2O 分析量690.9
として) 計算値(%):C;64.32、H;10.06、N;0.00 実測値(%):C;64.36、H;10.05、N;<0.3
【化】
【表】
【化】
【表】 実施例 2 卵黄由来の1−アシル−2−(2E、4E−オクタ
デカジエノイル)−L−3−グリセロホスフアチ
ジン酸の合成 卵黄由来のリン脂質から実施例1−(a),(b)と同
様な方法にて調製した1−アシル−2−(2E、4E
−オクタデカジエノイル)−L−3−グリセロホ
スホリルコリン0.5gから、実施例1と同様にし
て、1−アシル−2−(2E、4E−オクタデカジエ
ノイル)−L−3−グリセロホスフアチジン酸
0.39g(収率88%)を得た(以下卵黄由来のモノジ
エンホスフアチジン酸と称す)。 本物質のTLC分析結果は、実施例1の場合と
同様に単一スポツトを示し、そのRf値は、卵黄
ホスフアチジン酸のそれと一致した。又、旋光度
は次のようであつた。 〔α〕D=+7.82 (l=10.0cm、C=1.074g/dlin CHCl3) さらに、次に示すような実施例1と同様の分析
結果から、本物質が純物質であることを確認し
た。 13C−NMRスペクトル δ値(CDCl3,ppm)
14.2、22.8、25.0、28.9〜30.7、32.1、33.3、34.2、
61.9・64.6、70.7、118.7、128.4、145.6・146.4、
169.9、173.9 1H−NMRスペクトル δ値(CDCl3、ppm、
TMS) 0.88、1.25、1.40、1.55、2.15、2.27、4.12、4.25、
4.37、5.30、5.77、6.15、7.2 FT−IRスペクトル(cm-1) (NaClデイスク)2850、2920、2956(νC-H) 1736、1718(νC=O) 1643(νC=C) 1467(δC-H) 1253(νP=O) 1066(νP-O ) UVスペクトル(クロロホルム): λnax=262.2(nm) ε=23700(・mol-1・cm-1) 実施例 3 大豆由来(水添)の1−アシル−2−(2E、4E
−オクタデカジエノイル)−L−3−グリセロホ
スフアチジン酸の合成 実施例1−(a)の1,2−ジパルミトイル−L−
3−グリセロホスホリルコリンを用いて1−アシ
ル−L−3−グリセロホスホリルコリンを調製
し、これに水添処理を施した後、実施例1−(b)と
同一条件下で反応させることによつて得られた水
素添加処理を行なつた大豆由来のアシル基をもつ
1−アシル−2−(2E、4E−オクタデカジエノイ
ル)−L−3−グリセロホスホリルコリン0.5gか
ら、実施例1及び2と同様にして、1−アシル−
2−(2E、4E−オクタデカジエノイル)−L−3
−グリセロホスフアチジン酸0.37g(収率83%)を
得た(以下、大豆由来(水添)のモノジエンホス
フアチジン酸と称す)。 本物質のTLC分析結果は、実施例1及び2の
場合と同様に、単一スポツトを示し、そのRf値
は水添大豆ホスフアチジン酸のそれと一致した。 又、旋光度は次のようになつた。 〔α〕D=+7.00 (=10.0cm、C=1.042g/dl in CHCl3) さらに、次に示すような実施例1及び2と同様
の分析結果から本物質が純物質であることを確認
した。 13C−NMRスペクトル δ値(CDCl3、ppm) 14.2、22.8、25.0、29.0〜30.1、32.0、33.2、34.2、
65.5・64.6、70.1、118.4、128.4、145.8・146.6、
166.8、173.9 1H−NMRスペクトル δ値(CDCl3、ppm、
TMS) 0.88、1.26、1.41、1.57、2.14、2.29、4.12、4.25、
4.37、5.31、5.77、6.15、7.26 FT−IRスペクトル(cm-1) (NaClデイスク) 2852、2924、2953(νC-H) 1716、1732(νC=O) 1643(νC=C) 1465(δC-H) 1269(νP=O) 1066(νP-O ) UVスペクトル(クロロホルム中): λnax=262.1(nm) ε=22000(・mol-1・cm-1) 実施例 4 実施例1,2及び3で得られたリン脂質誘導体
のそれぞれについて、モル比で10%となるように
合成レシチン又は天然レシチンから得た1−アシ
ル−2−(2E、4E−オクタデカジエノイル)−L
−3−グリセロホスホリルコリン(以下、本化合
物をモノジエンレチシンと称す)と混合し、全脂
質濃度が10mMとなるように、常法によつて多重
層リポソーム水溶液を調製した。さらに、この溶
液から超音波法により、小さな1枚膜リポソーム
を調製した。以下、これを負荷電のモノメリツク
リポソームと呼ぶ。 又、このリポソーム溶液に高圧水銀ランプ(理
工科学産業(株)製)を用いて窒素雰囲気下、紫外線
照射を行い、紫外部の特性吸収スペクトルの経時
変化を測定したところ、λnaxが262(nm)付近の
吸収ピークが減少していき、約1時間後には、完
全に消失し、逆に193nm付近の吸収が増加した。
このことから、重合が完了したことを確認した
(以下、これを負荷電のポリメリツクポソームと
呼ぶ。)。 酢酸ウラニルを用いたネガテイブ染色法による
透過型電顕観察では、モノメリツクリポソームと
ポリメリツクリポソームにおける形態変化は、ほ
とんどないことが認められた。この事はゲル過
パターンの比較によつても確認された。 さらに、室温状態における濁度変化も、モノメ
リツクに比べ、ポリメリツクリポソームの方が、
はるかに小さく保存安定性が優れていることがわ
かつた。 実施例 5 実施例2で得た卵黄由来のモノジエンホスフア
テジン酸とモノジエンレシチンとの混合物(モル
比1:10)から成るモノメリツクリポソームおよ
びポリメリツクリポソームと該モノジエンホスフ
アテジン酸と1,2−(2E、4E−オクタデカジエ
ノイル)−L−3−グリセロホスホリルコリン
(以下、本化合物をジジエンレシチンと称す)と
の混合物(モル比1±10)から成る同様のリポソ
ームに関して、示差走査熱量計(理研科学(株)製)
による測定を行つた。その結果、ジジエンレシチ
ンとの組み合せより成るリポソームにおいては、
モノメリツクリポソームにおいて観察された熱量
吸収ピーク(22℃付近)がポリメリツクリポソー
ムになるとほぼ完全に消失した。これに対し、モ
ノジエンレシチンとの組合せより成るリポソーム
においては、ポリメリツクリポソームにおいて
も、モノメリツクリポソームに存在した熱量吸収
ピーク(29℃付近)が完全に消失せず、残存する
ことが確認された。 実施例 6 実施例1,2及び3から得られたリン脂質誘導
体より調製したリポソームに関して、グルコース
と5(6)−カルボキシフルオレツセインを封入マ
ーカーとして用い、マーカー保持能力、放出挙動
等を検討した。その結果、それぞれの脂質につい
て、モノメリツクリポソームに比べ、ポリメリツ
クリポソームの方が、放出速度が小さく、保持能
力が向した。又、熱、有機溶媒(例えばエタノー
ル)および、界面活性剤(例えば和光純薬工業(株)
社製、商品名「TritonX−100」やドデシル硫酸
ナトリウム)に対する安定性が向上した。 さらに、ジジエンレシチンとの組み合わせより
成るリポソームにおいてはほとんど観察されなか
つた室温におけるモノメリツクリポソームのマー
カーのマーカー保持能力が、モノジエンレシチン
との組合せより成るモノメリツクリポソームにお
いて認められた。 実施例 7 実施例1,2及び3で得られたリン脂質誘導体
のそれぞれをモル比が5〜20%となるようにモノ
ジエンレシチンと混合し、全脂質濃度が10mM
で、常法に従つて、多重層リポソーム水溶液を調
製した。さらに、この溶液から超音波照射法によ
り小さな1枚膜リポソームを調製した。このリポ
ソームの表面荷電を電導度滴定で測定したとこ
ろ、上記ホスフアチジン酸型リン脂質誘導体のモ
ノジエンレシチンに対するモル比が増加する程、
リポソームの表面電荷量が、直線的に増加するこ
とがわかつた。 (発明の効果) 本発明によれば、天然レシチン又は合成レシチ
ンから調製容易なリゾレシチンと長鎖ジエンカル
ボン酸からモノジエンレシチンを合成し、ついで
酵素的加水分解を行うことにより、目的とする混
合酸型重合性リン脂質誘導体を高純度、高収率で
完全L体として製造することができる。 本発明の方法によつて製造されるリン脂質誘導
体には、一方のアルキル鎖のみにR0CH=CHCH
=CHCO(R0は前記と同じ)で示されるアシル基
が導入されているため、従来の合成リン脂質誘導
体と比べてリポソーム化した際に種々の特長を有
する。即ち、 (1) モノメリツクリポソーム調製後、紫外線照射
により、温和な条件で速やかに重合し、重合前
後において形態的変化は殆どない。 (2) モノメリツクリポソームにおいても、室温で
封入物質の保持能力を有する。 (3) 重合により、封入物質の保持能力や熱・有機
溶媒・界面活性剤等に対する安定性が向上し、
又、濁度変化も小さくなる。 (4) ポリメリツクリポソームとなつても熱量吸収
ピークは完全に消失しないため、柔軟な膜の形
成が可能となる。 (5) モノジエンレシチンとの組合せより成るモノ
メリツクリポソームにおいて、本発明のリン脂
質誘導体の含有率の増加に伴つてモノメリツク
リポソーム表面の電荷が増加する。 従つて生体適合性や、生体膜との種々の親和性
を配慮しなければならない医用リポソーム等の応
用分野に適した光重合性リン脂質誘導体であり、
その他、バイオセンサー、マイクロカプセル、さ
らには生医学用材料、化粧品への応用等、二分子
膜ベシクルの形態に限らず、単分子層膜、積層
(累積)膜の形態での利用を含めた生化学、医学、
薬学、工学など幅広い分野において利用が予想さ
れ、その工業的価値は大きい。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 一般式 【式】 (式中、R1とR2とは互いに異なり、その一方は
    飽和又は不飽和のC10〜C22の脂肪酸残基を示し、
    他方はR0CH=CHCH=CHCO(R0はC5〜C17のア
    ルキル基)のアシル基を示す。) で表わされる混合酸型重合性リン脂質誘導体。 2 該脂肪酸残基が卵黄リン脂質又は大豆リン脂
    質由来のアシル基である特許請求の範囲第1項記
    載の混合酸型重合性リン脂質誘導体。 3 (a) レシチンをホスホリパーゼA1又はA2
    用いて加水分解することにより得られるモノア
    シル−L−3−グリセロホスホリルコリンに、 (b) R0CH=CHCH=CHCOOH(但し、R0はC5
    〜C17のアルキル基)で表わされる長鎖ジエン
    カルボン酸とN,N′−カルボニルジイミダゾ
    ールとから得られる1−アシルイミダゾール
    を、(c)イミダゾールナトリウム存在下で反応さ
    せ、(d)次いで加水分解酵素を反応させる工程 からなることを特徴とする一般式 【式】 (式中、R1とR2とは互いに異なり、その一方は
    飽和又は不飽和のC10〜C22の脂肪酸残基を示し、
    他方はR0CH=CHCH=CHCO(R0は前記に同じ)
    のアシル基を示す。) で表される混合酸型重合性リン脂質誘導体の製造
    法。 4 該脂肪酸残基が、卵黄リン脂質又は大豆リン
    脂質由来のアシル基である特許請求の範囲第3項
    記載の製造法。 5 該加水分解酵素がホスホリパーゼDである特
    許請求の範囲第3項又は第4項記載の製造法。
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