JP3071276B2 - シアル酸誘導体及びその製造法 - Google Patents

シアル酸誘導体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は、シアル酸とリン脂質とを結合せ
しめた新規なシアル酸誘導体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】シアル酸は、N−アセチルノイラミン酸
(Neu5Ac)やN−グリコシルノイラミン酸(Ne
u5Gc)、3−デオキシ−D−ノヌロソン酸(KD
N)およびそれらのO−アシル、O−アルキル、デオキ
シ誘導体などのノイラミン酸誘導体群の総称であり、ガ
ングリオシド(シアル酸含有スフィンゴ糖脂質)、糖タ
ンパク質等の構成成分として、生物の各種組織に存在す
る酸性糖で、デオキシ糖でもあり、かつアミノ糖であ
る。シアル酸は糖タンパク質、ガングリオシドの中でそ
の立体構造の形成や生理機能発現に重要な役割をになっ
ている。近年、シアル酸の種々の生理作用に注目し、シ
アル酸の大量製造法やその応用に関する研究が進められ
ている。
【0003】一方、リン脂質は、動植物、微生物等生物
界に広く分布し、生体膜の構成成分として細胞の本質的
な働きと深く係わっており、また、その界面活性作用に
より生体成分の吸収や運搬においても必要不可欠な物質
である。従来からリン脂質は、天然の界面活性物質とし
て食品、化粧品、医薬品等の分野において可溶化剤とし
て応用されてきたが、特に近年、注目をあびている薬物
運搬システム(ドラッグデリバリーシステム;DDS)
に有用なリポソームへの応用研究が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シアル酸のも
つ種々の生理作用とリン脂質の生理作用あるいは物理的
特性を合わせ持つような化合物については全く知られて
いない。当業界ではそのような性質を持つ物質の開発が
期待されているが、未だ見出されていないのが実情であ
る。従って、本発明の目的は、新規な生理作用、物理的
特性を有するシアル酸誘導体及びその製造法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、シアル酸を
リン脂質でリン酸エステル化させた後、アルカリ金属の
水酸化物で処理することにより、新規シアル酸誘導体の
合成に成功し本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は (1)一般式(1)
【化5】 (式中、R1 およびR2 は同一または異なって水酸基、
または−OCOR(但し、Rは炭素数1〜29の直鎖又
は分岐アルキル基を示す)を、nは1〜20の整数を、
Acはアセチル基を示す。)で表されるシアル酸誘導
体、並びに
【0007】(2)一般式(2)
【化6】 (式中、R’は(CH2 n (但し、nは1〜20の整
数を示す)を、Meはメチル基を示す。Acは前記と同
意義である。)で表される化合物と、一般式(3)
【化7】 (式中、Xはコリン、エタノールアミン、セリン、イノ
シトール、グリセロールなどの水酸基を有する化合物を
示す。R1 およびR2 は前記と同意義である。)で表さ
れる化合物とをエステル交換して得られる一般式(4)
【化8】 (式中、R1 、R2 、n、MeおよびAcは前記と同意
義である。)で表される化合物を、アルカリ金属の水酸
化物で処理することを特徴とする一般式(1)で表され
るシアル酸誘導体の製造法に関する。
【0008】一般式(1)で表されるシアル酸誘導体に
おいて、R1 およびR2 は同一または異なって水酸基、
または−OCOR(但し、Rは炭素数1〜29の直鎖又
は分岐アルキル基を示す)を示す。具体的には、例えば
パルミトイル基、ステアロイル基等の基が例示され、好
ましくは炭素数6〜24の直鎖又は分岐アルキル基であ
る。また、nは1〜20の整数を表し、好ましくは4〜
12である。
【0009】本発明の一般式(1)で表されるシアル酸
誘導体の製造法は、前記のようにシアル酸の2位の水酸
基と1級アルコール性水酸基を持つジオールのモノアル
キルエステルとをグリコシル化させて得られる反応性誘
導体(一般式(2)の化合物)と一般式(3)で表され
るリン脂質とを、ホスホリパーゼD(以下、PLDとい
う)またはPLDを含有する菌体に接触させて、酵素反
応によりシアル酸の該反応性誘導体とリン脂質の極性基
部分とをエステル交換させて得られる化合物(一般式
(4)の化合物)をアルカリ金属の水酸化物で処理する
ことにより行われる。例えば具体的には、PLDとシア
ル酸の該反応性誘導体とカルシウム塩をPLDの至適p
Hに調整した適当な緩衝液に溶解させる。そこにリン脂
質を有機溶媒に溶解させたものを加え、数時間攪拌反応
させることによりエステル交換反応が完結する。次い
で、これにより得られた一般式(4)の化合物をTH
F、水との混合溶媒等の溶媒中でNaOH、KOHなど
のアルカリ金属の水酸化物で処理することにより脱メチ
ル化を行い、目的とする一般式(1)で表されるシアル
酸誘導体が得られる。
【0010】ここで、一般式(2)で表されるシアル酸
の反応性誘導体は、シアル酸を出発物質として従来既知
の方法によって容易に製造することができる。その製造
方法の一例を以下に示す。
【0011】
【化9】
【0012】即ち、シアル酸(1)をメタノール中、陽
イオン交換樹脂(例えば、Dowex−50(H+ ) )
の存在下、室温で攪拌し、メチルエステル誘導体(2)
を得る。(2)を塩化アセチル中で塩化水素を飽和さ
せ、室温で反応させることによりパ−アセチル−2−ク
ロロ誘導体(3)を得る。(3)をモレキュラーシー
ブ、Ag2 CO3 存在下、アルキルジオールのモノメチ
ルエステルとグリコシル化させ、グリコシル化合物
(4)を得、(4)を脱アセチル化させることによって
脱アセチル化合物(5)(即ち、一般式(2)で表され
るシアル酸の反応性誘導体)を得ることができる。
【0013】一般式(3)で表されるリン脂質におい
て、一般式中のXはコリン、エタノールアミン、セリ
ン、イノシトール、グリセロールなどの水酸基を有する
化合物を示す。このようなものからなるリン脂質とし
て、具体的には例えばホスファチジルコリン、ホスファ
チジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホス
ファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール
等が挙げられ、これらの単一化合物又はそれらの混合物
でもさしつかえない。また、大豆由来のもの等植物由来
のもの、卵黄由来のもの等動物由来のもの、合成によっ
て得られたジアシル型のリン脂質、さらにはこれらのリ
ン脂質の脂肪酸残基の一方をホスホリパーゼにより又は
化学的に脱アシル化することにより得られるリゾリン脂
質等を使用することもできる。
【0014】本発明において使用するPLDは、植物由
来のもの、動物由来のもの、微生物由来のもの等いずれ
でも良く、例えば、微生物由来のものとしては、ストレ
プトマイセス属、ノカルディオプシス属、アクチノマデ
ューラ属のものが使用される。また、PLDは通常水溶
液として又は適当な緩衝液の溶液として、さらには何ら
かの担体に固定して使用される。例えば、酢酸(バッフ
ァー)、リン酸、Tris−塩酸等の緩衝液、オクチルセフ
ァロース、ブチルトヨパール等の担体が好適な例として
挙げられる。PLDを含有する菌体を使用する場合に
は、菌体の乾燥物あるいは担体に固定化した菌体等の態
様でも使用できる。
【0015】PLD又はPLDを含有する菌体を用いて
の酵素反応では、反応液のpHが重要であり、通常pH
4.0〜8.0の範囲で使用する酵素の至適pH±0.
5以内に調整するのが好ましい。ここで用いられるPL
Dの使用量は、通常リン脂質1gあたり10〜100ユ
ニット、好ましくはリン脂質1gあたり20〜50ユニ
ットである。また、酵素反応の温度は通常15〜50
℃、好ましくは25〜35℃である。反応時間は通常
0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間である。
【0016】更に、PLDの酵素活性を高めることを目
的として、必要に応じてカルシウムイオンやバリウムイ
オン等の2価の典型金属イオン及び/又はマンガン、ラ
ンタン、セリウム等の遷移金属イオンのハロゲン化物、
炭酸塩、リン酸塩を反応液に対して、通常10mM〜1
M、好ましくは10mM〜0.5M添加しても差し支え
ない。酵素反応の形態としては、水系の反応、水相と有
機溶媒相との2相系の反応、有機溶媒系の反応のうちい
ずれかが選択されるが、中でもシアル酸は水に可溶性、
リン脂質は有機溶媒に可溶性でありエマルジョン系での
反応効率が優れているため水相と有機溶媒相との2相系
の反応が好ましい。
【0017】ここで用いる有機溶媒は、融点40℃以下
のカルボン酸のアルキルエステル、アルキルエーテル、
脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハ
ロゲン化炭化水素等の中から1種または2種以上混合し
て使用できる。例えば、カルボン酸のアルキルエステル
としては、炭素数2〜6の直鎖又は分岐脂肪酸のアルキ
ル(炭素数1〜8の直鎖または分岐アルキル)エステル
が挙げられ、酢酸メチル、酢酸エチル、吉草酸メチル、
プロピオン酸メチル、酪酸メチル、カプロン酸メチル等
を用いることができ、とりわけ酢酸メチルが好適であ
る。アルキルエーテルとしては、炭素数2〜6の直鎖ま
たは分岐アルキルエーテルが挙げられ、ジエチルエーテ
ル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、イソプ
ロピルエーテル等を用いることができ、とりわけジエチ
ルエーテルが好適である。脂肪族炭化水素としては、炭
素数6〜12の直鎖または分岐脂肪族炭化水素があげら
れ、特にヘキサン、ヘプタン、石油エーテルが好適であ
る。脂環式炭化水素としては、炭素数6〜12の置換基
を有するか又は有しない脂環式炭化水素があげられ、特
にシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオク
タンが好適である。芳香族炭化水素としては炭素数6〜
12の置換基を有するか又は有しない芳香族炭化水素が
挙げられ、特にベンゼン、トルエン、キシレンが好適で
ある。更にハロゲン化炭化水素としては、炭素数1〜8
の直鎖または分岐アルカンのクロル化物、ブロム化物、
ヨウ素化物が挙げられるが、特にクロロホルム、四塩化
炭素、塩化メチレンが好適である。
【0018】このようにして得られた一般式(4)で表
される化合物からアルカリ金属の水酸化物で脱メチル基
処理する工程において、アルカリ金属の水酸化物として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが例示される。
また、反応は通常氷冷下で行われ、反応時間は約30分
〜1日である。このようにして脱メチル基反応が終了す
ると、通常行われる精製手段によって一般式(1)で表
される本発明のシアル酸誘導体を得ることができる。精
製手段としては、例えば抽出、クロマトグラフィー、再
結晶などの方法を適宜組み合わせて行うことができる。
【0019】
【実施例】以下に実施例をもって本発明に詳しく説明す
るが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 実施例 本実施例で合成される化合物の反応スキームを以下に示
す。
【0020】
【化10】
【0021】まず、N−アセチルノイラミン酸(8)3
gをメタノール300mlに溶かし、Dowex−50
(H+ )3gを加え室温で4時間攪拌反応を行い、反応
終了後Dowex−50(H+ )を濾取した。濾液のメ
タノール溶液を15mlに濃縮し、−20℃でジエチル
エーテル6mlを添加し、再結晶することによりメチル
化合物(9)2.47gを得た。
【0022】得られたメチル化合物(9)に−20℃で
塩化アセチル25g、無水酢酸3gを加え、乾燥塩化水
素ガスを飽和させ、室温で20時間攪拌反応を行った。
反応液の溶媒を留去し、ベンゼン、トルエンを用いて完
全に脱水した後、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、
ヘキサンの等容量混合物により再結晶し、アセチル化物
(10)3gを得た。
【0023】−20℃下でアセチル化物(10)を、モ
レキュラーシーブ4A 6g、Ag2 CO3 5g、
1,8−オクタンジオールモノメチルエステル3gを添
加したジクロロメタン60m1に溶解し、室温で3時間
攪拌反応させ、グリコシル化を行った。反応液をセライ
ト濾過後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(CH2 Cl2 :CH3 OH=98:2)で精
製し、グリコシル化合物(11)1.9gを得た(Rf
=0.63 Silica gel/CH2 Cl2 :CH3 OH=
15:1)。
【0024】得られたグリコシル化合物(11)1.9
gを氷冷下、完全に脱水したメタノール30mlに溶解
した。氷冷下でカリウム300mgを完全に脱水したメ
タノール30mlに加え、カリウムメトキシドとし、先
に調製しておいたグリコシル化合物(11)のメタノー
ル液に添加した。0℃で3時間攪拌反応を行った後、反
応液中に−20℃でDowex−50(H+ )を加え
た。Dowexを濾取し、濾液からメタノールを留去
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHC
3 :CH3 OH=5:1)で精製することによって脱
アセチル化合物(12)0.9gを得た(Rf=0.2
5 Silica gel/CHCl3 :CH3 OH=5:1)。
【0025】得られた脱アセチル化合物(12)をジエ
チルエーテル120ml、水24mlの混合溶媒中で
0.4M酢酸カルシウム6ml、PLD100ユニット
存在下、ジパルミトイルホスファチジルコリン3gと3
0℃で6時間反応させ、粗生成物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(CHCl3 :CH3 OH=9:1)
により精製して中間体(13)0.3gを得た。
【0026】得られた化合物(13)325mg(0.
3mmol)をTHF10ml、H2 O5mlの混合溶
媒に溶解し、氷冷下で1N−NaOH0.3mlを加え
1時間攪拌した。反応液をDowex−50(H+ )に
て中和(pH8)し、樹脂をH2 Oで洗浄し、濾液、洗
液を合わせて濃縮し、カラムクロマトグラフィー(OD
S/H2 O、MeOH)で精製することにより目的のシ
アル酸誘導体(14)9.6mg(0.09mmol )を
得た(収率30%)。このシアル酸誘導体(14)のT
LCは単一のスポットを示し、Ditmmer試薬、レ
ゾルシノール試薬の両方に呈色反応を示した。
【0027】得られたシアル酸誘導体(14)の物性値
は以下の通りである。 400MHz,1 H−NMR,CD3 OD,TMS,δ 0.896(6H,t,J=6.9Hz, C 3 ×2) 1.327(56H,m, C 2 ×28) 1.525(4H,m, C 2 ×2) 1.616(4H,m, C 2 ×2) 1.729(1H,t,J=12.4Hz, H−3ax) 1.997(3H,s, C 3 CONH) 2.310(2H,t,J=7.4Hz C 2 ) 2.326(2H,t,J=7.4Hz C 2 ) 2.674(1H,dd,J=13.2,4.7Hz,H−3eq) 3.997(2H,t, J=6.0Hz H’−3 ) 4.141(1H,dd,J=12.1,7.1Hz,H−1 ) 4.436(1H,dd,J=12.1,3.3Hz,H’−1 ) 5.247(1H,m, H−2 ) 分子量:1067
【0028】実験例1 実施例で得られた一般式(1)で表されるシアル酸誘導
体(14)40mgに0.2M NaClを含んだ0.
01M Tris−HCl緩衝液5mlを加え、50W
で25分間超音波処理し懸濁した。この懸濁液を4℃,
12000gで20分間遠心分離し、上清1mlに対し
CaCl2 を4μl加え、450の吸光度が約0.9に
なるようにバッファーで希釈し、試料溶液とした。試料
溶液1.5mlをマイクロセルに入れ、これにニホンカ
ブトガニレクチンの1.5mg/mlバッファー溶液
0.1mlを加えて素早く混合し、450nmの吸光度
を10分間測定した。その結果、10分後の吸光度が高
値を示した(表1)ことから、この一般式(1)で表さ
れるシアル酸誘導体(14)は、シアル酸と同様にシア
ル酸と結合するレクチンであるニホンカブトガニレクチ
ンと結合し凝集することが判明した。このことから一般
式(1)で表されるシアル酸誘導体は、シアル酸の有す
る生理作用をそのまま保持していることが認められた。
【0029】一方、一般式(1)で表されるシアル酸誘
導体(14)の代わりに実施例におけるエステル交換反
応が完結し、脱メチル基処理を行う前の中間体(13)
を用いて全く同様な操作を行ってニホンカブトガニレク
チンとの凝集反応を調べた。この中間体(13)を用い
た場合には、吸光度に変化は認められず(表1)、シア
ル酸に結合するレクチンであるニホンカブトガニレクチ
ンによっては凝集しないことが判明した。
【0030】
【表1】
【0031】実験例2 上記実施例で得られた本発明のシアル酸誘導体の乳化能
特性について、試験をする目的で乳化力の程度を測定し
た。即ち、試料として実施例で得られたシアル酸誘導
体、脱脂レシチンおよびリゾレシチンを用い、それぞれ
0.5g重量%水溶液10mlに同量の菜種白絞油を添
加し、ホモミキサーで60秒間処理して乳化した後、目
盛付試験管に移して、種々の温度下にて静置した。4時
間後の乳化相の全体相における割合(%)を乳化安定性
として表した。その結果、本発明のシアル酸誘導体は、
他のリン脂質と同様な乳化安定性を有することが示され
た。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明の新規シアル酸誘導体は、シアル
酸とリン脂質の基本構造を有し、シアル酸の生理作用と
リン脂質の物理的特性を合わせもつ。そのため、生体適
合性も高く、食品、化粧品、医薬品用原料素材として非
常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レカ ラジュ ジュネジャ 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (72)発明者 新保 喜久雄 静岡県清水市新港町2 株式会社ホーネ ンコーポレーション内 (72)発明者 妹尾 学 東京都港区六本木7−22−1 東京大学 生産技術研究所内 (72)発明者 西元 勝也 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (72)発明者 金 武祚 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (72)発明者 山本 武彦 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 1/00 - 23/00 C12P 19/00 - 19/64 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は同一または異なって水酸基、
    または−OCOR(但し、Rは炭素数1〜29の直鎖又
    は分岐アルキル基を示す)を、nは1〜20の整数を、
    Acはアセチル基を示す。)で表されるシアル酸誘導
    体。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 (式中、R’は(CH2 n (但し、nは1〜20の整
    数を示す)を、Meはメチル基を示す。Acは前記と同
    意義である。)で表される化合物と、一般式(3) 【化3】 (式中、Xはコリン、エタノールアミン、セリン、イノ
    シトール、グリセロールなどの水酸基を有する化合物を
    示す。R1 およびR2 は前記と同意義である。)で表さ
    れる化合物とをエステル交換して得られる一般式(4) 【化4】 (式中、R1 、R2 、n、MeおよびAcは前記と同意
    義である。)で表される化合物を、アルカリ金属の水酸
    化物で処理することを特徴とする一般式(1)で表され
    るシアル酸誘導体の製造法。
  3. 【請求項3】 エステル交換反応をホスホリパーゼDあ
    るいはホスホリパーゼDを産生する菌体に接触させるこ
    とにより行う請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 エステル交換反応をpH4.0〜8.0
    の範囲で行う請求項2記載の製造法。
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